
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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アマテラス藤岡清高氏(以下、藤岡):TVSでスタートアップと関わる仕事をしている中で、起業に踏み切ったきっかけ・理由を教えてください。
緒方憲太郎氏(以下、緒方):やはりきっかけとなったのはスタートアップの支援をしていたことですね。支援をしながら、自分でも一回は起業したいと思っていました。
やるなら面白い起業がしたかったので、道なき道を開きつつも、ビッグスケールを目指していけるものを世に見せてみたいと考えていました。新しい付加価値、新しい価値観を作って「あいつらよくわからないけれどすごいことやっているな」なんて言われてみたかった。
スタートアップ支援でいろんな企業を見ていくうちに、事業って2種類しかないなと思いました。1つが漁業的な事業で、もう1つが農業的な事業です。漁業というのは、海に生息する魚を俺の魚だと言って釣っている世界と、農業というのは自分で種を植えて、太陽を見ながら育てていくような世界のこと。
世の中のパイが変わらない中で取り合っている人たちと、パイ自体を増やしている人たちがいるということに気が付いたんですね。そして日本の仕事の多くが漁業的で、人が創った付加価値の取り合いをしている。
トヨタが車を作り、それにコンサルだ、マーケティングだ、なんだかんだって付加価値を取り合っているだけで、付加価値そのものを作っている人が少なすぎると気づきました。
だから私は稼ぐことよりも、パイを増やすことをしたい、社会に1個価値のあることをしたいと思いました。起業というよりも、付加価値を作っていけるサービスを創ってみたいと思っていました。
藤岡:その新しい価値として“音声”に注目した理由はありますか? やはりアナウンサーのお父さんの影響ですか?
緒方:アナウンサーの父を見ていて、声の価値というのも知っていたし、声を使っている人たちが活躍する場所がどんどん減ってきているなと思っていました。これだけ世の中に声のプレーヤーで魅力的な人がたくさんいるのに、活躍できる場所がなくて埋もれている。
なぜかというと、彼らは読むコンテンツと読む場所がなかったのです。読むコンテンツとしては世の中にたくさんのメディアがあるし、その活字を読めばいい。じゃあ私はどこにでも発信ができる読む場所を作ろうと思いました。
また、活字メディアもいいことを書いているのに表現が上手くないなと思っていました。人間はすぐ飽きて、最後まで聞かなくなるような世界なのに、いまだに活字で読めというのは超不器用だと思います。だったら、ネタをつくる人と表現する人を分ける世界をつくったら、もっと面白いんじゃないかと思いました。
声の価値というところに関しては、情報伝達手段で使っている声もありますが、もっと人間味とか温かいものがいろんなものに乗っていけば、もっと面白いだろうなと思いました。
藤岡:起業して最初の頃は資金繰りや仲間集めはどのように乗り越えてきたのでしょうか?
緒方:大変だったのは、僕が事業を始めようと思った1年半前、声の業界があるということを誰も考えていなかったということです。ラジオの利用率もこれだけ下がっているときに何やっているのかと言われてしまうし、誰にも評価されないので、お金を集めるのは難しかったです。しかしそこで私は、逆にお金を集めないという方向に決めました。
それでもなんとかここまで事業をもってこられた最大要因はエンジニアの窪田がいたからだと思います。彼とは事業立ち上げの前に知り合いました。
一緒に全然違うサービスを作ったりしていたので経験値もあるし、ずっと無給で働いてくれていました。だから2人で企画してアプリをつくればコストがゼロになるし、必要だったのは仕事をする場所くらいでした。
人材としては手伝ってくれるメンバーや、読んでくれるメンバーに頭を下げて「一緒にやってくれ」と頼んでいってみんな巻き込んでいきました。
でも根本的にサービスをつくっていたのは窪田と私の2人ですね。費用はサービスリリースまで0円でした。会社の設立費用も出費はゼロで、ずっと資本金100万がそのまま100万でリリースまで行き着きました。
藤岡:エンジニアの窪田さんなしではここまで来ることはできなかったと。窪田さんとはどこで知り合ったのですか?
緒方:私がTVSに勤めていた時に運営したイベントで、偶然隣に座っていたのが窪田でした。そこで話しかけたら、窪田もゼロから作ることをしたいと言っていて、もっと深く話そうと飲みに行くことにしました。飲みながら、こんなの面白そうだから作ってみましょうか、みたいな話をして2人で一生懸命ワイヤーフレームを書いたりしていました。
藤岡:サービスをリリースしてからの資金調達、人材採用はどのようにしたのですか。
緒方:リリースしたときは、窪田と本業がありながらボランタリーにお手伝いしてくれる人6、7人という体制でした。政策金融公庫から資金を借り入れて、給料はリリース1か月後からやっと有給になって。
そして、さすがにもっと開発しないといけないしエンジニアが必要になったというときに、飲み仲間の繋がりで1人参加してくれることになりました。それで、メインを3人でやっていたのですが、途中で僕の業務がパンクしてしまって、さすがにビジネスサイドの人材が必要になったので、ベンチャー支援をしていた時の知り合いに来てもらうことになりました。
藤岡:今のフェーズのVoicyで働く魅力や、働き甲斐について教えてください。
緒方:私たちはこの事業で、生活とか生き方のインフラになるものをゼロから作っていきたいと思っています。ランニングしながら、お風呂の中、起きてすぐの布団の中、寝る前とか、そういう人の生活の中に新しい習慣となるメディアを作る。
全部声だけで生活できるような世界、モノが全部しゃべる世界は、そう遠くないだろうと思っています。このような誰もやっていないマーケットで、世の中に模倣するものがなく、海外にもベンチマークがないというところは面白いのではないでしょうか。
カナダや中国など、海外のパーソナリティも集めているので、海外のコンテンツで世界中にどんどん出て行きたいとも思っています。日本で47都道府県の方言チャンネルを作っているように、世界中でも声を集めたいです。
例えば、オリンピックに参加する92カ国の声を全部集めて、4年後の東京オリンピックでいつでも声を提供できるようにすることなどを考えています。
あとはユーザーとすごく近いのも魅力だと思います。リスナー、パーソナリティ、コンテンツユーザーという全てのユーザーと近いところで一緒に仕事が出来る。これはメディアもやりながらプラットフォームを作っているVoicyならではだと思います。
この事業を始めたことで、話し手の方々にはとても感謝していただきました。ありがたいことに、「去年で一番良かったことはVoicyに会えたことだ」と言ってくれる方もいました。
“LIKE”ではなく“LOVE”を集めようと思って事業を作っていますがユーザーの方々の“LOVE”が蓄積してきている手応えがあります。
藤岡:今は読み手には収入が入らないような仕組みになっていますが、これからマネタイズとしてはどのように考えているのですか?
緒方:僕らはテレビを作っているイメージなので、ここにチャンネルを出したい企業が出てきたら、そこで自分たちの事業の宣伝をしてもらったり、広告費をつけたり、といった形を考えています。日本全国の自治体チャンネルのようなものを作りたいと思っています。
藤岡:最後に、いまVoicyで必要としているポジションや人物像についてお聞かせください。
緒方:これからどんどん会社が大きくなっていくと思っているので、ポジションは無限にあると思っています。ビジョン、カルチャーフィットして優秀な人がいたら、その人に合ったポジションを用意します。スキルも必要ですが、カルチャーフィットの方が大事だと思っています。
部活のようにメンバーみんなで掘り下げていって、より思いのこもったものをだそうという雰囲気の組織にしていきたいと思っているので、みんなで一緒に楽しめる人が合うのではないでしょうか。
「今までいろいろあって大変だったけれど、Voicyにいたこの時間が一番面白かった」といった経験を求めている人がいいなと。あとは、仕事に魂が込められる人、愛情とかこだわりをもって仕事ができる人がいいですね。この事業は文化をつくっているので、愛情をもって仕事をしないと届かないと思います。
あと、やっぱり音の表現に対する問題意識や思いがあればすごく面白い仕事だと思えるはずです。昔ラジオ好きだった人とか、メディアを変えたいという人はすごく楽しめるのではないかと思います。
藤岡:“音声×ITで文化を創る”という想いに賛同してくれる人と一緒に働きたいということですね。緒方さん、素敵なお話ありがとうございました!
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