2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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質問者6:よろしくお願いいたします。私は、SIベンダーで技術部門のマネジメントをしながら、新しいサービスを社内で作っていくことを主なミッションとしてやっています。それこそ「とんがり野郎のエンジニアをケアするチーム」と、「生産部隊としてやらなきゃいけないチーム」との両方を見ているところなんですね。
私はタバコを吸いませんし、居酒屋トークでものを決めることが苦手なので、そういったものにも基本的に参加しないでいるものの、そういう場で決まってしまうものも確かにあって。
プレゼンテーションだったり、経営部門に新しいサービスやビジネスを訴求していくにあたって、男性脳に少し刺さりやすい説明をしていかないとなかなか通りづらいなと、日々実感しているところです。
それで、プレゼンテーションや説明の仕方というところで、男性幹部や男性経営陣に少し訴求ができるような、「こういうポイントがあれば、男性に理解してもらいやすいですよ」というものがあれば、少し教えていただきたいなと思いまして、ご質問させていただきました。
澤円氏(以下、澤):それってけっこう簡単です。そのおっさんたちが外でいい顔できるようにしてあげればいいだけなんですよね。「プロデューサー」になればいいんですよ。ごめんね、上司の方を知らないから、勝手におっさんと言っているけど。
(会場笑)
例えば、そのおっさんたちが居酒屋に行って、別の会社の同じような人たちと話をするときに「これ、知ってる?」と、ちょっとデモが見せられたり、「知ってる? こういうデータがあってね……」ということをドヤ顔で言えるようなものを(あなたが上司に)インプットして、他でいい顔ができる状態にする。
そうすると、絶対に頼ってきますから。1回出しちゃったネタは、もう次は使えないから「次、教えて!」ってね。次も教えてほしいって頼ってくれるようになったらしめたものですね。だから、「プロデューサー」になるというのがけっこう大事です。
澤:そのときに役に立つものの1つが、わかりやすい数値データ。もう1つが、アホでも触れるデモ。例えばスマホのアプリなどですね。「これ知っていますか?」と、若者が使うようなアプリの使い方をちょっと教えてあげると、けっこう外で喜んでやりますからね。
例えばデータでいうと、最近、フィンテックって話題になっていますね。お金関係の話をするんだったら「知っていますか? 世の中の円やドルなどの不換紙幣の93パーセントは、オンライン上に存在するんですよ。要するに、紙幣やとコインは7パーセントしかないんですよ」というと、これは覚えられるでしょ? それをこっそり教えてあげるんですね。みんなの前で「あなただけに教えてあげます」ってね。
(会場笑)
そうすると、言われた「あなただけ」の人が、どこかで言うわけですよ。それで、(周りから)「へえ!」と言われると「なんか俺、いいこと言った」というね。そういうのは、また絶対に(あなたに聞きに)来る。実際、この「おっさん転がし術」みたいなものがすごく大事です。
とくにテクノロジーサイドは、おっさんの中には鈍い人たちがけっこういるわけですね。それをカミングアウトするのは恥ずかしいわけです。だけど、自分でもドヤ顔で言えるとなるとすごく自信にもなるし、いい意味でのリピート客になってくる。そういうプロデューサーになるといいかなと思うんですけど、どうでしょうか。
堀江愛利氏(以下、堀江):いいと思います。あとは、話が違うようで一緒だと思うんですけど、私の中では、「男性が作り上げたビジネスシステム」が存在することをまず認めてほしいと思っています。
それによって、deal flow(取引の流れ)とか、ビジネスがゴルフ場だったりということをキープしながら、「なんで女性はこうなんだ」という前に、radical disition making(根本的な意思決定)、raditcal innovation(根本的なイノベーション)という意味で、19時以降はもう商談をしてはいけない(ようにしてほしい)。
19時以降はビジネスの仲間で会ってはいけない、ということを会社で決めて、「ビジネスはとにかく8時から17時の間に終わらせる」ということを徹底して、女性もその中で効率よく(仕事を)管理し、男性もそうしないといけないという認識にしないと、いつまでも女性が入れない。
それを女性のせいにしてしまう。なおかつ男性も、そういうところで(意思決定を)しようと甘んじて、ビジネスアワーでビジネスをしない。今のような意味のないミーティングの繰り返しになるので、そういう意味ではビジネスというところに刺さるように女性が努力する、という話でもあるんですけども。
堀江:その反面、radicalという意味では、男性の方でも、今どうやってビジネスをしているかということを考えて「どこをまったく(別のものに)変えていくか」という新しい問いかけなどが、これをきっかけに起こればいいなと願っています。
澤:「働き方改革」という動きの中で、よく言われている話があるんです。「ホウレンソウ」ってわかります? 報告・連絡・相談のホウ・レン・ソウ。報告・連絡・相談のうち、どれが一番大事ですか。報告だと思う人? 連絡? 相談? なんで?
参加者:問題解決をするための結論がそこ(相談)にあります。
澤:なるほど。他は?
参加者:「過去の話」と「未来の話」です。
澤:「未来の話」ですね。僕の話を聞いたことがある?
参加者:聞いたことがあります。
(会場笑)
澤:よく覚えてくれていて、うれしかったです。今のが答えなんですよ。同じなんですけど、報告・連絡は、現在より過去なんですよ。わかります? 営業の報告やレポーティングは、もうすでに起きているデータなんですよね。見ればわかるんですよ。だからわざわざface to faceで「実はこれが……」という報告なんてする必要がなくって、どこかで(データを)見ればわかるでしょう。
連絡はだいたいその時点のものなんですよ。「今からお客さんのところに行きます」とか「今日は直帰します」とか。そもそもカリフォルニアでは、「今日は直帰します」という連絡をする人は、たぶん1万人に1人くらいしかいないです。
(会場笑)
連絡というのは現在の話なので、これはチャットやメールなどのツールでいいわけですよ。相談だけは未来の話なんです。さっきも問題解決の答えと言っていましたけど、相談というのは、問題解決をするためのアイデア出しが必要なんですよね。
だから、face to faceに価値があるんですよ。だから、シリコンバレーの中で重んじられる人(のこと)を考える場合に、たぶんデータを一生懸命に説明する人間は、それは過去の話だから、そんなに尊敬されないと思うんですね。
「どうやって未来を作るのか」という話をするやつらがおもしろがられるんじゃないかと思うんですけど、たぶんそうですよね。
堀江:はい、そうですね。未来のことを話す割合のほうが多いですよね。
澤:ですよね。たぶん、その未来がクレイジーであればあるほどおもしろがられるんですよね。
堀江:過去もすごいスピードで変わる時代になっているので、その認識からいうと「コンセプト」はすごく重要なんですけど、シリコンバレーでは「ビジネスプランって言われた時点で逃げろ」と言われていました。
「ビジネスプラン」は書いた時点で(それは)もう終わっていることなので、「ビジネスプランを持って来い」と言うアドバイザーはシリコンバレーがわかっていない。だから「それ(ビジネスプラン)を作れと言う人は、本物のシリコンバレーの人じゃない」というようなことを言われましたよ(笑)。
澤:まず「手を動かせ」ですよね。
堀江:とにかくね、すごいスピードで変わり過ぎていて。とにかくin action、やりながら考える。
澤:開発手法だと「アジャイル開発」なんて言い方をするんだけど、まずやる。それで、ダメだったら直す。それでまたやる。またダメだったら直す。そうやっていると、だんだんスパイラルがやってくるんですけど。
日本人は順番を追ってやっていかないと上手くいかないので、そうするとできあがった頃には、3世代くらいの前の話になっちゃっている。
(会場笑)
超古いというような状態になっている。なので、とにかくずっとアップデートし続ける。スマホのアプリなんかもそうですよね。昨日は動かなかった不具合が、今日は直っていたりしますよね。あれが要するにアジャイル的なアプローチなんです。ありがとうございました。
質問者6:ありがとうございました。
澤:はい、次(の方どうぞ)。
質問者7:はい。よろしくお願いします。私は5月に愛利さんのプログラムに行って、泣きながらピッチをした1人です。
(会場笑)
澤さんにご意見を聞きたいんですけど、私は精神保健福祉士として医療や福祉の業界で働いていて、例えば先ほどおっしゃった「働き方改革」やリモート(ワーク)といったことと非常にかけ離れていると感じています。
ITとかテックなどが入ってくる一方で、すごくギャップを感じる世界にいて、そこで新しい職として価値を上げていきたいんだけれども、私はちょっと(世の中の動きから)取り残されている感じがするなと思っています。それがどう見えてらっしゃるのか聞いてみたいです。
澤:「働き方改革」はなんだと思っているんですか?
質問者7:そう、それが私もわからない(笑)。
澤:これは要するに、正解がある前提の話なんですね。この中に「働き方改革」ってリモートワークだと思っている人いません? ぜんぜん違いますよ。これは、政府にいるアホなおっさんが、わかりやすいから言っているだけですからね。
なぜかというと、通勤を前提に全体のビジネスシステムを作っているから、それが改革に見えるだけなんですよ。こんなのは小さい手段でしかないから、全体からすれば誤差(のレベルの話)です。「働き方改革」がなんなのかというと、ものすごく短い時間で人が幸せを感じられるようにすること。これが「改革」なんですよ。
なので、リモートワークは、手段の本当にごく一部でしかないんですね。わかりやすいからみんなそうやっているだけ。だから「働き方改革」というのは「多くの人たちの知見を集めて、今まで出せなかった答えがすぐに手元にくる」であるとか「目の前でずっと解決できなかった課題が、ぜんぜん違う業種の人たちのアプローチで瞬時に解決される」ということ。
そうなると、今まで作られていた業界という枠のどこに扉を開けて、別のところと繋ぐのかということ。これが本当の「改革」だと、僕は思っているんですね。
澤:もうこれもある程度コモディティ化しているので、本当にやっている連中からすると、どうってことはないんですけど、例えば農業にAIを組み込むなどということは、1つの「改革」なんですよね。
農業はそれまでずっと、農家の人たちの経験値によってアップデートされ続けていたのが、AIの知見を得ることによって、場合によってはその人たちが毎日ずっと水やりに行かなきゃならなかったのが、ある程度オートメーション化されたから旅行に行けるようになった。
これが1つの「改革」なんですよ。AIで「こういう天気で、こういう湿度で、こういう温度だったら、これぐらい水を撒けばいい」と計算させて、自動水撒き機を動かしたら、農家がやっていたものが正しくできるようになった。
これは1つのイノベーションなんですね。それが「改革」。だから「今までできてなくって困っていることがあって、その困りごとをどうにかしたいな」ということが「改革」だと思うと、けっこうできることがあると思うんですね。
「なんで休みが取れないのよ」という場合に、「これとこれとこれが(会社に)行かないとできないからだ」「行かなくてもできるようにするには、どうすればいいかな」と、休みが取れるように考えていったら、「改革」の手法は出てくるかなと思います。これは僕の1つの意見です。
堀江:リモートワークというトピックでいくと、リモートワークの人とフルタイムの人って、どうしてもギャップがあるから「(お互いを)理解しましょう」というセミナーをしたりしていたんです。でも、Amazonの方に聞いた話では、Amazonでは、リモートワーカーだけを集めて仕事をするdivision(部署)を作っちゃったんですよ。
そうしたら、いろんな優秀な人が手を挙げて「リモートならそこにいきたい」ということになったそうです。最初は女性のためにと思ってやっていたら、男性でも「両親が病気で」という理由でやって来たとか。
だから、男性に女性のことを理解させようとするのにすごく時間がかかるのと一緒で、リモートワーカーにフルタイムの人を「理解して」というのも大変だと思います。
それでもう、リモートだけスパッと切り離しちゃったの。そしたら、productivity(生産性)が倍になったっていうんですよ。だから私たちが今、毎日を過ごす中で、無駄なことに価値観や考え方が固まっていることがすごく多いんじゃないかと思うんですよ。
堀江:だから「働き方」を個別にし過ぎているのが問題で、結局は「働き方」を変えることが重要なんじゃなくて、Happyになることやproductivityを上げることが重要なんだと思う。私も実は、この5年間Women’s Startupをやってきて、すごくたくさん失敗を繰り返していて。その中で、シリコンバレーはやっぱり人を雇うコストがすごく高いんですよね。
やっぱり、シリコンバレーでやるんだから、「ローカルの人をhire(雇用)しないといけない」と言ってみるものの、200,000ドルとか払えない。半分か、それ以下だったりします。その値段でも「パッションのある人に来てほしい」と言うと、「自分がほしい人よりワンランク下げて当たり前でしょ」と周りに言われるわけですよ。
妥協したくないと思うんだけど、結局「あの人に(声をかけに)行きたいけど、これぐらいしか払えないから、この人でも(いいか)」ということをやっていたんですよね。やっぱり、それで何度もやけどをして、そういう人をカバーするために優秀な人たちがextra work(余計な仕事)をしないといけないことになりました。
うちはアクセラレーターなので、外の人からも(うちの会社の)中のことが全部見えちゃうわけですね。オフィスワーカーだと、外にはうちの(会社の)ことはバレないじゃないですか。
うち(の会社)は、(外から)みんなが入ってきちゃうから、やることが全部わかっちゃうんですよ(笑)。そういう失敗を繰り返しながら、今はもう「この人だ」と思ったら、世界中のどこにいようとhireしています。シリコンバレーと比べてサラリーも低いしね。
でも、その中には、女性で「ご両親が病気になった」「3人目の子どもができた」という状況の人もいます。とにかくそれを解決するのが私の仕事ですので、その人には「限られた時間の中でベストな仕事をしてもらう。それがあなたの仕事ね」というかたちで、ダメかなと思いながらも、どんどんシステムを変えています。今は10人の小さいチームなんですけど、半分以上がリモートです。
グローバルで時差がいろいろあるんですけど、やっぱり優秀な人をかき集めると、今度は仕事がすごく回るし、みんなが信頼できるので、リモートでもすごく仕事がしやすくなりました。だから、やっぱり誰を雇うかというところは、compromise(妥協)しちゃいけないんだなということをすごく学びました。
澤:そうそう。「日本と他の国との違い」ということでちょっと思い出したことがあるんですけど、僕が聞いたことによると、「日本はすべての社員を子ども扱いする」とアメリカのMBAで教えているんですよ。
堀江:恥ずかしいですね。
澤:恥ずかしいでしょ? なぜかというと、さっき言ったとおり「正解がある前提」でずっと考えるという教育を受け続けているので、高校3年生のときが日本的教育における学力のピークと言われているんですね。
その(高校3年生の)ときに正解がたくさん手元にある状態で、それがこぼれないように試験会場までそっと持って行ってざっとこぼして、それがぱぱぱっと正解のところにたくさん入ると、東大に行けるんですよ。ほとんどが机からこぼれちゃうとFランクの大学に行くわけですね。
だけど、そのあとの4年間は一緒で、長い夏休みが待っていて、全員等しくあっぱっぱーなんですよ。ずっとアホになるために4年間を過ごして、白紙の状態に戻る。就職では日本には「新卒一括採用」という謎のシステムがあるので、みんな同じ格好、同じ髪型で面接を受けにきて、白紙の状態で(会社に)入ってきます。
白紙だから、もう1回インストールし直すんですね。それで40年かけて「うちの会社はこうだよ」と一生懸命インストールをするのが、日本のエコシステムなんですよ。なので、会社に入ってからの「子育て」なんですよね。
会社に入って子育てをしなきゃいけない、いろんなことを教えなきゃいけない。箸の上げ下ろしまで指示しなきゃいけない、と思って教育プログラムができているんです。
それで(入社して)20年くらい経ってから「こいつは跡を継がせよう」と思うのか「こいつはもうどっかにいっちゃえ」となるのかという、何百年も昔にやっていたようなことを、日本の企業は今でもずっとやっている。これがMBAで教えられているんです。
けっこう屈辱的だけど、当たっているでしょ? ぶっちゃけ、当たっているんですよ。だから残念ながら、勝てないんですよ。ただし、失敗は超少ないです。だって失敗させないんだもん。子育てだからね。
(日本は)じっくり失敗させずに、20年くらいずっと「大事に大事に」なんです。他の国は「失敗してもお前の責任だよ」とほったらかしにして、その代わりチャレンジをしていって、大きい成功を掴むやつが一定数発生する。そういう感じなのかな。
もう1問、ラストくらいにしましょうかね。はい。じゃあ、もうお一人。
質問者8:私はまったくITには関係ない、医療関係の仕事をしています。今ちょっとお話の中にあった、教育についてなんですけれども。今、私には高校3年生と中学3年生の息子がおりまして、本人たちの意思や行動は自分たちで責任を取るように、完全に任せてしまっている状態なんですね。
その結果も全部自分で受け止めて、考えて行動するようにしているんです。けれども、実際にものすごく放置した育て方をしてしまったので、逆に周りとのギャップをすごく感じていて、「周りの子どもたちに馴染まなくちゃいけない」というような、やっぱり日本的な思想もちょっと入ってきています。
堀江:それはお母さまがそう思ってらっしゃるの?
質問者8:子どもの方から、そういう発言が出てきているんですね。これからの教育で、私たちが変わらないと子どもたちも変わらないと思うんですけれども、その点について、お二人がどのように(してきたか)、どういうふうにしていったらいいとお考えなのかを、お聞かせください。
堀江:そうですね。私は放置していいと思うんですね。昔は、子どもの育て方には手をかけていたんですよ。例えば、お料理をするとか、サマーキャンプは何にしようとか。でも、「自分はどういう生き方をしたいかな」と思ったときに、どこを削るかと言うと、やっぱり育児を削りたいんですね。
ご飯を作るにしても「栄養さえあればいいから、野菜を切って塩をかけて……それがご飯!」ということでもいいんじゃないかと。いろいろ考えて放置すると決めたのなら、自信を持って放置した方がいいと思う。
堀江:やっぱり子どもたちが不安になると、自分がfit in(しっくり)こないということもあると思います。だけど、これからの子どもたちにとってはもう、今の教育自体がすごく古いんですね。そこで教えられていることがベースにはなるんだけど、未来に向けて正しいことではないというか、apply(適合)することじゃなくなるかもしれない。そのくらいすごいスピードで物事が変わっているんです。
そういう意味で、私も子どもを育てながら、教えるというよりも「自分の思っている価値観が正しくない」「自分が思っていたデータはもう古いんだ」というときにどうやって自分で決断をするかという決断力、いわゆるindependent thinkingという、「不安でも決断できるスキル」をつけてあげたいとすごく思います。
たぶん学校ではノウハウの方をすごく教えるし、今でも私たちもイノベーションというといろいろ読んじゃいますよね。でも、データとはまた別の「決断する力」、全部がわからなくても「こっちの方向じゃないか」「ピンポイントじゃないけど、これぐらい方向が決まっていたら自分は100パーセントギブして、このdirection(方向)でいくんだ」という勇気と決断力。
それらが、これからの子どもにはすごく必要なんじゃないかと思います。不安でも自信を持つというスキルですかね。それをつけてあげたいなというふうに思います。
質問者8:ありがとうございます。
澤:あともう1個が、他人と比べないという癖をつけさせる。これがすごく大事なんですよ。これはほとんどの人ができていないことでもあるんですね。当たり前なんですが、他の人と比べたくなっちゃうんです。
だけど、僕は最近とくに、これって実は、すごく自分の成長を阻害する要因にしかならないと思うようになったんです。ぶっちゃけ、「他の人と比べてどうなのか」というのはどうでもいいんですよね。
澤:僕が最近、西脇(資哲)さんという人と合意に至ったのが「いくつかをかけ合わせて世界一と考える」ということなんです。どれか1つがすごく優れている必要はなくて、まったく違うところのポインターをいくつか持っておいて、それをかけあわせれば「他にやるやつがいないから世界一」になればいいと、僕は思うようにしているんですね。
そうすると比べる必要がなくなるんです。その組み合わせの選手権は、この世にない。ということは、選手1人でいきなり優勝という状態になるでしょう。もうそれでいいかなと思って。だから、ユニークなポジションを取ると、非常に暮らすのが楽になって、ものの考え方がものすごく自由になるんです。これはもうすごくおすすめの状態になりますね。
堀江:“個性を大切に”して。
澤:そうそう。
(会場笑)
質問者8:実は、まさに澤さんのVoicyっていうラジオも聞いています。
澤:そう。あとは、自分からアウトプットする癖をつけることもすごく大事です。何でもいいのでアウトプットしないと、他の人は絶対に気づかないから、とにかく自分から何かを発信する癖をつける。
人が何かを言わないと自分が何か言っちゃいけないんじゃないか、というのがあるわけですよね。学校の授業なんかだと、質問すると先生が「授業の邪魔をするな」と怒ることもあるわけですよ。
だけど、何かを発信することはこれから絶対に必須のアクションになってくるので、これはもう今のうちから癖をつけておいた方がいいですね。
質問者8:ありがとうございます。
澤:じゃあラストですね。
質問者9:ありがとうございます。今日は、シリコンバレーですら、まだ前の(マインド)セットに囚われているということが本当にショックだった反面、澤さんは後天的に男性脳から女性脳にシフトすることができたというお話を聞いて、ちょっと救われた気がしました。
さらに言うと「男性と女性」とか、「アメリカと日本」とか、そういうマインドセットから解放されるような仕組みを考えている人たちが今、シリコンバレーにいるのかどうか。
堀江:シリコンバレーは「わがまま人」の集まりですから(笑)。はっきり言って、それは考えてないんじゃないのかな。でも、やっぱりカリフォルニアでは「コラボするためには、いろんな人を理解してあげよう」ということはすごく言われているんです。努力はしていると思います。
データにはまだまだ出ないですけど、カリフォルニアにいて(感じるのは)「正しいことをしよう」という正義感の強さは素晴らしいなと思いますね。なにか間違ったことがあったら、Uberのトラバーさん(注: Uber の共同創設者で元CEOのトラビス・カラニック氏。自身や同社社員の言動に端を発した問題により辞任に追い込まれた)のように、会社がすぐ辞めさせるとか。
でも、日本でそういうことがあると「みんなもやっているよね。なんでわざわざ言うの?」という感じで、「それを言った女性の方が悪い」というようになることがわからない。
質問者9:そうそう。なんでそうなるのか、わからない。
堀江:男性に「大人なんだから。悪いことは悪い」と認めさせるのが、なんでそんなに難しいのかがわからない。
澤:人間って、既得権というものにすごく弱い生き物なので「俺らがこれだけがんばって作った社会なんだから、なんで女性なんかに」と、本音で思っている連中がけっこういるんですよ。これを僕は「ぼんやり生きているおっさん」と言っているんですけどね。
(会場笑)
澤:要するに、何も自分から生み出すことができないから、結局のところぼんやりと今までの既得権の延長線上を生きているだけなんですよ。(そういう人は)はっきり言って価値がないと思っていて、あれは死ぬまでやめません。「黙って静かにどこかでひそやかに生きていてくれ」なんですよ。「ものを言うな」なんですね。
だから、これからはものを言える人たちが「いかにしてそれを黙らせるか」ということが大事。さっきの話じゃないけど、「アウトプットしましょう」というのはそういうことなんですね。
ノイズをあげていかないと世の中が変わらないので、例えばマーティン・ルーサー・キングさんが50年以上前に「I have a dream.」と言わなかったら、オバマ大統領は生まれていなかったわけですよ。
誰かが何かの声をあげて、初めて世の中は動くから。僕はいつもプレゼンテーションの講習のときに言っていますけれども、世の中のなにもかも、プレゼンテーション以外では人類は変わっていかないですからね。
プレゼンだけが世の中を変えています。誰かが発信したことによって、誰かが動いて、世の中が変わっているわけです。だから、発信することを恐れないことがとにかく大事だと僕は思っていて、発信すれば絶対にどこかで味方が見つかるはずなんです。
時間がかかるかもしれないし、斜め上から降ってくるかもしれないけれども、発信しなかったら0は0のままですからね。それが僕がずっと思っていることです。
質問者9:3年後くらいにはまだ難しいというやつですよね。
澤:もしかしたら、僕らが生きている間は無理かもしれないけど、別に再来世くらいでいいじゃん。
質問者9:そうですね。じゃあ生まれ変わったときに。
澤:あともう1つ。やらなかったことを後悔するのが1番つらいと思うんですよ。やって失敗してする後悔の方が傷は浅いと思っているんです。最近とくにそう思うんですね。やらなかったことって、なんでやらなかったんだろうって、ものすごくもやもやするでしょ。
やって失敗だったら、腹は立つけど、もうしょうがないじゃないですか。もうやっちゃったものはしょうがないから。だから、やらないよりは何かしら行動する、アウトプットすることはやった方がいいと、僕はすごく思う。
質問者9:声をあげ続けるというところですかね。
澤:そうそう。それもなるべく多方面にね。世の中に「正解」なんてなくて、なんでもなにかしらのかたちで誰かにとっては正解だし、誰かにとっては不正解なので、しょうがないんですよ。
堀江:やることに意義がある。
澤:やることに意義がある。
堀江:Take action.
澤:そうそう。ぶっちゃけ、アクション以外に僕は価値のあるものは何もないと思っているんです。「秘すれば花」って、なんだそれという感じですもんね。こんな感じでよろしいですかね。
質問者9:ありがとうございます。
澤:はい。
堀江:みなさん、ありがとうございました。
澤:ということで、一応この場はこれにてクロージングします。だけど、だいたいこのあとは占い師みたいにこの周りに並んだりするんですよ。終わらなくなっちゃうので、今日は基本的にこれはやめましょう。ということで、もし近くに寄りたいんだったら、握手かハグでお願いします。
(会場笑)
握手、ハグは大歓迎にします。よろしいですか。ということで、どうもありがとうございました。
堀江:ありがとうございました。
(会場拍手)
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