2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
現役VC&インターンが語るVCインターンの魅力とは(全1記事)
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松本禎大氏(以下、松本):では、パネルディスカッションに移ります。こちらからは、お題を3つ用意しました。
パネル中に質問や意見があったら、手を挙げて聞いていただいても構いません。「人前でしゃべるの苦手だな」「あまり知らない人に話しかけられたくないな」という人は、ハッシュタグを使ってツイートしていただければ僕が拾うので、ぜひ聞いてください。
それでは最初の質問「VCで働こうと思った理由と働いてからのギャップ」をお聞きします。
みなさん働くきっかけがあると思うのですが、入社前と入社後でVCに対して思っていたイメージに違いがあったら教えてほしいなと思います。では、両角さんからお願いします。
両角将太氏(以下、両角):学生時代にVC、サムライでインターンとして働こうと思った理由は、設立準備中に榊原社長と会って、「4日後にこういう場所ができるんだ」と。
松本:4日後(笑)。
両角:即決して、「じゃあやります」って言いました。その4日後からは、朝から晩まで働いていました。
(大学の授業の)単位も残ってたので、試験のちょっと前にお休みをいただきましたが、常にフルタイムで働いていました。
以前にも、インタビューブログで社長とは会っていたんですけど、改めてお会いできたときには、僕もいろんな人をインタビューしていて、「日本にもこういうシリコンバレーみたいなものがあったらいいな」と思っていたんです。
当時、ベンチャーはそんなに盛り上がってなかったし、イベントもほとんどなかったので、そういう場所を作れたらいいなと思っていた瞬間にきっかけがあって、タイミングがちょうど良かったということがあります。
VCはどういう仕事をやったらいいのかまったくわからなくて、こういうイベントとか場所を作っているベンチャー投資もあるんだとちょっとわかって、わからないなりにも、「こんな働き方があるんだ」という興味本位で働いたのが最初のきっかけです。
働いてからのギャップは、榊原さんは当時Twitterによく投稿していたので、「すごい雑な感じの人だな」と思っていたんですけど、意外ときめ細やかで、兄貴みたいな感じでいろいろ教えてくれました(笑)。VCはイベントや派手なことをやっている反面、金融業なので、投資や契約、事務などはしっかりやっているんだなと感じました。
松本:ありがとうございます。木村くんはなぜKVP(KLab Venture Partners)に入ろうと思ったのか聞いてもよろしいでしょうか。
木村大夢氏(以下、木村):はい。VCで働こうと思った理由と、なぜ2017年の1月というタイミングにしたのか、数あるVCの中でもKVPを選んだのかという流れで話していこうかなと思います。
松本:サムライを選ばずに(笑)。
木村:すみません(笑)。もともとVCに興味を持った理由は、自己紹介でも少し触れたんですけど、実は過去に、友達と簡単なビジネスをした経験があります。
ですが、僕がやっていたのはみなさんが想像しているようなVCから資金調達して、プレスリリースガンガン出してみたいなビジネスではなくて、本当にしょぼいというか(笑)。
当時、Googleビジネスアカウントの登録代行サービスという、人海戦術的なビジネスをやっていました。
Googleビジネスのアカウントって登録するのは無料なんですけど、なぜ代行ビジネスが成り立っていたのかというと、当時は、訪日外国人がローマ字でレストランや蕎麦屋を探してもぜんぜんヒットしなかったんです。
Googleビジネスのアカウントを登録しないと、料理マークのピンが表示されないんですけど、店主が高齢でネットリテラシーが低いから登録ができてないのではと思いこの代行サービスをやり始めました。
ニーズはあったんですけど、一軒一軒回って、蕎麦食べながら「今日暑いですね」「訪日のお客さん、いっぱい来ますか?」みたいな雑談をして契約を取るという、本当に泥臭いことやっていて、これはぜんぜんダメだなと思っていました。
話が飛びましたが、VCでインターンしようと思ったきっかけは、そんなビジネスをしていた中で、「なんかVCというのがいるみたいだ」「VCというのは面談をして、『このビジネスは伸びそうだ』とか、この企業は良い企業、悪い企業とジャッジするらしい」そして、「自分がジャッジする基準を身につければ、(ビジネスの)精度・確度が上がるんじゃないか」と思ったことです。
以上がVCに興味を持った理由です。次にタイミングの話、なぜ2017年の1月だったかというと、もともとその前まではリクルートでインターンしていました。
『じゃらん』の法人営業をやっていて、「初めまして、リクルートの木村です。じゃらん契約しませんか?」とひたすらやっていたんです。
定量的な数値目標達成率は平均150パーセントで達成はしていました。しかし、インターン生の出来る業務という点で、当時のリクルートのインターンは何をするかある程度決まっていました。
リクルートでは営業やトークフローもすごく勉強になったのですが、なんか物足りなくなり、「もう少し少人数でガシガシとインターンできるところはないかな」と思っていました。それが2016年の12月です。
なぜKVPかというと、これはすごい単純です。KVPの母体というか、KLabというゲーム会社があって、ここから「KVPというベンチャーキャピタルで1期生のインターン生を募集します」というメールを2016年の12月頃もらったんです。
なんで、僕がそのメールにピンときたかというと、もともとVCでインターンしたいということもあったんだけど、募集人数が「1人」と書いてあって……なんか燃えません?
松本:1人。
木村:1人。あれ、燃えない? いろんな人が応募してくるなかで、リクルートやいろんなところでインターンしている自分の市場価値は、今どのくらいなんだろうということで、その時期に試してみようという感じでKVPを受けて、受かったのでそこにしたんです。
比較はしていないので、サムライさんに行きたくなかったわけではないです。安心してください。以上がインターンを始めようと思ったタイミングの理由となぜKVPだったのかです。
松本:ありがとうございます。Yurikoさん、YJは比較的社員さんやインターンがたくさんいるような環境でしょうか?
Yuriko氏(以下、Yuriko):ヤフー自体はたくさんいるんですけど、YJキャピタルは本当に人が少なくて、「私がやります」と言ったら、「じゃあやって」といなんでも(仕事が)流れてくるので、人が少ないところでインターンしたほうが、挑戦できる機会がたくさんあると思います。
松本:そうですよね。この5人は20人以上の組織で働いた経験がないですよね。
木村:僕はリクルートでの経験があります。人数が多いところでインターンすると、もう業務フロー決まっているので、「なんかわからないけどインターンしてみたい」という人はすごく合っていると思います。
逆にインターン生がいないところは、そもそもインターン生に何をさせていいのか上司も決めきれていない部分があるので、自分たちで仕事を作っていくみたいなところがありません?
松本:ありますね。
木村:だから、「これで正解なのか?」と思っても、フィードバックはぜんぜんないですし、「君にこれ全部任せてるから」と言われて、自分で考えて、自分で仕事を作って、自分でやるみたいな感じなので、上司の仕事ぶりと自分を比べられないんですよ。
だから、そこに不安を持っちゃう人は人が少ないところでインターンしないほうがいいと思います。どうですか?
両角:僕も人が少ないところでやるべきだと思っています。僕も10人未満、7人くらいでやっていたときに入ったんですけど、少ないと社長と近いというか、どこで仕事をするかより、誰と仕事をするかというところがあると思います。
社長と近くで仕事ができるのは、まだ社員が少ないところだと思うので、すごい上司がいるところ(の近く)で働ける環境は、設立して間もない、これから成長していくところに入るのが一番かなと思います。
松本:そうですね。社長と会える距離感なのはすごくいいですよね。Yurikoさんは、VCを外から見ていたときと入ってからのギャップはありますか?
Yuriko:私は高校生のころからずっと起業したくて、Twitterで起業したい理由とか、どういうことをしたいかを発信していたんですけど、そのときにSkyland Venturesの木下さんから、ダイレクトメッセージをもらっていたんです。
「とにかく日本に帰国したらうちに遊びに来て」ともう何度も言われていて、「しょうがないから1回は行くか」と思って、渋谷の道玄坂のオフィスに行ったんですよ。
松本:ちなみに、木下さんを知っている方はどのくらいいらっしゃいますか? あ、全員知ってる(笑)。
Yuriko:それで私の中では、ベンチャーキャピタルのイメージが木下さんだったんですよ。
(会場笑)
Yuriko:「ベンチャーキャピタルってどんな職業なの?」みたいな。Hive Shibuyaに遊びに行っても、カフェの小脇のゆったりした空間でみんな好き好きに作業していて、ぜんぜん企業感がなくて、「ふーん、こういう世界やこういう働き方もあるんだ。新しい存在だな」と思っていました。
Skylandではインターンとかそういうお話はなくて、ただ木下さんと会ってお話しするだけで終わりました。
その後、YJキャピタルの堀さんと面接することになって、ヤフージャパンのオフィスにうかがったら、ものすごく企業感があって、私の思い描いていた「ザ・企業」みたいな感じでした。
「こういうベンチャーキャピタルもあるんだ」と思って、自分の固定概念が……といっても、最初に植え付けられたイメージがすごかっただけということもあるんですけど、それが覆された瞬間でした。
松本:ありがとうございます。確かに木下さんのイメージはすごく強いですよね。平田さんはギャップとかありました?
平田拓己 氏(以下、平田):僕はあんまりギャップがなくて、イメージしていたとおりだったなというところがあります。
強いて言うなら、ベンチャーキャピタルって完全に投資業オンリーだと思っていたんですけど、サムライだと大企業のオープンイノベーションをお手伝いさせていただくこともあって、VCと言ってもいろんなことをやっているんだなと。そこがギャップですかね。
松本:ありがとうございます。次に、「インターンを通じて得られたこと・身につけたスキル」はどうですかね?
両角さんは一般的なVCとは違うことをやっていたと思うんですけど、どういうスキルが今につながっていると思いますか?
両角:僕のやってきたこと自体は、投資というよりも、こういうイベントを年間200回やってきて、コミュニティを作っていくということだったんですよね。
松本:コミュニティ作りですか。
両角:コミュニティ作りが僕の仕事という感じです。後々、大企業のコンサル事業をゼロから立ち上げて、お金を稼ぐことを体験できたのがすごく大きかったんですけど、なんでしたっけ? 得られたこと?
松本:F Venturesを作ったときに、どういうところが活かせたかを教えていただければなと。
両角:それでいうと、やっぱり普通の会社に入っちゃうと、経理部門だけのインターンとか、リサーチだけのインターンをやると思うんです。
でも社長が近くて、組織がまだ少ないと、ムチャぶりをバンバン投げてくれます。会社がまだ小さいから、ほとんどの仕事を任せてくれたり、急に「1000人規模のイベントをやって」と(依頼が)きたり。
なので、自分で契約書を作ったり、広報スキルも自分で勉強してプレスリリースを書いて、記者に投げて「これでどうですか?」「ぜんぜんダメですね」とかやりながら、自分で学んでいくんですよね。
とくに教えてくれる人がいないので、広報も、場所の管理も、営業も、イベントも、あとはアライアンス、事業を作るところもゼロから自分でやっていたので、自分で起業したときに初めてそういう経験が活かせたというか、必ず役に立つスキルが身についたかなと思います。
松本:ちょっと両角さんが思ったよりスーパーマンで驚きを隠せないんですが(笑)。そこまでやるかって感じですね。木村くんはどうですか? 2社でVCのインターンをしていると思うんですけど。
木村:そうですね。僕は大きく分けて「投資判断する際の数値の肌感覚」と「自己ブランド力の向上」の2つかなと思っています。大袈裟ですが……。
1つ目はKVPでもジャフコでも、投資検討する際の資料作成をやらせてもらっていて、そこで何が得られるかというと、「これぐらいの市場規模だったり、角度の高さの会社が投資を受けるんだ」みたいな数値感を勉強できたり。
会社によっては、過去に投資検討した会社の検討資料がパソコンの共有フォルダにいっぱいあって、その資料を1個1個見たり、そのときの議事録を見て、「こういう観点でここは投資OKだったのか」「ここが論点になっていて、投資ができなかったんだ」ということが勝手に勉強できるんです。
そういう経験もできたので、自分でビジネスしたり、アドバイスするときの数値のあたりみたいなものが作れたかなと思います。
2つ目は、僕のVCインターンの最初の業務が「メディアを作れ、記事を書け」というものだったんです。
「なんでVCになってメディア作れ、記事を書けなんだろうな?」と思っていたんですけど、やっていて感じたのが、こういうイベントに行くと「KVPの木村です」と名刺を渡して終わりじゃなくて、「あのメディアで(記事を)書いている木村さん?」みたいな感じで、自分の顔をベンチャー界隈の人に知ってもらっているなと思っていて。
そこの自己ブランディングではないですけれども、みんなに自分を知ってもらえるなと思って、おそらく両角さんは、それがイベント運営というかたちだったのかな。
松本:ありがとうございます。情報という面で、VCに入らないとなかなか得られないものがあるのかなと思うんですけど、お二人はVCに入った後で、情報の格差を感じたりとか、こういう情報はVCならではだと思った経験はありますか?
Yuriko氏:私は高校生の頃から起業したいと思っていたものの、どうすればいいかわからずノウハウがゼロで、自分で思い描いている事業案はあっても、何から始めていいかわからなかったし、「まず登記って何?」という感じでした。
そこで「ノウハウを得るにはどうしたらいいか」と考えていたときに、「VCが一番起業家をリアルで見れるし、一緒に近い距離で追っていけるから、道筋がわかるんじゃない?」と言われて、本当にそうだったなと思います。
松本:平田さんはどうですか?
平田:大企業の新規事業創造コンサルをやっているという話をしたと思うんですけど、新しい事業を起こすときに、何を見ているのかとか、何を考えているのかというときに、ベンチャー投資で得たノウハウを使っています。
もともと上場企業株にも投資をしていたので、会社を見るときに何を見るか、自分の中ではある程度決めていたんですけど、サムライに入ってそういうフレームワークや新規事業を作るコンサルをやらせてもらう中でより明確になりました。
「こういうところを見てVCは投資をしているんだな」と明確に整理されたのはVCならではだと思います。
松本:確かに投資家の目線はよくわかりますよね。Yurikoさんは、バタラさんとか、堀さんとか、有名な投資家と一緒に活動されて、議事録を取られていると思うんですけど、そこで感じたことがあれば教えていただきたいと思います。
Yuriko氏:バタラさんはミクシィを作ってIPOして、そのあとVCになった方なんですけど、彼はエンジニア出身なのですごく数字を気にします。
KPIを追っていて「ちょっと開発遅くない?」とか、「この数字追えてなくない?」とか、「先週ここまでって言ってたけど達成してなくない?」とか。「この数字を出すために1週間何をするか、To doリストを出してきて」とか、数字ベースで話をします。
堀さんも同じように数字ベースで論理的にグロースハックのアドバイスをしていますが、堀さんは鋭い視点で物事を見ているというか、いろいろと新しい観点だなと、話を聞いていて思います。
松本:ありがとうございます。じゃあちょっと(Twitterの)質問に答えようかなと思います。
「SNSで今、たくさんの人とつながりますが、直接人と会うコミュニティもあります。SNSで済ませるほうがいいのか、直接こういうミートアップに出てきたほうがいいのか」という質問です。どうですかね?
両角:SNSで流れている情報はちょっと脚色があったり、ツイートしている人はちょっと盛ったりしているので(笑)、一次情報を大事にしてほしくて、自分しかない情報を持ってもらいたいです。
Twitter上で流れている情報を取得して、それを根拠に話していくのではなくて、もっと自分の足で稼いで話せたほうが説得力があるし。
自分が情報源に一番近いところに身を置いたほうがいいと思っていて、僕は発信したり、情報が溢れる中心にいるようにしています。
松本:もうほぼ答えですね。ありがとうございます。
両角:もちろんTwitterやFacebookで情報収集するのは必須だと思います。
松本:Twitterやってない人とか……。
両角:ヤバいです。
松本:ヤバいですか(笑)。
両角:やるべきとは言わないですけど、Twitterは常に見るべきだし、情報収集ツールとして使うべきだと思います。あとは発信も。
木村:僕もSNSで発信する、それに付随するソーシャル上での自分の見え方を意識するのは大事だと思っています。
実際に新規の投資先を開拓をするときに、いろいろとピックアップして、「こんな会社ありました。どうですか?」と見せると、いろいろとある判断基準の中の1つとして「ここの会社のWebサイトいけてるね、ちょっと会ってみようか」とか、「この会社のWebサイトヤバくない? ちょっと会わないでおこう」みたいなことがあったりします
投資家も1日でいろいろな人と会うので、誰と会うかとなったときに、正しい情報を発信しているということはすごく大事かなと思います。
松本:ありがとうございます。もう1つ、VCではどんな数値感が必要なのかというところで、Yurikoさんはふだんどういう数値を追っていますか?
Yuriko:そうですね。(アクセラレータプログラムの)「コードリパブリック」で採択しているスタートアップはITなので、開発の段階で必要になってくる数値です。ウィークリーのアクセス数や滞在率、直帰率など、そういう基本的なものです。
あとは、オンライン上の数値だけではなく、オフラインでこういうコミュニティに行って、何人と話したとか、どれだけ人と会ったとか、オフラインの数値もけっこう確認しています。
松本:ありがとうございます。お二人(木村氏と両角氏)は、自分がこういう数値を見ているとか、インターン時代に気にしていた数値はありますか?
両角:インターン時代はとくにないですけど、イベントの開催数はすごく見ていました。B向けのスタートアップは、とくにチャーンレート(解約率)とか営業数ももちろん見ますし、あとはMRR(月次収益)とか。
週にどのくらい上がっていて、次の到達までにどのくらいの数字がついているかを事前に逆算して、数ヶ月かけてその数字をどんどん積み重ねていくというKPIを細かく立てています。
松本:木村くんはどうですか?
木村:ここが本当にVCの最初の壁で、3文字の英語が飛び交う(笑)。LTVだ、CVRだ、CPAだと。それをまず調べる、議事録を読んでもぜんぜんわからなかったので、そこに慣れて、まず理解するところがVCインターンの最初の関門だと思います(笑)。
両角:すごい大変じゃない!?「なんだこの世界?」ってなるよね。
Yuriko:KPIがわからなかった(笑)。
松本:KPIと言ってわかる人いますか?
(会場挙手)
松本:意外とわからない方が多いですね。大丈夫です、僕もわからなかったので(笑)。
平田:会議のたびに毎回ググるという。
木村:VCインターンあるある(笑)。
平田:インターンの手がいきなり動き始めたとか(笑)。
両角:でも必要なスキルですよね。ミーティング上で「わからない」と言わないほうがよくて、こっそりググって知ってるふうに言ったほうが優秀に見えます(笑)。
松本:たしかにそれはありますね。たぶん今知らなくても、VCに入ってから勉強すれば本当にすぐ慣れます。
松本:最後の質問にいきたいと思います。「インターン卒業後のキャリア選択」というところで、事前に聞いた感じでは、起業したいという人が半分以上いて、VCになりたいという人がチラホラいるという感じですけど、登壇者のみなさまはどんな感じでしたっけ?
Yurikoさんは起業したいという感じですよね。両角さんはそのままVCに入られたと思うのですが、そこで苦労した点とか、事業会社に入っておけば良かったとか、そういう経験はありませんか?
両角:最初からVCになりたいと思ってたわけではなくて、最初は起業したいと思っていました。
大学に通っている中でも、会計士の勉強をしたり、ファイナンスの勉強をしたりしていて、それは将来的に起業したいからやっていたんですけど、VC(インターン)に入ってみていろんな起業家と会えるし、「おもしろいな」と思いました。
VCでインターンをするといろいろな人脈を構築できるし、起業家にも会えるし、投資家にも会えるし、大企業にも会えます。
いろいろな選択肢が出てくる中で、その中から選べばいいので、今悩む必要はないと思います。
今は起業するVCインターンも増えてたり、大企業とイベントを一緒にやったり、イベントの中で出会ったりするようになると、大企業の新規事業部や投資部門に抜擢されたりするようにもなるので、いろいろな選択肢が詰まっていて、すごく恵まれた環境だと思っています。
松本:平田君は事業会社の内定を辞退してVCに入っているんですけど、そこはどうですか?
平田:12月にサムライにインターンとして入ったときは、サムライでインターンをして、4月には事業会社に入るつもりでいました。
入ってからは新規事業を立ち上げたいと思っていたんですけど、事業会社ではなくサムライに決めた理由としては、自分が将来やりたいことを達成するのに、最短距離はどっちなのかということを考えたためです。
事業会社にいって新規事業を立ち上げるのではなくて、サムライで同じ志を持っている起業家の人に投資するのが近道なんじゃないかと思って、サムライに入る決断をしました。
松本:やっぱり事業会社に行っておけば良かったという後悔はないですか?
平田:後悔はまったくなくて、サムライを選んで良かったなと思っています。やりたいことを達成するための近道を選んでいるので、基本的にそれが変わらない限り、後悔することはないと思っています。
ただ、事業の立ち上げ経験がないことがマイナスに働く可能性はあるだろうなということは、入る前からけっこう悩んでいました。
数ヶ月前にグロービスの高宮さんが「VCのキャリア面談をやるぞ」と言っていて、そこに参加して「新卒でVCに入るのはどうなのか」という話を聞いて、そこでも「新卒でVCは勧めない」とは言われたんですけど。
松本:なるほど。あの高宮さんに。
平田:勧めないって言われたけど、やりたいことはやりたいし、両角さんもそのままVCになられているので、「100パーセントないわけではないだろう」というところで入りました。
ただ、新規事業開発の経験がないというところをなんとか埋めなければいけないということで、入社前の2月に1人で金沢に引き篭もって、これからについていろいろと考える会をやったりして、そこを埋める方法を考えました。
松本:ありがとうございます。お二人(Yuriko氏と木村氏)はどうですかね? 起業したい人とそのままVCになる人なんですけど、不安とか、どういった点が活きそうということがあれば教えてください。
木村:現時点での僕の意思決定に対する考え方と、VCでインターンすることについて話そうと思います。
まずVCというキャリアを選ぶとなったときに、自分の考え方として、「それは自分じゃなきゃダメか」つまり、“自分ごとにして取り組む事ができるか”ということ大切にしています。
例えば、アルバイトとか、人数が多い長期インターンで、業務が決まっていて、「別に木村君じゃなくてもできるよね」みたいなところに、あまり魅力を感じなくて、そうなったときにVCはすごくフィットするなと思いました。
なぜフィットするかというと、VCは歴史があるようでない気がしていて、今自分ができる事が多くあるのではと思ったからです。
シードVCという観点では、東証マザーズ、JASDAQなどができてから上場のハードルが下がって、シードアーリー期の企業にも投資しやすくなったという過去があって、かつ2008年のリーマンショックの影響で投資活動が活発に行われなくなった時期があり、その時期を境に今活躍しているVCが多く誕生しているという流れを考えると、けっこう混沌としているんですよ。
どうすれば正解なのか、暗中模索をしているわけで、そこで何かしら自分で仮説を立てて、どうしたらうまくできるかを考えることは自分にしかできないというか、自分にしかできない状況にいることが良いと思っているという感じです。
次にVCでインターンすることに関して言うと、起業を考えている学生に、すごくお勧めしています。理由は、起業することへのモチベーションが上がります。
なぜかというと、面談などで起業家と会う機会がすごく多くて、起業家の話を聞いていて、「自分でもやってみたいな」と沸々と感じることができ、なおかつ資料作成や起業家の人のピッチなどから多くのことを学べます。
また、目の前で「自分たちはこういう思いで、こういうことをしたい」とキラキラして語っている人を見て、自分がやってみたいなという感情になれば起業だし、ならなければ別な道を考えればいいと思うので、自分の起業への本気度を測るという意味合いでもVCでインターンするのはすごくいいと思っています。
松本:ありがとうございます。ちなみにYurikoさんはどう思いましたか? 起業したいかしたくないか。
Yuriko:私はVCインターンとして働いてますけど、メンタリングに出席していても、あっち(起業家)側に座りたいなと思って聞いているので、起業したいという夢、自分の会社を持ちたいという夢は高校生の時からずっとずれていません。
でもVCで働いていて、新しいアイデアが生まれてきたこともたくさんあるので、全部プラスだと思っています。
松本:ありがとうございます。実はもう1つ質問を設けていまして、このパネルトークを通して、おそらくみなさんがVCでインターンをしたくなっているはずだろう、きっとしてくれるだろうと信じています(笑)。
そうすると、「面接を通るのはどんな人だろう?」とか、「VCのインターンで活躍するのはどんな人だろう?」という疑問が出てくるかなという推測のもと、みなさんに聞いてみたいと思います。
最初、両角さんは最初にアソシエイト側から入って、今は採用する側だと思うんですけど、どのような人を採用していますか?
両角:そうですね。情報オタクというか。すぐググって調べたり、常にツイートを見たり、世の中のトレンドを見ているような人は採用していますし、向いているんじゃないかなと思いますね。
未来のことを考える仕事なので、トレンドを掴んだりすることによって、自分の将来の夢も作れるかもしれないし、選択肢がどんどん広がっていくので、教育の意味でもいろいろなイベントに出て欲しいし、Twitterでリサーチして欲しいので、そういうことが得意そうな人を選びます。
松本:わかりました。ありがとうございます。他のお三方はどうですか?
木村:2点あるかなと思っています。1点目は圧倒的に新しいもの好きで、情報感度が高くて、常に新しいことに積極的になれる人。イベントにいっぱい行くこともそうですし、「これやってみない?」と言われて、すぐ「はい、やります!」みたいな人はすごい合うなという点。
もう1点は、正解のないことに対して果敢に取り組める人。VCは新しいサービスや市場に挑戦する起業家を支援することが多いので、そういった中で、「これが正解だ」ということはないと思いますし。
それが故に、自分の中でいろいろと考えて、やらなければいけないので、自分で「これが正解だ」と思ってやり抜けられる人がすごく向いていると思っています。
松本:はい。ありがとうございます。お二人はまだ経験がないと思うので、自分の中で大事にしていることとか、これをやってVCインターンとして伸びたということもあれば教えていただきたいなと思います。
採用のときに、どういう点が評価されてインターンになれましたというところもありますか?
Yuriko:堀さんと面接したときも、すでに私のTwitterをフォローしていただいていて、私がどういう人間かだいたい知っていたみたいで「起業したいんだよね」みたいな感じでした。
さらっと「うちで働いたらすごく良い経験になると思うから、コードリパブリックに関わるといいんじゃない?」と言われたので、やっぱり発信力があって、自分の思っていることを公に伝えていくのに抵抗がない人とか。
松本:発信力。
Yuriko:あとはイベントに行くのをためらわない人。たくさんの人と会って、コミュニケーションをとって、Twitterに「今日のまとめ」を書けるみたいな、一連の流れが全部できる人はいいかなと思います。
松本:YJ Capitalは今日の(イベントの)まとめを書いて、Twitterで発信すれば採用されるということですかね?(笑)。
Yuriko:そうですね。堀さんもTwitterをすごく見ているので、私がイベントに行って、「こういうことを学んだ」と書くと、3秒ぐらいで「いいね」がきます(笑)。
松本:僕も社長にTwitterを見られているのでそれわかります(笑)。平田さんはどうですか?
平田:個人的にすごいなと思う人たちは、好奇心旺盛な人たちがすごく多いです。
僕も上場企業の決算をまとめるブログをやっていました。たぶん幅広く熱中するとかではなくて、ピンポイントでもいいから熱中できることを持っていたり、好奇心旺盛ですごく調べられたりとか。
それからリサーチでよくあるんですけど、求めている答えがGoogle検索で出てこないことがけっこうあるんですけど、そのときに「どうやったら出てくるかな?」と工夫して考えることを大事にしていて、そういうことができる人は収集できる情報量が違ったり、質が違ったりすると思うので、そういうところが重要かなと思ってます。
Yuriko:もう1個思い出したんですけど、メンタリングの際にも、議事録をとっているだけではなくて、自分の意見を言うことですかね。
「こうしたほうがサービスやプロダクトが良くなると思います」ということは、社員、アソシエイト、インターン生に関わらず言うようにしていて、そういうときにためらわない姿勢がいいとすごく言われるので、積極的な人は向いていると思います。
松本:ありがとうございます。みんなが言えば言うほどハードルが上がるという状況なんですけど(笑)ちょっと採用の申し込みがきております。
「僕の場合は本屋でビジネス雑誌を2〜3時間立ち読みして、帰ったらYoutubeやGoogleで朝の4時まで調べちゃう人です。インターンに向いてますか?」。こういう人は向いてると思いますか?
木村:情報にすごい貪欲で、諦めずに最後まで調べられる人はいいんじゃないかなと思います。
両角:調べて発信したらOK。
松本:発信すればOK。KVPとF Venturesは採用されるということで合ってますかね。
木村:ぜひ来てください!
両角:ぜひ。
松本:ぜひということで。ありがとうございます。時間なのでパネルディスカッションを締めさせていただきたいと思います。登壇者のみなさま、ありがとうございました。
(会場拍手)
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