2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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榎本麗美氏(以下、榎本):次の質問に移りたいと思います。宇宙産業にダイバーシティが必要なんだということがこれまでのお話でわかったかと思うんですけれども。先ほど山崎さんのお話でも、宇宙業界は理系の方だけではなく、いろんな業界の方が参入してくださっていいんだよと。それで作っていくんだよというお話がありました。
そういう人たちにチャレンジしてみようと思ってもらう、活躍してもらうためには、いったい何が必要なのか。このあたりお聞きしても大丈夫でしょうか。生本さん、お願いします。
生本めい氏(以下、生本):私が大事だと思うのは、いろんな人のアイデアがあってこそ、これからの発展があるということです。そのダイバーシティを歓迎する姿勢や文化が、すごく大切なのかなって思っています。
私はJAXAで契約業務を通じて「あ、こんな分野の企業さんとの協力があってこそ、今日の宇宙開発・利用が成り立ってるんだ」と宇宙業界に携わる人の多様性に驚きました。様々なプレーヤーが力を合わせて日本の宇宙ビジネス・産業を育てているんだなと感じて、私はそのような別の役回りも見てみたいと思ったんです。それがJAXAからの転職を決めた理由の1つでもありました。
いろんな人がいて、いろんな発想やアイデアを受け入れる。それを大切にしていくことが、すごく大事かなと個人的に思っております。
榎本:ありがとうございます。伊藤さんはいかがでしょうか。
伊藤美樹氏(以下、伊藤):そうですね。私はちょうど今年エンジニア職を辞めて、今は新規事業開発という部署にいるんですけれども。みなさん、宇宙をこれからどんどん身近にしようとがんばっていらっしゃるんですね。そのためには、宇宙業界じゃない業界の方々とのコラボレーションがマストなんです。
榎本:今のテーマ、まさに(伊藤さんがやっていること)じゃないですか?
伊藤:そうなんです。実は私、直接いろんな会社さまに「一緒にコラボレーションしませんか」って言ってるです。でも「宇宙」って聞いただけで、みなさんから「だいぶ先の話だし」とか「何ができるかわからないし」というお声をいただきます。まだまだギャップを感じるなぁって本当に思っていまして。
大切なことはまず、「宇宙ってすごい身近なんだよ」といっぱい知っていただくこと。それから生本さんがおっしゃったように、受け入れる側もウェルカムな土壌も大事です。文化を受け入れて、いろんな文化を吸収して、新しい宇宙の業界の文化を作っていく。そういったお互いの歩み寄りや、こちらからのアプローチが必要なのかなと思っています。
榎本:なるほど。もしかしたら、ちょっと地道な作業ではあるのかもしれませんね。
伊藤:そうですね。
榎本:山崎さんもすごく「うん、うん」と頷いてくださって。
山崎直子氏(以下、山崎):いやぁ、もう本当にそのとおりです。今、宇宙全体にいろんなサービスを広げていこうという流れがあって、私も行った国際宇宙ステーションでさえも、どんどんと民営化を進めようとしているんですね。
国が行う実験だけではなくて、実はたくさんの民間の方の実験を受け入れて、かつさまざまなエンタメも含めて、いろんな用途を切り拓いていこうとしているんですよね。だからこそ、みなさんにそういった様子をもっと知っていただきたいなと思います。
山崎:流郷さんなんて、本当に違う分野からこうして宇宙と関わられてらっしゃっていますよね。そうした方たちの思いや活動がもっと広まって、みなさんに知られていくといいんじゃないかなと思っています。
榎本:そうですね。まさに流郷さんは違う分野から宇宙業界に来られた方ですよね。ちょっとどう思ってらっしゃるのかお聞きしたいですね。
流郷綾乃氏(以下、流郷):そうですね。本当に個人的なことになるかもしれないんですけれども、宇宙はすごく遠い存在だと思っていました。本当に遠い遠い存在だと思ってたんです。でも関わるにつれてわかってきたんですが、例えばみなさんもスマートフォンをお持ちだと思うんですけれども、スマートフォンを持っている時点で、宇宙とつながっているんです。みなさんも衛星データを活用されているわけですよね。
今は宇宙はぜんぜん遠くない。生活のそばにあるんだなと感じています。だからこそ、いろんな環境問題とか開発を持続可能にしようという話がどんどん出てきていると思うんですが、そういったところも衛星データを活用することによって、解決の方向性に持っていこうとしています。私たちがこの地球に住んでいくために必要なことも、宇宙の中でも開発されています。
流郷:一方でさっき言ったみたいに、ロケットがまだ海に捨てられていたりとか、そういった未熟な部分もあったりする。みなさんが意見を出すことで、これからの宇宙開発はどんどん変わってもいけるでしょうし、持続可能なかたちにもなっていけるんじゃないかなと思っています。いろんな方々が混ざり合うことによって、社会にとって素敵な貢献ができればいいなと思いますね。
榎本:ありがとうございます。なんだかみなさんのお話をうかがっていると、宇宙業界にはもう多様なみなさんが活躍できるような環境がすでにあるんだなと。あとは来ていただくだけですよね、伊藤さん(笑)。
伊藤:そのとおりです。ぜひ一緒に盛り上げていきたいと思いますので、ぜひ来てください。
榎本:みなさんが1歩を踏み出すには、「ちょっとおもしろそうだな」というのが大事ということがわかりましたね。
これだけ女性の方で活躍しているみなさんが揃ったので、宇宙業界だけではなく、いろいろなお仕事されている女性のみなさんも勇気づけられたんじゃないかなと思うんですけれども。みなさんいかがですか? 拍手していただけますか?
(会場拍手)
私自身、お話を聞いてすごく勇気をもらったので、明日からがんばろうという気持ちになりました。
榎本:ここでみなさんから質問を受け付けたいと思います。会場のみなさん、何か質問ありますでしょうか。順番に聞いていきましょうか。どうぞ。
質問者1:最初にお話しされたSTEM教育ですけど、今注目されていますよね。STEM教育にアートを加えた教育というので、最近京都大学の教授と一緒に、音楽活動を通して教育と結びつけていくということをやっているんですね。
今後、宇宙と女性を考えた時に、母親としての教育という意味でも女性は携わりやすいです。アートという分野になってくると、より女性が関わりやすい分野になってくるのかなぁと思いまして。それに関して、みなさんそれぞれの立場でご意見があるのかなと、ぜひうかがってみたいなと思いました。よろしくお願いします。
榎本:4人のみなさんにお聞きするかたちでよろしいですか。生本さんからお聞きしましょうか。
生本:ぜひいろんな分野からの関わりが進んでほしいなと、思っています。先ほどもいろんな方がおっしゃっていたように、宇宙って遠い場所ではなく、本当にみんなのもの、身近なもの、私たちのものなので。そういう観念が広がっていけばなと私も思っています。
榎本:伊藤さんはどうですか。
伊藤:ちょっと別の観点で、STEMだと確かにほとんど男性が多くて、見た目とかもちょっとみんなには好まれないデザインですよね。そこにアートが入って、女性も入ることで、みんなに親しみやすい、入り込みやすい物作りであったり、それから派生していく仕組みとかに発展していくんじゃないかなぁと、私は期待しております。
榎本:山崎さんはどうでしょう。
山崎:ありがとうございます。今宇宙で大切なのが、どんなミッションを行うか、どんなサービスを行うかという観点なんですよね。既存のものの改善だけではなく、今あるシステムをちょっと違う目で見て常識を疑いながら、こんなことができるという「感性」がとても大切です。だからこそ、アートの分野ととても親和性が高いと期待しています。
質問者1:ありがとうございます。
榎本:流郷さん、最後にお願いします。
流郷:そうですね。宇宙って「領域」なんですよね。なので、サービスとしていろんなものが発展するためには、いろんな方々の意見がどんどん入っていくべきだと思うので、どんどん混ざり合っていけばいいんじゃないかなと思っています。
榎本:ありがとうございます。
質問者1:みなさん貴重なご意見ありがとうございました。
榎本:ありがとうございました。もう1問ぐらいいけますかね。先に手を上げてくださった方、お願いします。
質問者2:本日はありがとうございます。私は学生なんですけど、学生としての意見をお聞きしたくて。就職活動していく上で宇宙産業に関わりたいだったり、この会社にいきたいという気持ちが自分の中にあるんですけれども。自分のやりたいという思いを伝えるのがすごく難しいなぁと、最近思い悩んでいます。
ぜひみなさんに、どのように自分のやりたいことを伝えてきたとか、夢を叶えてきたとか、その原動力や秘訣を教えていただけるとうれしいです。
榎本:ありがとうございます。これはうれしい質問ですね。じゃあ生本さんから聞いていきましょうか。
生本:私がこだわったのは、自分は何が大切と思っているのか、自分の信念は何なのかという、まず自分としての絶対を明確にすることです。その上で、自分はどんなことをしてきた、どんなことをしたいということを自信を持って語るというのを、私は実践しました。
榎本:自信を持って語る。いいアドバイスです。
生本:でもそれを実現するのための行動はちゃんと取る、ということも大事にしました。
榎本:そうですね、行動がないと自信は心の底から生まれないですもんね。伊藤さん、お願いします。
伊藤:私は就職する時に、例えばエンジニアでもいろんな選択肢があって、すごく迷って、何かに決断しなきゃいけなかったんです。その時にいろいろ頭の中にキーワードとか思い浮かんじゃうんですけど、本当にシンプルに、自分がわくわくするとかやってみたいとか好奇心が湧くとか、そのワードだけを大事にして、それをダイレクトに伝えていくようにしていました。
それを軸に自分のキャリアを進めていくように生きてきました。いろいろと修飾できる言葉を考えちゃうんですけど、その中の本当に言いたい、気持ちが踊るようなことは何かというところを大事にしたほうがいいと思います。
榎本:では山崎さん、お願いします。
山崎:自分が本当に何をやりたいのかということと、相手が何を求めているかのマッチングが大切だと思うんですよね。いいマッチングを生むためには、やはり自分から伝えないといけないところが多いです。
だからまずは遠慮しないで、自分はこういうことをやりたいんだと、まず自分と向き合って、それを詰めていく過程があります。生本さんの繰り返しになっちゃうんですけれども、それを遠慮なく自信を持って伝えていかれるといいんじゃないかなと思います。応援しています。
榎本:じゃあ最後に流郷さん、お願いします。
流郷:いやぁ、みなさんの後でお話するのは大変ですね(笑)。
榎本:山崎さんの後は特にですよね(笑)。
流郷:そうなんです、すばらしすぎるから……。どうしようかなと思うんですけど。伝えたい相手のことをたくさん調べたらいいと思います。伝えたい相手をたくさん調べると、その人にちゃんと伝わる言葉、自分自身の言葉に乗せて伝わる言葉が出てくると思うので。
出てくるまで伝えたい相手を調べあげるって、ちょっとストーカーみたいかな(笑)。でもちゃんと、伝えたい相手のことをいっぱいいっぱい調べると、本当にいいですよ。伝えたい相手を調べて、自分の伝えたいことをまとめていく作業をしていただいたらいいんじゃないかなと思います。
榎本:ありがとうございます。いいアドバイスが聞けましたか?
質問者2:ありがとうございます。
榎本:そろそろグラレコが完成して紹介できるようなんですけれども、いかがですか。今ご紹介しても大丈夫でしょうか?
山田龍平氏(以下、山田):大丈夫です。
榎本:グラレコのご紹介をお願いできますか。
山田:みなさんのお話を聞いている中で、特に印象に残ったものをどんどん絵に起こしていっています。
例えば90歳でも宇宙に行ったよという話だったり、山崎さんが訓練中に出産したんだという話だったり、ハンディキャップを持っている人もヨーロッパでは募集対象になっていますというのも、とても興味深かったなぁと思っています。その他にも、職人肌の人とのコミュニケーションとか。
榎本:あ、職人がいますよ!(笑)。
山田:ちょっと難しいよねという話もあったと思うんですけど、それも含めてチームだよというところで。僕もふだんはデザイナーとして働いているんですけど、今はITの会社に勤めてまして。入社して初めてエンジニアという人種というか、そういう生き物に会って、ぜんぜん話が噛み合わなくて喧嘩するという研修時代がありました。すごく難しいけど、それも含めてチームだよねというのは、聞いててすごく腑に落ちたところだなと思います。
あと流郷さんも生本さんもそうですけど、宇宙の外のところから企業につながっていくことで、また新しいクリエイティブなものが生まれていくよねという話で。竹村さんの「触れる地球」、僕も大学時代に竹村さんが教授として来てくれていて、お話をよく聞いてました。
流郷:おー。
山田:これ、大手町に実際に置いてあるんですよね。僕も大好きな作品の1つです。
あと流郷さんの、宇宙船は打ち上げたら海に捨てられているというお話は、僕もすごいびっくりしました。マイクロプラスチックとか、そういうことがすごく叫ばれているのに、意外と知らなかったなぁと思ってびっくりしたので描かせていただいています。
僕が高校生の時も、美術の授業を専攻しているのはほとんど女性の方しかいなかったですし、美術大学も女性のほうが人数が多かったりして。女性に囲まれてふだん仕事をしているんですけど、その女性の人の意見って、男性の考える思考回路とぜんぜん違ったりするんですよね。そういう意味では、聞いていてすごくおもしろい内容でした。こんな感じで、いいでしょうか。
榎本:山田さん、ありがとうございます。描きながら学んで、楽しんでくださったんだなぁと感じて、すごくうれしくなりました。ありがとうございました。
山田:ありがとうございます。
榎本:職人の絵、いいですよね(笑)。あっという間で、もうそろそろ終了のお時間となりますが、せっかくなので最後に一言ずつ、みなさんにメッセージをお願いできますか。まず生本さんからお願いします。
生本:先ほど、すでに宇宙に関わっている人の話をしたんですけど、今この分野に必要なのは、他の分野で技術や知識、おもしろいアイデアを持ってる人だと思っています。
このイベントはすばらしい機会だと思うので、いろんな人の働き方とか宇宙との関わり方を見て、どんどん多くの人が宇宙業界に興味を持ってくれたらうれしいです。ありがとうございました。
榎本:ありがとうございました。
(会場拍手)
続きまして伊藤さん、お願いします。
伊藤:宇宙はこれまで関わっている人たちが一部だったので、けっこう特殊な業界でした。まさに今求めているのは、広くいろんな、たくさんの業界の方々の意見とか、みなさんの力なんですね。なので門戸を開いてますので、ぜひ1歩踏み出して来ていただけるとうれしいなと思います。ありがとうございました。
榎本:ありがとうございました。
(会場拍手)
では締めを山崎直子さんにお願いするとしまして、流郷さん。
流郷:ありがとうございます……(笑)。本当にこういう機会はなかなかないと思いますし、こういうイベントがあることがすばらしいなと思っています。今回、すごいポップですよね。(「HELLO SPACE WORK!NIHONBASH」の)ホームページとか見られました? 「宇宙ってなんか遠いな」と思っていたのが、すごく近づくようなポップなイラストも描いてありましたよね。こうやって、どんどんみなさんが宇宙に近づいてきてくれたらいいんじゃないかなと思います。ありがとうございました。
榎本:ありがとうございました。
(会場拍手)
榎本:では、最後に山崎さんお願いします。
山崎:みなさんいかがでしたか。宇宙と一言で言っても、本当に幅広いんだなということが伝わったらうれしいです。宇宙はこれから、もっともっと範囲が広くなっていきます。だからこそおもしろいと思いますし、だからこそいろいろな方の感性、経験がとても大切だと思っています。
私もみなさまと一緒にこれから宇宙のことを取り組めることを楽しみにしていますので、ぜひよろしくお願いいたします。今日はありがとうございます。
榎本:ありがとうございました。
(会場拍手)
本当に登壇者のみなさんは窓口を広げて待ってます。私はこの「未来を切り拓くヒロインたち」というタイトルを見て、次に切り拓くみなさんが続いてくれるんじゃないかなと期待をこめたいと思いました。本日はありがとうございました。
一同:ありがとうございました。
(会場拍手)
榎本:「HELLOSPACEWORK!NIHONBASHI Session5【宇宙×女性】宇宙の未来を切り拓くヒロインたち」終了です。あらためまして、みなさんありがとうございました。
(会場拍手)
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