2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
リンクをコピー
記事をブックマーク
本日のテーマは「時価総額1兆円ベンチャーを育てるための金融資本市場の役割とは」ということでしたので、最初にこのお話をいただいたときに、私からGLOBISの事務局に「パネリストは投資家側から1人、バンカーサイド、証券会社サイドから1人、あと取引所から1人を出していただきたいとお願いしました。
それはなぜかというと、この前新橋を歩いていましたら、となりのサラリーマンが「だいたいGPIFがベンチャーに投資しないから悪いんだよ!」と言っていまして(笑)。
(会場笑)
「え、俺のせいですか?」と思ったわけです。だいたい、取引所に聞くと「いや、あれは実は証券会社がいけないんです」となりますし、投資家に聞くと「いや、ベンチャー企業が頼りないんです」と言って、お互いのせいにしているのです。
ここに対象者を出して、それぞれがお互いの責任にしているところを明確にして、「G1ベンチャーらしく、どうしたら改善するのか?」という方策を探っていきたいということで、この3人にお集まりいただきました。
ちょっとテーマが大きいのですが、かなりシンプルな質問で、あとはインタラクティブにやっていきたいと思っておりますのでよろしくお願いします。まず最初に全員にお伺いしますので、回答の前に簡単に自己紹介を加えてお答えいただければと思います。
1兆円企業というのは、みなさんの立場から見るとどういう意味があるのでしょうか? 1兆円企業といったらどういうことを考えますか? まずはそのあたりを聞かせていただきたいと思います。じゃあ最初は清水さん、よろしくお願いします。
私はゆうちょ銀行で3年ぐらい、プライベート(エクイティ)投資を行ってきました。
そして、企業への直接投資を行おうということで(2018年)2月にこの会社が設立されたのですが、4月には1号ファンドを、まず900億円規模で立ち上げまして、最終的には1,200億円くらいの規模にしたいと思っています。そのうちの3割くらいはベンチャーに投資するということで、規模としては現在の日本のベンチャーキャピタルのなかではけっこう大きな部類になると思っています。
我々が投資にあたってのフォーカスは、いわゆるアーリーステージではなく、グロースエクイティというか、レイトステージにあるベンチャー、ここにフォーカスを当てるということです。これはまさに先ほど水野さんからありました「1兆円企業とは何か?」ということにもつながると思います。やはり日本の上場企業は上場時のサイズがかなり小さく、これがその後のきちんとした企業の成長につながっていないのではないかと思います。
こういうことを念頭に、我々としては少なくとも1ビリオン (1,000億円)くらいまではプライベートのまま企業が成長できるようなパスを投資家として作ろうと考えています。
実はそこの部分は、日本においてかなりホワイトスペースになっているので、それを実際に投資家としてお手伝いすることによって、1ビリオン、10ビリオン、1兆円と、こういうところまで手伝うことができたら、ということです。
そして質問の「1兆円」という話なのですが、これはいわゆるベンチャーで、上場後まもなく時価総額1兆円になった企業となるとソフトバンクが筆頭だと思うんですよね。いまやソフトバンクは完全にグローバル企業になり、今では10兆円という数字になっているわけです。
こうした企業が日本から出てきているというのが非常に大切なことで、一方で、これからもいろんな企業が出てくると思いますが、そうした企業になることが一体どういうことなのかを考えると、まず、そういう企業がなかなか出てきていないということを考える必要があります。
そうした企業が生まれていないことは、結論から言えば日本が変わっていないということを示唆してるわけです。それはまさに1兆円企業を作るということは、逆に言えば、日本が変わることを目指しているということと、ある意味では同義なのかなという感じがします。以上です。
水野:ありがとうございます。それでは武田さん、お願いします。
武田純人氏(以下、武田):みなさん、こんにちは。UBS証券でインターネット・テクノロジー企業のアナリストをしています、武田と申します。
資本市場、とくにセカンダリーのマーケットで企業の価値を決めるという役割をいろいろな方たちと担っています。今日はその観点でお話ができたらなと思います。
さきほど水野さんからご質問いただいた「1兆円企業とは?」というところですが、これはなかなか確定した答えがあるとは思わないので、僕自身がこうあってほしいなと思うところを2つ、お話ししたいと思います。
まず1つが、時価総額1兆円は本当に意味がありますか? というところです。自分はやはり企業価値の部分、利益とバリュエーションで考えています。そういう意味では、ファクターが2つ、3つといろいろあるなかで、時価総額はそのできあがりのかたちなんですよね。
ですので、やはり僕は、時価総額1兆円の先には利益1兆円というところを目指していけるような会社があってほしいと思っています。それを踏まえると、時価総額1兆円、その先には利益1兆円を目指す姿がなければいけないと思っています。これが自分の中での「1兆円」のあるべき姿です。
もう1つが、さきほどのランチセッションでも同じようなことをお話ししたのですが、日本という市場でたくさんの企業を見ているなかで、とくに最近、ベンチャーマーケット、テクノロジーマーケットの議論において、ディスラプト、ディスラプションという単語がよく出てきます。僕自身はこのディスラプト、ディスラプションという言葉は大嫌いです。
おそらくこれから、1兆円企業というものがたくさん出てくるだろうし、出てきてほしいと思います。ただし、1兆円企業が1つ生まれたとしても、その結果として、例えば時価総額3兆円あるトラディショナルな会社の時価総額が1兆円になってしまったということであれば、これはマイナスサムなんですね。
これは本当の意味での豊かさなのでしょうか。そうではなく、日本全体の時価総額を大きくできるような1兆円企業が出てきてほしいと思います。そのためには、ベンチャーが1兆円企業になるのではなく、トラディショナルな3兆円企業が4兆円のバリューを出すほうが、実は現実的なのかもしれません。そうしたところをみなさんと議論していきたいとずっと思っています。
あともう1つ、日本に市場がなければ海外に市場を取りに行かなければなりません。海外にないのであれば、市場を作らなければならないのです。こういったかたちで、総額としての○兆円というところをどれだけ積み上げていけるのかを自分のなかでのテーマにしていますし、(今回の質問である)1兆円の答えにしたいと思います。
水野:ありがとうございます。それでは小沼さん、お願いします。
小沼泰之氏(以下、小沼):こんにちは。今日はよろしくお願いします。
取引所に入ってもう30年ぐらいが経過しまして、ぬくぬくと終身雇用をエンジョイしているという感じになってしまっています。
(会場笑)
朝(第2部全体会)のレノバの千本さんの話を聞いてどうしようかなと思いましたが(笑)。最初の10年くらいはいろいろな現場で勉強し、その後の10年くらいは海外担当になり、海外取引所と国内取引所、海外市場と日本市場の比較や調査などをやってきました。
そしてここ10年は上場分野で、現在は主に新興企業のIPO支援や、上場企業、とくに大企業のガバナンス強化などを担当しています。最近大企業の問題が多くて、少しプレッシャーを感じています。
さて、「1兆円企業をどう作っていくか?」というのはいろいろなやり方がありますが、全体的にはなんとなく「IPOのときに、みんなサイズが小さいじゃないか」といったことや「なんででっかいベンチャー企業がドーンと上場しないんだ」というような議論があると思います。
そのために何が足りないのか、今日もいろいろディスカッションできればなと思います。私の立場でいえば、小さく産んで大きく育てるという機能もあると思っています。一定の期間を経て1兆円企業ができあがればいいなという気持ちで見ています。
例えばマザーズに上場したあとで(東証)一部に上場したりするわけですが、果たして今の証券市場に、良い新興企業を大きく育てていくといった機能がどれだけあるのかという点については、きっと足りないところもあるんだろうなと思っています。今日のディスカッションでは、そのあたりについてもいくつかお話しできたらいいなと思います。
水野:ありがとうございました。
水野:自己紹介がてら、いくつかテーマを出してもらったので、思いついたところから掘り下げていこうと思います。
まず清水さんのところで、今回新しいファンドを作って、そのファンドが日本ではある程度サイザブル(大規模)なほうに入るということでしたが、実はGPIFで日本のベンチャーキャピタルへの投資を検討したときに、ほぼすべてのコンサルタントから「時間の無駄だ」と言われました(笑)。「(どのベンチャーキャピタルも)小さすぎて話にならないから、そこにエネルギーを注ぐ意味がない」と言われてしまったんです。
現実としてそういうことがあるんです。海外の投資家の場合、アロケーション(資産配分)から入ってくるため、ある程度のサイズがないと、そもそもベンチャーキャピタルそのものが投資の対象にはならないと思います。
まず「ベンチャーキャピタル産業」について、あるいは、時価総額1兆円企業が出ないという問題とベンチャーキャピタルとの関係性について少し掘り下げたいと思います。私は以前から、今の日本のベンチャーキャピタルのサイズ感や投資のステージングの考え方が、1兆円企業が育たない原因の1つになっているのではないかと思っているのですが、清水さんはそのあたりをどうお考えですか?
清水:「卵が先か、ニワトリが先か」という話もあると思いますが、やはりマザーズが小さすぎますよね。ベンチャーキャピタルのイグジットが実質的に、まずはマザーズへの上場となっているため、そこをなんとかしないといけません。別に小沼さんに振ってるわけではありません(笑)。また、小沼さんのせいにしてるわけではないのですが、そこは問題の1つだと思います。
一方で、先ほど申し上げましたが、最近では上場する際にPSR(株価売上高倍率)を評価するという感じになってきましたが、それでも結局は、トップラインを犠牲にしてボトムラインを作っていかざるを得ないということで、その瞬間に成長が止まってしまうわけです。
それを考えると、市場も投資家も含めて、なんらかのかたちでトップラインを伸ばしていく、そしてそれを大切にするという価値観を共有しなければ、そういう方向にはいかないのだろうと思いますね。
水野:今の話は、いわゆる赤字上場の話だと思うのですが、東証一部はできないとして、マザーズは赤字上場できます。一方で、上場のときのシナリオとしてはボトムラインの話になりがちだということです。NASDAQだったら、多くのメガベンチャーがNASDAQに上場してそのままずっとNASDAQにいたりしますが、日本だとどこかに「東証一部に上がらなければいけない」といった感じがあると思います。
もともとマザーズを作ったときは、機関投資家向けのマーケットを作るということだったと思うのですが、この現状、そして現状打破の見込みという部分で、東証の小沼さんはどうお考えでしょう? オフレコって言ってもらえば、SNSへの投稿はNGにしますし、あとでカットします(笑)。
小沼:ま、いいか。
(会場笑)
小沼:マザーズの会社を育てなければいけないというプレッシャーが強すぎたのは事実だと思いますね。1999年からスタートしたのかな。もともと機関投資家にも買ってほしい、また赤字でもぜんぜんいい、だからリスクを取って投資してよということでスタートしたのですが、スキャンダルが発生して、それで振り子が振れて、グーッと絞ったわけです。
それからリーマンショックがあって、「やっぱりもっと考えなければいけないんじゃない?」「IPOマーケットって、これじゃだめなんじゃない?」となって、あらためてマザーズ市場を再認識して「ここは赤字でもいいマーケットなんだから、やろうよ」ということで、少しはふくらんできました。
ただ、育てなければいけないため、「10年でどこかに行かないとだめよ」みたいな雰囲気があります。「10年以上居座るなら、専門家など第三者の意見などをもらわないとだめよ」みたいなことになっています。
マザーズにそういうプレッシャーを与えるのは1つの政策としてあったと思います。そういうことをやるのであれば、本当は一部とか二部とか、全体的になにか考えなければいけない部分もあるのかなとは思いますね。これから大阪と東京を統合してジャスダックも入ってきて、「いっぱいセクションがありすぎるじゃないか」という議論もあります。
いよいよ次に手を付けなければいけないテーマ、区分の話をもう1回議論しなければいけないフェーズに近づいているのかなと思っています。
水野:こういう言い方をするのもなんなのですが、マザーズの上場は、お笑いでいう「出オチ」みたいな感じがあります(笑)。正直をいって、出たときが1番おもしろくて、そのあとはどんどんおもしろくなくなっていくという印象があります。
私が前職で日本のベンチャーキャピタルの投資について調べたときに、コンサルタントに、レポートではっきりとそう返されたんですよ。「日本のマザーズは出オチです」と。「上場した最初だけで、そのあとは個人の投資家しかおらず、イグジットできなくなるため入ってはいけません」と言われました。
水野:そこは武田さんのご意見もお伺いしたいと思います。今週大きな上場があるらしいということで、外国人の投資家が入ってきているという噂もあるのですが、今後変わる可能性やその兆しというのはありますか?
武田:自分が感じるところで申し上げると、たぶん今水野さんがお話をされた出オチ感というか、はっきりいってしまえば上場ゴールみたいなことをいう人たちはたくさんいます。そう思っている人たちが資本市場のなかや、我々がお付き合いしている機関投資家のなかにもたくさんいるのは事実です。
その意味では、未上場と上場との間で、なんらかのコミュニケーションギャップがあるんだろうと思います。また、上場してからというところで、その企業に対して健全なかたちで資本市場が機能していない可能性があるところは考えるべきだと思います。
一方で、マーケットがマザーズの会社には投資しないのか? という点については、少なくともグローバルのすごく大きなファンドなどでは、マザーズだから投資しないといったようにルール化している会社もあるとは思います。ただ、そこは今回の大型上場ではどうなのかというのはわかりません。
逆を言えば、日本のそういう会社に投資しないとパフォーマンスが上がらないというところで、スタンスが変わってきているのも自分自身が肌で感じています。
もう1つだけお伝えしたいのが、さっきの出オチ感、上場ゴールみたいなところの課題というのは、おそらく経営の方たちも含めたベンチャー側のみなさんが、もうすでに十字架として背負っていて、なんとかしなければいけないという思いは非常に強いんですね。
その思いがあるから、逆に、上場したあとはしっかり業績を出さなければいけないと考えるのだと思います。あるいは我々のほうとしても、しっかり業績を出さないと「ほら見たことか」となり、先ほど清水さんからお話しいただいたような健全なかたちの赤字が掘れないといったことが起こっているのかなと思います。
例えばなのですが、今回タイミング的に、ちょうど1ヶ月前くらいが、日本企業に多い3月期の決算が出揃うころだと思います。自分がリサーチしているインターネット・テクノロジー系の会社では、2019年3月期のガイダンスがyear-over-year(前年同期比)で減益というところが、びっくりするくらい多いんですよ。
それはトップラインが伸びなくて減益ということではなく、さまざまな要因があるのですが、成長投資したいですというところに対するマーケットの反応がほぼ一様にネガティブです。このあたりはやはり考えていかなければならない課題だと思っています。
水野:清水さんにも聞きたいのですが、その前に、今の話は上場市場のいわゆる機関投資家の反応と個人の反応ですよね?
武田:そうですね。
水野:そうですよね。そのネガティブさを変えるためには、それこそアナリストのアナリストレポートから変えていかなければならないと思うのですが(笑)。
(会場笑)
武田:すごいブーメランで返ってきました。帰りたくなっちゃうぐらいなんですけど(笑)。
(会場笑)
そうですね。おっしゃるとおりで、そういう意識は持っています。まだ徒手空拳の状態で何かができている感じではありません。ただ、やらなければいけないなと思っているのが、利益の品質に関して、マーケットともっと議論をしたいと思っています。
例えば、この会社が今作ろうとしている利益が、これまであったビジネスから生まれてくる利益なのか、そうではないのかなどです。我々はどうしてもセグメントで考えて、どこから出ている利益だからバリュエーションが何倍だとか、どういう(事業を行っている)会社だから(バリュエーションが)何倍だとかを考えてしまいます。
また、僕がコミュニケーションを取っている企業で新しい投資をしたいと言っているのは、今までのビジネスだと、例えばAmazon、Facebook、Googleにディスラプトされてしまうかもしれないから、そこを守っていくために別のことをしなければいけない、そのためにへこませていますと。
そのときに、例えば100億円だった利益が50億円になり、時価総額も半分になったとします。それをもとに戻すためには、普通に考えたら利益を現在の倍の100億円に戻さなければならないため、50億円の利益を作らなければいけないんです。
でもそれは、同じ種類の利益で50億円の増益を実現して100億円にしても、僕はバリュエーションが下がるか、上がらないかのどちらかだと思っています。
しかし、もし利益が20億円しか増えなかったとしても、例えばその利益が今日の朝に(第1部全体会で)堀(義人)さんがおっしゃっていたようなセブン・シスターズ(日本経済再生戦略株式ファンド)から守り通せる利益だということであれば、ここにはバリュエーションがつきます。これこそが、まさにイノベーティブな利益の姿だと思っています。
そうしたことは、我々が考え、我々が議論しなければいけないテーマだと思っています。少しずつ取り組んではいるのですが、まだ力及ばずといったところです。
水野:ありがとうございました。
水野:ところで清水さん、今は上場後のバリュエーションについて議論したのですが、プライベート(エクイティ投資)の世界でベンチャー企業への投資を考えた場合、私が関わっていたころは、上場前のバリュエーションも欧米のマーケットに比べて若干低めにされているような気がしていたのですが、今はどうなのでしょう?
清水:今は逆に高いのではないかなと思います。あまり数がないなかに、CVCも含め、そういうところが投資目的ではなく投資しているところがバリューをかなりあげてしまっていると思います。
一方で、例えばシリコンバレーやイスラエルを見ると、同じようなビジネスモデルがたくさんあります。そこのベンチャー間の競争自体が適正なプライシングモデルになっていると思います。
水野:私が前職で、世界中のベンチャーのビジネスプランと日本のベンチャーのそれとを比較して明らかに違うと思ったのは、中国もイスラエルも、ほとんどのベストケースシナリオが世界制覇になっていたことです。
ベストケースの成長シナリオが、基本的に世界のマーケットを押さえることになっているのに対して、日本のベンチャーは、きちんと日本のマーケットを押さえることになっている。当たり前ですが、そこにかなりの差があると思います。オプションバリューとして考えるかどうかは別にしても、その差は大きいなと思っていいました。そこは今も変わっていないのではないでしょうか?
清水:1つは、日本のベンチャーに欠けているセクターは明らかにテクノロジーセクターだと思っています。これは非言語という意味においてポテンシャリティが一番高い、あるいは日本の最先端技術のなかでも一番得意とするような分野で、世界に出るというポテンシャリティがあるにもかかわらず、なかなか投資できていないという問題があると思います。
これに関して言うと、あるテクノロジー企業が上場するときに、テクノロジーの基幹の部分を見るのか、あるいはある種のプロダクトアウトをするときのバリュエーションで見るのかによって、投資の仕方がまったく異なるわけです。
米国であればプロダクトアウトのところまで上場はせず、アーリーとして、テクノロジーをもっとグロースさせるところにフォーカスした投資をするはずなのですが、(日本では)小さい上場で終わってしまっている。そこは本質的な部分かなという気がします。
小沼:もちろん、明後日に上場するような大型案件はもう世界を見てやられていて、大変楽しいです。
(会場笑)
今、上場した会社にインタビューして「なんで上場したんですか?」と聞くと、おおかたは「資金調達すらあまり必要ない」と言うんです。「人材を確保するには上場というステータスが欲しいんです」「銀行の融資条件が良くなるんです」「社内の管理体制が強化されるからです」など、理由がいろいろあるんです。
そういったなかで上場というものをどう捉えていくのかだと思います。上場と資金調達と大きくなる会社のイメージが、昔と今とではだいぶ変わってきています。
どちらかというとマザーズが小さすぎるわけですから、我々としては、たとえば地域の会社で伝統技術を持っているような会社だったり、社会課題の解決に取り組んでいるような会社で、まだ中小企業の域を出ないのだけれども、事業承継のニーズがあるなど、そう企業も上場できるようになると良いと思います。
また、株主が5人でも上場できるような、そんな新しいマーケットを作ることも、トータルでは見ていきたいなと思っています。
こうしたなか、グロースする、アップサイドがある会社を選りすぐって、それが大きくなるように投資家から支援してもらうことも必要になるだろうと思います。いかに投資家サイドにサポートしてもらいながら大きい会社に育てていくかといったことに、ぜひこれからも取り組んでいきたいと思ってます。
関連タグ:
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには