2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
リンクをコピー
記事をブックマーク
澤円氏(以下、澤):シリコンバレーの最強女性アクセラレーターの堀江愛利さんです。では、拍手でお迎えください。
(会場拍手)
澤:僕は自分で言うのもなんですけど、最強のプレゼンターで、プレゼンテーションを仕事にしている澤と申します。よろしくお願いします。本日のアジェンダは、最初からめちゃくちゃですけれども、とりあえず最初の1時間くらいは、我々の方でトークセッションというかたちでやらせていただいて、1回ブレイクを入れます。
その後に、食事も用意していますので、ケータリングを楽しんでいただきながら、さらにその後は、みなさんからどんどんご質問をいただいて、それに対して答えていくような形で進めていきたいと思います。
ということで、もし質問がしたい、もしくは何か言いたい(という方は)、後半にたっぷり時間を取りますので、今のうちに考えておいてください。日本人は質問をするのがけっこう苦手なんですよね。
堀江愛利氏(以下、堀江):あ、そうなんですか。
澤:うん。だからファーストペンギンと言うんですけれども。一番最初に質問をしてくれる人は偉いですからね。
堀江:一番最初に発言した人にマイクロソフトから何か出ます?
澤:じゃあ、僕のテクノロジーセンターツアーということで、テクノロジーセンターに実際にいらしていただく、というのをやりましょうか。
堀江:素晴らしい(笑)。
澤:ということで、まずは自己紹介(をお願いします)。
堀江:初めまして、堀江愛利と申します。広島出身で、17歳まで広島の方におりました。1年間ほどの留学でアメリカに行きまして、そのまま、大学、就職というかたちで、ずっとカリフォルニアに残っています。今現在は、Women's Startup Labという、女性起業家に特化したアクセラレーターをやっています。
堀江:アクセラレーターというものをご存じない方もいらっしゃると思うんですが、テック関係、ベンチャー関係では、アクセラレーションという、投資をしてもらう1つのセットアップがあります。
スタートアップを集めて、だいたい3ヶ月の間、シードファンドを与えたり、あるいは最後にピッチイベントという発表の場があり、そこで投資家に(事業のアイデアを)披露して、投資をしてもらうものですね。
各アクセラレーターで内容は違うんですけれども、次のステップに行くサポートを行っています。前に自分でスタートアップをしていたんですけれども、3ヶ月のアクセラレーターが多かったり、あるいはハッカソンでコーダーが集まって、週末にいろいろ起業のベースになるデモを実際に作ってみたり、というのがあるんです。
そういうのでもわりと男性ばかりで、女性が出す案に対して、ぜんぜんサポートがつかない。よくある話ですけど、デートアップはたくさんあるのに、参加されている男性方がまたデートアップをつくるわけですよ。これでは、なかなか女性が必要とする世の中やアイデアはサポートされないんじゃないかなと思いました。
そういったことから、女性に特化したWomen's Startup Lab(というスタートアップ・インキュベーター)を始めました。3ヶ月間家を離れて、そういったプログラムに入るというと、女性には家庭があったり、子どものことがあったりします。いくらスタートアップは自分の人生をかけてやっているといっても、だからそれができる、というわけではないかもしれないじゃないですか。
そういったかたちで、女性がアクセラレーターに参加できないことはもったいないです。じゃあ、女性用のプログラムとは何だろう。女性が社会の中で入れていないところとは何だろうと考えました。
それはネットワークかもしれないし、女性学といったものなど、すべてのことを勉強しました。今、シリコンバレー(在住)ですけど、6ヶ月の間に260人くらいの方に話を聞きながら、ひたすら「何が足りないのか」という問いかけをして、みなさんの意見を集めて、実際に女性に特化したアクセラレーターをデザインして、2014年に始めました。
澤:2014年なので、すでに4年前ですね。
堀江:はい。あっという間でした。(スライドを指して)この写真なんか、何年前でしょうという感じ(笑)。
澤:なるほど(笑)。
澤:やっぱり、キーワードというか、女性を軸にして活動する部分が一番多いという感じですか?
堀江:そうですね。女性に特化して社会のひずみを見はじめると、実は日本人は、世界で見るといろんなところでトップのレベルだと思うんです。もちろん澤さんは(プレゼンなどを)やっていらっしゃいますけど、世界レベルで戦う時には、やっぱり表現力などで劣ってしまう。
その「女性がどうして?」というクエスチョンマークのところと、「日本人が世界で活躍するためには?」というところは、わりと(課題が)似ているんですよね。そういう意味でも、みなさんが、「自分はここでがんばっている」という(ふうに思っている)ところに対して、見えていないところはなんだろう。
それをどう変えてイノベーションに繋げていくかは、「人のイノベーション」なんですよね。それをすごく課題にしてやってきています。だから、そういう意味では、今は大企業でいろいろ取り組んでいらしゃるオープンイノベーションのサポートもしています。
澤:ありがとうございます。
堀江:今日はありがとうございます。大人数になっちゃいましたね。(最初は)30人くらいで(やるはずだったのに)(笑)。
澤:最初は「30人くらいで」と言っていたら、10数時間後には瞬殺でぜんぶ売れて、その後30人プラスしたら、それも18時間くらいしかもちませんでした。結局、トータルで90人を超える入場者になっております。すごい集客力ですね。
堀江:いや、そんな。澤さんもブログですごく活躍されているので。
澤:いやいや、単に髪が長いだけです。
澤:一応、僕も自己紹介しておきますと、まどか・さわ、澤円と言います。こんななりをしていますけど、一応サラリーマンです。マイクロソフトに勤めておりまして、テクノロジーセンター長というのが私の肩書きです。
「すべての顧客セグメントに対して、あらゆるテクノロジーの紹介をする」という、わりとざっくりとしたくくりなんです。いろいろな最初のテクノロジーが、どんなふうにビジネスに役に立つのか。もう少し広い意味で言うと、(そうしたテクノロジーが)人のために役に立つのかを分解してご説明する仕事です。
もう1つの軸は、サイバーセキュリティです。「どうやってサイバー犯罪に関する対応をやっていけばいいのか」という話もあちこちでしているんです。このなりなので、どうしてもサイバー犯罪をやる側だと勘違いされるんですけど、やる側じゃないんです。守る側です。これ、非常に大きな違いですので、覚えておいていただきたいです。
(会場笑)
そのサイバー犯罪というのも、日本にいるとけっこう平和なので、あんまり自分ごとと思わない人がいるんです。心配しないでください。ここにいらっしゃる方々は、ほぼ全員が、すでになんらかの形でやられていますから。それくらいに(サイバー犯罪には)国境がないんです。
日本にいながらにして、実際にこういったところで、我々はグローバルに触れている状態なんですよ、とお伝えする仕事をしています。はい、ありがとうございます。(水を持ってきた女性を指して)この人は奥さんです。僕の奥さんですよ。彼女は奥さんです。
(会場拍手)
澤:あとで怒られそうですね。僕はかみさんと言っているんですけど。なんでかみさんの話をしたかというと、僕と愛利さんが、どうやって繋がったかをお話しした方がいいかなと思ったからです。まず、僕たちの間には、かみさんと奥田浩美さんという2人の女性がいました。
その奥田浩美さんと愛利さんが、日本の女性の起業家や、そういった(起業したいという)ハートのある人たちをシリコンバレーにお連れするという集中講座をずっとやられていたんです。そこにうちのかみさんが参加させていただいたのが、最初のご縁でした。
かみさんは完全に愛利さんに目がハートになった状態で、大ファンになって帰ってきました。僕はその後、サンフランシスコに行く用事があったのですが、かみさんに「もう絶対会った方がいい、絶対会った方がいい」と言われたんです。それで、偶然同じイベントに参加することになり、そこでお会いすることができて意気投合しました。
たまたま、「日本に来ることになったから何かしようか」とノリで言ったら、2日くらいで、いい加減なこの建て付け(のイベントをすること)になりました。とりあえずやることだけ決めて、やり方は後で考えようという感じになったのですが、そうやってみると、今まだやり方が決まってないですからね。
(会場笑)
今やりながら考えています。そういった意味では、今日はがっつりテーマを決めているわけではないんです。とりあえず(愛利さんと)時間を合わせることができたので、何かしようという感じです。
たぶん、愛利さんの話を聞きたいという人もいるだろうし、すごくおもしろいので、(僕も)個人的には、みんなに聞いていただきたいという気持ちがあるんですね。もう1つが、知ってもらいたいということです。やっぱりシリコンバレー側にいると、なかなか日本のことが見えなかったりしますので、この機会に知っていただきたいということもあります。
もっと言うと、日本から愛利さんがどう見えているのか、イメージがつきにくいところがあると思うので、そういったことを、みんながシェアできる場にしたいなと思っています。フィードバックがないと、愛利さんが欲求不満で帰ることになりますからね。
堀江:(もしそうなったら)怖いですよ、とか言って(笑)。
澤:それ、怒られるの僕なの?(笑)
澤: じゃあ、せっかくですので、(ご質問してみたいと思いますが)、シリコンバレーという場所を初めて聞いた人はいます? それはさすがにいないですね。ちなみに、シリコンバレーが地名だと思う人は、どのくらいいらっしゃいます? 街の名前だと思う人は、どのくらいいらっしゃいます?
(会場挙手)
澤:何人かいますよね。シリコンバレーは、土地の名前ではないんですよね。
堀江:違いますね。
澤:シリコンバレー街1丁目は、ないんですよ。
(会場笑)
シリコンバレーというのは、あくまでもあだ名みたいなものです。シリコンバレーを愛利さん的に解説すると、どんな感じになるんですか?
堀江:そうですね。ベンチャー関係の方々からすると、やっぱり憧れでもあると思うんです。そういう意味では、世界中のイノベーションに関わるトップの方々が集まるので、シリコンバレーにいる人が偉いのではなく、世界中のトップの人が集まるというところです。
みなさんが「シリコンバレーに行く!」「わくわくする、何が見つかるんだろう」「I give me here for something.」と言って、「something」を探しに来るんですけど、街に行ってもそんなに何かがあるものでもないんです。スタンフォード(大学)があるくらいで、来たのに何もないという感じです。
なぜかというと、シリコンバレーとは場所ではなくて、「マインドセット」なんです。シリコンバレーのみなさんが言うマインドセットというのは、1つお話で(例えて)言うと、ある学生がスタートアップを始めました。でも、お金がない。それで、キャンピングカーを借りて、スタンフォードの一角に停める。
そこはキャンピングカーを停めていいんです。他の街は、公道でキャンピングカーを停めちゃいけないんです。だから、スタンフォードの傍にはキャンピングカーが並んでいます。
スタートアップの子どもたちが、違法じゃないところで(車を)停めて、昼間はUBERやLyftのドライバーになってお金儲けをしながら、乗る人すべてに、投資家であればピッチをし、エンジニアであれば「ここでコーディングでつまってる」という話をするんです。
それで「わかった」となって、「5分ほど傍に止めろ、そのコーディング見せてみろ」ということになるんです。そこでぜんぶ教えてもらうんです。そういうマインドセットで、とにかく、どうにかして自分の思うスタートアップなり夢をつかむ、という場所ですね。表向きは。
澤:表向きは(笑)。気になるセリフが出たね!
(会場笑)
澤:でも、このマインドセットというのは、今聞いているだけでもどうです? 日本でそういったことが行われている場所を、ぱっと思いつきます? 残念ながらないんですよね。
この間、愛利さんから聞いてショックだと思ったことがあります。例えば、中国人やインド人は、向こうに行ったらコミュニティを作ってお互いに助け合うことが、わりと自然発生的にぱっとできるんだけど、日本にはあんまりないんですよね。
日本人はそういうことをやるかというと、それほど(コミュニティが)大きくなくて、つるむんですけど、がっつり助け合うかとなると、そこまででもない。もっと言うと、日本の中でも、パワフルにコミュニティが育てられているカルチャーは、まだちょっと醸成されていないかなと思います。これがイノベーションの差にも大きく繋がっている気がするんですよね。
堀江:そうですね。例えば(シリコンバレーには)、外国の起業家が1ヶ月でも遊びに来るわけですよね。みなさんが「すごい、すごい!」と大騒ぎする(ような有名な)人が、普通にスターバックスに行って、隣にいる人もみんな、ピッチや投資の話をしているんです。
「実は僕はフランスから来て、スタートアップをやっているんだ」と言ったら、隣に座った人がそこで話を聞いてくれて、ピッチを直してくれて、あげくの果てには2~3人紹介してくれる。そのスピードで、みんながオープンなんですね。
ただ1つ、外国から来る方でみなさんが勘違いされるのが、Open=Easyだと思ってしまうこと。オープンですけど、とってもDifficultなんです。カリフォルニアは天候も良いですし、わくわくしてピッチに行くんですけど、結局、カジュアルにピッチして、ぜんぜん何も得ずに帰ってしまうケースがよくあります。
やっぱり世界のトップの人が来るところなので、実際はすごく厳しいんです。私たちが言うシリコンバレーとは、「Land of never enough(決して満足しない場所)」。5億が50 million (約50億円)になり、5 hundred million(約500億円)、ten billion(約1兆円)(になるところです)。「never enough(常に足りない)」というなかで、ひたすら自分を上に持ち上げながら、くじけずにやっていくというのは強い精神が必要です。
澤:そうですよね。サバイブしていくには、自分からアクションしないといけない。もちろんヘルプはあるんだけれど、「何もしない人間には何も与えられない」という厳しさはすごくありますよね。
堀江:そうですね。
澤:もしかしたら今日、核にしてしゃべりたいと思っていたのはそういう話なのかもしれない。
澤:日本にいると、なんとなく生きてしまうということはすごくある。なんとなく生きていても、なんとなく暮らせちゃう。
それで、なんとなく人生終わっちゃう、というようなところがあるんです。最近の日本は、「なんとなく」がすごく蔓延していて、そのレベルが徐々に下がってきているのをすごく感じるんですよ。
堀江:例えば?
澤:例えば、「働き方改革」というキーワードが、僕は大っ嫌いなんですね。
(会場笑)
澤:もう本当に嫌いで、商売の上で便利な言葉だから使うんだけど、言うたびに鳥肌が立つくらい嫌いなんです。なぜかというと、「働き方改革」と言えば仕事をした気になる、という人が多いんです。
何も起きないんだよ。だけど、働き方改革というものに対して「何かやりました」というふりをすれば、それでとりあえず仕事ができているような気がする。キーワードでぜんぶ成り立ってしまうんですよね。
そこに実はないんですよ。だけど、「なんとなく新聞のプレスに発表ができました」とか「なんとなくインストールしてみて、それが立ち上がったらそれでやったことになりました」で終わってしまう。そういうことがすごく蔓延している。
人の暮らしがすごくリッチになるとか、なにか大きく成長するとか、そういう実がない状態なんだけれど、(働き方改革という)キーワードだけですべてが済んでいる。それが最近、僕の非常にストレスフルなところなんです。
堀江:なるほどね。働き方改革って、アメリカで言いましたっけ?
澤:いや、言うわけがない!
堀江:ワークライフバランスなんてコンセプトもありましたけど、私は、バランスという言葉が嫌いなんです。
澤:嫌いな言葉が一緒になっちゃった(笑)。バランスが嫌い?
堀江:バランスが嫌いで、死ぬときにバランスがあればいいかなと思っています。今ここでバランスと言うのは無理かなと思うんです。子どもが小さかったり、キャリアで(考えれば)、20代の時などの若いうちは、ワークホリックでいいじゃないかという時期もあるだろうし。
スタートアップをやっていると、みんな、寝る間を惜しんでやっているんです。そうすると、コーチや年配の方々が「That’s not sustainable! You are after of balance.」とか言うんですけど、いやね、子ども育てたことある?
(会場笑)
堀江:(子どもが生まれて)最初の6ヶ月って、お母さん方は人間(的な生活)じゃないよね。2時間ごとに起きて、「え? これで私、生きていけるの?」と思う(ような)6ヶ月があります。
育児の最初の6ヶ月は死に物狂いだったので、スタートアップでも、最初の何年かは、死に物狂いで(事業を)育てないといけない時期はあると思うんです。それを「バランスが取れてない起業家だ」なんて言われたら、「I don’t know.」って感じですよね。
澤:そもそもバランスがとれた起業家っているのかな?
堀江:いや、いないと思います。
澤:ねえ! バランスを崩していかないと、結局、何事もhappenしない。
堀江:多分、クレイジーが必要なんですよ。「どういう起業家を探していますか?」と私も良く聞かれるんですけど、ordinary(普通であること)だけじゃなくて、クレイジー(さが必要)だと思います。
例えば、投資家の方が数件スタートアップの面接をしたりピッチをしたりしたあとに部屋から出てきて、「What do you think?」と聞いて「She’s great.」とか「He’s great.」と答えたりするなかで「She’s wasn't crazy enough.」となるんです。
そのenoughですよね。それが何なのか。そういう意味では、日本の中ではクレイジーな幅が限られているんじゃないかと思いますけど、どうですか。
澤:その通りなんですよね。これもすごく言いたくてしょうがない話なんですけど、僕のもう1個の嫌いな言葉が「普通」。
(会場笑)
澤:普通というのは嫌いというよりも、危険な言葉と呼んでいるんですけど、日本は普通であることが、安心・安全の意識の紋章みたいなものかな。要はエンブレムみたいなものになっていて、普通であることをすごく重んじるというか、もっと言うと、普通であることを強制するんですよね。この枠に納まっていること。その幅が分厚いんですよ。
その(普通の枠の)なかに入っていることを多くの人が求めるし、ある意味、上に立つ(人)、組織上のある程度の権限がある人もそれを求めてくるんですよね。おもしろいのが、例えば就職活動をしていて、採用担当者の人たちは「個性のある人材を求める」とか言うんですよね。「嘘ぬかせ」という話なんですよ。
堀江:はっはっはっはっは(笑)!
澤:じゃあ、僕が新卒でこの格好でいたら、「あんた採るの?」という話なんですよ。まず絶対、採られないわけです。「個性を発揮しろ」とか言うんですけど、結局、扱い方がわからないんですよ、普通の人しか扱えないから。
あるいは、普通であるように圧力をかけることに関しては、日本には名人級の人が本当にたくさんいるので、どんどん角が取られていってしまうんです。だから、クレイジーな要素があったはずなのに、クレイジーに振舞うことをコントロールされてしまって、クレイジーではなく、プチクレイジーぐらいになる。
そして、何もできない、何も起こらない状態になっている。だけど、それ(生活)がある程度保証されているので、なんとなくみなさん暮らせているのかな。
澤:そういう人たちが、なんとなく少しイノベーティブなことをしたいから、じゃあイノベーティブといえばシリコンバレーだから、「とりあえず視察に行こうか」という話になるわけですよ。
堀江:見ても、シリコンバレー(のよう)にならないですよね(笑)。ツアーが多すぎますよね。
澤:多すぎる。シリコンバレーの視察、ツアーに行ったことある人います?
(会場挙手)
あ、います? 視察ツアーに行かれました?
堀江:(挙手した方は)うち(の講座)に来ているので。
澤:ああ、そうか。最近けっこう、旅行会社でも、シリコンバレー視察ツアーをやっているんですよね。今から考えると、なんじゃらほいな感じですけど。それで実際、大手の旅行会社がいろんな会社を回るというツアーをプログラムして、何か生まれるのかなあ、とすごく不思議なんですよね。
堀江:いやー、多いですね。だから「見るツアー」じゃなくて、たぶん「聞くツアー」に変わってきているんですが、私は「何かをするツアー」に変えてほしいなと思っていています。
私たちのプログラムに参加された方が後ろのほうにいるんですけど、ジャブ、ジャブと、もうすごい壁打ちですよね。そういう意味でも、シリコンバレーを見るだけでは、VIPのチケットを買ってバスケットを見ても、バスケットプレイヤーにはなれないのと同じなんです。
うちでは起業家の方、あるいは大企業のイノベーター、これからリーダーになる方に(向けて)、ジャブジャブ(壁打ち)商法をいろいろやろうと思っていて、そういう意味で、目がハートになってくれるのは嬉しいんですけど、けっこう大変です。
だから、1つの課題を持って、こう言ったら周りにウケるかな、というピッチではなくて、自分でも話しながら涙があふれるくらい、心が湧くというか、震えるというか、自分でそこまでいかないと人を動かせないんですよ。
なので、起業家はすべてのお金と自分の時間をかけることに対して、まずは自分(の心)が動くくらいの熱意を見つけ、言葉にして、ピッチの際にいかにそれを伝えるかですよね。
澤:僕、一応プレゼンテーションを生業にして、去年は1年間で266回のプレゼンテーションをしているんです。回数だけやればいいというものでもないですが、それだけの回数をやっていると見えてくるものがあって。(大事なのは)うまく喋る、ではないんですよね。
うまく喋るというのは喋り方のテクニックだったり、声の出し方、立ち方なんです。それはどうでもいいとは言わないけれど、全体からすると、僕は常に(テクニックは)マックス2割と言っているんです。
8割は何かというと、もうこれは中身であり、コンテンツです。コンテンツというのも、綺麗なスライドという意味ではないんです。端的に言うと、生き様なんですよね。どれだけそれに対して自分の人生を突っ込んでいるか。それを本気で言えるなら、喋り方が稚拙であろうと僕は伝わると思っているんです。
そこまで本気になることが、日本だとちょっとカッコ悪いと見られたり、あるいは無駄なことで忙しかったりする。例えば僕は、無駄なことで忙しい典型が通勤だと思っています。
(会場笑)
だって、通勤が楽しい人います? 満員電車、楽しい人います? そういう変態がときどきいますけどね。
(会場笑)
「あれが好き、あの緊迫感が好き!」みたいな人がいますけど、僕は非常に人生を無駄にしているなと思っていて。要は、その無駄なことをやるんじゃなくて、自分のやりたいことに徹底的に時間を割くことに、なんとなくみんなが遠慮してしまっているというか。そこまでつぎ込んでないな、というのが、僕が最近課題に思っていることです。
堀江:そうですね。遠慮、やめましょうね。
澤:遠慮する必要ないんですよ。
堀江:自分の人生だし。
澤:そうそう。基本的に(人生は)1回しかないですから。会場に2回ある人います? いたら増やし方を教えてほしいんですけど(笑)。
(会場笑)
たぶん、ないんですよ。1回だけなんですよね。輪廻という概念もありますけど、とりあえず、今の人生はこれ1回だけです。どんなに粘っても150年くらいですよね。ちょっと粘りすぎだな(笑)。120年くらいなわけですよ。その間で何かを表現するとなったら、そんなに時間はないですよね。
関連タグ:
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには