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Keynote 変わる働き方とカルチャー、変えるテクノロジー(全3記事)

4名のCTOが取り組む、リモート下での「雑談」の工夫 変わる働き方の中で考える「オフラインの価値」

テクノロジーの可能性を届けていくオンラインカンファレンス「BIT VALLEY 2021」。今年は「変わる働き方とカルチャー、変えるテクノロジー」をテーマに、全7回・半年間にわたって開催されます。本セッションでは第1回「#01 Local × Startup 『街とStartup』」のキーノートセッションの模様を公開。共同主催であるミクシィ、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー、​GMOインターネットの4社が、コロナ禍で変化した働き方やカルチャー、テクノロジーについて議論を交わしました。本記事では、雑談や研修などをオンラインで行うときの工夫について、テクノロジーの変化についてが語られました。 イベントのアーカイブ動画はこちら

オフィスは「リアルでコラボレーションするための場所」

村瀬龍馬氏(以下、村瀬):時間をぜんぜん見ていなかったんですけど、運営の方にやばそうという顔をされたので次のテーマにいっちゃいます。あとは施設に関する変化がありましたよね?というところで。

端的でいいんですけど、「オフィスってなんのためにありますか?」 というのを一言ずつもらってもいいですか? 長瀬さんから。

長瀬慶重氏(以下、長瀬):うちの会社としては「リアルでコラボレーションするための場所」だと捉えていますね。

村瀬:nekokakさんはどうですか?

小林篤氏(以下、小林):まったく同じですね。オフラインでのみできる価値はあるので、そこをみんなで共有する場所というところが強いですかね。

村瀬:あんちぽさんは?

栗林健太郎氏(以下、栗林):GMOインターネットグループ代表の熊谷が「オフィスは武器」と言っていました。「ビジネスは戦、オフィスは武器」と言っていたので、「武器」です。

村瀬:(笑)。武器なんですね。弊社も、雑談とかもそうですけど、気晴らしでもいいですし、健康面という意味だとさっきの「精神的に孤独だ」というなことを払拭する場所でもあるので、戦うための場所は間違いないかもしれないですね。

各社が取り組む、「雑談の場」を工夫する術

村瀬:そういう意味では「オフラインの価値」ってあるじゃないですか。雑談の場ってすごく工夫が必要かなと思っていて、なので最初のアイスブレイクで「各社はもともと雑談をしていましたか? していませんでしたか?」と言ったら「めちゃくちゃしていた」と言っていて、私は意外だなと思って。

私は友だちがいなくてずっとチャット上でしゃべる人間だったので、なんともいえないなと思いながら過ごしていたんですけど。みなさんは雑談をしていたということで、雑談の場を工夫する術は持っていたりしますか? それとも「みんなオフィスに集まってこい」みたいなのか。長瀬さんのところはどうですか?

長瀬:Zoomで会議する時の冒頭にアイスブレイクを意図的に入れるというぐらいしかないですね。

村瀬:アイスブレイクはみんなしゃべってくれます?

長瀬:勝手に話して盛り上がって「さあ本題」みたいな感じですね。

村瀬:どのぐらいの時間を取るんですか?

長瀬:例えばママで仕事をしているとしたら、子どもの話をして「最近どう?」みたいなのをしていて、感覚的には5分ぐらいですね。

村瀬:nekokakさんのところはどうですか?

小林:会議の冒頭にアイスブレイクで話すのは前より増えたかなというところと、テキストでのコミュニケーションでの雑談もすごく重要だと思っているので、自分のタイムズチャンネルがあるんですよ。

「誰でも入っていいよ」としていて、今自分がなにをしているかを積極的に共有したり、真面目なことを言ったと思ったらいきなり大喜利を始めてみて、そこに入っている人は大喜利に乗っていろいろやってくれるんですよ。そういうコミュニケーションの場を作るのは、昔よりはすごく意識していますね。

村瀬:愛されていますね、ネコちゃん。

オフラインとオンラインでは置き換えられない

村瀬:あんちぽさんのところはどうですか?

栗林:今お二方が言ったような雑談の工夫もあるんですけど、僕自身にとってみると、僕はおしゃべりするほうじゃないので、なにか場があっての雑談はしないんです。でもオフィスをぐるっと回って、その都度見た人に「最近なにしているの」とか、トイレに行った帰りにオフィスを回りながら「よお」みたいにやっていたんですよ。

その中で「最近はそういうことをやっているんだね」とか、「それだったらあの人が知っているから聞いてみな」とか、そういうコミュニケーションが多かったんですね。

だけどコロナ禍になってなかなかできなくなってきて、僕自身も新しく入ってくる人のバックグラウンドがわからなくなってきたりしたので、「CTOが訊く」というインタビュー企画を最近やったんです。1週間か2週間に1回ぐらい、僕が「この人の話を聞きたい」という人をZoomで呼び出してお話を聞くという。

その人が紹介してくれた人にまた僕が話を聞きにいってというのをやって、僕自身もその人のことを知れるし、他の人にもその人のことを知ってもらうということができて、僕がぐるっと回りながら「どうしているの」とか紹介したりとかつなげたりしていたのをオンライン上でやるみたいなことを最近やっていますね。

村瀬:ちなみに各社さん、雑談は足りていますか? 足りないですよね。いっぱいしゃべっているって言っているぐらいですし。

小林:足りないですね。

長瀬:結論、オフラインとオンラインでは置き換えられないんですよね。

村瀬:だからオフィスの出社率を上げましょうという話とかもあったりするんですよね。うちも雑談が足りないとは言われていますが、私自身はずっとチャットの人なのでなんとも言えないなと思いながら。でもオフラインの良さって声が全部聞こえるので、オンラインでテキストチャットに戻ってきた時に、その声で全部再生されるじゃないですか。

オフラインでの挨拶が「お疲れさまでーす!」だったらテキストでも「お疲れさまでーす!」のテンションで再生されるので、やっぱり声のテンションとか信頼関係構築にもインプットは重要だと思っていまして。そういうのは日頃から工夫していますね。

オンラインで行う新入社員研修のコツ

村瀬:時間も時間なので、あとのテーマは一言ずつでいいので、オンボーディング(新入社員研修)とか各種研修のコツをズバッと1つずつ話していただけると嬉しいです。長瀬さんとかないですか(笑)。

長瀬:サイバーエージェントで、「これはすごくヒットしたな」という新卒向けの研修があったんですけど、それは内定者期間中の相互理解を1年かけてやるというのを、徹底的にやったんです。以前は東京に近い人だけできたんですけど、オンラインになって全国でできたことなので、かなり良かったですね。

村瀬:nekokakさんはどうですか?

小林:今オンライン研修をやっているんですね。プロジェクトマネージャーとかクラウド系の研修をやっているんですけど、例えば1回の開催で20人ぐらい集まって、はじめに座学を聞いて、そのあとにワークをやるんですよ。

そのワークをやる時にブレイクアウトルームを作って分かれて話をして、また集まってとか。オフラインだったら部屋の移動とかが発生するんですけど、そういうのが発生せずにスムーズにできるというメリットがあったと思いますね。

オンラインでは、雑談もオンボーディングも徹底的に意識的に変えている

村瀬:あんちぽさんはどうですか?

栗林:オンボーディングだと、基本的に入った人と部署のオンボーディングになりがちだと思うんですけど、1つ、「オンボーディングのチャンネル」みたいなのを用意しています。最近入った人はだいたいそこにいるから、新入社員はその人と部署の関係だけじゃなくて、今まで関わりがないちょっと先輩の人、みたいな人たちとの関係がそこでできています。

その中でやり取りが生まれることで、メンターだけが負担するわけじゃなくて、チーム全体や会社全体でオンボーディングを支えていくということをずっとやっています。その辺はコロナ禍になってより密にやるようになったので工夫していますね。

村瀬:なるほど。となると、みんなオンラインでの会話も徹底的に意識して変えていったんですね。雑談もそうだしオンボーディングもそうですけど、難しいですね。弊社も新卒研修はみんなオンラインにして、「オンラインだったら会議室もいらないよね」ということで、中途のメンバーでも誰でも見られるようにしたりとか。

外にアウトプットできるようになった部分はいいんですけど、さっきみたいにブレイクアウトルームに細かく配置しないとみんなしゃべってくれなかったり、ワークがしづらかったりするので、それなりに細かいテクニックはいっぱいあるなとは思いますね。

小林:それでいうと、共有できる研修の内容だと録画をして、後で「みんな見られる時間に見て」というようにするので、それぞれの時間の使い方の調整がすごくやりやすくなりましたね。

村瀬:確かに。私もそういうのは2倍速で見ているかもしれない。録画を見ている人たちが質問とか会話とかをしたい場合はどこでするんですか? チャット上ですか?

小林:チャットですね。

村瀬:常に「しゃべるんだったらこの場所でしゃべって」みたいな場所があるということですか?

小林:そうですね。

村瀬:なるほど。発散できる場所を作っていくのも重要ですね。

会議のペーパーレス化や経営会議のオンライン化などシフトできた面も

村瀬:最後は「世の中に対する変化」ですね。今回セッションのタイトルに「変えるテクノロジー」とあるんですけど、テクノロジーで変えたものってこの2年でなにかありますか?

会社の仕組みでもいいですし、GMOさんは「脱はんこ」を目指していろいろとやられていたと思うんですけど、他にもこの2年でテクノロジーで何かを変えていって、「これ良かったな」みたいなものがあれば教えて下さい。どなたからいきますか? 長瀬さんからいきますか。

長瀬:ちょっと表現が難しいんですけど、いわゆるペーパーレスの会議に何回かトライした時期があったんですけど、なかなかうまくいかなくて。でも今回強制的にこういう状況になったので、テクノロジーと言ったらおかしいですけど、そういうツールをうまく駆使してデジタルに全部シフトしたなというのはありますね。

村瀬:みんなが一斉にやるというのが一番重要だったということですよね。nekokakさんはどうですか?

小林:ペーパーレスにするところと、うちの特徴は経営会議とかも全部Zoomでやっているんですね。

村瀬:最高です。

小林:今までは時間の都合で、例えば移動時間とか諸々あって経営会議に参加できなくて、任意の人は参加しない感じだったんですけど。

基本的に執行役員とかオブザーバーとかは情報共有の観点から全員参加していいよとなっているんですけど、それがZoomだと、自分の時間でサッと入って。空き時間を作って入ることがやりやすいので、経営会議の議論がすごくやりやすくなりましたね。

村瀬:確かにそうですね。

新しいテクノロジーは「便利」とわかれば乗ってくる

村瀬:あんちぽさんはなにかありますか?

栗林:今の会議とか紙の話はもちろんそうですし、いろんなことの自動化が進んだのかなと思っていて。例えばうちだとGitHub Enterpriseを使っているんですけど、なんでもかんでもGitHub Actionsに乗せて、開発にしても開発じゃないものにして、どんどん自動化してSlackに投げるとか。あるいはカスタマーサポートも、Googleのデータスタジオを使ってGASでデータを取ってきてグラフを作ってみたいなとか。

面と向かってやることはできない分、自動化をしてビジュアライズをして、オンラインでのコミュニケーションをちゃんとできるようにしましょうというのをかなり全職種の人たちがやっていて、そこはテクノロジーによる変化なのかなと思いますね。

村瀬:みんなが一斉にやるから抵抗感もなく、みんなノリノリで変化してくれるという感じなんですかね?

栗林:最初はアーリーアダプターがいますよね。そういう人がやっていくと、だんだん「なんかおもしろそうなことをやっているな」みたいになってきてとか、「便利じゃん」となってどんどん人が乗っていく感じですかね。

村瀬:エバンジェリスト的に「これをやったら本当に便利」みたいな人って各社さんにもいっぱいいるんですか? 特定の人だけとか?

小林:けっこう偏る気がしますね。

村瀬:エンジニアとかに寄っちゃうんですかね?

小林:そうですね。

村瀬:そうですよね。弊社だと、VPNを極力やめたいということでアクセスプロキシを用意して、がんばってネットワーク信頼性を社内も社外も逆に強めることができてラッキーみたいなことは言っていました。私的にはオンライン化したことで証跡が残りやすくなって、経営会議とかも諸々一層やりやすくなったので嬉しいなと思っています。

IT業界に携わる人たちへ、これからのアドバイス

村瀬:すみません。時間がめっちゃ過ぎていることに気づいちゃって。

小林:そうなんですか(笑)。

村瀬:もっといろいろしゃべりたいことがいっぱいあるんですよ。でも時間ないので、今度また別の機会があったらラジオかなにかでやりますか。ClubhouseとかTwitterとかなんでもいいですけど。

最後に、今回は街とかStartupとか「知ること」も重要だよという話もあったんですけど、エンジニアだけじゃなくてIT業界に携わる人たちにでもいいんですけど、一言ずつ「これからこういうふうになるから、みんなこういうことをしておいたほうがいいよ」というアドバイスがあれば。どうですか?長瀬さんからいきますか。

長瀬:本当に技術がすごコモディティ化しているので、エンジニアに限らずたくさんの人が技術の恩恵を受ける時代になっていきます。そういうものをうまく楽しく使いながら、社会がもっと豊かになればいいですし、そういうものをもっとどんどんシェアしていって、お互いが高め合えるような社会になっていくといいなと思っています。

村瀬:ありがとうございます。nekokakさん。

小林:まさにBIT VALLEYのこの取り組みもそうなんですけど、必要なのは1社でやるというよりか、複数の会社が集まってそれぞれの強みを発揮するというかたちだと思うんですよね。

今後いろんなテクノロジーを使っていく中でも、1つなにかを実現する時に多くのものが必要で、それを1社で賄うのは相当しんどいと思うんですけど、いろんな人たちとのコラボレーションでそれが実現できる時代だと思っています。

なので「なんでもかんでも自分でやんなきゃ」とか、「これができないから無理だ」と後ろ向きになるんじゃなく、「できる人がいるだろう」と探して辿っていくアクションを、ぜひみなさんにもやっていただきたいですし、我々もやっていきながらよいものを作っていきたいなと思っています。

村瀬:素晴らしい。あんちぽさん。

栗林:僕はちょっとお話ししたんですけど、ワクチンも接種が進んできて、世の中的に回復していく中で、今まで強いられた「ワークフロムホーム」から、オフィスだけじゃなくていろんなところで自由に働けるような世の中になっていくと思っているので。

そこにどんどん対応していって、より本当の意味での「自由な働き方」に加えて、それに基づいたビジネスやサービスを伸ばしていくところに注力するような世の中になるのかなと思っています。自分自身もそういう世の中でがんばっていきたいなと思っております。

村瀬:ありがとうございます。みなさま今後ともよろしくお願いいたします。それでは以上でKeynoteは終了です。

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