2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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堀雅彦氏(以下、堀):最後は、収益になります。
お客さんが何に価値を感じて、どこをキャッシュポイントに設定して、どこがコストになってどうやって成立させるのか。ここも料金の話とか収益モデルの設計の仕方というそれぞれすごく深いエリアではあるんですけど、今回は収益性に絞ります。特に、ここのエリアをどうやって作っていくのかにフォーカスしてお話をしてみようと思います。
前提としてこのエリアはモデル化が必須だと思っています。ビジネスモデルという構想、仕組みをを実際に数字のモデルに置き換えて、どういう構造で売上がたってコストが出ていくのか構造を捉えることがまず前提として必要です。
実際、左側のアウトプットの場合、一番上にあるのは利益なんですけれども、利益が売上とコストに分かれて、売上はお客さんの単価で分かれて、お客さんはどういう構造で作られていくのかというツリーの構造にぐっと分解していく。分解した上で、特性をおさえます。例えば、一番最初の入り口はどこが固定費・変動費なのかとか、もう少し踏み込んで、お客さんにどの体験を提供したらどのコストが連動するのかというような点です。
さらに、どういう体験を与えることができればキャッシュポイントの増加につながっていくのかという特性をおさえていくことが収益性というエリアを描く上で大前提として必要だと思います。
その上で「収益性」とは何かですね。現段階での僕の捉え方は、収益性にも段階があると思っています。大きく分けて事業として成立するのかという話と、成立ができている上で投資の回収ができそうなのか。さらに言うと成長するのかというフェーズですね。
事業として成立するのかという点にもさらに分解があって、価値単位として成立するのか、顧客単位で成立するのかで、最終的に事業として成立するのか。
収益性という言葉はすごくざっくりとしているんですけれども、実際は段階があって、どの段階まで収益性が見込めているのかきちんと向き合っていくことが、確証を作る上で大事なんです。以降、各ボックスの考え方について、少しお話をします。
まず、1つ目、価値あたりの利益に関する考え方ですね。
これは、すべてのビジネスに当てはまる話ではないかもしれませんが、基本的には1回の体験でお客さんから得られる料金に対して、その体験を提供するのにかかるコストはバランスをしていないと大きく規模を増やしていけばいくほど赤字が膨らんでいく構造になります。まずはここが成立しているかを見極めることがすべての入り口だと思います。
例えば、1週間の食事内容の写真を撮って送れば管理栄養士さんが写真を見てアドバイスを返してくれるというビジネスの場合、料金を月1,500円と設定した時に、その1,500円を提供するために、管理栄養士さんのオペレーションが2,000円を超えているような状態。
これだと当然バランスしていないので、まずはここのバランスが作れているかどうかが収益性を見る上での一番最初のフォーカスポイントです。価値提供のコストはこのケースの場合、管理栄養士さんが何時間あたりどのくらいで動いてくれるのか。1,500円を貰うための稼働にどのくらいかかるのか。
ユーザーさんは1週間にどのくらい写真を送ってきてくれるのか。1回の対応のために栄養士さんはどのくらい時間がかかってしまうのか、このように分解していきます。
こういう分解をした上で、いくらまでお客さんは払ってくれるんだろうねとか、時給2,000円は高すぎるので、もうちょっと若い人を雇用できないかとか、診断回数にキャップかける。あるいはもっと効率化できないかといった問いと向き合いながら、一番ミクロな粒度でそもそも儲けが出る構造になっているのかを見極めることがすべての入り口だと思います。
これができた上で、ユニットエコノミクスですね。一生涯得られるLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)に対して、お客さんを獲得するコストを賄えるのか。より使われ続けるサービスとなるにはどうしたらいいか。もっと効率的なマーケティングの活動がないのかということと向き合っていきます。
当然試してみないとわからないんですけど、チャーンレートとかCAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト)のような指標は世の中にはけっこうあふれているので、そのへんを数値化、代入した上でいけそうかどうか判断して、確証を作っていくことが世に出す前のタイミングにおいても重要なことだと思います。
そして事業単位ですね。事業単位についてはちょっと下の構造は割愛するんですけども、損益分岐を超えるユーザー数(を算出して)このユーザーが構成するマーケットの規模と、そこからユーザーを作っていくシェアが現実的かどうかを見極めます。
例えば損益分岐のためには2.5万人集めなければいけない時に、今のコンセプトで50万人というターゲットを狙っていけるのか。50万人の場合5パーセントのシェアをとらないといけないんだけど、その5パーセントのシェアは今の戦い方で本当に取れるのか。こういう問いと向き合いながら事業単位で成立するかどうかを考えます。ここの確証も作っていくことが、単月黒字、事業成立という視座で必要な考え方です。
その上で段階があるんですけど、事業としての成立が見込める場合、投資回収、利益最大化という側面に入っていける。投資回収できるのか、期間は許容できるのかという点ですね。
あるいはTAM(Total Available Market:総市場)・SAM(Serviceable Available Market:セグメント市場)・SOM(Serviceable obtainable Market:自社サービスのターゲット市場)、または利益ベースでのポテンシャルも含めてどこまで大きくなりそうなのかという問いに向き合っていくことが最終的には必要です。
このように、収益性にはレベルがあるので、段階を追ってそれぞれ何がKGIになるのかとか、顧客単位を成立するためには何がKPIになるのかとブレイクダウンをしていきます。そして、各指標をいつまでにどのようにして作るのか、解像度を上げて取り組むことが事業計画だと思っています。
言い換えると、各価値単位、顧客単位、事業単位、これをいつまでにやるのか、どういう状態を目指すのかを決めていくことで、事業フェーズとか、成立条件ごとにゲートを設定して、やる・やらないの継続判断を作っていく。これがまさに事業計画を作っていくことだと思っているんですね。
いろいろと収益モデルや収益性のところでお話をしてしまったんですけど、ああいった段階を掘っていった時に、なんでこの事業はいけると思うのかを言葉で語れるような状態にまで突き詰めていく。これが収益性っていうところの文章として落としていくイメージです。
最後のまとめは割愛しますね。以上が今日お話ししたかった内容です。かなりお話のスピードを上げてしまったので、情報を追い切れなかった部分があるかと思うんですけれども、さらっとまとめますね。
やっぱり意思決定をどう突破するかは当然すごく大事です。突破する上では確信を作ってどう共感させるか。確証を作ってどう理解してもらえるかが肝になります。今回は担当者側の目線にたって、確信・確証にフォーカスをしてお話をさせていただきました。
(スライドを示して)構成要素としてはこういったところです。ミクロとマクロがあって考えないといけないこともけっこういっぱい出てきます。だからこそチェックがすごく大事。今、何を考えないといけないのかとか、何が弱いのかというところと向き合い続けることが事業開発では必要なことです。
その位置づけとしてシンタックスという枠組みがありました。実際に現場で使いながら使えそうだという感覚も徐々に出てきているんですけど。これを使うことで弱点を把握して見直すところを見つけて検証して定義する。そして全体像に戻り再度チェックを行い仮説検証をさらに回す。その結果として確信・確証が積み上がっていきます。
こういったかたちで、各ブロックが各問いに答える構造になっています。ちょっと今回いろいろお話ししてしまったんですけれども、アンケートを書いていただいた方にフォーマットをお渡ししようと思っています。もしご興味があったら、ぜひ1回書いてみてください。
書いてみると、けっこうここは危ないというのが見えてきます。それがまさにチェックなので、ぜひ使っていただければと思います。
ちょっと話が逸れるんですけど、よくあるパターンについてお話しします。
ビジネス起点、技術起点、お客さん起点。企業内の事業開発にはいろんなパターンがあってビジネス起点の場合は市場とかマーケットが見えていて、例えばペット市場が魅力的である、から始まるパターンですね。技術起点の場合はすごい技術があって、そこからビジネスを作っていく。
お客さん起点の場合は、営業さんに多いですけど、目の前にかなり困っているお客さんがいるのでそのお客さんをどう救うかというn1顧客からビジネスが始まるパターン。いろんなパターンがあって、それぞれ事業構想の中での起点と次に向き合うべき問い違ってくるんです。
技術の場合はシンタックスに当てはめるとこの機能となる技術、仕組み。ここが決まっている状態なので、次に考えるべきはその技術が活かせるマクロなマーケットはどこなんだろうということとまず向き合っていく。これが技術起点の場合です。
一方でビジネスの場合は、ペット市場が良さそうというわりとマクロなチャンスは見据えているので、ぐっと解像度を上げてリアリティを作っていく。ミクロの確信を作っていくことが最初に考えないといけない動きだと思います。
逆に、顧客起点の場合はn1を捕まえていてリアリティは作れているんですけれども、確証が作れていないので、ちょっと冷静になってマクロに引き上げて確証を作っていく。この動きが最初に考えないといけない動きです。
実際書いてみるとこんなかたちで自分のプロジェクトチームはどこが弱いのか、どのタイプなのかがけっこう見えてきます。その弱点を知った上で適したプロセスを選んで進めていく。これが事業開発の実現性を高める上で非常に大事です。書いてみていただければと思っています。
かなりわーっと駆け足で話してしまって、やっぱりQ&Aの時間が取れなかったですね。すいません。
ただ、いろんなお話をしてきた中で、この問いに対して何か1個でも2個でも「あれよかったな」というキーワードを持っていただけたら、僕としてはすごくうれしいです。
あとこれはかなり個人的なんですけど、不明点や気になったこととか、書いてみたけどどう? とか、あるいは勉強会をちょっとお願いとか、ワークショップやりたいというように、なんでもいいのでもし興味があったらメールではなく、直接僕にFacebookでメッセージをいただいても構いません。ぜひメッセージをバシバシいただけるとうれしいです。よろしくお願いします。
最後です。今回、ちょっとだけ概念チックな話だったんですけど、実務に落とすとインタビューでどう確信を作るかがやっぱりすごく大事だと思います。
次回はNEWh主催で、そのインタビューにフォーカスを当てて、より実践的なTipsをお話しするセミナーを7月の頭に開催できればと思っているので、ぜひご興味があればこちらもご参加ください。
14時になりましたね。以上が本日のセミナーの内容になります。なにかしらヒントがお渡しできれば僕としてはうれしいです。ありがとうございました。
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