2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
Varinos株式会社 代表取締役 桜庭喜行氏(全1記事)
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アマテラス:早速ですが、初めに桜庭さんの生い立ちから伺えますか? 家族構成や、小さい頃の記憶で今に繋がるようなご体験があったらお聞かせ下さい。
桜庭喜行氏(以下、桜庭):両親と弟2人と私の5人家族で、父はサラリーマン、母は専業主婦というごく一般的な家庭に育ちました。子どもの頃から算数が好きで、小学生時代は公文式の教室に通っていたのですが、そこで『コペル21』という子供向けの科学雑誌を夢中になって読んでいた記憶があります。今思えば、それがサイエンスとの出会いでした。
中学ではバレーボール部に入り、部活三昧の日々を送っていましたが、高校に入った頃から医師という仕事に興味を持ち始めました。親戚に医師や研究者が何人かおり、彼らが論文を読んだりしている姿に憧れを抱いたのをきっかけに、自分も志すようになったのです。
桜庭:大学受験では浪人覚悟で医学部を受験するつもりにしていたのですが「練習で受けてみたら」と両親からと勧められて受験したのが、その後入学した埼玉大学理学部生体制御学科でした。
埼玉大学合格後も医学部への思いは強かったのですが、そのとき両親から見せられたある新聞記事にふと興味を引かれました。ヒトゲノム計画の発足に関する記事で、ヒトゲノムの解読には20年かかるが、未来の人類の健康に必ず貢献するだろうという内容だったと思います。
それを読むうちに、私が医学部でやりたいことの大部分が実は研究であり、理学部の方が私の希望に近い環境があるかもしれないと気持ちが変わって行きました。そこで埼玉大に行って「ここでは遺伝子の研究はできますか?」と質問したところ「もちろんだよ、できるよ」と返ってきました。それならば浪人生活で1年無駄にすることもないと考え、入学を決めたのです。あの新聞記事が、私の人生の大きな分岐点となりました。
アマテラス:入学当初からやりたい研究分野は決まっていたと言うことですね。
桜庭:はい、初めから遺伝子の研究をしたいと思って入学しました。子どもの頃からずっと憧れていた研究職、中でも最も興味のあった生物学の分野で研究をしたいという希望が叶ったので、深夜まで続く実験も全く苦になりませんでした。修士で就職する友人もいましたが、もうちょっと突き詰めたいという思いと、研究者として活躍することを考えて博士課程まで進みました。
桜庭:理化学研究所ではゲノム科学総合研究センターに就職し、研究員として国家プロジェクトに参加していました。私はマウスのゲノムプロジェクトだったのですが、同じセンター内では、国際コンソーシアムとしてヒトのゲノムDNA配列を解読するプロジェクトも進行しておりました。日本は21番染色体の担当でした。
7年ほどここで研究をしていましたが、センターの解散をきっかけに研究の場をアメリカに移すことに決めました。35歳か36歳の頃です。既に子供もいたので家族で渡米しました。住んだのはテネシー州メンフィスという、エルヴィス・プレスリーの育った町として有名なところでした。都会過ぎず田舎過ぎずとても住みやすい町で、研究環境もとても良かったです。
当初の予定では3~5年後には研究成果を引っ提げて帰国し、日本の大学で安定的に研究を続けたいと考えていたのですが、1つのポジションに300人近くがアプライするという世界で、これはなかなか決まりそうにないなと感じるようになりました。
桜庭:研究一辺倒だった私の人生観を変えるできごとがあったのは、そんな頃です。子供が通っていたプレスクールで「明日、コミュニティヘルパーの格好をして学校に来て下さい」という宿題が出ました。コミュニティヘルパーとは教師や医師、警察官や消防士など地域を助ける職業の人々全般を指すのですが、その時に「私は地域に貢献できていない。研究者はコミュニティヘルパーではないな」という、もやもやとした感情が芽生えたのです。
それまで、私の興味は「遺伝子の働きを突き詰めること」でした。研究は面白いし、それで給与も得ています。ただ、自分の研究で誰かを助けているという実感は乏しく、そこに多少の虚しさや物足りなさを感じていたことも事実です。コミュニティを大切に思い、積極的に貢献したいと考える人の多いアメリカで暮らすうちに「もっと社会に貢献できる仕事をしたい」という気持ちが芽生えました。
アマテラス:アメリカ社会の価値観そのものが、影響を与えたということですね。
桜庭:はい。例えば、私の勤務先だったセントジュード小児病院の運営費は、すべて寄付金で賄われています。一方で、全国から集まる患者さんの治療費や家族の滞在費は、すべて無料です。「相互に与え合う」という文化や習慣が社会全体に根付いているのを目の当たりにし、自分の興味だけで働くことから社会貢献をしたいという考え方に軸足がシフトしていったのだと思います。
私が現在副業でやっている「deleteC」というNPO法人での活動も、この考え方に根ざしたものです。この「C」はCancerの頭文字で、一般の人も巻き込んでがんの治療研究を応援する仕組みづくりをしています。例えば、少し前にサントリーさんがラベルのCの部分が消された「C.C.レモン」を発売したのですが、売上の一部をがん研究に寄付する仕組みになっています。私がやり始めたわけではありませんが、日本に寄付文化が少しでも浸透すればと思い、参画して2年になります。
※“みんなの力で、がんを治せる病気にする”プロジェクト「deleteC」に賛同して発売された「C.C.レモン deleteC ラベル」出典:https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF0915.html
アマテラス:日本に帰国するきっかけは何だったのでしょうか。
桜庭:子供が3人いるのですが、妻が3人目を妊娠中に受けた妊婦健診で染色体異常の疑いがあるとの指摘を受けました。NT肥厚という首の後ろのむくみがあると、一定の確率でダウン症等の可能性があるので羊水検査を受けませんか、という話がありました。しかしその一方で、羊水検査には300分の1程度の割合で流産のリスクもあるというのです。
当事者になって実感したのは、例え確率が300分の1であっても、当事者にとっては「流産するか、しないか」の50%・50%と同じだということです。流産という事象があると知らされれば、もう300分の1とは割り切って考えらません。それを「1週間で決めて下さい」と言われ、妻と泣きながら議論しました。
結局検査を受けることに決め、結果的に異常は見付からず無事出産に至りましたが、その経験がGeneTechへの転職に繋がりました。妻の検査が終わった頃にGeneTechの募集要項がネットに掲載され、そこに「血液検査だけで赤ちゃんの染色体異常が分かる技術を開発し、正に世に出す直前」だと書いてあったのです。社会貢献もでき、夫婦で散々泣きながら議論した流産のリスクを、母親の血液を採るだけでゼロにできるわけです。これは素晴らしい、ここで働こうと帰国を決意しました。
桜庭:入社してみて分かったのですが、GeneTechの技術は未確立でした。自分の力で何とかできればと頑張りましたが、最終的にはこのまま研究を続けてもモノにならないという結論を出しました。
他方、海外ではSequenomという会社が母体血で染色体診断ができる技術を確立しており、間もなく市場に出す段階まで来ていました。そこでSequenomから技術移転をしてもらい、日本の市場を取って行くことに方針転換し、その交渉を私が担当しました。サイエンティストとしては残念な結果でしたが、日本にNIPT(新型出生前診断)という技術を導入できたという意味で、ビジネスとして正しかったと信じています。
GeneTechで3年ほど経った頃、取引先だった「イルミナ」というゲノム技術を提供する会社から「NIPTなど生殖医療関連事業の市場開発部門に来ないか」と声を掛けていただきました。ちょうどSequenomと日本での独占契約も交わして会社として成長段階に入ったタイミングだったこともあり、転職することにしました。元々NIPTの日本市場を作ったのが私でしたから、彼らにとっても最適な人材だったわけです。
桜庭:シーケンサーとはDNAの塩基配列を解読する機械なのですが、過去のシーケンサーと比較すると、次世代シーケンサー(NGS)では1回で解析できるサンプル量が飛躍的に増えました。NGSでは何千万、何億もの処理を同時に行うことができるようになり、当初20年かかると言われていたヒトゲノムの解析が2~3日でできるようになったのです。数千億円と言われていたコストも今や10万円以下に、さらに数年以内には1万円くらいになるといわれています。そのくらいとてつもない技術革新をもたらしたのが、イルミナなのです。
アマテラス:桜庭さんはそのNGSの市場開拓をされていたわけですね。
桜庭:はい。入社当初はアカデミア向けが絶好調でしたが、徐々に翳りが見えてきました。どうやって売り先を拡大していくかと悩んで海外を見たところ、クリニカルユースといって、医療の臨床応用の場での利用が急ピッチで拡大していることが分かりました。
日本にも「Guardant Health」や「FOUNDATION MEDICINE」など、アメリカ企業が入ってきていましたが、日本では遺伝子検査に取り組む会社はなかなか出て来ませんでした。色々な大手企業にゲノム検査のポテンシャルについて説明し「御社でやってみませんか?」と話してみましたが、皆さん口を揃えて「実績はありますか?」「リスク無しでできるの?」「前例はないのですか?」と言うわけです。新規事業がリスク無くできるわけありません。
これは日本にGAFAがないということにも通じると感じていますが、アカデミアのレベルは海外と変わらないのに、日本にはアカデミアとビジネスを繋げる人が極端に少ないのです。中国などはビジネスに積極的で、ゲノム検査の会社がどんどん生まれるのを見ながら悔しい思いをしていました。そのような状況だったので「自分でやるしかない」と腹を括り、起業することにしました。これがVarinos創業のきっかけとなります。
桜庭:共同創業者の長井とはイルミナで出会いました。彼女もゲノム検査会社が日本にない現状を何とかしたいと考えており、一緒に創業することにしたのです。長井はアカデミア出身の研究者で、特に情報解析分野に明るく、日本バイオインフォマティクス学会の理事を務めています。私はGeneTechなどでの経験を通じて多少ビジネスを知っていたことで、お互いの強みをバランス良く生かすことができると考えました。
アマテラス:ゲノム検査の中でも生殖医療の領域に注目された理由はなんでしょう。
桜庭:1つはGeneTechでNIPTの仕事をしており、産科の分野や先生方とのネットワークがすでにあったことです。産科は妊娠後、生殖医療は妊娠前という違いはありますが、いずれもゲノム検査が活躍できる分野であることは海外で実証済でした。
もう1つは、ゲノム医療が日本の制度下では保険適用されにくいという背景があります。その点産科や生殖医療は自費診療が多いため、他科と比較すると導入しやすい領域だと考えました。こういった背景から、まずは生殖医療に注力しようと決めたのです。
アマテラス:創業後、どのような事業からスタートされたのでしょうか。
桜庭:「子宮内フローラ検査事業」です。子宮内フローラとは子宮や腟内に存在する菌の環境のことで、これまで解析する手段のなかった子宮内の細菌の種類や割合を特定する検査を世界で初めてサービス化しました。子宮内フローラは妊娠や着床率と大きく関わるため、検査の結果によっては改善効果が高いラクトフェリンのサプリメントを服用していただいています。
その後、NGS受託解析サービス、着床前ゲノム検査サービスと順次拡大しています。
※出典:Varinos社資料
アマテラス:2017年の創業から4年ほどになりますが、その間様々な壁を乗り越えられて現在があると思います。どのような壁に突き当たり、桜庭さんがどのようにそれらを乗り越えていらしたかお聞かせいただけますか?
桜庭:初めに突き当たったのは資金調達の問題です。我々のビジネスはラボなしでは成り立ちませんが、ラボを立ち上げるには少なくとも5000万円の資金が必要でした。長井も私もそれまで事業計画など無縁でしたから、『事業計画書の書き方』という本を見ながら作成した事業計画書を持ってVC回りをしましたが、そんな稚拙な事業計画に当初はどこからも相手にされませんでした。
アマテラス:バイオベンチャーならではのハードルの高さですね。PC1台で起業できるITベンチャーとは全く違います。最初の出資者はどうやって見付けられたのでしょうか。
桜庭:当時はまだイルミナで市場開発の仕事をしており、勉強会や営業活動の中でNGSを紹介しつつ、ゲノム分析技術の医療応用を勧めていました。そんな折、今、我々が取り組んでいる子宮内フローラの元となる論文を紹介してみたところ、先生方が「これはすごい」と飛び付いたのです。子宮の中にも菌があり、しかもその菌のバランスが妊娠の成績を左右するという内容の論文でした。そこで、試しに「もし僕が遺伝子検査会社を立ち上げたら使っていただけますか?」と尋ねたところ、皆さん「絶対に使う」と。これは実用化するべきだと考えました。
最初の出資者はその頃に私が訪問していた医師の一人で、私たちの技術とポテンシャルを買って応援したいとエンジェルになって下さいました。出資者が見付かったことで、会社の登記をしてラボも作れる運びとなりました。
アマテラス:事業拡大や技術開発の壁はいかがでしたか?また、どうやってその壁を乗り越えられたのでしょうか。
桜庭:創業後、すぐにでも医療現場に貢献したいと思って頑張っていたのですが、理論上うまく行くはずの解析が失敗の連続でした。NGSを使った解析は試薬代だけでも1回あたり20~25万円ほどかかるため「このままでは潰れてしまう」と危機感を覚えました。
具体的な話をすると、子宮から採取したサンプルを解析するために、試薬などに混入している菌をミニマイズしたりキャンセルしたりする必要があるのですが、NGSは超純水からでさえ菌を抽出してしまうほど感度が良いので、非常に繊細なコツが必要でした。何とかデータが出せるよう必死で解析方法を編み出し、NGSの微調整を重ねました。
データが出せるようになると、創業前に「できたら使うよ」と言って下さっていた先生方に使っていただき、そのフィードバックを受けながら更に改良を重ねました。当初はかなり稚拙な技術でしたが、皆さんに使って頂くことで改良が進みましたし、患者さんの役に立つこともできました。
また、会社立ち上げの出発点であった「子宮内フローラの良し悪しで妊娠の確率が大きく変わる」という論文の再現性も先生方との共同研究の中で改めて確認でき、「本格的に市場になる」という確信を得ることができました。
アマテラス:信用の壁についてはいかがでしたか? 創業間もないベンチャーならではの信用の壁があったのではないでしょうか。
桜庭:確かに最初は我々のデータを信じない先生もいましたが、創業当初から「サイエンスをきちんとしたサイエンスでやっていくのだ」という意気込みがあったので、戦略的に論文発表や学会発表を数多く行うことで信頼に足る技術があるという認識を勝ち得ることができたと思っています。論文もすでに3~4本出しており、海外の大手競合と比較してもサイエンティフィックな信頼は我々の方が高いと自負しています。大学病院にも採用していただきました。
JVA(Japan Venture Awards)2020で経済産業大臣賞を取ったことも良い転機になったと思います。金融機関と話す際や大企業とコラボする際にも相手の反応が違いますし、取材やイベントでの登壇も増えています。信用度が一段上がったように感じます。
※Varinos社オフィス内の様子。左側にはラボスペースがある
アマテラス:昨年来続いているコロナ禍によって何らかの影響はありましたか。
桜庭:最初の緊急事態宣言が出た昨年4~5月は大変でした。日本生殖医学会が「体外受精を控えて下さい」とお達しを出したからです。患者さんがクリニックに行かない限り、私たちの売上も上がりません。
ただ、緊急事態宣言が明けると不妊治療自体の活性は以前と同様の水準にまで戻りました。特に女性は35歳を過ぎると1カ月ごとに妊孕性は落ちてしまいますから、悠長に待っている時間のないご夫婦も多いのです。
大きく影響したことは、学会が全てオンラインになってしまったことです。それまでは私たちの検査結果を使った研究の学会発表を聞いた先生が「うちでもやりたい」と当社ブースに来る、というのが新規顧客獲得の流れでした。しかし、それがほぼゼロになりました。
そこで、eマーケティングの一環としてVarinos独自のオンラインイベントを開催するようにしました。オンライン学会の期間中に特別イベントを開催し、何とか先生方に参加していただけるよう創意工夫をしています。
アマテラス:2020年9月、SMBCベンチャーキャピタルとみやこキャピタルから3億円を調達されたとニュースになっていました。この背景についてお聞かせ下さい。
桜庭:この資金調達のきっかけはコロナ禍でどこまで資金が持つのかという懸念でしたが、同時期に本格的にIPOを目指そうと決めたこと、そして、今年から本格的に海外展開を目指すことにしたことが資金調達の大きな理由です。
アマテラス:この2社になった決め手はどこにあったのでしょうか。少し意外な組み合わせな気がしています。
桜庭:色々な会社と話をさせていただく中で、現在の我々の価値を高く評価して下さったのがこちらの2社でした。まだ黒字化はしていませんが、順調に売上が伸びて来ていること、そして、この先も伸びるだろうという見通しをしっかりご理解いただけたことに、感謝しております。
アマテラス:今後について教えて下さい。貴社が目指す未来と、そこに対する短期的、中長期的な課題はどこにあるとお考えでしょうか?
桜庭:現在のto Bだけでなく一般消費者向けにもゲノム検査を行いたいと考えており、2021年3月に一般消費者向けキットを発売します。また、今年は子宮内フローラ検査をグローバルに広げていきたいという目標があります。
一般消費者向け検査は啓蒙活動の一環でもあります。実は国内で不妊治療を受けている女性の年齢のピークが40歳を超えており、35歳以降の妊孕率の低減を考えると非常にもったいないと常々考えています。アメリカでは34~35歳がピークなのですが、この5年の違いは非常に大きく、35歳では何とかなるものが40歳を過ぎると頑張っても妊娠できる確率は10%程度になってしまうという事実を知らない女性が大変多いのです。
彼女たちになぜクリニックに行かないのかを尋ねると、不妊かなと思ってすぐに受診する人は少なく、最初の一歩を踏み出すハードルが高いことが分かります。もしそこに正しい知識が得られるような仕組みや自宅で自分でも簡単に行える検査キットがあれば、もう少し行動を起こすタイミングが早まるのではないかと考え、自宅でできる検査キット「子宮内フローラCHECK KIT」を開発しました。
※自宅で簡単に採取ができ、子宮内の状態を予測することができる「子宮内フローラCHECK KIT」(2021年3月発売開始)https://flora.famione.com/
桜庭:長期的には、2年後にIPOを目指したいと考えています。当初はM&Aを目指しており、開発した技術やサービスを大手企業に買収・運用してもらうことで、日本にしっかりとした遺伝子検査会社を誕生させるというシナリオを考えていました。
ところが、国内大手がこの分野からどんどん手を引いていることが分かり、これでは結局、外資に吸収されて日本にはまた何も残らないという将来像が見えて来ました。それなら我々がIPOで日本一の遺伝子検査会社になり「日本の遺伝子検査と言えばVarinos」と言われる存在を目指したいという思いに変わって来たのです。
アマテラス:それを実現するために課題となるのは、どのようなことでしょうか?
桜庭:人材の確保です。やはり開発ができる人は常に一定数いないといけませんし、それを事業化するためのコマーシャルチームも充実させなければいけません。正にアマテラスさんにお願いしている部分ですね。事業拡大の最大の肝はやはり人だと考えています。
アマテラス:現在の社員数は約30名、シリーズBが終わったところとのことですが、このタイミングで御社に参画する最大の魅力はどんなところにあるとお考えですか?
桜庭:シリーズBまで来てはいますが、まだまだスタートアップの雰囲気は残っていますし、今は大きく羽ばたく直前の、ベンチャーの最も面白いタイミングではないかと感じています。IPOに向けて会社が成長真っ只中にある雰囲気を感じていただけるはずです。
我々が普段仕事をする中で最も大切にしているのはスピード感です。大手とは違った意思決定のスピードは魅力だと思いますし、現場の皆さんには裁量を持っていただきたいと常々考えていますから、ぜひ今までの会社でできなかったことにチャレンジし、ご自身の可能性を広げていっていただきたいです。まだまだそれができるフェーズですので、より大きな裁量を求めて来ていただけたらうれしいです。
アマテラス:最後の質問になります。桜庭さんがお考えになる組織のあり方、そして組織を成長させ、社員のやる気を高めるためにどんな運営をして行きたいと考えていらっしゃいますか?
桜庭:個人的な理想はGoogleなどが採用している、完全にフラットな組織です。ただ、日本でこの技術を広げていくためには多少の階層は必要だとも分かっていますので、無理に階層を奪うというやり方も違うと考えています。階層があってもそれぞれの社員が自ら考えて自由に提案し、自分の裁量でそれを実現できる環境を整えて行くことが私の役割だと考えています。
アマテラス:本日は大変素敵なお話をありがとうございました。
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