2024.10.10
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第1部「FrenchTechと日本の関係」 質疑応答(全1記事)
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小田嶋 Alex 太輔氏(以下、小田嶋):小田嶋と申します。よろしくお願いします。
まず、EDGEofという会社自体があまり馴染みのないところなので、ものすごくざっくりとご紹介いたします。基本的にやっているのは、いろんなプロジェクトを生み出していくイノベーションプロジェクトのスタジオをまわすことです。
そのために、クリエーター、研究者、スタートアップ、メディア、大企業とのネットワークを構築しています。渋谷のタワーレコードの隣に8階建てのビルをリノベートして、ラウンジがあったり、ルーフトップバーだったり、イベントスペースのような空間を作って、そこでコミュニティを活性化させる活動をやっています。
その活動の一環として、自分たちのネットワークを海外展開させ、海外のイノベーションを日本に持ち込むために、今はパートナーを世界中に作っています。マレーシア、シンガポールなど、いろいろな国でやっていて、そのパートナーの一環としてフレンチテックとオフィシャルパートナーの関係を構築しています。
フランス以外でもいろいろなヨーロッパのスタートアップとやりとりをしています。この間オーストリアともやりましたし、スウェーデン国王夫妻が来日された時にも来ていただいて、スウェーデンのスタートアップと日本のスタートアップの外交のようなものもやっております。
イノベーションをいろいろやっていて、フランスとも繋がっています。私自身がフランスと日本のミックスなので、もともと小さい頃からフランスとはすごく縁のあるポジションにいました。その前提で、お話しいたします。
まずは「フレンチテック」という言葉についてです。バズワード的に流行っているので、何となく聞いたことのある人もいると思いますが、この中でフレンチテックという言葉が具体的に何を表しているのかが、確実にわかっているという自信のある方はいらっしゃいますか?
(会場挙手)
実はすごく誤解されがちなんですけれども、フレンチテックという組織が具体的にあるわけではないんですね。広告系の仕事をされている方はピンと来るかもしれないんですけれども、フレンチテックはキャンペーンなんですよ。フランス政府が「うち(フランス)はスタートアップがすごく頑張っているよ」というのを世界に知らしめるための、国を挙げての一大キャンペーンなので、実はフレンチテックの社長といったようなものがいるわけではありません。
運営も、実はかなりの部分、民間側がやっています。フレンチテックの中の企業はほとんど民間企業だったりします。(スライドを指して)フレンチテックというのは……ごめんなさい、これ全部フランス語で書いてあるので口頭で説明いたしますけれども、「フランスにはスタートアップのシステムというのがちゃんとあるよ」ということを、国内外に知らしめるためのキャンペーンや具体的な施策も交えて、活動を展開しています。
活動を大きく3つに分けると、1つが「束ねる」ということですね。バラバラに動いていても力が弱くなってしまうので、フランスのいろんなスタートアップを束ねるという意味です。今年のラスベガスのCESでは、スタートアップのブースがいっぱい出ていて、半分近くがフランスだったんですね。フレンチテックのニワトリのロゴがバーっと会場に並んでいて、「フランスは本当に元気があるんだね」という印象をうまく持たせるための活動を束ねています。
続いて「アクセレレート」ですね。フランス政府が一緒になって企業を全面的にバックアップすることによって、スタートアップの進展を加速させる。世界の中で、フランスはアメリカにやられてしまったけれども、もう一度表舞台に立って目立つぞ、と。アメリカコンプレックスが強い国なので、スタートアップでは次はフランスなんだというように輝かせる。「束ねて、加速させて、輝かせる」という3つが、フレンチテックがやっている活動の方針になります。
キャンペーンの目的として掲げているビジョンを一言で言うと、フランスをもう一つのスタートアップ国家にするぞということなんですね。もちろん「もう一つ」というのはアメリカを暗に示しています。スタートアップをやりたい人が行きたい場所だったり、次に展開するんだったらフランスに行く、出資を受けるんだったらフランスに拠点を作ろう、というイメージを持ってもらおうと掲げています。
もちろん具体的なツールもいくつか提供しているんですけれども、まずは助成金ですね。BPIという国営投資銀行が3万ユーロ、大体350万円くらいの助成金を提供しています。スタートアップを作る人たちには、審査もけっこうゆるくしています。
あとは、フレンチテックパス。というこれは、いろいろなもののコンビネーションで、投資家とのマッチングだったり、ピッチイベントに優先的に招待してもらえたり、実際にスタートアップが成長するのに必要となる要素を束ねるというかたちで提供しています。
一応フレンチテック自体は経財省の中にあるもののはずなんですけれども、ビザの仕組み、滞在許可証など、経財省ではなく外務省の管轄にまで首を突っ込んでパスとして提供していたりするので、省庁横断型のプログラムになっています。
フレンチテックチケットは、外国のスタートアップがフランスで起業するぞという時に、さっきのStation Fのようにオフィスを探すのを手伝ってあげたり、ビザの提供や、家族を連れてくるサポートなど、海外から優秀な起業家をフランスに集めるためのプランをいっぱい用意しています。
最後に、世界中で開催される大きなイベントにフランスの企業が参加しやすくするために、いろいろなことを提供しています。フレンチテック東京の会合などでは「今年日本ではCEATECHがあるよね」「東京ゲームショーがあるよね」というように、どういうイベントがあるかという話をして、フランスからどれくらい呼んだほうがいいかというのをフレンチテック東京の人が本部の人に話すこともあります。
こういった助成金やパス、複合的な支援プログラム、国外展開などをフランス政府がサポートするというのが具体的な中身です。
実際に、実績は数値を探せば出てくるのでサクッといきます。一番重要なことは、2016年から2017年に生まれた雇用の52%がスタートアップだということです。フランスはスタートアップがなくなると仕事がなくなる国なんですよ。これが実はすごく重要です。
フランスは「すごく伸びているな」「かっこいいな」と思われがちなんですけれども、その背景はそんなに明るい話ではなくて、外的要因としてBREXITの影響で、イギリスの隣にあるけっこう規模の大きいフランスでいいという起業家が集まっているからです。
エマニュエル・マクロン大統領がもともと(スタートアップを)ずっと支援してきたし、大西洋の反対側ではかなり問題のある人が大統領に就いているので、スタートアップはアメリカより他のところへ行ったほうがいいのではという空気が生まれていると。それ以上に、仕事がないんですよね。若い人たちの失業率が20%ととても高いので、仕事を作るか死ぬか、というような。起業するしかないという人が日本より圧倒的に多いのは、けっこう重要な要素です。
必然的に作らざるを得ないから、STATION Fのように、いろんなコミュニティとしてやっている人たちも意外といます。これ(The Family)は起業家の互助会のような仕組みですごく面白いです。もし興味があれば、ネットワーキングの時にお話しいたしますね。Hello tomorrowというDEEP TECHの協会、Hardware Clubについては、さっき小酒井くんがほとんど紹介していたので割愛します。
日本のスタートアップに対しても、フランスと日本のビジネスの架け橋をサポートするようなBusiness Franceという団体がいたり、先ほどちらっと話しましたけれども、日本からフランスに行って起業するのをサポートするFRENCH TECH VISAというシステムが整備されていたり。
あとCEA TECHといって、これだけでプレゼンできるくらいすごい世界トップレベルの研究機関で、R&Dを受託してくれる機関があります。
ハイレベルなR&Dをやるときには、開発拠点だけをフランスに作ってCEA TECHに丸投げすると、Bpifranceを経由して開発費用の三分の一くらいが助成金として返ってきたりします。ハイレベルなR&Dをやっている会社は、実はフランスで起業すると経費を大幅に削減できます。
フランス進出は、日本のスタートアップ企業にとってだけではなく、実は今、非常にいろいろメリットがあります。6月26日に、EDGEofでフレンチテックサミットという名前で、フレンチテックの人たちと直接話ができる場を設けます。
webでも情報を流しますし、あとでお声掛けいただけたら名刺を渡しますので、見ていただけるとそこで実際にフランスで活動しているスタートアップ、日本にいるフランス人スタッフ、フランス大使館の人たちと直接交流できます。もし興味のある方は来ていただければと思います。ありがとうございました。
司会:ありがとうございました。では最後の講演です。フランスのVCスタートアップ事情についてマークさんからお話しいただきます。マークさん、よろしくお願いします。マークさんの講演は英語になるんですが、質問などがありましたら通訳をお願いしようと思っていますので、質問を書き留めておいていただければと思います。マークさんお願いします。
マーク・ビヴェンズ氏(以下、マーク):みなさん、こんばんは。Bonsoir.
感動しました。みなさん、フランス語が話せるんですね。すみません、私は日本語が話せませんので、このプレゼンテーションは英語で行います。フランス語でもいいですよ。
(会場笑)
英語の方がよさそうですね。小酒井さん、小田嶋さん、プレゼンテーションをいただき、ありがとうございます。何人かの方はフランス語や英語で話されていましたが、お上手でした。
本日は、みなさんにお会いできて光栄です。私の話を聞いてくださってありがとうございます。私について簡単にお話しいたします。私の名前はマーク・ビーヴァンスといって、フランス人とアメリカ人のハーフです。フランスの投資会社で約17年働いてTech系の会社に投資をした後、最近日本に移ってきました。
私のオフィスはパリにあります。パリはヨーロッパの中心に位置しているという利点があります。列車に乗ってブリュッセルやアムステルダム、バルセロナやその他の都市に行くのも簡単です。もうヨーロッパではなくなりますけれども、2時間列車に揺られればロンドンにも行けます。
会社ではおおよそ75の会社に出資していて、そのなかで私は30ほどの異なる会社に投資してきました。ソフトウェアやモバイル、インターネットなどテクノロジーの会社ばかりです。今は、シンテックやAIなどに注目しています。
私がアドバイスを与えた会社の例を一つあげると、もうすぐ日本にも入ってくるのでおそらく皆さんもすぐ耳にすることになるかと思います、eToroです。ソーシャル・トレーディング・シンテック・ユニコーンで、最近私は彼らにSBIを紹介しました。みなさんはこの日本の金融機関についてご存知ですよね。
私はヨーロッパからここへ来る企業へも注力しています。6年前に関わっていたあるプロジェクトで、ブルードバイゲットという新しいメディアの会社をサポートしました。ブルードバイゲットは日本のTHE BRIDGEのフランス版といった会社でした。スタートアップについてのテック・メディアサイトでは英語で紹介されていて、共同創設者の一人はブロクセン・ブロゾーと言い、いまではStation Fの社長になっています。
最初の投資者はグザビエ・ニールと言い、Station Fの創設者です。ニールは(孫正義氏と)似たような経歴を持っていることから、フランスでは「フランスの孫正義」と呼ばれていて、革新的なエコシステムを作りました。
小酒井さんのプレゼンテーションで、創始者やファイターのプログラムについて話していましたが、Station Fのファイタープログラムの目的は、能力があるにも関わらず、きちんとした教育を受けられず、首都にくることも出来ない人達を助けることです。こういったチャンスを得られずにきた人たちを助けることが目的です。Station Fの持つビジョンについてとても良い例だと思います。
フランス内部に関して、他にもいくつかお話ししましょう。なぜ私たちがStation Fと関係を持っているのか、どのような立ち位置にいるのかについてお話ししたいと思います。
フランスにおける教育システムは、多くの欠点もありますが、多くの利点もあります。利点の一つは、能力のある小さい子供を数学や科学の道に進むよう背中を押してあげられることです。その結果、多くの学校でDEEP TECHや数学や科学の分野に力を入れています。フランスはDEEP TECHプログラムのために能力のある人々を生み出す源になっているのです。
ここに出ている10の企業……facebook、google、airbnbはもちろんご存知ですね。これら全ての会社はAIの部署のトップがフランス人なんです。ここには10人のフランス人が映っています。驚きですよね。でも、フランスで生まれ育った者にとっては、さほど驚きではありません。教育システムがDEEP TECHに注力してこうやって押し上げているのですから。
AIの革新についてはこの前のプレゼンテーションでもお話がありましたね。ヨーロッパ中にAIプロジェクトがあり、フランスにも300以上のAI関連のスタートアップがあり、今画面に映っているのがその数例です。これを作ったのが3ヶ月前なので、今はもうアップデートされています。
今日話したことのまとめやポイントなどは、インタビューやブログ形式にして、このITmediaに掲載していきます。もう時間があまりないので、最後にとても興味深い革新的なフランスのスタートアップを2例ほどご紹介しましょう。おそらくそのうち日本にもやって来ます。
私はAIについて少しお話ししましたが、今度はワクチンを使ったヨーロッパのシンクタンクについてお話ししようと思います。私が投資しようと考えているプロジェクトの一つが、ストラジーと言います。
ワクチンを使い、保険会社をまとめることで、消費者は保険会社を変更できるようにし、保険会社はたくさんのワクチンを使うことができるプロジェクトです。顧客離れを公にするわけでも隠すわけでもなく、誰がそれをやっているのかも隠さないのです。ワクチンや治療法をたくさんの人に届ける画期的な方法です。
もう一つの興味深い企業は、最近日本に来て戻っていったのですが、ラグジュアリーグッズのビジネスです。その会社が興味深い理由の一つは、ワクチンがとても便利だからです。創始者はワクチンに詳しい人ではありません。産業を好む人です。彼はVestiaire Collectiveの創始者でもあります。
とても成功したフランスのラグジュアリーグッズのオンラインストアです。日本のメルカリのようなイメージです。とても人目を引く会社で、ルイヴィトンのバッグのようなラグジュアリーグッズの中古品を販売しています。
きっとみなさんは投資に興味があるんですよね。私は共同投資者を探していますので、ぜひ会いに来てください。ありがとうございました。
司会:ありがとうございました。では、今ご登壇いただきました3名の方への質疑応答の時間にできたらと思います。質問のある方はいらっしゃいますでしょうか? ご登壇いただいた3名の方、前へお願いします。
質問者1:本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございます。日本語でもいいですか?
司会:どちらでも大丈夫です。
質問者1:簡単に言うと、僕はフランス自体は大好きですけれども、AIという話になると必ずしもフランスが一番ということではないと思います。「トロントがアツいですよ」「Googleはロンドンの会社を買収しましたね」などという話や、「エドゥケーション・バックグラウンドなどがある」というのは聞いたんですけれども、もうちょっと他と比較しても「AIが強いんだよ」というところをうかがえたらなと思いました。
司会:ありがとうございます。
マーク:素晴らしい質問をありがとうございます。例えばロンドンといった都市に比べて、なぜ、フランスにはAIの能力がとてもあるのかというご質問でしょうか?
質問者1:そうですね。フランスがなぜトロントやロンドンよりいいと言えるのでしょうか? パリがトロントやロンドンよりもどう優れていると言えるのでしょうか? 理由の一つは研究機関のトップがフランス人だということに代表されるように、フランスのコミュニティがAIに強いといった理由などがありますが、ロンドンやトロントと比べてパリがどういいのかを説明していただけますか?
マーク:あなたのご質問はAIだけに限った話でしょうか?
質問者1:AIだけに限った質問です。
マーク:私は、ロンドンにもトロントにも素晴らしい教育機関があると思っています。競争やランキングがいいとは思いませんが、フランスにおけるAIの強さは、ある大学にいい教授がいるということだけではなく、深く広い才能のコミュニティがあることだと思っています。例えば、90以上の高いレベルの大学でAIプログラムがあります。
また、フランスの仕事に対する文化は、アメリカやカナダやイギリスと比べて、やや日本の文化に似ている気がします。私が言いたいのは働くことのロイヤリティ……会社に対して労働者のロイヤリティがあるということです。
昔は、フランスでは労働者が仕事を頻繁に変えることがほとんどありませんでした。ほんの20年ほど前まで、終身雇用がありました。いい学校に行き、大きな会社に入ると、絶対に仕事を変えませんでした。もちろん、今は変わりました。スタートアップでは、数週間ごとにトップディベロッパーが他の会社からオファーをもらうことは珍しいことではありません。Googleからfacebookに移ったりもしますね。
ですから、人を引き止めることはとても難しいのです。フランスではスタートアップからは人がすぐ離れていきません。だいたい2年から3年ほどはそこで働きます。ロイヤリティがあるのです。フランスの失業率は日本やアメリカよりもとても高いです。25歳以下のフランスの若者の失業率は10%以上です。ですから、フランスでは能力もある、やる気もある若者がたくさん余っているのです。
質問者1:ありがとうございます。
質問者2:今日はありがとうございました。質問ですが、先ほど小酒井さんのプレゼンテーションの総括としてStation Fは思ったほどVCと連携が取れていなかった、というのがありました。他の国と比べて日本はスタートアップが遅れがちだと言われたり、日本にいながらいろんな記事を見ても、海外のスタートアップはすごいなと思うことがあったりすることも多いですが、実際、日本はマーケティングで負けているだけで、実態としてはそんなに離れていないのかなと思っていて。
例えば、プロモーションとして行く前は、Station Fにはスタートアップの最先端の人たちがいて、その発表を毎日のようにプロモーションしつつ、VCの人が頻繁に来て投資しようというように、すごくアクティブに活動しているのかと思っていたけれども、実際に行って見たらもうちょっとドライだったということがありました。
だから、ただ単に日本はプロモーションが遅れているだけで、実際は海外とそんなに違いがないのかなと思ったんですけれども、お三方で実際はどうなのかというのをおうかがいできればと思います。
小酒井圭佑氏:個人的に思っているのは、例えば、渋谷などでは非常にスタートアップのコミュニティが強いですよね。
それこそ、EDGEofさん、スカイランドベンチャーズさん、Plug and Playさんなどもあの辺にいらっしゃいますし、スタートアップもVCが固まっていて、そのあたりはStation Fに近いなと。Station Fはそう思って行ったら実際は距離があったということは、日本も勝っている部分はあるのではないかなと。
小田嶋:先ほど小酒井さんは、スタートアップ目線でお話しされていたと思います。投資系の活動をされている方ならわかるように、Station Fに同居しているVCの目線で言うと、お金を持っている人のところには、お金を必要とする人からひっきりなしに連絡がくるじゃないですか。それをいちいちフィルターする労力をかけてられないので、VCからするとStation F側でフィルタリングしてくれという話になるんですよね。
VC専用のプラットフォームも、自分たちはこういう会社を探していますというのを登録しておくと、該当するスタートアップが資金調達を始めたタイミングで通知が来たり、こっちがこの会社に会いたいと言うと、Station Fの人がマッチングしてくれたりするんですよ。どちらかと言うとVCには過ごしやすい環境になっているんです。
でも、スタートアップからすると、しょっちゅういろんな人に会いに行きたいし、一個ダメでも次にバンバン行きたいのに、それができなくてフラストレーションが溜まると思うんです。でも、それをやられてしまうとVCの人たちからすると、そんなのやってられないので、来なくなってしまう。どちらかと言うとVC用に最適化されているから、スタートアップ側からすると、面白くないんだろうと思います。
質問者2:ありがとうございました。
司会:時間が押しているのであと1問ずつで。一番奥の方。
質問者3:すごくシンプルなんですが、フランスの状況としてイグジットはどんなものが多いのか、どういうところが動いているのかということにすごく興味を持っています。
マーク:フランスでの主要なイグジットについてのご質問だと理解しました。ご質問にはとても明確に答えられます。日本と比べて、No1のイグジットは企業買収ですね。トレード・セールが一番です。私たちはオートネクストとかユーロネクストと呼ばれるITOマーケットを持っていますが、東京証券取引所やマザーズと一緒でオークションをしているわけではありません。
ですから、もし会社のIPOを持てたとしても、それはイグジットではありません。なぜなら私たちは何年もエクイティを待っているからです。私の経験では、2010年にIPOを取り、私のイグジットは2015年まで5年続きました。取引のボリュームが少なかったからです。例として、私は20のイグジットのうち16はトレード・セールでした。
小田嶋:ちょっとだけ補足なんですけれども、日本よりも大企業のオープンイノベーションがものすごく積極的なので、大企業に対してM&Aの持ち込みというのは、フランスのほうがしやすいと思います。おそらくそういうところも背景としてあるのではないかなという気はします。
質問者3:それはアメリカと比べても?
小田嶋:アメリカと比べてというのは何とも言いづらいですね。でも、かなり活発であることは間違いないです。具体的な数字は分からないので、アメリカとフランスは比較できないですけれども、日本とフランスの違いは肌感覚ではっきりとわかるくらい、フランスのほうが活発ですね。
質問者3:こちらから行くとしたら、どちらが活発かというのを見据えて行くほうがいいじゃないですか。フランスの会社……フランスの会社とは限らないのか。ということですよね? そのあたりもまた勉強したいなと思いました。
小田嶋:多分、後のディスカッションでできると思います。
質問者3:楽しみにしています。ありがとうございます。
司会者:たくさんの質問をいただき、ありがとうございます。
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