
2025.02.18
「売上をスケールする」AIの使い道とは アルペンが挑む、kintone×生成AIの接客データ活用法
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今井達也氏(以下、今井):では(今日のテーマの)4番目ですね。「“人として美しい”が評価される評価制度」ということで、実は事前に取締役の松崎(神都)さん、にいろいろヒアリングしました。ヘッドウォータースさんって、それこそ仕組みに思想が落とし込められてるなと、お話を聞いててあらためて思い、そのすごさがあるんですけど、どういうふうに仕組み化されてるのかをお伝えしたいなと思います。
まず評価制度において大事にしているのが「考え方」ですね。思想として、5年から10年後にどんなメンバーが揃ってたらいいのかっていうところから逆算する。あるべき姿としてはこのミッション・ビジョン・バリューですね。「MVV」って書いてありますが、ミッション・ビジョン・バリューのことです。それに合致してる人が100パーセント揃っているっていうことが、ものすごく大事じゃないかと。
そこの評価基準としては、先ほど篠田さんも言われたように、能力というよりも、どちらかというと価値観とか。「我々はこうありたい」というところにちゃんと共感して、そこにコミットした人が評価されるべきじゃないかという基準を持っていると言われてました。
そういった意味で、じゃあ仕組みとして人事のポジションですね。制度としてのポジションはどこなのかって考えると、よくあるのが理念は理念だけで切れてたりとか、経営計画はそれだけで切れてたりとか、人事は人事だけでやってたりとかってあるんですけれども、やはりこれはすべて一蓮托生であると。
これはBUSINESS DRIVEの経営計画の中でもお伝えしてるんですけれども、一蓮托生ですべて繋がっていて、理念から経営計画にちゃんと落とされて、それが人事の方向性になり、採用と育成と人事評価をして、そのベースになるのが社内のルールだったり社内環境の整備だったりとかってあるので。人事はそのあたりをしっかり作っていくことが大事だと言われてました。
今井:評価基準に関しては、こういったところも全部聞いちゃったんですけどね、3つありますと。業績評価とクレド評価と上長評価です。
まず業績評価って何かっていうと、いわゆる売上だったりとかっていうのもありますけれども、どちらかというと業務で任された幅だったりとか、その仕事によって誰かに良い影響を及ぼす範囲だったりとか、視座とか視点の高さを業績評価として評価されるそうです。
クレド評価っていうのは、先ほどあったバリューのところです。あれを5つに分けて、それを5段階評価の25点満点で評価している。
あと上長評価っていうところで、業務評価とかクレドに表れないような評価のところを、例えば社内の活動とか、会社のためにいろんな良いことをやってたら、そこを上長が「こういうことやってんだよ、この人」っていうことを評価してくれるという。この3つがあるそうです。
その割合が、普通わりと業績のほうが高かったりするんですけれども、4:6ぐらいで下のブルーで囲んだところですね。定性情報的なところをわりと高くしてらっしゃると。それは何かというと、先ほど言ったような「人として美しい」とか「人として正しい」ことをやっている人が評価される評価軸になってらっしゃるということですね。
先ほどのミッション・ビジョン・バリュー。ここが一番大事な、ここを体現できるような人が評価されていくことを評価軸にされていらっしゃいます。
今井:じゃあその「人として美しい行動」をするための会社内の仕組みですね。どういうふうなところに落とし込んでるかというと、ほかの会社さんとかではやることはなかなか難しいかもしれないですけども。
一番最初にある「委員会制度」、要は「会社の中でこういうことが問題だ」とか「こういうことをやったほうがいいんじゃないか」っていうのは、自分で手を挙げたらそれを社内の活動としてOKしてもらえるという制度があるんですね。
実際には、例えば「社内でもう少し研修をしっかりやったほうがいいんじゃないか」と言ったら、研修のプロジェクトが社内で立ち上がったり。例えば「ChatGPTを推進していこう」という動き、今の動きとかまさにそうですけど、そう言ったら推進室みたいなのを作られたりとか。そういった自分でやりたいと思ったら自分でできる委員会制度があると。
あと「他己紹介」という形で、月に1回全社員が集まるんですよね。集まった時に「この人はこういう方で」っていうふうに他人を紹介することで、ある意味サンクスカード的な「この人ってすばらしい人なんですよ」っていうことをお互い紹介し合うことで、関係性が非常に良くなっていったりとかですね。
あとは評価の部分では、部長さんのみ「360度評価」といって、上司・部下、あとは同僚だったりお客さんだったりとかというような、そういったいろんな方向から評価をするような仕組みにしていたりとか。
今井:あとこれもすごく大事だなと思うんですけど、振り返り会。社内のプロジェクトも社外・お客さんとのプロジェクトもそうなんですけど、すべて終わった時に絶対に振り返りをする。そこで何が本当に良かったのか悪かったのかを、ちゃんと徹底的に話し合うということを必ずやってらっしゃると言われてました。これは本当にものすごく大事かなと思います。
あとは表彰ですよね。それこそあまり日の目を見ないけれども、すごく頑張ってらっしゃる方とか。一隅を照らすみたいな人を表彰するようなことを忘年会でやられたりとか。ちゃんと理念を体現できるような人たちを育てるために、こういった仕組みに落とし込んでらっしゃるということですね。
ちなみにキャリアパスもおうかがいしたら、こんなかたちで整理していただいたんですけど。本当は一番最初、メンバーがあってプロジェクトマネージャーがあってスペシャリスト、みたいなかたちの1つの軸だったらしいんですけれども。
「今、会社の問題ってこういうことが問題だよね。じゃあこういう役職とかこういうポジションの人を増やさないと、会社がより良く回っていかないんじゃないか」って考えられて、会社の課題に応じてポジションを増やされたと言われていました。
特にこのPMOと、プロジェクトマネージャー。どうしても人間って得手不得手があるので、その不得手なところを……例えばお金とかスケジュールとか人の関係とか、すべて見てというのは、どこかがやはり欠けたりとかするので。そこの欠けた部分をPMO、プロジェクトマネジメントのサポートをする人が補ったりすることで、チームとして成果を出していけるようなキャリアをしっかり作っていこうと。そういったことを意識されて、このようなキャリアパスを作ってらっしゃいました。
これってすごく僕はすばらしいなというか、自分たちがより良く、会社も価値を出すためにどういう存在というかポジションが必要なのかというのを常に考えていけるからこそ、たぶんどんどんキャリアパスもいろいろ増えてたりとかいうことができるのかなと思います。
今井:あと賃金テーブルに関しては、一応レンジとしてはあるけれども……ここもまたすごいなと思ったのが、基本的に部長さんたちが部下の給与とか決められるんですよね。なので「このくらいできる人は、やはりこのくらいだよね」っていうのを、部長同士のコミュニケーションを活発にすることで(決めている)。
賃金テーブルのだいたいはあるけれども、そこらへんはうまくコミュニケーションを通して、共通認識の評価軸を部長クラスの人、評価者の人たちが持ってらっしゃるそうです。ここですごいなと思ったのが、やはりコミュニケーションをしっかり通して評価をしていくということが、ものすごく大事なのかなと思います。
あとは面談とスケジュールですね。スケジュールに関しては評価と査定は半年に1回なので、年2回です。あと面談は、ここも重要ですけど月に1回1on1を実施。上司と部下の一対一でいろいろ話し合うんですけれども、そこで目標のすり合わせをしながら、その内容も含めて評価をしていくと言われてました。
その面談の時に一番大事にされてらっしゃるのが、コーチングとティーチングのバランスをうまくやっていかないといけないと。コーチングっていうと、どちらかというと「あなたは何をしたいのか、どういうことをしたい?」っていうのを支援してあげたりとか、いろんな質問をすることでその人がやりたいことを実現していく手法です。
まだ管理職じゃないようなメンバークラスの人だったらティーチング。「こういうことはやはりしなくちゃいけないよね」とか「こうしていこう」というようなティーチング、教えるほう。このバランスをうまくやっていかないといけないよね、っていうことを言われてましたね。
それを部下に合わせて、例えばティーチング的な「これをやっていこう」ということもちゃんと求めていく。「自分はどうしたいんだ」っていうこともちゃんと求めていくっていうことをしないといけないですよ、ということを言われてました。
評価制度でそれこそ大事にしていらっしゃるのは「正しく評価し、気持ちよく働いてもらう」。この「気持ちよく働いてもらう」というのがものすごく大事ですし、これすごいなと思ったのが、ヘッドウォータースさんの中でプロジェクトを組んだりとか部署を異動したりとかしたら、例えば上司と合わないと。
そうしたらすぐ「じゃあこれはちょっと合わないから、ほかに異動しよう」とか「プロジェクト、ほかに変えよう」とかっていうのをけっこう頻繁にやったりとか、部署をいろいろ変えたりとかっていうのもされてらっしゃるそうです。
今井:あと人事としてやってらっしゃる内容としては、委員会活動をはじめとした社内活動の中で、どうしてもやはり社員の不満を耳にするわけなんですけど。そういった不満を「こういうことがあるんだな」といろいろ聞きながら、「じゃあ社内でこういうことが必要かな」と考えながら、改善策を立てて実行してますよっていうことを言われてらっしゃいました。
という意味では「人として美しい」が評価される評価制度というのは、やはり先ほどからあるような理念、会社のミッション・ビジョン・バリューですね。それが体現できる社員をどうやって育てていくかっていう、それが仕組みに落とされていることがすごく大事ですし、経営課題から組織・採用・育成・仕組みに落とし込んでいくということが大事です。
あと先ほどのコミュニケーションですね。コミュニケーションをしっかり増やしていくことで評価基準を合わせていくことが大事ですし、個性を活かしてチーム内でお互いに補完し合えるような。チームで価値を出していく、そういった文化を形成していくことがものすごく大事なのかな、というようなことを松崎さんと話していたんですけど。なにか補足とかございますか?
篠田庸介氏(以下、篠田):……正しいです(笑)。
今井:(笑)。
篠田:ルールとか制度って、僕は人の「こうありたい」という願いだと思うんですよね。制度ありきだと「こんなのはやってるから」っていうものをやってもみんな乗れないし。でも「こうありたいな」っていう気持ちが先にあって、そこに制度ができると、その制度をみんなすごく大事にしようと思うし、その制度を活かそうと思います。
そういうことが必要なので、型を真似ても会社によって違うので、うまく機能しないと思います。「こうありたい」「こういう人であってほしい」「こういう会社でありたい」「こういう人と一緒に仕事したい」という心の底からの気持ちがあって、それを制度としてどう表現しますかというだけの話なので。
篠田:制度って表現だと思います。自分たちのメンタリティとか哲学とか価値観を、どう表現するかというのが制度なので。だから完成もないし、これでおしまいとかもない。「あそこの会社がこうやってるからそれ取り入れよう」もいいですが、それは手段であるだけで、流行っている制度を取り入れることが目的になっちゃダメ。
自分たちのオリジナリティのある……それは結果としてオリジナリティがなくてもいいと思っていますが。自分たちの根源から発した「こうありたい」という願いがルールに落ちるってことが大事なのではないかなと思ってます。
今井:同じことを松崎さんがおっしゃってました(笑)。すべてヘッドウォータースさんって自分たちで考えるというような、そういった風土ですよね、本当に。事例とかもきっと拾ってらっしゃるんでしょうけど、でもそれが本当に自分たちに合うのかとか、自分たちだったらどう考えればいいのか、自分たちのあり方がこれによって変化しないのか。
ちゃんと自分たちのあり方が変わらずに良いほうに向かっていくのかっていう視点で、すべてのものごとを考えてらっしゃる会社さんだなっていうふうに、本当にヒアリングをしながら感じておりました。
では、実はすいません、1時間ちょっと過ぎてしまったんですけれども。一応この1時間のセミナーとしては、この4つのテーマをお話しさせていただいて。あとアンケートに答えていただいた方のみ、「全員経営! 日本独自のティール組織とは」というところを、特別編としてお送りしようかなと考えております。
ちなみにお話ししたい内容をチラ見でちょっとお見せすると、こんな感じで。自律・自考、自分で考えて行動できる会社の仕組みとして、こういうことがやはり大事だなっていうところをもう少し詳しく。篠田さんと議論を深めながら、もっと何が大事なのかというのを話をしていこうかなと思っております。ぜひアンケートに答えていただければなと思います。
アンケートに答えていただくと本日の資料と、先ほどの「全員経営!」の動画、あと弊社のBUSINESS DRIVE、今日解禁ですが、無料で「仕組み診断」をプレゼントしようかなと考えております。先ほど言ったBUSINESS DRIVEで会社の仕組み・状態を見える化して、診断をする。そのあとに解決策を提案して、自分たちでそういった仕組みを作っていくというものですが、この診断の部分を今回無料で提供していこうと考えてます。
普通いわゆるサーベイ系って意外とお金かかっちゃったりとかしますが、もうそこを100人以下の会社さんのみ、無料で提供していこうかなと考えてます。ここに書いてある10個の仕組みが今どういう状態かなと気になる会社さんがいれば、ぜひアンケートに答えていただいて、「これちょっとやってみたい」と言っていただければなと思います。
今井:ここまででこの4つのテーマなんですけど、ちなみにちょっとご感想とかをおうかがいできれば嬉しいんですが。「やっぱこういうことが大事だよな」って、しゃべってて思ったこととかでもいいんです。
篠田:感想、うーん……やはり「関わった人みんなで幸せになりたい」ってことですね(笑)。関わった人みんなということと、やはり事業家なので、社会全体を幸せにするっていうことに本気で取り組まなきゃいけないと思ってるので。特にデジタルの世界というのは世界に影響を与えられると確信しているので、それを生きてるうちにみんなで、信じた仲間とやりきれればいいなと思ってます。
ベースの幸せがずれちゃうから、いろんな労働問題とか労使の問題もそうだし、上司・部下の問題もそうだし。いろんなやり方あると思いますが、みんな幸せになって最後終わろうぜと。「その未来に幸せな未来はあるのか」みたいなことをずらさないと、そこそこどんなルール作っても、微調整しながら時代に合わせてやっていけばいいと思ってます。
そういうことをずらさないことをベースにしながらやっていくっていうことをすると、そんなに違和感があるものが出来上がらないというか。気持ち悪い感じで仲間と付き合わなくていいっていうか、日々会社で生活しなくていい状態になるんじゃないかなと思いますね。
今井:ありがとうございます。今日は篠田さん、熱く語っていただいて本当にありがとうございます(笑)。一応これでセミナーのほうは終わりになりますので、あとこちらの「全員経営!」のほうはこのあと収録するんですけれども、いったんここでこのBUSINESS DRIVEセミナーのほうを終わりたいと思います。篠田さん、どうもありがとうございました。
(会場拍手)
篠田:ありがとうございました。
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