2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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司会者:みなさん、おはようございます。先週の金曜日から「SOSIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」というイベントをやっているんですけれども、今日でいよいよラスト2日間。昨日から「DIVE DIVERSITY SESSION」という、このセッションを開催しています。昨日6コマやって、今日は7コマ目となりますが、今年のテーマは「本質」です。
今回は、「エンタテインメントの本質」というテーマで、株式会社コルクの代表取締役である佐渡島庸平さんと、アカツキ創業者でもあり、COOの香田哲朗さんにお越しいただきました。佐渡島さん、香田さん、どうぞご登壇ください。
(会場拍手)
では、ここから二人にバトンタッチさせていただきます。最初は少し、自己紹介から入りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
佐渡島庸平氏(以下、佐渡島):コルクの佐渡島と申します。僕はもともと、講談社という出版社の『モーニング』編集部で、漫画の編集を担当していました。それで、当時は作家の作品の出し先は、雑誌と単行本しかなくて、出版社に頼るしかなかった。でも、インターネットの中だと無数の出し先があり、大きな変化が起きると思ったんです。
TwitterやInstagramで有名になった後に、どう自分のキャリアを築いていくのか。キャリアパスが無数にあるので、作家とプロデューサーのようなかたちで戦略を立てていくことが必要になるだろうなと思いました。それで、ストーリーを作るクリエイターの方のエージェント会社を作ったのが、コルクです。ちょうど6年回って、7年目に入ろうとしているところです。よろしくお願いします。
(会場拍手)
香田哲朗氏(以下、香田):おはようございます。アカツキの香田です。僕はもともと、学生の頃やアカツキを創るまでは、エンジニアとしてやっていました。それ以降は会社を創ったり、事業を創ったりしていました。佐渡島さんみたいに、明確に編集者というところでやられていたのと違って、自分が何者なのかが曖昧なんですけど。
1つ言えるのは、エンタテインメントの肩書きでやってきています。アカツキという会社を軽くご紹介させていただくと、ビジョンが「A Heart Driven World.」、ミッションが「Make The World Colorful.」と、書かせていただいています。21世紀型というか、大量生産の機械型から、AIやバイオテクノロジーが発達するにつれて、より人間らしく、というか。
アカツキでは、個性が輝いていく世界を自分たちの力で実践したい、お手伝いしたいと、このビジョンを掲げています。領域はエンタテインメントです。今はモバイルゲーム事業を中心にやっています。また、ライブエクスペリエンス事業では、リアルな場所の遊びを作ったり、AIやMR、リアルとバーチャルの融合を研究したりしています。
いろいろ取り上げていただいているんですけれども、ライブエクスペリエンスの1つで、「SOTOASOBI(そとあそび)」というアウトドアアクティビティの予約サービスも行っています。
SIW期間中は渋谷のセンター街の中で、MRを使った(デジタル卓球アクティビティの)「PONG!PONG!」という、新しいテクノロジーで卓球をより複雑化したゲームなどの催しものを出しています。
横浜で3,600坪の郵便局の跡地をリノベーションして、複合型エンタテインメントとしてリユースしたりもしています。このほかはデジタルでやっていたんですけれど、(リアルな場所も含めて)幅広くやっていこうということです。
司会者:では、ここでキーワードを少し表示させていただいて、お二人に「エンタテインメントの本質」というテーマでお話しいただきたいと思っています。
「次世代のスターはどこから出てくるんでしょうか」というキーワードです。今、さまざまな形で、作家の育成であったり、プロデュースであったり、エンタテインメントのコンテンツが作られる時代になってきているんですけど、次世代のスターはどこから出てくるんでしょうか。香田さん(お願いします)。
香田:そうですね。「エンタテインメントの本質」というお題は超広いな、と思っています。これはぜんぜんわからないと思っています。答えはないんですけど、1つ言えることは、メディアなどが分散化してきているというところです。これを良いことと捉えるか、悪いことと捉えるか。昔みたいにみんなが知っているというよりは、小さなファンがついている人たちが、たくさん増えてきています。
それこそ、美空ひばりさんのような国民的スターは、これから先、出てくるのか、出てこないのか。もしくは出てくることが良いことなのか、悪いことなのか。そういうところを、佐渡島さんとお話ししてみたいなと思っていたので、今日は楽しみにして来ました。
佐渡島:ドラクエの堀井(雄二)さんにしても、ドラゴンボールの鳥山(明)さんにしても、初めに世界観を生み出した人が、、クリエイターとしてスターになる。アカツキが作っているゲームは大ヒットしているけれど、具体的なスターのクリエイターの名前が表に出ていないですよね?
香田:そうですね。
佐渡島:それは意図的なのか、メディアのせいなのか。その辺りは、戦略があるのですか?
香田:ゲームでいくとプロデューサー、もしくは、グラフィックを描いているスタッフもそうだと思うんですけれど、「これをスターにする」というのは、意図的にやっていないというよりは、「今はやっていない」というところです。これからやっていくものづくりというのは、1つ違う時代の課題の中に入っているというところですね。
佐渡島:なるほど。これから、アカツキ自体は、スターを育てようという工夫はされているのですか?
香田:スターを育てる工夫。社内では……今日、僕が持ってきたスターというのは、会社の中でのスターではなくて。今日のお話を聞いて、確かにうちってスターを育てようとしてるのかな。どうなんだろう(笑)。
佐渡島:やはりコルクだと、明確にスタークリエイターのエージェントをしたいな、と思って仕事をしています。
香田:そうですよね。
佐渡島:「スターになってからエージェントさせてください」じゃなくて、その前段階で見つけようと思うわけです。僕の中では、かなり深い悩みがあって、僕個人が人間として成長するための信条として、まずは量をこなすんです。
量をこなしていっぱいやった後に、その量をこなしたものが一個一個の質を上げていくというやり方で、編集者としての技術は成長したという認識があるんです。でも、今、うちの会社は、15人弱くらいのクリエイターしかエージェントをしてないんですよ。
香田:作家さんとかですよね。
佐渡島:そうです、小説家とマンガ家。作家も、出会ってすぐにエージェントするのではなく、じっくり人間関係を築いて、3~4年経ってから契約する感じなんですよ。支えていいものを作る仕組みが安定していったら、クリエイターの数を増やしたいと思っているので、会社のやり方は僕の信条と逆なんですよ。
UUUMの決算発表を見ていると、すごい量のYouTuberを登録しています。たくさんの人に登録してもらって、それからコンテンツの質を上げるチームを作り出しているようです。そして、結果をしっかり出している。
クリエイティブな組織を作る時に、数をこなすことを優先するのか、じっくり作ることを優先するのかが、今一番の悩み。時代を超えて残るものが作りたくて、そこは僕の譲れない価値観でもあります。
香田:そうですね。僕がすごく思っているのは、YouTuberやSHOWROOMなど、「素人っぽさが逆にいいよね」というのでウケているものと、「本当にハイクオリティなものって、誰が見ても素晴らしいよね」というのを、時間をかけて積み上げていくというのが、けっこう両極端に分かれているのかな、と思っています。
香田:僕もどちらかというと、佐渡島さんの言う、残るものに時間を費やしていきたいな、という価値観があります。けれど一方で、素人というか、共感型の人たちが、これからの時代の大きな流れになってきているのかな。その両方があるなと思っているんです。
例えばゲームの現場だと、いわゆるパフォーマンスだったり、作家さんみたいなところとは違って、「50人で2年間かけてゲームを作ります」「予算は10億円です」というところがあります。さっき控室でも話していたんですけれども、誰かの強い個性に特化して作っていくというよりは、まずマーケティング的に、ちゃんと市場があるところで10億円を積んで作って。
この条件だったら100億円なのか、それを回収できる見込みがあるものを、より計画的に、安定的に作っていく。そういうところが、ある種、ビジネスとしてはすごく大事になってくるポイントです。かさ増しするほど、数が作れなくなってきて、そういうところで言うと、業界としてすごくよくない状況です。みんなが計算できるものしか作れなくなってきているよね、というのが、いわゆるソーシャルゲームでいうところの課題だと思います。
ちょっと前だと、コンシューマゲームでは、やっぱりIPとか、ナンバリングのタイトルしか出てきていませんでした。みなさんもそうだと思うんですけれど、プレステはやってたけど、プレステ2、3、4となるにつれて、どんどん市場がタイトというか、収縮していって。ニーズはあるけどコア化していって、そっち側にみんなが市場を集約しているような。決して健全な方法じゃないな、と。そうなっていると、結局スターを生みづらいのかなと思うんですよね。
佐渡島:そうですよね。「共感型のもの」が、初見の人でもわかるとは限らない。例えば、YouTuberの動画って、毎日しっかりその人を追って見ていないと、中で使ってる用語とか、いろいろなものがほとんどわからない。だから、毎日見ている人にとってはすごくおもしろい動画なのに、初見だとちんぷんかんぷん、みたいなことって起こりえる。
香田:逆にハイリスクなんですよね。
佐渡島:そうなんです。ハイコンテクストになることで、共感を生み出している。メジャーなメディアであるテレビや新聞は、ハイコンテクストになりようがない。だから、(マスメディアでは)ハイコンテクストでないものが良しとされている。
佐渡島:でも、例えば今の僕ら(にとって)は、江戸時代の文化はハイコンテクストで味わえないんですけれど、僕らの味わっているものの多くが、ハイコンテクストでできあがった上澄みと捉えることもできる。
ハイコンテクストは一概に否定できないかもと思い、衝撃を受けた情報があります。バッハの音楽って、僕らはリラックスするために聞くじゃないですか。
香田:コンサートとかもね。
佐渡島:でも、バッハの音楽は、ヨーロッパの30年戦争で、もう国(ドイツ)のほとんどの人が死んでしまっていて、心が荒みまくってる時に教会で聴いて癒される音楽なんですよ。
香田:へえー。そういう起源があるんですね。
佐渡島:そうなんです。だから、鎮魂歌なんです。そういうハイコンテクストの中で作られたものが、今はコンテクストが抜けて生き残ってるんですよ。
香田:なるほど、なるほど。
佐渡島:そう考えると、YouTubeのめちゃくちゃなハイコンテクストの中で、できあがった上澄みの中に、本当に歴史に残るものができるんじゃないかという。
香田:おもしろいですね。
佐渡島:そんな気がしていて、それでYouTuberとかV-Tuberに対して、総合プロデュースをすることが、次世代のスターを生み出すんじゃないかと思います。
香田:なるほど。バッハ(の時代)もそうだと思うんですけど、今でいうと、本当の意味での娯楽というか、社会がまさに荒んでいたり。例えば教会って、美術品などが造形美としても美しくて、今はもう美しいものを見に行く感覚で教会に行くけれど、昔は教えを広めるための集客装置だったりしたわけじゃないですか。
何かのために作ったものが、結果として素晴らしいエンタテインメントになって残っていく。今の時代は、そうやって作られているエンタテインメントって、何かあったりするんですかね。何か、社会課題や強い意図をもってつくられたもの。
佐渡島:ソーシャルゲームって、暇をつぶすものとして認識されています。暇をつぶすって、今は悪いことのように思われているけれど、真剣に考えられた暇つぶしから、コンテクストがぜんぶ抜けると、最高にすごいものができる可能性もあるなと。
香田:なるほど、なるほど。そうですよね。
佐渡島:3の倍数をどんどん足していく、「Threes!」というパズルゲームがあったじゃないですか。あれに僕はどハマりしました。「Threes!」が受け入れられたのはなぜなんだろうということを、かなり長時間考えていたんですよ。
香田:それは深いですね。
佐渡島:結局わからなかったんだけど。わからなかったのと、あまりにも自分がやりすぎるので、削除しました。究極の暇つぶしなんだけど、コンテクストがぜんぶ抜けても「すごい」とされるかもしれない。そういう何かがあるかも、と思っています。
香田:確かにそう。もう1回やってみます(笑)?
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