2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:みなさま、こんばんは。代官山蔦屋書店の石山と申します。本日はご参加いただきありがとうございます。今回は『起業家のように企業で働く』トークイベント「新しい時代の働き方を知り、キャリアをアップデートする」としまして、著者の小杉俊哉さん、そしてモデレーターに水谷壽芳さんをお招きして開催いたします。それでは最後までお楽しみください、よろしくお願いいたします。
水谷壽芳氏(以下、水谷):みなさま、改めましてこんばんは。今日はモデレーターを務めます、水谷と申します。どうぞよろしくお願いします。そして今日は小杉俊哉さんをお招きしています。よろしくお願いいたします。
小杉俊哉氏(以下、小杉):よろしくお願いします。
水谷:今日はトークイベントということで、小杉さんにいろいろとお話をうかがっていきたいと思っています。もともとの発端としてなぜ(今日のイベントを)やっているのか、まず私から紹介させていただきます。
今日は1月19日ですね。年末年始に「今年はどうがんばっていこうかな」と考えられた方も多かったと思います。当たり前なんですけど、ビジネスパーソンたるや己の方向性としっかり向き合って考えていくことの重要性が、前と比較するとずいぶん当たり前になってきました。
自分の方向性は、自分と向き合いながら見つけていくものではありつつ、やはり何かしらの化学反応でわかることもあるんだろうなと。あるいは考え方そのものも、起点となる要素はやはりなんでもいいわけではなく、やっぱり良質な問いかけだとか、良質な出会いのようなものが、ビジネスパーソンのキャリアを変えていくんだろうなと考えています。
そういうことを考えた時に、小杉さんのお話がぴったりだと思いました。私自身、小杉さんと最初にお会いしたのは6〜7年ほど前だったかと思います。その後、小杉さんと一緒にお仕事をさせてもらうこともあるんですけども、本当に素晴らしく、ポジティブな影響を与えてくださっていて、その事をを1人でも多くの方にお届けしたい、みなさんの何か1つでもお力になればなということで、今回のイベントを企画しています。
水谷:小杉さん、みなさんに最初のコメントをいただけますでしょうか。
小杉:改めましてこんばんは、小杉俊哉です。代官山蔦屋さんでトークをするのは初めてです。ここができてからずいぶん経つと思うんですけど、私自身は来るのが2回目なんですよ。大変楽しみにしてます、よろしくお願いします。
水谷:ありがとうございます。蔦屋さんのお店の中は、知的好奇心の塊のようなレイアウトになっています。私自身も、この場所に前回来たのはいつだか覚えていません。しかしながら、実は湘南の藤沢市に住んでいまして、藤沢にも湘南T-SITEがあり、そこにはしょっちゅうお邪魔しています。書籍もそうなんですけど、シェアラウンジというリモートワークに適した場所も利用させてもらってます。
小杉:ちなみに私の家は二子玉川の近くなので、二子玉川の蔦屋さんにはしょっちゅう行ってます(笑)。こちらの蔦屋さんに来るのは2回目ということです。
水谷:なるほど(笑)。今回はハイブリッドということで、何人か会場にもお越しいただいておりますし、オンラインでご視聴いただいている方もいらっしゃいます。これからいろいろお話を進めていきます。せっかく小杉さんをお招きしてお話を聞いていくわけです、書籍を執筆されたご本人の方に直接質問できるまたとないチャンスになりますから、ぜひぜひみなさまからご質問をいただければと思います。
実は申し込みの時に「こんなことを聞きたい」とおっしゃってくださった方もいらっしゃって、それにもお答えしていきたいと、小杉さんと事前にお話していたところです。
今日の進め方は小杉さんにいろいろお話をうかがっていくことになりますが、良質なコンテンツである「出会い」というところで、書籍を書いた背景や、章ごとに、小杉さんが考えていることなどをお伺いできればと思っております。
最初にみなさまにとっての驚きや「知らなかった」ということを少しお話しして、ご質問を賜りながら深めていく。そして「いいこと聞いたな」で終わるだけではなくて、何かみなさんのアクションにもつながるような1時間半にしていきたいなと思っています。
水谷:小杉さん、少しずつ本題に入ってまいりたいと思います。こちらの『起業家のように企業で働く』という書籍をもとにお話を進めさせていただきます。この書籍そのものはがリリースされたのは少し前のタイミングですが、14版を重ねてロングセラーになっていると聞いています。まず、もともとこの本を書こうと思ったきっかけや背景があればおうかがいできればと思うんですけど。いかがでしょうか。
小杉:ありがとうございます。今掲げて見せていただいたのが「令和版」で、初版は8年ぐらい前に書かせてもらった本なんです。版元であるクロスメディア・パブリッシングの社長の小早川幸一郎さんに「こういう本のタイトルで書いてほしい」と言われて書いたっていうのが正直なところなんですよ(笑)。
私、けっこうそういうことが多くてですね。たとえば、以前も『ラッキーをつかみ取る技術』という本を出したんですが、これも「『ラッキーをつかみ取る技術』というタイトルで書いてほしい」と言われて書いた本ですね。
あるいは最初にタイトルが決まっていたものでいうと、『リーダーシップ3.0』という本もあります。今挙げたのは、私の中では多くのみなさんに読んでいただいている本です。書いたあとで営業担当、編集者と相談しながら「どういうタイトルにしようか」と考えた本は、だいたい売れないんですよ(笑)。
水谷:なるほど(笑)。
小杉:やはり書くほうも当然、「こういうタイトルで書こう」という内容にするじゃないですか。そういう思いが濃くなるんじゃないかなと。それが読者のみなさんにも伝わるのかなって思いますね。
なので、元も子もない話になってしまうと思いますが、タイトルがあって依頼があったというのが、この本を書いた直接的な理由です(笑)。
水谷:なるほど。このタイトル自体がすごくキャッチーですよね。
小杉:そうですね。もちろんこのタイトルに共感できなければ本は書けない。「なるほど、いい表現だな」と私はすぐにピンときたので、お受けしたわけです。
小杉:その背景はどういうことかお話ししますね。独立してもう24年になるんですが、その間、特に最初の頃はベンチャー、スタートアップを中心とした支援から入っているんですね。
その前は会社勤めをしていましたので、まったく違う世界観でした。特にITのスタートアップが全盛の時代で、そこから株式公開をしていく成功モデルをたくさん見てきました。そこで働く人は、やはり大企業で働く人とは違う。人の採用のお手伝いをしました。入ってくる人もやっぱり違うというのが、最初の頃に感じたことです。
ところが時を経て、十数年くらい経っていくと、まったく違うはずのスタートアップと大企業で働く人が、だんだん近づいてきている感じがしました。どういうことかというと、大企業で働く人の多くは指示をされて働いている状態だと、楽しそうじゃないんですよね。受け身の状態です。
その一方で、楽しそうに働いている企業の人もいるわけですよ。その人たちに共通するのは何かというと、自分で提案をして、自分でやりたいようにやっている、いわゆる自律的な働き方をしてるんですね。結果的にそれが会社側にも評価され、そして業績的にも貢献しているということが、スタートアップで働く人とつながってきたんですね。
なので会社で働くにおいても、起業家のように、自律的に働くことが非常に有効なんだと感じていたのが、この言葉でぴったり表現されたんです。
水谷:企画側のタイトルの言わんとしていることと、小杉さんの今までの、会社勤めやコンサルティングをする中での働きざまが重なって、1つの交差点になったということですかね。
小杉:そうですね。
水谷:例えばこのイベント等々をやるという話を、何人かの知人に「こういう本を書いた人とお話するんだけど」と紹介するんですが、その時に一発目(に目に入るのが、表紙)の『あなたはただ会社から言われたとおりに働き続けるのか』……ここから始まると「けっこうインパクトあるね、興味持ったわー」というお言葉もいただくんです。このキャッチコピーも企画者側の意図だったのか、あるいは小杉さん側からの提案だったのか?
『起業家のように企業で働く 令和版』(クロスメディア・パブリッシング)
小杉:内容は私の意図です。ただ、こういったことを言うのは8年前に最初に書いた時が最初じゃなくて、実はそれよりもっと前から。例えば『組織に頼らず生きる』という本も共著で書いてるんですよ。いろんなスポーツ選手とかアーティストとか起業した人とか、そういう人たちのインタビューをもとに、組織と自分自身を対等な位置づけにして生きている人たちのことを書いたんですね。ところが、早すぎたんですよ。
書いたのはたぶん15年ぐらい前なんですが、「いや何言っちゃってんの」って思う人が圧倒的に多かったんでしょうね。残念ながら……今でもいい本だと思っているんですが(笑)、ぜんぜん売れなかったんですよ。でも言いたいことは基本的には変わってないんですね。
水谷:まさにその同じ印象を私も受けていました。その当時、10年前や15年前に言っていることと今言っていることは、本質的には変わらない。ただ、世の中や受け止める側は少し変わってきたということが、日本の経済・産業で起きている。そういうことになるんですかね。
小杉:そうですね。もう少し言わせていただくと、個人主導でキャリアを開発することを「キャリア自律」と言うんですが、この概念を日本に持ち込んだのが私が所属していた慶応キャリア・リソース・ラボラトリなんですね。それが20年ちょっと前です。当時は「それは外資系の話でしょ、日本企業は違うよ」という抵抗が非常に大きかったんです。
ところがだんだん変化していって、10年ぐらい前になるともう「キャリアは自分で考えるもんだ」と。最近は企業側も「キャリアは自分で考えなさい」と。ただそれを放置するのではなく、必要な研修や機会をサポートをしましょうというように完全に変わってきた。背景として、この20年ぐらいでそういう流れが急速に起こったのかなと感じますね。
水谷:ありがとうございます。今日は個人のキャリアを軸に深めていき、後半でそれを支える企業側の人事・経営の観点のお話も少しできればと思っていますが、働き手そのものと雇用する企業側の変化が、この10年で急速に進んできたということですね。
小杉:そうですね。特にこのコロナ禍で如実になったのが、要は「経営者や上司も答えを持ってない」ということですよね。一人ひとりが自分で何をやるかを考えて動かないと、組織も回らないと突きつけられている2年間だと思うんです。
ただその前からVUCA、VUCAと言っていて(笑)。先が見通せないとか、あるいは破壊的、ディスラプティブ・テクノロジーだとか、今までやってきたことがすべてひっくり返されるような新しいプレイヤーが出てきたり。そういう環境で我々はビジネスをし、キャリアを過ごしているんだと前から言われてたわけです。それがこのコロナ禍でまさに突きつけられたということなのかなと思います。
水谷:ありがとうございます。
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