2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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米良はるか氏(以下、米良):先ほど「評価」という話もありましたが、(お金に関して)「もっとこうなればいい」というように思うことを、私は御三方に聞いてみたいと思っています。すいません、質問です(笑)。
杉山文野氏(以下、杉山):いや、もうモデレートしていただいて。あとはお任せしますから(笑)。
(会場笑)
米良:(笑)。青柳さんに聞いてもいいですか?
杉山:そうですね、では、青柳さんに。
青柳光昌氏(以下、青柳):確かに米良さんが言うように、(お金を)出す側もやっぱり、今までずっと古いやり方で来ましたから。財団法人なんて本当にもう、助成金しか出していないことが多かったんです。助成金だから、寄付と性質的には一緒なんですよね、どんなに成功しても戻ってきませんから。そうすると、もらうほうはもらうほうでそれはいいんですが、やっぱり出す側ももらう側も甘えが出ちゃうんですよね。
失敗しても、別にお金を返さなくていいですから。「あぁ失敗しちゃいましたね、残念ですね」というところは、お互いにあるんです。だから財務的にどうだ、というような責任は生じませんから。私は、20数年間そういったかたちでNPOを支援をしていて、すごく成長したところは本当に少ししかなかったのです。その一つの原因としては、やっぱりそうしたことがあるんじゃないかと思っています。
だからやっぱり、普通にお金も規律性が伴う投資のほうを、この世界でも持ち込むほうがいいんではなかろうかということです。でも、普通のベンチャーキャピタルのようにやると、それはそれでゴリゴリ始めなければいけませんから。
かつ、「そのビジョンを捨ててまでリターンを出せ」というようなことは当然やりたくありません。それはビジョンをきちんと大事にしてもらいながら。つまり、社会問題を解決することを優先しながら、すこしはリターンも出そうねというようなことです。
そこの規律性があるお金というものを、たくさん増やしたいと思っています。そうしたモデル事業をたくさん始めるようにしたんですが、まだ総量的にはぜんぜん増えてはいないんですよね。でもおかげさまで……うちのおかげではありませんが、日本の中での市場は昨年が3,000億円ぐらい。こうした「社会問題解決のために投資で使いましょう」というお金が3,000億円ぐらいなんですね。その前の年が700億円なんですよ。だから、4倍ぐらい増えています。さらにその前は300億円ぐらいなんですよ。
ここ3年くらいで、倍、倍、4倍、というようになっている。この勢いはもっと増えると思うんですよね。だから本当に、ビジョンがあって、事業の成長イコール社会の問題解決に向かっていくところが、すごく大事なんです。お金を出す側も柔軟に、そちらのほうに使いたいということがあるといい。
これは、私のようなちっちゃな財団ではなくて……今やっている私の財団は、親元は大きいんですが、すごくちっちゃい財団なんですよ。ちっちゃな財団だけではなくて、「機関投資家」と言われるような保険会社であったり、金融機関さんも、そうしたお金を一部使おうということで。1社当たり数十億円単位で使うようになってきているので、明らかにそうした太いお金の流れも少しは増えつつあると感じていますね。
杉山:今のお話について、宮城さんはいかがですか?
宮城治男氏(以下、宮城):まったく共感するところなんですが、さらに話を広げてもいいですか?(笑)。今の話をさらに広げると、もうお金という概念自体がすごく進化しているんだろうと思うんですよね。「何か魅力を作って資金をゲットしよう」という感覚ではなくて、やっぱり「どうやって価値のあることに流していくか」「つないでいくか」という感覚だと思っています。
そうした意味では、大学生などを見ていると、ある意味「クラウドファンディングネイティブ世代」と言えるかもしれないし、「資金調達革命ネイティブ世代」かもしれませんが(笑)。
(会場笑)
あるいは「仮想通貨ネイティブ世代」かもしれない。まだそこまではいっていませんが。彼らの感覚で言えば、我々が思ってきたような資金調達の概念、あるいはお金ということに対する概念が違うという気がしています。ライトなんですよね、本当に。
だからそうした視点で言うと、すごくリテラシーの問題として「いや、いろんな資金調達の仕方があるよね」「そうした選択が可能だよね」というような感覚が、かなり育ち始めてもいます。まったく知らない人と、相当詳しい人、または詳しい人とつながっている人、ということでずいぶんギャップがあるんですが。
その、何て言うのかな……まなざしの違いのようなものが大きいと思っています。そうやって見方を変えると、実はたくさんの手段がある。先ほどの「NPOだから資金調達ができない」でもなく、「社会にいいことだからNPOでなければならない」「寄付でしかお金を集められない」でもなく、という流れが起きているのではないだろうかという気がしています。そうした中で、ここにいるみなさんは、それぞれの場所を担当しながらプレーをしているような感じなのではないかと。
杉山:たぶん、今ここにいる中で、僕だけが使う側の人間なのではないだろうか、という気がします。そうした視点で聞いていると、また別の視点で課題があるんですね。
やっぱり資金調達ができるようになってきたり、お金の規模が大きくなればなるほど今度は、例えば今まではずっとボランティアでやってきたりしていると「活動家は貧乏であれ」というような(笑)、そうしたプレッシャーのようなもので……それこそお金が回ってくると「あいつ、あれで儲けてるんじゃないか」というようなプレッシャーがかなりある。
当事者コミュニティとして、僕はLGBTの啓発をやっていますが、なにかそういうところがあるのかもしれないとも思います。そうした足の引っ張り合いで、せっかくのチャンスを取り逃しているようなところもあるのだろうか、と思いながら聞いていたのですが。
大吾さんに一つ質問をしてから、今日はすこし早めにオープンにしたいと思います。お金の流れが変わってきて、資金調達も本当にしやすくなっている中で、こういった時代だからこそ、「使う側にはこういうことを期待したい」というものがあればうかがいたいのですが。
佐藤大吾氏(以下、佐藤):おー、なるほど。ありがとうございます。とても大事な視点だと思いますね。僕は何回か起業していますが、まず、僕自身はクラウドファンディングでお金を集めていないんですよね(笑)。
なんとなくこの7~8年間に限っての印象としては、クラウドファンディングはもちろんですが、ベンチャーキャピタリストやあるいは個人のエンジェル投資家さんなど、表に出てくる人たちがたくさん増えてきましたよね。みなさんも知っているような、新聞でよく名前を見る個人投資家さんなどもいるじゃないですか。
だから、投資家の多様化がすごく進んだと思うんですよ。ベンチャーキャピタルというのはもうビジネスモデル上しょうがないんですが、やっぱりターゲットリターン、「20パーセントぐらいは儲けさせてくださいよ」というようなことになるわけじゃないですか。
「20パーセント、30パーセント、儲けさせてください」など。すごく高いんですよ。そうした期待で投資をするんですが、やっぱりそれがハマる会社と事業内容もあれば、どうがんばってもそうはならない事業内容というものがあるんですよね。
僕も投資をネットで仲介したり、あるいはファンドを作ったので、ファンドで投資をするというように、いろいろなことをやりました。地域創生ビジネスなども今、花盛りでしょ。例えば民泊が無茶苦茶増えていますよね。古民家を再生してそこに外国人を呼び込んで、宿泊料で儲けていって、投資家に配当を出しますよ……というようなモデルで、「20パーセントの配当を出します」なんていうのは絶対嘘ですから。そんなの、なかなかね。
結果としてそうなることはあるのかも知れません。でも、それを最初にあらかじめ約束して「出資してください」というのは、超絶ダウトだというような。やっぱり、せいぜい3パーセントや7パーセントなどの間ぐらい。がんばってもそんな感じなんですよね。いろんな人にヒアリングをして、いろんな実績も出して、がんばってやりましたけれども、そんなもんだなということがあります。
でもね、「利回りが5パーセントしか貰えないんだったら出さないよ」という人ばかりではありませんから。最近は「ぜんぜんOKですよ」と。「元本が返ってきたら、そのお金をまたどこかに出したいので、ぜんぜんそれで実はいいんです」という政策投資的なことを、金融機関も一部言い始めています。
ターゲットリターンをものすごく高く設定して「儲けたいです!」という純投資の目的と、そうではなくて「世の中に貢献するために投資枠を作りました」という、先ほど青柳さんがおっしゃったような「目標利回りが低くてもかまいません」という予算があったりするんですよ。
佐藤:そうしたことを、調達する側がやっぱりきちんと勉強しておいたほうがいいと思います。そうじゃないと、まず「ピンポーン」と押す先が違うんですよ。純投資で「20パーセント、30パーセント儲けさせてね」という部署の人は、もうものすごく、いわゆるエコノミックアニマル的な。当然、「お前、これどないして儲けるつもりや」というような話になりますよ。そして、そのミーティングも厳しいし。
でも、そうではなくて地域創生にまつわる部署は、だいたい5パーセント前後ぐらいのターゲットリターンで設定されることが多いので。ゆるくはなりませんよ?(笑)。ゆるくはならないけれど、そうしたところの窓口は違うんですよね。
だからみんなも、だいたい「寄付を集めるには」「投資を集めるには」「資金調達をするには」といろんなパターンがあるけれど、一言で言っちゃっているけれど、実はものすごく細分化されているのです。窓口が全部違うから、ちゃんと勉強していかないと、なんか「あれ? そんなつもりじゃなかったのに」というようなことになるんですよ。
お金を受け取る側は弱い立場でしょ。みんな、「イコールパートナーです」と言いますよ。でも、最初の入り口はイコールにはなりませんよ。そりゃ「お願いします!」というようなことになるから、そうすると「あれ? 俺は違うところに話しかけているんじゃないか?」と思いながら、なぜか話がスッスッと前に進んじゃって後で後悔、というようなことにならないように、ある程度ヒアリングをされたらいいんじゃないかという気がいたしましたね。
杉山:はい、ありがとうございます。では5分ほど早いんですが、せっかくなのでここでオープンにしまして、みなさんからのご質問を受けたいと思います。では最初に、3つぐらいご質問を受けます。
(会場挙手)
では、最初に1、2、3(人の質問)までいきましょうか。どなたに質問したいのかが明確にあれば、それもおっしゃっていただけますか。では、そこからいきましょう。
質問者1:クラウドファンディングでお金が集まりやすい時代になっているとは思いますが、それに伴う新たな課題や、逆に今後気をつけなければいけないというポイントがもしあれば、みなさんにおうかがいしたいです。
質問者2:青柳さんにぜひ質問させてください。先ほど「お金を出すかどうかの判断基準は、事業計画よりそのチームの『人』が重要になってくる」というお話をされていたかと思います。その中でも「このチームが本当にやり切れるのか」と感じるパターンや、「もしかしたらこれはやり切れないのかもしれない」という実感と言いますか、特徴があれば教えていただければと思います、どうぞよろしくお願いします。
質問者3:主にクリエイティブ分野に関してのクラウドファンディングのお話なんですが。例えば映画へのクラウドファンディングなどはよくあって、制作費の一部などを補填するような目的で、寄付型を実施する。身近でそうしたものを聞いたり、自分も実際に利用したことがあるんですが。
例えば投資型のクラウドファンディングというかたちで、より多くのお金を集めて、製作費自体をすべてまかなうようなかたちが実際にあったり、仕組みとして成り立つのかとをおうかがいできればと思います。
杉山:どなたというのはとくに?
質問者3:はい、とくには。
杉山:では、最初の「新たな課題」というところで、「チームのやり切れる感の実感」は青柳さんにお答えいただきましょう。クリエイティブ分野は、どうしようかな……では先に「新たな課題」というところで、宮城さんに。
宮城:はい。それで言えば先ほど大吾さんが話してくれたように、勉強しなければいけなくなったと。新しく勉強すべき領域が出てきた、ということで言えば、グロービスに来ていることは正しいと言えると思うんですよね(笑)。
(会場笑)
一方で、あえて「課題」というように考えるほどの課題があるかというと、先ほどお話したように、90年代のことを思えば比べられないぐらいやりやすくなっているわけですよ。だから「勉強しなきゃいけない」などということは課題のうちに入らないというか、やればいいという話ですよね。
もちろん落とし穴のようなものは必ずありますよ。でも、昔話をさせてもらった側から言えば、本当に「課題があるかもしれない」などということを心配する必要は、もうほとんどありません。
ないというか、そういった思考をすること自体がリスクだといういうか。だからむしろ、ある意味、やって失敗したほうがいいということです。やっぱりそうしたタイミングにいるということをみなさん、ラッキーだと思ってもらいたいし、楽しんでいただくのがいいのかなと思いました。
杉山:はい、ありがとうございました。じゃあ米良さんも?
米良:課題という意味では、やっぱり利用者がどんどん増えてきていますから。今「プラットフォーマーがすごい増えてますよね」と言われているのですが、乱立時代は4年前ぐらいに1回、終わっているのです。そして、今はもうほとんど数社しか、実際にちゃんとランニングしてる会社はない状況なんですね。
クラウドファンディングは、かなり注目されているマーケットでもあるので、プラットフォーマーがあまり覚悟なく……と言うとおかしいのですが、入ってくることはまた起こるだろうとは思っています。またお金を扱う事業なので安心安全に使っていただけるように協会を立ち上げるなど、業界全体の課題として取り組んでいます。
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