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「旅行も組める、砂漠だって行ける」--とあるVCが語った、非上場であることのメリット

gumi(グミ)、クラウドワークス、カヤックなど、ITベンチャー企業の上場が続いています。若き経営陣はなぜ上場を目指すのか? 資金調達以外のステータスを求める彼らに対し、IVP小林雅氏は非上場を貫くことによるメリットを説きました。(IVS2014 SummerWorkshopより)(編集部注:2019年4月25日、登壇者の発言に誤りがあったため本文を一部修正)

ベンチャー企業は上場を目指したほうがいい

質問者3:慶応4年の○○と申します。平尾(丈)さんにお聞きしたいんですけど、質問はシンプルで、上場して良かったですか? ってことです。

ベンチャー企業の社長さんとかって、上場っていうのを1つの目標にされていると思うんですけど、MBO(企業買収)された後に、資本的には自分の城をつくった後に上場して、変なおじいさんの投資家さんとかから、いろいろ言われたりとか、そういうのはどうなのかなって思って、お聞きしました。

小林:今ね、広報の方ぴくぴくしてましたね。どうですか、平尾さん。上場して良かったかっていうこともあると思うし、これから上場を控えている人たちがいるんで、ここにも聞いてみたいと思うんですね。

平尾:そうですね、私は個人的にはベンチャー企業は上場を目指したほうがいいと、これは合ってるか分かんないですよ。実体験を持ってるものなんで、そういう意味では非対称性があると思ってますし、した側からすると、ベンチャー企業、成長を志してる企業は上場したほうがいい、そう思ってます。

いろんなことが分かったんです、上場する過程で。監査法人さんがついて、ちゃんと過去の会計監査も終わっていて、これから成長する企業として、証券会社さんもついて。

我々でいうと、会社を知っていただく機会が増えていったりとか、非常に良かったんです。今日、ユニコーンなど非上場のすばらしい会社が増えてきて、最近そこも変わってきていると思うんですが、付随していろんな方々にお会いできたりとか、やっぱり営業先も広がりますし、知名度も上がるし、社員も誇りを持って働けるし、経営のケーパビリティーが何段階か上がったと思います。

なので、どう使いこなすのかっていうのは経営者がちゃんと考えていかなきゃいけないんですけど、足し算で会社を伸ばしたいのであれば、非公開でやってもいいと思うし、掛け算で伸ばしたいのであれば、私は上場したほうがいい、そう思ってます。

個人として考える一部上場のステータス

小林:じゃあ、川本さんとか、上場とかどうですか? なんか(上場する)計画らしいじゃないですか。(※編集部注:その後11月に上場)その上での心構えとか、どういう心構えなんですかね?

川本:うちの場合は、さっき50億円とか書いてましたけど、これまでベンチャーキャピタルさん含めて調達してきたので、多分「gumiが上場しなければショック」って言葉が出ちゃうくらい、日本のVCを背負ってるっていう意識があります。

史上最大の嘘つきになるかもしれないCFOの立場としては、やっぱり絶対上場しないといけない。まず、VCを入れたっていうところに関しては、上場するっていうところを1つ、やっぱり出口としてやるべきだろうとは思っています。

あと、最近売却するとかいろんな話もありますけど、会社を売却されるところもありますけど、個人的にはやっぱり、世界に通じるような大きな会社を日本から生み出していくっていうところっていうのは、結局これまで日本の会社でも成し遂げたところはそんなに多くなくて、ソニーとかホンダとか言われても、いつの会社だよって話なわけですよね。

やっぱり最近出てきた会社でそういう形をつくっていくことで、いい循環っていうか、これから起業しようとしている皆さんみたいな方だとか、そういうところにも、こういう未来、「あ、すげーなあの会社」みたいなところ、まぁじげんさんもそうだし、弊社もそうですけども、そういうことをロールモデル的にはやっていかなければいけない、っていうところが大きいのかなというのはありますね。

あと個人としては、やっぱり上場企業の役員ってクールだなとかっていう(笑)。ちょっと卑近なところで言うと、そういうのはあって。せっかくサラリーマン辞めて、起業というか、経営のところに携わったんで、「一部上場企業の役員になったぜ、俺は」みたいなところっていうのも、1つは個人的な達成としては、ちっちゃいですけどあるっていうのも、一方ではありますね。

一方、上場しないメリットも

小林:答えになってますかね。ちなみに僕の会社って、100億円くらいのファンドを運営してるんですけども、未公開ですね。3人のプライベートな会社で、要は好き勝手にやってるんですけども、めちゃめちゃ楽しいですね(笑)。

旅行も組めて砂漠は行けるわ、少なくとも就業規則はないしね、そんな規則をつくる場合じゃないと。就業規則も一切ない、給料は単純に儲かった金額を3等分に分けるだけ。やりたいことをやろうと思ったらいつでも出来る。それだけの実力をつければ何でも出来る。

細かい説明っていうのは、30~40名しかいない投資家に、僕らの業績を説明するだけ。60何歳のおじいちゃんとかいなくて、知ってる人しかいないという世界で僕はやってるんですけども、対極かなと思いますね。対極っていうのは、どっちもどっちで好きの問題かなと思うんですよね。

僕は、要は少ない人数で世界を動かすっていうのをやってみたいと思っているし、少なくともこういうイベントをやることによって、多くの人の人生が変わるわけですよ、極論言うと。

それって上場したからといって出来るものでも何でもないし、やろうと思わないと出来ないことだと思うんですよね。だから、上場云々って目標にするとかしないとか関係なくて、やりたいことが何なのかってことを突き詰めて考える、っていうのが一番いいのかなと思いますね。

だから、起業したからといって上場を目指すかっていうと必ずしもそうではないし、ビジネスとして働きたいかとかっていろいろ価値観があると思うんで、それを実現する手段の1つとして常に考えていただければな、と思います。

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