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スタートアップで働く醍醐味と意味(全5記事)

30年後の自分が決まっているなんて耐えられない! 起業家が語る、「私が大企業を辞めた理由」

100億円規模のファンドを運営するベンチャーキャピタル、インフィニティ・ベンチャーズが初のインターンシップイベントを開催。オリンパスや日本ヒューレット・パッカード等、そうそうたる大企業を退職するなどして起業に踏み切った5人の起業家が、人の羨む地位をあえて手放した理由を告白。また就職先の選び方などについても語りました。(IVSサマーインターンシップ2014より)

面接は、受ける側が相手を見極める場

小林雅氏(以下、小林):聞きたいことはありますか? ○○君はどんなことを聞きたい?

参加者:起業のタイミングには興味があって、起業はしたいなと思っているんですけど。まずそれがスタートアップで働いてから、仕組みを作ってから、企業の経営のこととかに携わってから起業するとか。起業したいと思っている学生はどうしたらいいんですか?

小林:起業したくないという学生もいると思うんで、キャリアデベロップメントというか、新卒で会社に入った方がいいかということで。池谷さんからお願いします。

池谷大吾氏(以下、池谷):皆さんを見ていると、起業とか将来についてもあまりピンと来ていない人が多いみたいですね。僕も大学3年生の時も大学院の時もなんで就職するのかわからなくて、周りがするからすると思ってしました。間違いないんだと。8割ぐらいの人と行動を共にするという、怒られちゃうほど普通の人だったんで。

一点重要だなと思うのは、与えられたことはキチっとやるべきだというのがあって、遊んでても、バイトしてても、何しててもそうですけど、自分の長所を知る、自分がどんな人かを知るという。

結論的には、人間って向き不向きがあると思うんです。わかりやすく言うとスポーツがそうで、自分は運動がうまいのか下手なのか、すぐにわかる。色んな意味で人の長所を知るためには、ある程度追い込んでいって、チャレンジしないとわからないから。

僕の場合は35歳になって起業することになって、10年ぐらい普通にサラリーマンをしてきて、最終的に、「うん。起業した方がいい」と思っているので、遅めかもしれないですね。でも僕が35歳の中ではベストな選択をしたと思っているので。

今皆さんが起業したか方がいいかはわからないけど、今でもみなさんには時間があるわけで、何かを頑張ってやった方がいいと思うんです。バイトでも合コンでもなんでもいいんです。そうすると自分の長所が見えてくるんで、とりあえずそこで次のチャレンジをする、ということを繰り返しの必要かなと思います。

小林:ちなみに今38歳じゃないですか、今自分が大学生に戻ったらどういう就職活動をしますか? 学生の時に何をしますか?

池谷:起業はしないかもしれません。仲間が重要で、イケてる会社に入るかもしれないですね。イケてる会社っていうのはさっき(小林)雅さんがおっしゃったように、別に駅前に看板が出ているとか有名な企業ではなくて、優秀な人がいそうな会社に行くんです。

優秀ってどういうことかというと、企業の問題じゃなくて、個です。憧れられる人がいるかとか。面接ってこっちが相手を見ていると思っていて、賢いなと思う人がいるところに行くと思います。早めにいい人に声かけておくと必ずいいチャンスが巻き起こるんで、そこに乗って起業するとかそういうことかなと思います。

一社目は、僕はhpを選んだんですけど、僕はhpには入らないと思います。僕はどこでもよかったんで入ったんですけど、やっぱりすごい優秀じゃない人もたくさんいましたから、もっと優秀な人がいた"ビカビカ"な会社もあったんじゃないかなと思います。

就職先は業界で選ぶな!

小林:佐々木さんに同じ質問をしたいんですけど。佐々木さんは今34歳。今学生時代にタイムスリップしたら?

佐々木大輔氏(以下、佐々木):タイムスリップしたら。博報堂に入るかと言ったら入らないです。

小林:博報堂に内定もらったら入りたい人、どれぐらいいらっしゃいます? そんなにいないんですね。

佐々木:広告代理店っていろいろな側面がありますが、ある部分については人が要らないビジネスです。部分的にはコンピューターができること、Googleができることです。だからもうタイミング悪いかなと。

業界っていうところで切っていくと、イケてる業界って10年後20年後は絶対変わっているんです。技術の変化に置き換えられるかもしれません。なので、「業界でここに入りたい」というのはちょっと違っていて、人生のリスクが高いんじゃないかなって思います。

小林:業界で選ぶな! いいですね。

佐々木:もう1つは、僕は限界を超える経験を若い20代の前半でどれくらいできるか、というのが重要だと思っていて。言葉とか言語と一緒で若いうちってスポンジのように吸収できますよね。吸収力がある。

吸収力があるときに、自分が現時点でできないことを無理くり覚えて学習してできるようになるという経験をしたことがある人間としたことがない人間は、その後30代になった時に新しい挑戦ができなくなってしまうんです。そういうふうになってしまうと人生のリスクが高くなってしまうんじゃないかなと、僕は思います。

なかでもいいんじゃないかと思うのは、今の2つの話を踏まえると業界とかってことではなくて、なんだかよくわからないけど、「常に新しいことをしなくてはいけない」という人は世の中でも常に役に立つわけです。新しい産業って生まれていくし新しいビジネスってどんどん時代が変わっても生まれていく。

新しいなんだかよくわからない「ふにゃっ」としたものを無理くり形にしました! 新しいバリューにしました! っていう経験は、特殊技能という感じになっていくんじゃないかな。自分が他の人がやったことのないような、新しいことに挑戦できるのだろうか? 限界を超えるような仕事とかチャンスやオポチュニティーが待っているんだろうか? そんな基準で選ぶんじゃないかなと思います。

「なるべく成績の高い学校に行きなさい」はなぜ正しいのか

小林:では、大学時代だらだらゲームをやっていた山本さんに、30歳で社長になった今、学生時代に戻れるんだったらどういう就職というか働き方をどういうことをしたいですか?

山本翔氏(以下、山本):今、学生時代に戻れるんだったら、僕は当時やりたいことがなかったので。やりたいことというか、サークルとかで音楽やったり、お笑いとかもやっていたんですけど、あと文章書いたりしてたんですけど、どれもやりたいというほど情熱がなかったんです。

プロになる人って年がら年中音楽のことを四六時中考えていますし、ノルマを作って毎日一曲とか作っているんですね。僕は一週間に一曲もかけないかなとか思うと情熱たりないよね、と思ったんです。やりたいこともないまま、なし崩し的に社会に入ったんですね。

今学生に戻ったことを考えると、「やりたいこと」がもしないのであれば、まずはやりたいことのある会社に入った方がいい。ミッションを見た方がいいという話です。会社のミッション、会社のやろうとしていることに、まず同意ができないと頑張れないので。

さっき「売上伸ばすのに飽きちゃって」と、しょうもないこと言っていたんですけど、単純にミッションに対して共感を持てなくなってしまったからで、今やっているミッションに対しては僕は非常にコミットメントが強いというか、好きだからやっている。どうしてもやらなくてはいけない、僕しかやっていないと思っているからやっているんです。

そういう最初の段階で好きなことがなくてもいいと思っていて、もし、それが無い段階、僕が学生の時に戻ったとしたら、池谷さんがおっしゃっていたように、飛び切り優秀な人の多い、平均値の高い会社に入ると思います。

というのは、トップラインが高いと結果的にそこに追いついていかないといけないので、どうしたって自分も成長していかなければならない環境に身を置くことになります。これは受験のときに「なるべく成績のいい学校に入りなさい」という親の意見と一緒ですね。

逆に起業のタイミングとしては、これは絶対に自分がやった方がいい、というものが見つかったタイミングがそうじゃないかな。そうじゃないと長くやれないですし、四六時中そのことを考えて、それに没頭するというのはやはり難しいと思います。

人生の到達点は経験の総量で決まる

小林:では溝口さんに20歳に戻れるなら何をしたいですか? トレーナー以外だったら?

溝口勇児氏(以下、溝口):確実にベンチャーに入ると思います。今僕は起業していますけど、生まれ変わっても起業したいと思うんです。僕はたまたまベンチャーではなくて中小だったんですけど、本当に色々な経験をさせてもらえる会社だったんです。

僕、最終的な人生の高さとか到達点の高さってほとんど経験の総量で決まるんじゃないかなと思っていて。できればかなり大きな責任を背負った形で経験をつめたらいいなって思うんです。そうすると、確率論から行ってベンチャーならそれが多く叶えれる。

僕、起業して思いましたけど、経営者ってどんな仕事をするかというと、創業時は本当に社内で一番のリクルーターでなければならないし、時に鬼教官みたいに社員を怒らないといけない時もあるし、時にはお母さんのように聞いてあげないといけないし。

マーケティングもすれば、ディレクターにもなって、会計税務ファイナンス、全部やらなければいけない。大きな企業だと本当にいち部分しか学べないんです。だからいろんな経験をさせてもらえる場というのが重要で。

できれば小林さんとか優秀な人のフィルターがかかっている会社とか、シリアルアントレプレナーとかの方もいますよね、そういった方って一度成功をおさめた方なので、非常にいい経験をさせてもらえる確率が高いですよね。

加えて、ベンチャーでもどんどん成長していく環境がいいですね。なぜなら景色がどんどん変わっていくんで。さっきGREEなんか3人が40人になったって言ってたじゃないですか。やっぱり1000人が1030、1040人になるのと、3人が40人になるのとでは全然違いますよね。同じ30人増でも。

そうすると初めの頃にいた人って、どんどん先輩になるんです。どんどん一番下だった人が先輩になって経験が増えるじゃないですか。なので、経験量が多いところを選びます。だからベンチャーがいいかなと。

自分がワクワクできること、そして成長企業を選ぶ

小林:なるほど。では、最後に吉田さんいかがでしょうか? ベンチャーといえば吉田浩一郎ということで、振り返ってどういう選択をしますか。

吉田浩一郎氏(以下、吉田):私は大企業とベンチャーを両方見た方がいいと思います。というのは、今しかいろんな企業の中に入っていけるタイミングってないんですよ。一つの会社入って転職活動って言ったら2、3社しか受けられませんけど、今のタイミングならどこの会社の説明会でも、絶対行けるとは言えないですけど、ほとんど行けるじゃないですか。幅広く見た方がいいと思います。

これからの働き方としては完全にワクワクしているということが一番重要だと思っていて、単にお金稼ぐよりも、人の役に立つ、社会に何か貢献しているっていう人の方が今の時代って尊敬されるし、自分自身もワクワクできるんじゃないかなと思います。

次に何をしたらいいか。インターンをした方がいいです。インターンは会社の中に入って働き方を見れる。私の時代はなかったんです。会社を決めるのも面接だけ、会社の中に入って決めるなんてできなかった。今はインターンが充実しているので色んな会社、2社以上でインターンをした方がいいと思います。

そういう中でどういう会社を選ぶかというと、サイバーエージェントとか、楽天とかに創業期からいた人って、何年かすると非常に活躍しているんですね。そういうタイミング。要は今いる5社のベンチャーに入れっていう話なんですけど。笑

でもやっぱり、サイバーエージェントや楽天の創業期に居た経験を活かして、その後にみんな投資家になったり起業家になったり、あるいはいろんな会社の幹部になっている。そういう意味では、これから成長するベンチャーに入った方がいいです。

ベンチャーで評価される人材とは?

小林:なんか質問あります? なんか聞きたいって。だいぶ温度が温まってきたと思うんですけど。大丈夫? やりたいこと見つかってきました?

参加者:ベンチャーで評価される人ってどんな人ですか?

小林:なるほど。いい質問ですね。ベンチャーで評価される人はどういう人か。なにか答えたい人います? じゃあ佐々木先生。

佐々木:まずスピード感をもって、とにかくアウトプットを出す人。で、なにか宿題やろうって時もそうだと思うんですけど。まず書いてみる、みたいな。まずうーーんって考える人いるじゃないですか。考えちゃダメなんですよ。とりあえず、書いてみる。なんか出せるようにしてみる。

特に僕たちがやっているのがインターネット上にあるからだと思うんですけど。インターネット上ってちょっと間違えて出しても後で直せば良いってそういう考え方があるんですよ。

メーカーに勤めだして物を作り出したら、1回出荷しちゃうともう戻せないからじっくり考えるのが大事なんですけど、インターネットの時代だと、むしろまずアウトプットするってのが大事で、そこからユーザーに対する反応とかを見て考える。この「やってから考える」という思考ができる人とできない人で、大きな違いがあると思ってます。

吉田:よくうちでは自発性って言ってるんですけど。「自分」で「発信する」って意味ですね。それが重要だと思ってて。うちの会社って結構みんな自由で、居心地が良い。

じゃあどういう人に居心地がいいかというと、自分で勝手にやれる人なんですね。指示待ちじゃなくて自分でやれる人。例えば、自分は地元が◯◯県なんでそこの地域活性化を提案してきていいですか、とか。学生がいきなり言ったことがキャンペーンになったりとか。自分から動く、発信するってのが大事。

小林:大丈夫ですか? 他に誰か。

山本:うちの会社だと、「当事者意識」って言っていて。ちょっと「自発性」って話と似てるんですけど。結局自分が担当している、やっていることについて、例えば発送のスタッフとかCSのスタッフとかに、ちゃんとビジネスマン、プロとしての意識を持って。

例えば聞けば済むこともあるんですけど、自分で調べて解決できることもいっぱいあるので。もちろんその辺はバランスなんですけど。会社のミッションにせっかく共感してやってくれてるんだったら、自分で当事者意識をもって、コミットしてスピード感も大事で、走れる人がいいんじゃないかと思っています。

小林:「自発性」とか、「当事者意識」。だいたいこれ一般的にベンチャー企業で言われることなんですけど、大きな企業に入ると、だいたい仕事が決まっていてですね。お茶くみましょう、コピーとりましょうとかが始まり、上司と一緒にどうこうしましょうって始まるんですけど。それは人数に余裕があるからなんです。

でもベンチャーみたいに事業が拡大していると、あれもこれもあーしなきゃいけないってなるんで。そうすると、指示待ちだと何もすることがないんですね。逆に言うとやらないと生き残れない。お茶もくみますし、荷物も送るし、プログラミングも書いたりするし。そんな人たちがどんどん活躍していくっていう、それがスタートアップの環境ですかね。

出る杭は打たれる、大企業での経験

佐々木:(突然挙手)

小林:おお、どうしたんですか佐々木さん。

佐々木:今思い出しただけなんですけど。僕が最初に大企業に入ってすっごいショックだったことがあって。

なにかっていうと、ある日ミーティングしてて、じゃあ次のミーティングまでこういうことやりましょう、ってなったんです。で、「あ、じゃあ僕やっときまーす」って言ったら、「ちょっとまって君何年目だっけ? 2年目だよね? じゃあそこまでやんなくていいよ。こんくらいでいい」って言われたときがあったんですよね。

僕には余裕でできるし、って思ってたことをその時にやらせてもらえなかったんですよね。2年目っていう理由で。これって、例えば今のベンチャー企業の話だとありえないじゃないですか。ありえないですよね? 絶対もっとやって欲しいですよね。そんな環境にいるのが大事。そんな環境がスタートアップなんじゃないかなって。

小林:自分の成長に対してキャップをはめない環境って非常に大事だし、これってまさにスポーツの環境とかそうですよね。サッカー選手でウマいやつださない理由なんて、何もないじゃないですか。そういったことかなって。どうですか池谷さん。

池谷:すごい会社ですね。そんな絵に描いたようなこと言われるんですか? 僕も一個思い出があるんですけど。僕、大学推薦とったんです、就職したとき。NTTデータっていって、僕当時コンピューター系が好きだったんでSEになりたくて、NTTは学校推薦があるんですよ。普通落ちないじゃないですか。僕落ちたんですよ。あれ!? みたいな。

理由を聞くと、僕、学生時代からこのままの性格で、もっと元気だったんです。なので、プレゼンとかが与えられた内容以上だったんです。向こうとしては扱いにくい。ちょっと求めてないんだよなーっていう。枠にはめられたってのもあると思うんですよね。

当時の僕はショックで。ショックだったんですけど、今考えると良かったと思ってますね。俺の情熱を封じ込めようと思ったら大間違いだ!!! って思っています。

(会場笑)

吉田:その思い出でいくと、私も一社目でメーカーに入ったんですけど。そのメーカーでショックだったのは生涯設計の研修を受けて、何歳で課長になる何歳で何になる、って。生涯年収って2億何千万だったので、だいたいこのカーブで昇進すると幾らぐらいのマンションが買えます、っていう。そんな生涯設計の研修を受けたんですよ。だからお金をそんなに使うなよ、という研修です。

ちゃんと財形、財形ってあるんですよ、月々の積み立てが。これぐらい積み立てると30何歳でこれくらいのマンション買えますよと。ここから30年くらいの生涯をばーんと見せられて、「え!? ここからすべて予測可能なの!?」みたいな。その時に予測可能な人生じゃなくて、自分の人生の可能性を自分で切り開きたいと思った覚えがありますね。

溝口:あれ、この質問ってどう評価されるかじゃなかったでしたっけ?

(会場笑)

小林:今は人生の衝撃的な出来事みたいな。

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