2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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神谷憲司氏:2017年の初頭にミッションを決めました。ミッションっていうのは、自分たちの軸になっていきます。それをどう決めるのか。承認欲求とかで「認められたい」っていうのは、他人の軸に合わせていくっていうことなわけなので、そうではなく、自分の軸でしっかり判断できるようにミッションを作っていくということをやっていきました。
これがWHITE社のミッションです。「あたらしい、を価値にする」を定めました。これは今も有用なミッションとして、引き続きここを目指して頑張っています。
このミッションが決まって、何をするかっていうWhatの事業の選択に入ります。僕らは「受託型のイノベーションデザイン事業」を選んできました。これって労働集約モデルになるので、株主とか周りからすると「ここから先、大丈夫なのか? ちゃんと儲かるのか?」みたいな視点でいろいろと指摘を受けました。
また、未知の領域ということも指摘の原因としてありました。新規事業立ち上げってノウハウが確立されてないんです。0→1のとこだったりするので、「ほんとにできんのか」と。あとは「広告事業と比較して◯◯」って常に語られるんですけど、その広告事業と比較して「市場ないんじゃないの?」ぐらいのことは相当言われました。
でもミッションからすると、この「新しい、を価値にする」っていうのは、世の中に新規事業をぽこぽこ立ち上げていって、新しいものを世の中に普及していくことだと解釈していたので、「だから、やる」っていう判断ができたわけです。自分自身の判断の基準が確立されている状態ですね。
この軸があると、Whatの事業が考えやすいんじゃないかなと思っています。
例えば大きな企業で言うと、「ミッション:美しい生活文化の創造」。これは資生堂さんですけど、資生堂さんには化粧品事業と飲食の事業、二つの事業があります。
もともと化粧品事業をやってた資生堂さんがWhatを考えたときに、いきなり飲食っていうところにはすぐには行かないはずです。ですが、資生堂は化粧品を売っているが、そもそもなぜその事業をやっているのかってところに立ち戻ると、「美しい生活文化の創造をする」会社であるという、概念としてのミッションがあると。
ゆえに飲食のほうもやる。生活文化において欠かすことができない食文化を牽引することで、そこに美の追求をしていくのが資生堂である、という解釈で新しい事業が立ち上がっている。そういう構造です。ミッションがしっかり決まっていると、このWhatというのに関連ができてくるということですね。
それで、ミッションが決まり、WHITEがそのあとにやったことは、コアバリューというものを決めることでした。コアバリューがどういうふうに機能しているかというと、上からビジョン、ミッションがあって、事業開発、組織開発があって、それらを支えるのがコアバリューですね。
ビジョンで言うと、WHITEが最終的に目指したい世界と捉えています。「Make the World “Healthy” with Innovation」ということなので、「イノベーションで世界をヘルシーにしていくぞ」というのが、WHITEが掲げているビジョンになります。それを実現するために、ミッションとして「新しい、を価値にする」がある。これがWHITEの果たす役割です。
このミッションの実現のために事業があり組織があるんですが、そこを構成する社員たちが日々の行動の中で、この上向きの行動をどうとるのかっていうところが重要になります。その行動をとるための価値観だったり行動指針が、このコアバリューです。ここを決めていくっていうことをしました。
一番最初にミッションを決め、そのあとにコアバリューを決めていくっていうことをしてきたんですが、今回の説明ではコアバリューだけ説明をさせていただこうと思っています。
我々のコアバリューはこの8つですね。
「ちょっとでもたくさんでも、新しい、のあることを。」「挑戦にこそ学びがある。」「自分とちがうは、おもしろい。」「思ってるだけじゃ伝わらない。」「独創と共創で生みだす。」「どうしたらワクワクする?」「持続可能性を忘れない」「変化を楽しみ、変化をつくる」……こういったものがコアバリューとして、今制定されています。
これがあると何が変わるのかというと、人じゃなくてミッションに向かう組織ができあがっていくんです。どういうことかっていうと、コトよりも関係性が重要な組織って結構あると思うんですよ。
「メンバーから嫌われないこと」がもっとも優先順位が高い組織だったりとか、「自分で極力意思決定をしたくない、責任とりたくない」っていうことだったりとか。あと「全員合意のもとでコトをすすめる」とか、「プロセスを重視」したり、牛歩戦術みたいなことで「時間をかけて反対派をおさめる」みたいなことをしていく、みたいな。
最終的に何を達成するのかってことよりも、その場にある関係をうまくやり過ごすことが重要な組織になってしまっています。それをコトに向かう組織にしていくためには、「コトに共感したメンバーが集まる」状態になってなきゃいけない。それを実現するには「最適な合意プロセスを採用している」ようにならなきゃいけないとか、「本音が言える心理的安全性のある場所を作っていく」ことだったりします。
コアバリューそのものですが「行動指針・組織文化を作っていく」ことで、外に向かう組織を作る。このためにコアバリューを決めました。
これをやると何が変わるのかっていうと、やっぱり人に向かっていってしまうんですよね。「あの人はなんでこれをやってくれないの」とか、「ぜんぜん価値観違う……どうしよう」みたいな。ここでケンカが起こったりだとか、妬みが発生したりだとか、そういうことが起こっていきます。
基本的にミッションを向いて、そこに向かってコアバリューを意識した行動をしていくと、ワクワクする。「これってワクワクする!」みたいなことが対話に出されて、お互いを見るんではなくて、ミッションを見ながら物事を判断していくっていう流れができてくるのかなと思っています。
こうしたことをやってきたんですけれども、それによって社員の関係性が、かなり変わりました。思ったことが言い合えるような関係性というか、組織になってきていて心理的安全性が高い場所になってきたのかなと思っています。
これ、決めただけではもちろん意味がありません。浸透させて、個々人の行動を変えていかなきゃいけないと思ってます。コアバリューって日々使えるものじゃなきゃいけないといけません。
そのために、浸透施策っていうのもいろいろやっているんですが、その中で一番ワークしてるのは何かというと、Slackのスタンプです。それぞれここにあるのがコアバリューのスタンプなんですね。Slackが日々のコミュニケーションで使われてるツールなんですけれども、どうやって使われるかっていうと、誰かが何か行動を発表したり発言をしたときに、コアバリュー視点で評価・賞賛していく、っていう行動が日々できてきました。
これは本当にごく一例なんですけれども、コアバリューを決めて、こういった浸透していくような施策をする中で、組織の心理的な安全性が予想以上に高まっていくということが起きています。
次に「マイミッション」というものを設定するということをやってきました。マイミッションというのは会社のミッションとは違って、それぞれ個人のミッションです。個人として何をしていくのか、何をしていきたいのかを決めていくことをしていきました。
会社と自分のミッションを繋げていかないとダメなんだな、っていうのが今やってきてわかっていることです。マイミッションがない状態だと、結局は会社から指示されて動いている状態になってしまう。そうすると内発的なモチベーションで動いていかないっていうことになります。
そうした状態を変えるために、マイミッションを定めて、そのマイミッションと会社のミッションをいかに寄り添わせていくか、ということに取り組んでいます。で、マイミッションが達成できるからWHITEにいるっていう状態を作ろうと思いました。
例えば私の例で言うと、私はもともとミッションを自分で考えたりしているのでほぼほぼイコールなんですけど……会社のミッションは「新しい、を価値にする」ですが、私個人のミッションとしては「新しいことを始める人の孤独をなくす」ことをマイミッションとして設定しています。
これができると「新しい、を価値にする」というのに繋がっていくので。私個人で言うと、会社のミッションとマイミッションというのはほぼ一致しているような状態です。
これをどういうふうに決めていってるのかっていうと、社員が今43人いるんですけど、私と社員と1on1で決めていくということをしています。
(スライドを指して)これ、来週の僕のスケジュールなんですけど。オレンジのところは全部1on1ですね。大半が社員とのマイミッション設定になっているという状況です。これ、3ヶ月に1回やっているんです。これを本気でやるには、やっぱりリーダーがちゃんと熱量かけていかなきゃいけないなと感じています。
これをやることで、それぞれが「何やりたいの?」って言われたときに、ちゃんとやりたいことが出てくるような状況が作れるようになります。
例えばごく一部ですけど、うちの社員のマイミッションで「働く人の不安をなくしたい」みたいなことを言ってる人がいたり、「少子化なくしたいぞ」って言ってる人がいたり、「世の中から寂しさをなくしたい」と言ってるような人がいたりだとか、「世の中や人を動かす仕組みを解明する」みたいな人もいます。
こういったマイミッションがやりたいこととして言語化されることで、価値観が明確になっていくわけですね。
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