2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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質問者3:ありがとうございます。トレンドのお話で、みなさん100回くらい聞かれてるかもしれないので恐縮なんですけれども……。ICOっていうのがすごく流行っていて、それで資金を調達する総額がVCを超えたなんていう報道も見かける中で、Y Combinatorのバッチを長年経験的に見られてきて、影響とかなにか感じられるところはございましたか?
木村忠昭氏(以下、木村):ICOの影響。Y Combinatorもしくはアメリカで見られた中でなにかコメントあれば。
前田ヒロ氏(以下、前田):実際にY CombinatorでICOを発表した会社もいたからね。
久保田雅也氏(以下、久保田):1社いた。
前田:1社いたよね。正直に言うとICOってシリコンバレーはそんなにホットじゃないんだよね。グローバルで見るとものすごくお金は集まってるんだけど、実はサンフランシスコはまだそんなにホットじゃないんです。
とくにドットコムバブルを経験している人たちはけっこうシニカルな感じになっていて、また第2ドットコムバブルなんじゃないか、とみんなシビアに見てる感じですね。
なので思ったようにICO、ICOしてる感じではないです。日本のほうがものすごいですね。日本は毎日ICOの問い合わせが来るので(笑)。なんでしょうね?
久保田:やっぱりSEC(注:米証券取引委員会)の声明というか注意喚起が早々に出たので、アメリカでICOとか言葉を話すことすらタブー。気をつけないといきなりSEC来ちゃうことがあるじゃないですか。
アメリカは仮想通貨についてははっきり言って遅れてると思いますね。クリプトのエコシステムの中ではビハインドで先端ではない。たぶんマイニングを中心としてヨーロッパや中国といったのほうがちゃんと育っています。仮想通貨が分散システムを思想としているので、シリコンバレー的な中央集権の思想とは真逆にあるかも、とかね。
そんな観点では、1社いましたけどあんまりテーマにもなってなくて、もっとあってもいいかなと僕も思いました。124社いるから1社くらい「やりまーす」って言って、「みなさん結構です」とか言うやつが出てきてもよかった(笑)。「僕もう調達しました!」みたいな(笑)。
(会場笑)
あればいいなと思ったんですけど。
前田:でも次のバッチに上がりそうだね。次のバッチはプレトークン制度やりそうだね。
久保田:そうですね。次とかありそう(笑)。「株じゃなくてトークンでお願いします」みたいな人たちが出てくるかもしれません。
トレンドの追加で言うと、シードラウンドってQ3Q2でだいたいフラットなんですよ。シリーズAもだいたいフラット。今アメリカのVCファンディングで一番増えているのが、またレイターが増えてきて、某汐留のビジョンファンドとか(笑)。
とてつもない大金をどんどん投下していくので資金としては増えてるんですけど、シードラウンドのVCのお金としては別にICOが2、3ミリオンなんですけど、それは減ってるわけでもなくフラットに動いているという感じですかね。
ビジョンファンドの話のレイターステージの延長で言うと、余談になりますけど、やっぱりIPOまでのトラックがけっこう長くなっています。資金はどんどん投下されてるんだけど、結局2017年ってめちゃめちゃIPOとM&A増えるんじゃないかっていうのが今年の年初のみんなの見方でした。
年始早々上がったやつで、サブスクリプションのキットが送られてきて家で調理するBlue ApronとかSnapとかが上がって、まさに上場ゴールで、ブワーって株価が下がっちゃった。やっぱりちょっとIPOは微妙感があったっていうのが、今年の前半から夏にかけてです。
久保田:そこにMongoが出てきた。 MongoDBっていうNoSQLのデータベースの会社が出てきて、ここが株価好調でちょっと盛り返してきたんだけど、引き続き例えばDropboxも出てないし、slackもまた調達しちゃったんです。300ミリオンあるのにまた300ミリオン調達しましたとか言ってるんですけど(笑)。
赤字でもどんどんお金がついてしまうので、積極的にIPOまで出てくる会社って今後も少ないかもって思います。たぶんmarket climateですかね。ちょっとICOの話から逸れちゃいました。
質問者3:いえいえ、ありがとうございます。もう1つよろしいですか? お三方の肌感でけっこうなんですけど、ICOが少し遅れているということで、イノベーションがICOが進んでいるようなregionよりは遅れるのか阻害するようになるのか、ICOあるないに関わらず資金の調達ができるような環境があるから無問題なのか。
ICOというのがイノベーションのエコシステムに寄与するかどうかをお伺いできればなと思います。非常に詐欺が多いので、日本でもクローバーコインというのが逮捕されたのが今朝日経に載ってました。肌感でけっこうなので、なくてもいいようなのか。
前田:トータルで、マクロ的に言うとたぶんイノベーションに貢献すると思うんですよね。だからけっこうドットコムバブルと似ていて、ドットコムバブルはたぶん90何パーセント倒産したかと思うんだけど、その中で残ったのがSalesforceとAmazon.comだったりします。
同じようなかたちでたぶん、今回もICOは99.9パーセント失敗すると思うんだけど、その中でトークンエコノミーのAmazonやSalesforceみたいなものが生まれると思うんですよね。なので引き続きそういう貢献はするかなと思います。
あと最近シリコンバレーでは最初からトークンを発行して買うんじゃなくて、転換社債みたいなかたちで投資して、転換するものは実は株式じゃなくてトークンの投資が1~2週間前に行われてたんです。
しかもアンドリーセン・ホロウィッツがセコイアキャピタルに入ってるので、けっこう有名なVCがやってるディールです。そういうかたちで、シリコンバレーなりのトークンスタートアップがどんどん生まれていくんじゃないかなと、思いますね。
久保田:VC側で言うと、セコイアもアンドリーセンも今トークンにも投資しています。向こうのシリコンバレーのVCでは、今すぐLPAを修正してトークンを買えるようにしよう、みたいな圧力がLPからかかってるとか(笑)聞きました。3ヶ月ぐらい前なんですけどね。
なんで3ヶ月前かと言うと、ひょっとして初期のICOバブルは弾けたんじゃないかっていう人がいるくらい、実はICOは簡単じゃなくなってきているんですよ。一瞬盛り上がった熱が、少し調整段階に来ているかなと。
あんまりこのままドバドバドバっと、世の中のVCマネーが全部ICOにいくというよりは、誰もが99パーセントスキャム(詐欺)だと思ってるし、実際かなりスキャムが多い。
VC投資はシードラウンドで投資してもスタートアップは8割くらい死んじゃうわけで、残り2割は全部何十倍かになって返すわけですね。その中でさらに掛け算でスキャムの人たちがいるとすると、ICOなんて買ってもよっぽどやられるわけですよ。これが世の中の定説なので、そういうことがいつ起きるかが今起きつつあるかなっていうことだと思うんですよ。
先週ラスベガスのイベントで言ってたのは、仮想通貨市場がバブルであるのはそれはもう誰も疑いようのない合意であると。ただ、3年後仮想通貨全体での時価総額が、今の10兆円から、30兆円、50兆円になってる。ただ、コインの数は淘汰されて相当減ってるよねっていうときに、これを今バブルと呼ぶかどうかということだと思います。
僕はクリプトの未来を信じてる人なので、たぶんここから何十兆というかたちに増えていくと思うんだけど、ただいくつもあるトークンに関しては健全な淘汰のプロセスが間違いなく入ります。そういう観点で言うとシリコンバレーはわりと冷静にというか、早くも下がってきてるものに対しては本物を見極めて入れてる、ということだと思います。
質問者3:ありがとうございました。
木村:ほかの方いかがでしょうか?
(会場挙手)
質問者4:今日はありがとうございます。最初のトレンド話の中で見込み額でも議論されているのが多いというお話があったと思うんですけど、なぜでしょうか? なるべく早い段階で入れたいというニーズがあるのか、すごくロジカルな説得力があるのか、どういう視点でそうなっているのかという話と、それについて個人的な見解で構いませんのでどう感じていますか?
木村:ありがとうございます。林口さん。
林口哲也氏(以下、林口):私がお話した例だと思います。まず見込み額を使っている理由は、ごくごくシンプルに受注できなかったということが一番かなと。あとご質問の中でおっしゃっていたように、できるだけ早いタイミングのものも実績として見てほしいということも当然あると思います。
ただ、たぶん前者なんじゃないかな。要はキチッと案件として受注しきれていない状態なんだろうなと思っています。
今見込み額でプレゼンをされている方を見て、どう思うかという点ですけれども。もし似たようなビジネスをやっている会社や、同じくらい興味がある2社が並んでいたとしたら、ちゃんと受注できている会社をまず見るかなあと思いますね。
ただ当然、見込み額段階であっても、それがどういうフェーズにあるものなのかとか、その程度とかはもちろん確認すると思いますけど、それが必ずしも全部がネガティブとは思ってはないです。
木村:私も補足いいですか? 今の理由ともう1個あるのが、ピッチを見ていると大手との取引が合意されたとか、例えば自治体との取引でここまで進んだとか、スタートアップが大手企業と取引できるシーンがどんどん増えてきてるのかなぁと思ってですね。
そうすると大手の顧客でも自治体でもいいんですけど、こんなことやってますよということで1個あたりの金額が大きいので、それってこんなことやってますと進捗を伝えるだけでも投資家に対してはポジティブですよね。そういう事例が過去に比べて、小さいシード期のスタートアップでもどんどん増えているのかなぁ、と感じています。
久保田:そうなるとセールスサイクルが長くなっちゃう。
木村:そうですよね。
質問者4:日本でも、いわゆるオープンイノベーション的な流れってあると思いますが、海外でそういう言葉は使いませんけれども、Y Combinatorなんかを定点で見てるとそういう文脈もあるかなと思いますね。ありがとうございます。
木村:ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか? よろしいですか? 最後にもし1問くらいあれば。よろしいですかね。では最後にみなさん一言ずつ。では林口さんからお願いします。
林口:今日のテーマはY Combinatorというお話だったんですけど、ほかにもたくさんおもしろいプログラムがいろいろとあります。なのでもし現地に行かれるチャンスがある方は、積極的にそういった運営側にコンタクトを取ってみて、自分がなにを知りたいのかとか、どういうバックグラウンドの人間なのかみたいなのをちゃんと伝えれば、キチッと相手してくれると思います。
やっぱり百聞は一見に如かずということで、ぜひトライされていろいろとご知見を得られるのが1番いいんじゃないかなと思っております。今日はありがとうございました。
(会場拍手)
前田:Y Combinator、なんだかんだ言って一番最先端なトレンドを捉えてると思うんだよね。毎回、半年に1回やってるので、しかも9割くらいの会社が発表されてるのでそれを1社1社見て、どういう課題を解決し、どういうテクノロジーを使い、どういう市場を狙っているかというのを1個1個考えて調べていくと、けっこう最先端のトレンドを捉えられるかなと思っています。
とくにこれから起業したいという人たちがいれば、次にやるネタがそこから見つかることもけっこう多いので、ぜひ今後もチェックしてください。今日はありがとうございます。
(会場拍手)
久保田:僕もさっき起業家の質は日米でフェアに見たときにぜんぜん劣ってないっていう。たださっきのプレゼン力みたいな話もそうですけど、熱意がやっぱりすごいですよね。俺はなんとしてでもここから這い上がってやる感が、すごい人たちがわんさかいて。トイレ行こうとすると捕まるんですよ。「ちょっとこっち」って(笑)。
さっき言ったようにもう調達できてきた人たちは、そこにいないことがあるんですけど、調達ができてない人たちは何語でしゃべってるのかわかんない人たちがうわ~って来て「名刺くれ!」って、帰ってきたら1日2通くらいどんどんメール来るみたいな感じです。
もしバッチに参加したときには、そのハングリーさっていうか、這い上がり精神、成り上がり精神みたいな部分はたぶんすごく刺激があると思うんですね。コンテンツはオンラインもあるので、よしとしてもですね。
なにが言いたいかと言うと、3ヶ月マウンテンビューに行かなきゃいけないコストは発生するんですけど、日本人がこれまで1社だけっていうこの恥ずかしい状況っていうのは(笑)。もっと行ってほしいなというのは正直思うので、もし起業家の方とかこれで興味が湧いた人がいたら、今、来年の冬バッチを募集しているので(笑)。
木村:Y Combinatorの人みたいですね(笑)。
久保田:メンターたちからお前ちょっと日本で宣伝してこいって言われてるんです(笑)。考えられてみても、よろしいのではないでしょうか。以上でございます。ありがとうございました。
(会場拍手)
木村:ではこれで終了とさせていただきます。最後に3名の方を拍手でお送りください。今日はどうもありがとうございました。
(会場拍手)
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