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あなたのお家の周りに「食べチョク」がやって来る ビビッドガーデンが“移動型八百屋”で目指す、家食の未来(全2記事)

「みんな数年で辞めちゃうから、君も続かないと思う」を越えて 急成長する産直EC「食べチョク」はどのようにして生まれた?

ログミーBizのオリジナルYouTube配信イベントより、秋元里奈氏が登壇された「あなたのお家の周りに『食べチョク』がやって来る ビビッドガーデンが“移動型八百屋”で目指す、家食の未来」の模様を公開します。 ※元動画は、こちらからご覧ください

「ビビッドガーデンが“移動型八百屋”で目指す、家食の未来」

--みなさん、こんにちは。本日は「あなたのお家の周りに『食べチョク』がやって来る ビビッドガーデンが“移動型八百屋”で目指す、家食の未来」というテーマで、イベントを開催いたします。

コロナによって、我々の生活から外食の文化が薄れつつある昨今。家食のニーズが非常に高まっております。そんな中で「食べチョク」を運営するビビッドガーデンが、期間限定の新しい試み「食べチョクカー」をスタートさせました。

これは生産者から直接仕入れたこだわりの食材を、マンションの敷地内や公園などで販売するプロジェクト。自宅の近所で実際に珍しい野菜を手に取って見ることができるという、遠くまでのお出かけが難しい今の時代にうってつけのサービスではないでしょうか。

そこで本日は、どのような思いでビビッドガーデンさんがこのサービスを始められたのか? について、代表の秋元さんにお話をうかがっていければと思います。ではゲストの秋元里奈さんです。よろしくお願いします。

秋元里奈氏(以下、秋元):よろしくお願いします。食べチョク代表の秋元里奈です。

私は株式会社ビビッドガーデンの代表取締役社長をしています。そのサービス名が「食べチョク」です。私は、神奈川県相模原市の農家に生まれまして、その原体験から今の会社を立ち上げるに至っています。新卒でIT企業に入社をするキャリアを1回挟んでいます。そこに3年半ぐらい勤めて、25歳の時にビビッドガーデンを創業しました。そして食べチョクをスタートして、今に至ります。

--ありがとうございます。直近でレシピ本『#食べチョクごはん』を出されて。かつ、(手元の書籍を指して)こちらの『365日#Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘』も好評発売中ですね。

秋元:ありがとうございます。(本を見て)めちゃくちゃ付箋貼ってる(笑)。

--イベントでは毎回、私の私物をこちらにお持ちしていて。どの方の本にも、めちゃめちゃ付箋を貼らせていただいてます(笑)。

秋元:ありがとうございます(笑)。

--いろんな学びがあって。特に「ビビッドガーデン」という社名って、そういう理由で付けられたんだ! と。それまでは正直、ぜんぜん知らなかったんです。でも本を読ませていただいて「あ、なるほどな。確かにな」というところもあったり。

あとはイベントが始まる前に少しお話をさせていただいたんですが、秋元さんとお母さまとのエピソードが出てきて。その部分を読んでいると、本当に泣きそうになりますね……。

秋元:読んでいただけてうれしいです。ありがとうございます。

--そしてレシピ本を発売されたのが、10月でしたっけ?

秋元:そうですね。

--「発売4日で重版がかかった」とお聞きしました。

秋元:そうなんです! ありがたいことに。

--それはすごいですよ!

秋元:レシピ本は『#食べチョクごはん』という名前で今回は出させていただいたんです。生産者さんそれぞれ“農家メシ”じゃないですが、(オリジナルの)レシピがあるので、そういったものを生産者さんごとに特集しました。また、料理家の方にその素材のおいしさを引き立たせるためのレシピを提供していただき、60品ぐらいレシピが載っている本になっています。

--農家メシは気になりますね! 作っていらっしゃる方がおそらく、その作物の一番おいしい食べ方をご存知ですよね。

秋元:そうですね。様々なレシピで普段から作られているので、バリエーションもすごく豊かです。

--なるほど。お聞きしたところによるとQRコードが付いていて、それを読み込むと、その方がお作りになっている作物の「食べチョクでの購入ページ」に直接飛ぶことができるとか。

秋元:そうですね。なので、ただのレシピ本というよりかは「生産者さんがどういった方なのか?」というストーリーも載っていて。「あ、この人の食材を買いたいな」と思ったら、すぐにQRで読み込んで買えるといった新しい試みを入れています。

--そちらの2冊、ぜひ書店やネット通販でお買い求めいただければと思います。

コロナで高まった「背景にいる人たち」への配慮

--では、さっそく1つ目のテーマ移っていければと思います。「コロナで変化した、消費者・生産者の意識」というテーマなんですが、まずは「消費者側がどのように変わったか?」について、うかがえればと思います。食に求めるものや意識って、やっぱりコロナ前後でかなり変わりましたよね。

秋元:そうですね。外出がなかなかできなくなったので、家の中の食の重要性が増しました。今までは普通に家の中でご飯を食べていたのが、例えばそこにエンタメ性を求めるようになったり、より良い食材を買いたいというニーズが高まったりといったことがあります。

あとはコロナで「他者への配慮」というか……例えば食べチョクもそうですが、普通にAmazonで商品を買ったら荷物が届く。でもこれって、実は運んでくれている人がいて、作ってくれている人がいる。物が届いたことに対して、その背景にいる人たちへの配慮もすごく高まったなと思っています。

「コロナの影響で生産者さんの食材の販路が無くなり困ってしまった」など、そういうストーリーがテレビで紹介されることで「そうか、ふだん自分たちがスーパーで買っている食材も作っている人たちがいるんだ。そういう人たちが今、私たちの食を支えてくれているんだな」と、あらためて意識した方が増えたのではないかと感じています。

--なるほど。これは人にもよるとは思うんですが、今までだと家庭での食事・料理って「安くて、簡単に調理できて、それでいて飽きずに食べられる」ところにけっこう重点が置かれていたのかなと思うんです。ですが、今だと「健康」みたいなところも重視されてきたのかなと思っていまして。

だからこそ、健康になるために良いものを食べたい。じゃあ、良いものってどうやって探せばいいのか? となった時に、やっぱり「どういった生産者さんが作っていらっしゃる食材なのか?」などがわかるようになることで、より安心して購入できるという流れですね。

秋元:そうですね。なので、ベースとして「おいしい」とか「ちゃんと買える価格帯である」というのは絶対に必要ですが、さらに要素として「誰がどのようにして作ったものなのか?」が加わってきているのかなと思っています。

食にこだわりを持つ方もすごく増えたなと思いますし、そういう背景もしっかり知りたいというニーズが増えてきていると感じています。

家の中にいながら、食べ物でエンタメ性を楽しみたいというニーズ

--今おっしゃった「現実的に買える価格である」というのが、私はすごく重要なポイントだなと思いました。「めちゃめちゃ良いもの」は世の中にいくつもあると思うんですよ。でも、それが果たしてネット通販や近所のスーパーで気軽に買えるかどうか? って、すごく重要だなと。要はそれがないと「続けていけない」という話だと思うんですよね。

秋元:そうですね。やっぱり無理してしまうと、どうしても長続きしないので。あとはどんなに体に良くても、もちろんおいしくなかったら長続きしないと思います。

食材のベースのクオリティはあった上で、それに加えて「より情報を知りたいな」「どうせ同じ物を買うのであれば、なるべく社会的に貢献できるほうを選びたいな」「自分が応援したい人に思いが届くといいな」など、食材購入の際のポイントが増えたと感じています。

--なるほどですね。あとは最初におっしゃった「エンタメ性が増してきている」というのは、けっこう興味深いなと思いまして。やっぱり「気軽にお出かけできなくなってきたから、お家の中で最大限いろんなことを楽しもう!」と、消費者のニーズが変わってきた感じなんですかね。

秋元:そうですね。例えばお魚も、今も引き続き人気ではありますが、(以前は)「丸ごと1匹」よりも「切り身」が数多く売られていました。ですが、特にコロナ禍になってから「丸ごと1匹買って、さばくところから楽しみたい」と。

ただ単に切り身を買って料理するというのもあるけれども、1匹買って、みんなで一緒に捌いたり。そういう経験もセットでできるものの需要が増したりもしたんですよね。あとは珍しいものだったり。

--最近だと、YouTubeとかで魚のさばき方を教えてくれますしね。

秋元:そうなんですよ。

--今までは買っても「丸ごと買ったはいいけど、これ、どうやってさばいたらいいんだ……?」という感じでしたよね(笑)。

秋元:そうなんですよ(笑)。今は、様々なところで情報を入手できるので、YouTubeを見ながら捌いたり。「ちょっと非日常を楽しむ」ではないですが、珍しい食材もけっこう多いので、家の中にいながら食べ物でエンタメ性を楽しみたいというニーズが増えたと感じますね。

--確かに食べ物も、家族みんなで作ってたらおもしろい。例えば、餃子の皮をみんなで包んだり(笑)。

秋元:いいですよね(笑)。

--すごく地味な作業だけど、やっぱり楽しいですもんね。

秋元:近いですね、ああいう感じですよね。

--その「やったことはないけど、お父さんが魚を買ってきたからさばいてみるぞ!」という感じ。パーティみたいな感じですよね?

秋元:そうですね。「ハレの日」と言うほどお祝いごとではないけれども、週末にちょっとしたお取り寄せをみんなで楽しみたい時の選択肢として、家の中でおいしい食材を、例えば魚をさばいてみんなで楽しむ。そういった選択肢がどんどん増えてきていると思います。

緊急事態に備え「販売先のポートフォリオを組む」という意識

--なるほど。ありがとうございます。今の観点が「消費者の方がどう変わってきたか?」なんですが、次は生産者の方々がコロナで受けられたダメージ・直面されている問題がどういうところなのか? をおうかがいできますか。

秋元:生産者さんにもすごく変化がありました。これまでは例えば、法人などに一括で買ってもらえるのが理想でした。あとは飲食店などの「なるべく大きいロットをまとめて買ってくれるところ」に出すほうが、手間がかからないんです。楽だし、収益にもなるので、それが1つの“正攻法”と言われていました。

ですが今回のコロナで、すべてを飲食店に出荷していた方々は販売先が無くなってしまいました。コロナはかなりレアなケースではありましたが、やはり販売先を1つに絞ってしまっていると、なにかあった時に身動きが取れなくなってしまう。

特に生鮮食品の場合は、いきなり販路がなくなっても“物”はあるんです。でも保存ができなかったりする。野菜でいうと、どんどんトマトは実っていくので、次の実ができないから採らないといけない。もう止めることができないんですよね。なので、そういう緊急事態になった時にもパッと「だったら、こっちの販路を増やそう」と選択ができるように販売先のポートフォリオをちゃんと組む。

なので、比重は人によって違いますが「複数の販売先を持っておくことで、なにかあった時に対応ができたり、リスク分散ができるよね」という考え方をする方が非常に増えました。

今までは私たちのような消費者さんと直接つながることは、(生産者さんからしたら)「手間がかかるし、やらない」と言われていました。法人向けのほうが大量に出荷が可能です。ですが一方でその分、取引がなくなった時に大量に在庫を抱えてしまうというリスクもある。今回のケースですよね。

コロナの時がそうだったんですが、その時に少しでも個人のツテがあると、その人たちが周りの人に紹介してくれたりする。やっぱり販売先を複数持っておくと、なにかあった時に動いてくれる人たちがいっぱいできたり、自分に直接ファンが付いている状態が作れます。

なので、生産者さん側も「販売先は複数持っておこう」という考え方をする方が非常に増えて、食べチョクへの出品申請がすごく増えました。

生産者と直接つながることができる、オンライン直売所

--なるほど。ありがとうございます。そんなコロナの時代に生産者さんからの申請が増加したサービス・食べチョク。そちらにつきまして、本日はスライドをご用意いただきましたので、そちらに沿って「食べチョクとはどういったものなのか?」についてご説明いただけますでしょうか。

秋元:ありがとうございます。じゃあ簡単に、食べチョクのご説明をさせていただきます。スライドはWeb版になっていますが、最近はアプリもあります。食べチョクはオンライン直売所と紹介しています。生産者さんから直接食材を取り寄せられるサービスになっています。

今は全国から6,000軒以上の生産者さんにご登録いただいています。野菜農家の方もいらっしゃいますし、漁師さんや畜産の農家さんなど、さまざまな方々にご登録いただいています。商品もけっこうバラエティ豊かで、お肉だったりお魚やお酒、加工品も販売しています。

食べチョクのサービスの特徴の1つが、単純に物が買えるだけではなくて「生産者さんと直接つながることができる」ところです。例えば「この野菜を食べて、子どもがすごく喜びました」「おいしかった!」という声が届いたり。「この野菜ってどう調理したらおいしいですか?」といった質問もできます。

今はこういった「産直EC」といわれる、生産者さんから直接取り寄せるサイトは数多くありますが、その中で今「認知度」「利用率」「アクセス数」などがNo.1の規模になっています。

特に2020年の伸びが大きく、流通額ベースで約50倍になりました。実は10月でちょうど締まったんですが、2021年も約2.5倍にまた成長しています。

先ほど需要が一気に高まったと申し上げましたが、生産者さんも2019年の時点だと1,000軒いなかったんです。600軒弱だったところから、今は10倍ぐらいの6,000軒になっているので、そういう意味だと生産者さん側もどんどん今は増えています。

野菜・お肉はもちろん、お花やダチョウの卵まで

--ありがとうございます。6,000軒ってやっぱりすごい数ですよね。

秋元:増えました。びっくりしますね。

--2年で10倍ぐらい?

秋元:2年で10倍ですね。

--すごいですね。イメージ的には農作物などが一番多いのかなと思っていたんですが、やっぱり比率的には農作物が一番多い感じですか?

秋元:比率だとそうですね。ただ、今日は私、ベーコンのイヤリングをしているんですけど(笑)。

--(笑)。

秋元:(画面を見て)映るかな? こういったお肉もありますし、あとはお魚もどんどん増えていってますね。

--私も先ほど、イベントが始まる前にサイトを拝見しながら「これ、めっちゃ気になります!」というお話をさせていただいたんですが。僕らが考えている「食べチョクでは、たぶんこういう食材を売っているだろう」というイメージから外れたような「実はこれを売っているんです」みたいなものはありますか? ……“隠し種”じゃないですが(笑)。

秋元:そうですね。けっこう驚かれるものだったら、ダチョウのお肉やダチョウの卵などもありますし、お花もあります。

--:お花! なるほど。

秋元:花は食べられないんですが、サービスの中に「花チョク」というものがあって、お花の生産者さんからも取り寄せることができるんです。お花も鮮度が命なので、私も体験してみて、実は花はすごく産直の良さがわかりやすいんだなと思いました。

--本当ですか。瑞々しい?

秋元:(うなづきながら)あとは長持ちするんですよ。野菜だと食べて味で鮮度がわかりますが、花の場合はきれいな状態が続くというところで、すごく鮮度がわかりやすい。例えば蕾の状態で届いたりするので、その咲く過程を楽しむことができ、開化してから2~3週間ぐらい保ったりします。あんまり「お花を生産者さんから直接買うこと」って今までなかったと思うんです。

--確かにそうですね。近所のお花屋さんや、スーパーのお花コーナーみたいなところで買うイメージでしたが、それが直接買える。

秋元:はい。あとは加工品やジェラートなどもあったりします。

--さっきおっしゃった「ダチョウの卵が買える」というのが、本当に驚きで。そもそもどうやって食べたらいいんだろう? と(笑)。

秋元:ハンマーじゃないと割れないんです(笑)。

--そうなんですね!

秋元:「これは売れるのかな?」と思っていたら、けっこう出ていて。お客さんのレビューを見ていると『ぐりとぐら』に大きいパンケーキを作るシーンがあるんですよ。

『ぐりとぐら』と同じように、子どもと一緒にその大きい卵を割って、お家でパンケーキを作って楽しみましたとか、それこそエンタメですよね。あとは、友だちへのサプライズプレゼントとか。普通の卵30個分らしいんです(笑)。

--:いや、それはすごいサイズですね(笑)。

秋元:大きいです(笑)。

「みんな2~3年で辞めちゃうから、君も長く続かないと思う」

--なるほど。ぜんぜん知らなかったから、本当にいろんな商品があるんだなと思ったのですが、そもそも秋元さんが「食べチョク」を立ち上げられたきっかけって何だったんでしょうか?

秋元:冒頭にも実家が農家だった話をさせていただいたんですが、実は実家の農業は中学校の時に廃業しました。その時は、もうずっと母から「農業は継ぐな」と言われていたので、私自身もIT企業に入社して、農業を離れていたんです。ですが昔はすごくきれいだったはずの実家の畑が、久しぶりに帰ってみると耕作放棄地になって荒れ果ててしまっていました。

それを見た時に「なんで農業を辞めちゃったんだろうな」と思ったのが、初めのきっかけです。それでいろいろな生産者さんのお話を聞いていくと、やはり作物にこだわってもなかなか儲からなかったり、(作物が)高く売れないというお話がありました。なので、その問題を解決することで全国に色鮮やかな農地をもう一度取り戻したいという思いから「色鮮やかな農地」=「ビビッドガーデン」というかたちで創業しました。

--なるほどですね。創業からこれまでの大変な苦労や辛かったこと、逆にうれしかったことなどのエピソードはありますか?

秋元:そうですね。いろいろ生産者さんとお話をしていくと「作ったものは、やっぱり自分で値付けして売りたい」とか「お客さんと直接交流をしたい」とか、創業期に販売先の課題が非常に多かったんです。なので「消費者さんと生産者さんをつないだらどうだろう」と感じ、食べチョクをスタートしました。

しかしスタートしたはいいものの、実は(そういった産直事業の)アイデア自体は昔からあったみたいで。その話(食べチョクというサービスを始めたいという相談)を生産者さんにすると「君みたいな人は、けっこう今までもいっぱい来たんだよね。だけどみんな2~3年で辞めちゃうから、たぶん君も長く続かないと思う」など、なかなか信頼してもらえなくて。最初は協力していただける生産者さん集めに、すごく苦労しました。

--たぶん、生産者さん側がトラウマになっていたんでしょうね。

秋元:そうですね。やっぱり信頼して自分の商品を出品して、そこでお客さんとつながったけれども、サービスがなくなっちゃうとそのお客さんとも縁が切れてしまう。特に最初は、そんなにお客さんが多くない中で協力してきたけど、結局は2~3年で(サービス提供側が)辞めちゃって、というのを何回か繰り返し経験していて。「もうさすがに難しいと思うよ。いっぱい失敗している人いるし」と。

率直なフィードバックをもらって、最初はショックでしたが「どうしたら信頼してくれるかな?」と。どちらかというと私自身を知ってもらったり、創業の背景を一人ひとりに伝えていったり、一緒に農作業したりして関係性を築いていくことで、徐々に生産者さんから信頼してもらえるようになりました。最終的には協力してくださる生産者さんが60軒ぐらい集まった状態で、サービスをスタートしました。

サービス公開日の朝5時にバグが見つかるトラブルを乗り越え

--こちらの書籍『365日 #Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘』にも書かれていましたが、最初に会社を立ち上げられて10ヶ月ぐらいはずっとお一人だったというのも、すごいなと思いました。なかなか仲間になってくださる方が集まらなかったんですですよね。

秋元:そうですね。ずっと採用はしていたんですが、生産者さんもそうですし、社員もやっぱり集まらなくて。お手伝いしてくれる人はいたんですよね。「ビジョンは素晴らしいから手伝いたい」という人はいたんですが、転職してきてくれる方は見つからなかったんです。

なので、食べチョクをリリースした時は、まだ社員がいなかったんですよね。リリースした翌月に、1人目の社員がようやく入社してくれたという感じでした。

--サービスを公開しないといけない当日の朝5時になって重大なバグが見つかって、それを知り合いの方にお手伝いしていただいて、公開30分前にようやく解決した! というエピソードも本に書かれていましたよね(笑)。

秋元:そうですね。今思い返すと、だいぶすごいなという感じですけど(笑)。その正式リリースに至るまでも生産者が集まらなかったりしたんですが、システムも直前までいろいろ大変なことがありました。

でも朝5時に電話して友だちを起こして。その人が全部バグを直してくれたんですが、そういういろんなご縁に感謝というか(笑)。恵まれてようやくリリースできた食べチョクのスタートが、2017年の8月ですね。

--それから4年と少しが経って。いまでは社員数が70名ぐらいですよね。

秋元:そうです。従業員が80名なんですが、社員とアルバイトが約40名ずつですね。

--そしてついこの間、初の新卒社員の方の内定式も行われたということで。

秋元:そうです。来年の4月に3名の新卒が入社します。

--noteの記事を読ませていただいたのですが、もともとインターンで御社にかなりの期間入っていらっしゃって、その中から3名を新卒で採用されたというかたちですよね。

秋元:そうです。なのですでにインターンとしては関わってもらっているんですが。私自身、前職のDeNAでの経験が結局は起業してからもすごく活きていますし、仕事観の価値観形成や人生観などにファーストキャリアってすごく影響があると思うんです。

そのすごく大事なファーストキャリアにうちの会社を選んでもらったので、責任感というか「その選択を正解にしたい」とすごく思いましたし、内定式は私にとってすごく大きなイベントでした。

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