
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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溝口勇児氏(以下、溝口):今日の「スタートアップ流の大企業との戦い方」にご登壇してくださるのは、まず安武さん。安武さん、簡単に自己紹介をしていただけますか?
安武弘晃氏(以下、安武):安武といいます。アメリカ人のCo-Founderと一緒に、Junifyというスタートアップを立ち上げて、BtoBのSaaSをやっています。今はいわゆるシリコンバレーというところにいます。
その前は、およそ20年近く楽天にいました。楽天が会社設立の登記をする前から、三木谷浩史さんを主に技術面でお手伝いしておりましたので、本当にゼロから大きくなるところまでずっとやっていました。そんな感じです。
溝口:ありがとうございます。楽天の元CTOで新しい会社を設立された安武さんでした。2人目は小澤さん。お願いできますか?
小澤隆生氏(以下、小澤):小澤です。みなさん、よろしくお願いします。昔はよくIVSに登壇させていただいていたんですけれども、ここしばらくはちょっと忙しかったので、久しぶりに参りました。
仕事は今ヤフーのCOOということと、Zホールディングスという持ち株会社になっている関係で、ZOZOやアスクルや一休、それからPayPay株式会社の取締役をさせていただいております。
溝口:ありがとうございます。
小澤:今の業務としてはヤフーの事業全部を見る立場ではありますが、企業規模がなかなか大きいので大変です。よろしくお願いします。
溝口:小澤さん、ちょっと少しだけ風切り音がしますけども、今どちらにいらっしゃるんですか?
小澤:今ですね、すみません。ちょっとやり方がわからないんですけど、私は今……これだ!
(海辺を背にした小澤氏が映る)
溝口:(笑)。
安武:いいなぁ、いいねぇ(笑)。
小澤:ヤフーはフルリモートですからね。どこで働いてもいいということで、私はだいたい3日間ぐらいはこの環境ですかね~。逆にみなさんは海じゃないんですか?(笑)。
溝口:いやいや(笑)。もうみんな……。ちなみに安武さんはシリコンバレーの家ですか?
安武:はい、そうです。背景を変えても何もおもしろくない家です。
溝口:裕介は?
佐藤裕介氏(以下、佐藤):僕もぜんぜんおもしろくないオフィスのミーティングルームです。小澤さんのその場所、インパクトありますね(笑)。新しい時代が来た感じがします。
小澤:本当だったら、今日はまさにここでサーフィンのオリンピックをやっていたはずですね。
溝口:あぁ、そっか……。
小澤:ここがオリンピック会場ですね。
佐藤:そっちがバーチャル背景みたいだもんな。
溝口:確かに(笑)。
小澤:バーチャル背景で風景写真を使うとか、ダサくないですか!?
(一同笑)
小澤:バーチャル背景で風景写真を使うんだったら、その場に行ったほうが絶対いいですよ! だってリモートワークなんだから!
溝口:確かに。だって……。
小澤:家とか見られるより、こういうほうがいいじゃないですか。
溝口:(ヤフーの取締役/常務執行役員の宮澤)弦さんも、軽井沢に家族と引っ越したって言ってましたね。
小澤:そうですね。ヤフーの社員はみんなどこにいるんだかわからないですけれども。本当は海の中からやってやろうと思いましたけどね。
溝口:(笑)。それは楽しいですね。すごい。
小澤:もう、そういう時代ですよ。
溝口:ありがとうございます。実はこのスライドも進行も全部、佐藤裕介さんが作ってくれたんですけど、どうやら僕のモデレーターが相当心配なようで。
佐藤:(笑)。
溝口:丁寧にやっていただいています。こんなスピーカー初めてなので、これからモデレーターをやるときは全部、佐藤裕介さんにいてもらいたいなと思ったぐらいです。
佐藤:(笑)。
溝口:簡単に自己紹介をお願いできますか?
佐藤:ヘイという会社をやっています、佐藤と言います。ヘイは、個人事業主や中小事業者のみなさんの商売やお店のデジタル化をするソフトウェアを提供している会社です。その前は小澤さんに投資してもらって、フリークアウトという広告技術の会社を経営しておりました。今日はよろしくお願いします。
溝口:ありがとうございます。Zoomのセッションはインタラクティブであればあるほど非常に盛り上がりますし、スピーカーの我々も楽しめるので、ぜひみなさんももしお気づきの点や学び、あるいは質問があれば、ルームBのSlackにご記入いただければ私のほうで拾いたいなと思います。
参加者が100人を超えましたけれども、もし万が一あまり質問が出ないようだったら、先輩や友人たちがけっこう多いので、ミュート解除していきなり振りますんで。
佐藤:すごい。
溝口:そこは頭の隅っこに入れておいてほしいなと思います。あとインタラクティブに進めるうえでも、できればカメラはオンにしておいてもらえたらうれしいなと思います。
IVS2020やSNSでも発信していただけたりすると、この会が盛り上がっている感がより伝わって運営サイドが喜びますので、ぜひご協力などお願いいたします。
溝口:実際のセッションに移っていきたいなと思いますけれども。まず、2017年のことですよね。川邊健太郎さんが「スタートアップが大企業をどうやって倒すか」というセッションをされて、けっこう伝説的な回になったかなと思うんですけれども。もうそのとき……。
佐藤:答えが出てるんだよね(笑)。
溝口:これ、もう答えですよね(笑)。どうします? みんなでルームAに行きます? 答え出ちゃってるし。
(一同笑)
溝口:(笑)。いやでも本当に、「リソースを局地戦に集中投下する」とか「情報を隠しながら成長する」とか、「尖った人材を集める」といった3つをベースにしつつ。あれから3年経ったので、もし広がりがあるんだったらそれにも少し触れながら、それぞれお話をいただけたらいいのかなと思うんですけれども。
最初に小澤さんからちょっと伺いたいなと思います。1つ目が「リソースを一度局地戦に集中特化する」ということなんですけれども、コマースや決済などのあらゆるヤフーの事業を見てこられた小澤さんは、例えば「このアングルから局地戦をやられると、PayPay的にちょっと苦しいな、面倒くさいな」ということってありますか? もう今だから言えること、考えていたようなことで。
佐藤:2年前ぐらいに考えていたこと。
溝口:そうですね、2年前ですね。
小澤:そうですね。まずこの3つが正しいというのは、もうすでに川邊の戦略にはまっているので、だまされていますね。
(一同笑)
溝口:あれは戦略だったんですか?
小澤:こういうところからスタートアップをちょっとだましにいっている可能性は、ゼロではありませんので。別にこれはベースじゃなくてもいいと思います。
溝口:マジですか(笑)。
小澤:ただ、まぁ一般論として当然ニッチから攻めていくということで、どこかにリソースを投じて一点突破するというのは、戦争でもなんでも当たり前ですから、当然取るべき戦略でしょうと。
その観点からPayPayでどうだったかと言うと、本当に不遜な言い方だし、申し訳ないと思いますけど、PayPay(が相手)では無理です。
佐藤:(笑)。
小澤:あのモバイル決済の領域は、やっぱり大資本が真っ正面から戦車でぐわーっといく戦いなので。ゲリラ戦じゃないというのが、一番最初に僕らが見切った話なんですね。
これはもうやっぱり、兵站を整えて物量でいかに突っ込んでいくかという枠組みをひたすら考えていました。少数のゲリラ戦ですと、正直どうしても物量に圧倒されるケースがあるので、そもそもスタートアップが戦う場所の選び方は考えるべきですよねと。
少なくともグローバルで見たときにPayPayに限らず、決済の領域はスタートアップは非常にやりづらいんじゃないですかね。まずスタートアップは、戦う場所の選び方から始まるんじゃないですか。
溝口:戦う場所が大事だと。
安武:でも小澤さん、極端な話、どこの分野でも金さえあればなんでもできるじゃないですか。
小澤:またぁ、嫌われるようなこと言いますねぇ。
(一同笑)
小澤:いや、そんなことない、そんなことない。
安武:でも、金があってもできないことがけっこう大きくて、それができるヤフーがすごいんじゃないですか?
小澤:いや、まずですね。(大企業を倒すためにベンチャー企業が取るべき3つの戦略のうちの)2番と3番は何でしたっけ?
溝口:2つ目は「情報を隠しながら成長しろ」と。
小澤:これね、リソースを局地戦に集中特化すると言ったときに、例えばヤフオク!とメルカリの例が出たと思うんです。それで、安武さんがおっしゃるニュアンスでヤフーの話をすると、上場しているので、だいたい四半期の決済とyear on year(前年比)にずっと縛られています。
なので、ヤフオク!って今でも数百億円の利益が出ていて。これだけを切り出したら、正直メルカリよりGMV(流通取引総額)もでかいし、利益もめちゃくちゃあるんですが、この利益をゼロにするとか、赤字にしてマーケティングにすべて突っ込むという意思決定がやれるかやれないかと言ったら、もちろんやれるんでしょうけど。
今まですごく躊躇、躊躇、躊躇。なぜなら、上場企業の経営者としての判断の限界があってできないということは各領域であるんですね。
またその人材も……なんと言うんですかね。全事業の中ではエンジニアはたくさんいるけれど、部署ごとに見たら実は少ないということも往々にしてあるので。非上場で赤字でも市場からの評価に捉われず、株主側が非常にクローズドな状態で、赤字OK、リソースも潤沢に確保という戦い方は、上場していない時のほうがやりやすいですよねと。
ヤフーはペイメントの領域は、将来を見据えたうえでズガンとやったけど、安武さんにおっしゃっていただいているほど、全領域でそういう判断が下せているわけじゃないので。
やっぱりスマートニュースが出てきたり、メルカリが出てきたことに対して、ちゃんと対応できているわけじゃないですよね。
安武:でもその中で、こうやって極端に突っ込もうという決済のエリアがあったり、逆に言えばニュースや二次流通もでかいとは思うんですけれど、「そんなに身を切ってまでやらねーよ」ということは、何か判断の基準があるんですか?
小澤:それはもう各会社や経営陣の判断軸はそれぞれでしょうけれども、我々の場合は常に伸びしろを見ています。結局、現金がまだこれぐらい流通しているんだから、クレジットカードが20パーセント残ったとしても、残りは数十パーセント。
消費において全体の決済が小売りで140兆円あって、サービス業が同じぐらいあって、合わせて300兆円ぐらいあるとして、そのうちの30パーセントだと90兆円ぐらいまでいく可能性があるよねというと、伸びしろがすさまじいです、と。
一方でニュースだったり、そもそも広告は全体で6兆円です。もちろんその売り上げとGTV(総取引額)を平行で比べるわけにはいかないですけど、事業領域としての伸びしろは、先ほど申し上げたように、この領域だったらパーツが揃っているので、勝てるか・勝てないか。
自分たちが一番最初にスタートできる可能性がある。ちょっと遅れていても後からまくれる可能性があるところで、突っ込むか・突っ込まないかを決めているんです。
中古の領域で切っちゃうと、当時はどうしても中古のマーケット全体がそんなに大きくないように見えていたので、突っ込みきれなかった。だけれども、それはもう見誤りなんですね。でも、決済はそういう見誤りをしちゃいかんよね。なんならeコマースもヤフーはずっと見誤ってきたんです。
なので、遅ればせながら8年前にぐーっとやっている感じですかね。
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