2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
株式会社ユーザベース(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
司会者:それでは、続きましてユーザベース稲垣さん、ご登壇よろしくお願いいたします。みなさん拍手でお迎えください。
(会場拍手)
稲垣裕介氏(以下、稲垣):みなさんこんばんは。ユーザベースの稲垣と申します。お二人の発表を見ていて重大なことに気が付いたんですけど、会社紹介を入れることを忘れたので会社紹介はホームページを見てください。
(会場笑)
その上で、それを削ってでも伝えたかったミッションとバリューについて僕からご説明できればと思います。まず私たちのミッションは「経済情報で、世界をかえる」としています。大きなキーワードとして、「経済」と「世界」を入れています。この2つのキーワードを大事に、事業を推進しています。
もう1つがバリューで、(スライドを指して)この7つのルールをちゃんと守ることが僕たちの仲間の証明だというかたちでチーム運営をしています。
僕たちとしてはミッションとバリュー、この2つを守ることが仲間であることの証明だという定義をして経営をしています。
もう1つ特徴的なところは、創業者3名でチーム経営をしています。私ともう一人の代表、共同代表をやっている梅田、彼は僕の高校の同級生でして、愛知県の片田舎で自転車をこいでたときからずっと一緒にいる仲間です。
もう1人が、元代表取締役で、現在は療養に専念するため取締役となっている新野です。新野は梅田の証券会社時代の同期で、僕は起業するまで彼のことを知らなかったんですね。なので今起業して10年になるんですけれども、10年の付き合いというかたちになります。
私がもともとエンジニアで、彼ら二人がバンカーとかコンサルとか投資事業にいて、全然違う景色だったこともあり、さっきのミッションとバリューを作っていく上では、いろんな衝突や紆余曲折がありました。今日はそこもちょっとご説明できればと思っています。
まずミッションについてお話しします。ミッションを作るまでの話も長くなるのですが、梅田と新野のところからスタートします。2007年、梅田が戦略コンサルティングファームのCDIからUBS証券に転職し、新野も三井物産からUBSに移り、同期入社でした。証券会社の新人ということで、ビジネス情報をひたすら取り集める業務を泥臭くやってたんですね。
その中で、いろんな情報システムが導入されているにはされているのですが、なかなか欲しいデータにたどり着けなくて結局国会図書館に行ったり、Google検索に頼ってひたすら検索し続けるようなことをやっていたり、せっかくダウンロードしてきたデータもPDFになっていてエクセルに手作業で貼り付けたり、ということがありました。
本を写したりひたすら手打ち入力をする。「BtoCの世界では、Googleなど使いやすいサービスが生まれて世の中が発展してるのに、ビジネス情報の世界では、なんでこんな古臭いことをやらなきゃいけないんだ」と、その非効率をずっと感じながらやってたところがありました。
他方で私の方は、エンジニアとしてアビームという会社で働いていました。ビジネス情報を扱っていたわけではないのですが、彼らと私の共通する問題意識としては、やっぱりこのBtoCですね。BtoCの世界がこんなにも発展しているのになんでBtoBの世界は進化していないんだ、というところがありました。
Googleがこんなに発展しているのに、なんで自分たちはこんなに高いお金を払って法人のシステムを使ってるんだと思ったんですね。
さらにちょうどその頃は、スマートフォン、iPhoneが出てきた時代なんですね。世の中がどんどん進化していくのに自分たちが使っているものはこういうものでいいのかと、ずっと問題視していたところがありました。
私の方はITの現場で実際にそのBtoBのシステムを作っている側だったんですけど、現場のエンジニアの働き方は、ひたすら労働集約的だったんです。すべては人/月、工数管理です。基幹システムの開発だとその工数も膨大になりますが、1人のエンジニアの価値がすごく小さく見られてしまうことが気にかかっていました。
一方で、横を見るとGoogleがすごくすばらしいものを作っていて「あんな革新的なエンジニアってどうやったら集まるんだろうな」ということはずっと考えていました。
テクノロジーは世の中の人たちの働き方をどんどん変えなきゃいけないのに、結局その新しいシステムに移行してもやってる作業は同じで、「なんのためにシステムを入れてるんだろう?」ということがずっと起きてしまっていたので、そこをテクノロジーの力で変えたいという思いが僕にはありました。
そこで梅田・新野と、僕の考えていたことが交わって、ユーザベースを創業し、世界中で利用される経済情報プラットフォームを作ることになりました。
人の力はすごく重要なもので、情報に対して人間が分析や解釈を加えることで、意味が生まれてきます。そしてテクノロジーがあれば、それをもっとスケールできる。
ですので、創業初期のミッションは「世界中のBtoBの情報をスムーズにし、経済情報プラットフォームを作っていく」というところに落としこみました。
ただ、ここから議論をどんどん重ねていって、僕たちとしてはやっぱりGoogleという存在がすごく大きかったんですよね。あんなクールな会社になりたいとずっと思っていた。そう考えると、あえてtoBの世界に閉じる必要性はないと感じたんです。
そこで、だんだん「BtoCの世界でクールにやっているGoogleが経済情報に特化したらどんなものができるんだろう、僕たちはビジネス界のGoogleになってやろう」と考えて、ミッションもアップデートしました。
ですので、先ほど申し上げた「経済情報で、世界をかえる」というミッションには、「人とテクノロジーの力」、この力を使って世の中を変えていこうと思いも込めています。
あと、こういったものをスケールさせるためには、やはりプラットフォームのかたちであるべきだと思っています。プラットフォームのかたちであればより多くの人たちに届けられますし、すべてを自分たちでやらなくてもいい、というかたちでもあると思うんです。
例えば、今NewsPicksというサービスを提供していますが、NewsPicksにはいろんな媒体様の情報が配信されています。
世の中にすでにいいコンテンツがあるのであれば、そのコンテンツをプラットフォーム上に載せることによって、多くの人に届けていくことが僕たちの担う役割だと思っているので、既存メディアの方たちとも一緒に共有することで、ハッピーな道が作っていけるんじゃないかと考えたんですね。
「経済」、「世界」、「人とテクノロジーの力」、そして「プラットフォーム」というこの4つの思いを込めて、「経済情報で、世界をかえる」というミッションに至っています。
もう1つ大事にしているのがバリューです。この経緯をお話するとかなり人の話がでてきちゃうんですけど、創業期の2008年は、本当にこれでもかというくらい、メンバー間でケンカしたんですね。まず高校の同級生であった古い仲の梅田ともめちゃくちゃケンカしました。まず彼からすると、営業だったので、お客さんがいる時間は当然稼働しなきゃいけないものなんです。
けれど僕はエンジニアとして、夜中にデータベースのメンテナンスしたりいろいろやってたときに、あいつからは「なんで朝来ないんだ」という電話がかかってくる。僕は「なんで会社なんか行かなきゃいけないんだ」という、そんなレベルからケンカしたんですね。
なので、まずそういうところで合わなかったところがありますし、起業して初めて知り合った新野に関しては本当に何を言ってるのかわからなくてですね(笑)。
(会場笑)
何がというと、サービスが完成せずに日々預金残高が減る中で、僕は一生懸命開発してんですよね。開発していると横から話しかけてきて、「ねえねえ、ミッションとバリュー作ろう」と言うんです。今にしてはすごく大事なテーマだとわかります。大事なテーマなんですけど、残高がもう本当に減ってる中で、ここを乗り切らなきゃというときに「ミッションとバリュー作ろう」なんて言ってきたらひっぱたきたくて(笑)。
(会場笑)
だからちょっと僕、そのとき新野嫌いだったんですね。邪魔してくるから(笑)。それぐらいお互いのプロトコルが違い過ぎて、何を言ってるのかわからなかったというところがあります。そこに加えて環境ですね。ちょうどリーマンショックが起きたときでもありますし、環境も逆風だった。
メンバーも1人、結婚が決まったんですが、「そんなベンチャーにいるなんて」と向こうのお父さんに反対されて、「大企業に就職します」となってしまったこともありました。これはめでたい話なのでまあいいんですけど、いろんなことがあって散々な時期で本当は衝突が多かったんですね。
ただ、やっぱりその中で諦めずにひたすらオープンにコミュニケーションし続けてきたことが、唯一の道だったかなと思っていて、梅田とは6時間くらい和民で話し続けてなんとか仲直りしました。ちなみに新野は2年かかっちゃったんですけど(笑)。
(会場笑)
ケンカをし続けたんですけど、でも、ちょっとずつ理解できていくんですよね。そうすると、徐々にお互いのプロトコルが合ってきます。あとのメンバーについても結局は同じで、とにかくちゃんと会話してお互いを理解し、1つのその言葉で落としていくことをやっていました。
このときはまだ「7つのルール」という僕たちのバリューは存在しませんでした。なんとなく共通言語ができていた、というところですね。
そこから4年ぐらい経ったところで、さっき土屋さんの話でも50人という話がありましたけど、この50人が壁になってしまったんです。今まではなんとなくみんなのことはわかっているし話もできていて、すごく身近な家族みたいなところだったんですけど、ちょっとずつお互いのことがわからなくなっちゃったんですよね。そんな中で、経営陣に対して飲み会などで批判的な発言をするメンバーが出てきてしまいました。
ここで問題だったのは、さっきの(ココナラの)南さんのお話にもあったと思うんですけど、批判したことではなくて、批判をオープンに言わなかったことです。オープンに批判することはまったく問題なかったんですよね。
ただ、それを裏でどんどん言ってしまったが故に、不満がどんどん募っていく結果になってしまって、それによってもうミッションどころじゃなくなり、中の戦いに負けてしまったというのが、当時本当に辛かったことでもあり反省点だったポイントです。
逆に僕たちとしても「阿吽の呼吸でわかってくれ」というのは本当にエゴだったと思っていて、ちゃんとみんなが信じる言葉を1つにして意識を統一させなきゃいけなかったという反省があります。
それによって作った言葉が、この「7つのルール」です。とにかくもうこれが僕たちの行動原理であり本当に守るべきものなので「これを見て一緒にがんばろう」という話を全社ミーティングでしました。みんながついてきてくれるか不安だった面もありますが、この話をした夜の飲み会で、みんなが「7つのルール」の話をしてるんですよね。
「このルールはこう解釈すべきなのか」とか、「この観点はどこで入れればいいのか」というので、わざわざ僕たちのところにも来てくれて「このルールなんですけど」と話してくれた。それはすごくうれしかった思い出で、やっぱり僕たちが伝えなかったことが問題で、いい奴らだったんですよね。
だから、そこは小さなチームであれば、伝えなくてもよかったものについて、ちゃんと言葉にして同じ強度を持てる関係を作る、ということが僕たちの経営の1番のポイントだったと思っています。これが、僕たちがミッションとバリューを制定してきた経緯です。
このミッションとバリューの2つがあったからこそ、現状では2008年に創業して、SPEEDAというファンダメンタル分析のツールとソーシャル経済メディアのNewsPicks、entrepediaというベンチャーデータベース、あとFORCASというマーケティングツールの4つの事業を展開し、さらにはUB VenturesというVC事業にも乗り出すことができました。
海外にはアジアに5拠点、ニューヨークに1拠点あって、かなりいろいろ多角化して立地も違う場所でやっているんですけど、もう当時のような問題は起きていません。
それは、「僕たち経営者よりも、もう一個上の次元にあるのがミッションとバリューである」と、「このミッションとバリューに最も忠実なやつらが経営を担うんだ」というメッセージをずっと発しているからだと思います。この言葉をみんなが守ることによって、僕たちは1つのチームであることが浸透しているので、そういった一体感のある経営ができていることは誇りであると思っています。
みなさまにもなにか参考にしていただけることがあるんじゃないかなと思っています。今日はこういったテーマでお話ができればと思います。以上となります。ありがとうございます。
(会場拍手)
司会者:ありがとうございました。思った以上にハードシングスを経験されてるのだなと感じました。
関連タグ:
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略