
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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アマテラス藤岡清高氏(以下、藤岡):3年前と比べるとZMPの認知度はかなり高くなり、ベンチャー界では知らない人はいないと思いますが、それによって変わったことはありますか。
谷口恒氏(以下、谷口):もともとZMPはプッシュ営業よりインバウンド(顧客からの問い合わせ)が中心で、新しい製品を開発してリリースすると、それを見て「欲しい」という方が購入して下さり、さらにリピーターになることで拡大してきました。
認知度が上がったことで、その範囲が広がりました。知られることによりブランドが創出でき、安心感もあるので、他社ではなくZMPから製品を買おうとする方が増えました。
また、たくさんの人が集まってくださるようになり、「パートナーとして一緒に組みませんか」という話は年々増えています。こうした仲間が増えたことで、事業領域を広げることができました。
車の自動運転技術から、キャリロの量産の実現、さらに今取り組んでいる宅配サービスまで取り組めるようになりました。
「Robot of Everything」という言葉を2014年に全社員に言いました。これからは車の自動運転技術をより多くの人が求めており、だからそのロボット技術を、人を運ぶ以外にもモノの運搬などもっと広範囲に広げていこうという意味です。
3年前のその言葉を具現化できるようになったのです。ロボビジョンやアイザックといった自動運転のための技術を、宅配ロボットなどの用途に広げて使えるようになりました。「総合ロボット会社を目指す」と言いましたが、あの時の構想がキャリロを始めとして実現しつつあります。
藤岡:以前谷口社長からお話をうかがった時に、「2020年には1,000億企業に成長していたい」とおっしゃっていましたが、その目標に向かって邁進する中で、谷口社長はCEOとしてどんな壁に当たって、どう解決してこられましたか。
谷口:2020年の構想に向かって、上場してさらに伸長するという計画があったのですが、去年(2016年)セキュリティの問題から、私たち自ら上場を延期しました。
もし上場後に問題が起きるとそちらの方がより信頼を失いますし、大事なお客様の情報を守るセキュリティをしっかり整えてから、改めて上場しようということを社員全員で共有しました。
また、上場すると大きな投資が難しくなると考えました。タクシーサービスとデリバリーサービスの2つの新事業を自分たちの手で進めていく計画ですが、未知な領域のため法整備も十分でなくリスクもあります。しかし、この新事業に大きな投資をするのはチャンスでもあります。
このチャンスをしっかり掴んで、事業基盤をより広く固めてから、そこから再度ジャンプしたら良いのではないかと考えるようになりました。
確かに上場目前に壁が立ちはだかった時は、一瞬「うーん」と思いましたが、一呼吸置いてから壁を違う角度から見ると、また新たなチャンスが生まれたわけです。今は「結果的に壁ではなかったな」と思いますが、その瞬間は大変でした。
藤岡:そうだったのですね。ZMPへの周囲やメディアの関心が大きく、いちいちの動向が大きく取り上げられる中で、谷口社長が上場延期と新たなチャンスの意思決定を下されたのはさすがだと思うのですが、その際メディアなどの論調は気に留められなかったのですか。
谷口:しませんでした。メディアの報道は必ずしも事実ではなく、基本的に気にしないようにしています。
当時は上場を延期したことについてさまざまに報道されましたが、今のZMPはいろいろなチャンスにも恵まれ、パートナーも多数現れたこともあり、今まで以上に好調で大きな価値を持っています。
そう考えると、メディアがもてはやした会社でもその後業績が落ち込んでしまう会社もあれば、その逆もあり得るので、メディアの報道にはあまり注意を払いません。
また、メディアや株価を気にすると、その場その場の付け焼き刃になってしまい、ビジョンがぶれてしまいます。
もちろんメディアが取り上げてくれるならありがたいですが、一方で、私たち自身がしっかりと信念を持って、メディアにあまり惑わされないことが大切だと思います。
上場を目標にして短期的な収益のために手段を選ばない会社はありますが、私は長期的に事業を見ることができて、ZMPのビジョンに共感してくれる企業とパートナーになりたいと思います。
藤岡:今のZMPの中長期的な経営課題はどんなことでしょうか。
谷口:若い人がどんどん入社してきてくれて有難いのですが、プロジェクトをまとめてくれるようなマネージャークラスの人材が圧倒的に不足しています。
また、これからまだまだ新事業を増やしていきたいと思っている一方で、事業推進担当者が不足しています。
エンジニアなど専門家は海外からでも応募をしてきてくれますが、マネジメントクラスになると、日本人が対象になるので応募が少なく、採用したい人材になかなか出会えないのが現状です。
藤岡:他の面での課題はありますか。
谷口:自動運転に関しては、警察庁による正式なガイドラインが発表されて、日本でも無人自動車が公道で走行実験をできるようになりました。
レベル4(注:加速・操舵・制御を全て運転者以外が行い、運転手が全く関与しないシステム)で、運転免許を持った者が遠隔から操作可能な状況のもとでの実験が始まりました。ZMPは昨年12月に、日本で初めて無人の自動運転車両による公道実証実験を実施しました。
自動運転への現実味が帯びてきました。自動運転の実験のデータが蓄積され、事故も起きないことが判明すれば、だんだん規制も緩和されビジネスとして先が見えてきます。
他方、宅配ロボット事業についてはこれからです。キャリロデリバリーは時速3、4キロで走っており、すぐに停車もできるので危険性は低そうですが、今までに誰もやったことがない分野なので法律もなく、車両なのか人間なのかという定義から始まります。
開発と並行して、こういった法規制の問題にも対応していかなければならないのは大変です。前例がないことをZMP一社で立ち向かわなければならないので、かなりの覚悟が必要でした。
「いつ認められるのかわからないものに投資するのはリスクだ」と言う声もありますが、必要性等を理解してもらうためにはさまざまな活動が必要です。自分たちの力だけではなくさまざまな方たちに協力していただき、勉強会への参加等を通して法規制・改正に関わっていくことが大切です。
藤岡:谷口社長は短期的な視点ではなく、どうすれば社会をよりよくすることができるのかという視点で考えられているのですね。 そういった谷口社長のビジョンに共感する人がZMPに求められていると思いますが、今のこの90名規模のZMPに参画する魅力は何でしょうか。
谷口:先ほど言ったように、2つの新規事業が走っています。さらに、20名ほど採用人数を増やして、また新しい事業を始めることも考えています。
『日本初の分野』ということは、これまでは法規制などでがんじがらめになっており、停滞していることも意味します。その規制をテクノロジーで突破して社会を変えるということは、非常に困難であり、覚悟が必要であると同時にとてもやりがいがあります。
また、その結果、自動運転分野において日本で第一人者になれます。日本で一番になれば、次は世界に挑戦できます。
そういう機会に立ち会えて、自分がその一員になれるということは、人生においてなかなかいい経験になると思います。やはりここが一番の魅力です。
藤岡:谷口社長、今日はありがとうございました。
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