2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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木村忠昭氏(以下、木村):ということで、概要をお話ししましたけれども、このあと実際に3名の方々から各15分でおすすめのチームとトレンドをお願いします。はじめに、林口さん、よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
林口哲也氏(以下、林口):みなさん、改めまして、よろしくお願いいたします。林口と申します。
ごくごく簡単に私のバックグラウンドをご紹介させていただきます。現在デジタルガレージという会社のコーポレートのVC、CVC部門である、DGインキュベーションというチームに所属しておりまして、主に日本とアメリカの投資を担当しております。現在2年半ぐらい在籍していて、最初の2年間ぐらいはUSメインでやっておりました。今はUSと日本両方です。
その前は、4年間サイバーエージェントさんの、同じくCVCであるサイバーエージェント・ベンチャーズさんに在籍していました。その時はずっと日本の案件を担当していて、主に大きく伸びられている会社さん、例えばRettyとか、あとはKDDIさんに買収されたReluxという会社は、いずれも私が一番最初の投資家として出資しました。そういったバックグラウンドでございます。
まず、私がいいなと思った会社をご紹介し、そのあと最近のトレンドのお話をさせていただきたいと思います。
まず1つ目が、こちらのMystery Scienceという会社です。
「virtual science expert to co-teach class」とありますが、一言でいうと小学校の先生が理科とかサイエンス系のクラスを教えるときに、専門家が作ったビデオ教材を使いながら、授業を進行していくという、そのをサポートしてくれるサービスです。
これは何がいいかというと、そもそも小学校の先生が必ずしもサイエンス関連のバックグラウンドを持っているわけではないという現実があります。あと、何か実験を伴うものなど、見せたほうが早くわかるものは、先生の事前準備がすごく大変だと思います。
そういったときに、各分野の専門家の方々が事前に用意してくれたビデオコンテンツを使いながら、おもしろいキャッチーな入りから始まって、クラスのみんなでディスカッションができるような問いかけをしてくれる、というかたちで授業の進行をサポートしてくれるものになっております。
日本はわからないんですけれども、私が「いいな」ともう1つ思っているのが、新しいテクノロジーをどんどん教育現場で取り入れていこうという、とくにアメリカをはじめとした国は、こういったものはすごく重宝されるんじゃないかなと思っています。
あとは学校側に課金することになっておりますので、そういったところも含めておもしろいなと思っております。これがまず1社ですね。
林口:続きまして、2社目がSMB Rate。これは一言で言うと、中小企業向けの事業融資版KAYAKです。KAYAKというサービス、みなさんご存じですか?
旅行予約のいろんなサービスがあると思うんですけども、いろんな企業がある中からどれがいいのかを選ぶときに、1個1個調べていくと大変ですよね。KAYAKは各旅行予約サービスを横断して検索してくれるサービスなんですが、それの中小企業向け事業融資の検索サービスとお考えいただくのがいいかなと思います。
(スクリーンを指して)向かって右側にある画面が実際のスクリーンショットです。こちらの左のほうに、例えば自分の会社が設立何年目なのか、あとは自社のクレジットスコアですね。
信用スコアみたいなものがだいたい何点ぐらいか。あとは年商の規模とか、すでに利益化して黒字化してるのかどうかという基礎情報を入力すると、実際に事業融資をしてくれる金融機関がどれぐらいいて、各社どれぐらいの規模までは融資可能なのかをざざっと出してくれるというサービスになっております。
すごくおもしろいなと思っているのが、このSMB Rateという会社もそうなんですけれども、そこに掲載されている融資をしてくれる金融機関にとってもすごくWin-Winな関係性だなと思っています。
単独で金融機関が資金ニーズのある会社を探すといってもなかなか限界があると思います。そういったなかで、こういうサービスで資金ニーズがあるほうも探しやすくなれば、それを貸す側もお客さんを探しやすい。
あと、このサービスに資金ニーズがあるところが登録されていくので、例えば会社の成長の軌跡がどういったトレンドを経ているのか、時系列を追って確認できます。ですから一期一会で終わらず、継続的にその会社さんとのリレーションが保てるのはすごくいいなと思っています。
林口:次がAssemblyAIという会社です。この会社はカスタマイズ可能なspeech recognitionのサービスを提供しています。いわゆる音声データを認識して、それをテキスト化してくれるというようなものです。
一応この分野って、既存でサービス提供されているところがいくつかあるんですが、わりと共通しているのが、画一的なサービスのために利用したい側があんまりカスタマイズする余地がないことです。
なので、例えばみなさんの会社さんが特定の分野、例えば営業ドリブンな会社とか、その業界の固有な言葉がある場合は、そういったところをカスタマイズしないとなかなか音声データを正しく認識できないんですが、その対応が既存のサービスではやりづらいんです。
なので、この会社は簡単にそういったカスタマイズできて、すごくスムーズに利用を開始できるところを売りにしています。
とりわけいいなと思っているところが、企業の例えばコールセンターや、営業の電話など、わりとよくみなさんお問い合わせセンターなんかに電話すると「品質チェックのために録音させていただきます」というメッセージを聞くと思います。企業さんってたぶん対応しているときの音声データって蓄積されていると思うんですが、それが使われている感じがあまりしなくて。こういったサービスがあれば簡単にテキスト解析ができて、なかなか使い勝手が良いのではないかと思います。
現状すでに使っているクライアントさんだと、やはり営業電話のモニタリングですね。「どういしゃべっているケースがうまくいってるのか」みたいことをテキスト解析しています。
もう1つは、YouTubeやいろんなビデオコンテンツが世の中にいっぱいあると思うんですが、自社と競合他社との比較をこのサービスを使ってやっていく。どれぐらい製品名が語られているのかとか、そういったところにも応用できると聞いております。
久保田:今回、音声系が多いですよね。
林口:そうですね。
林口:では、次のスライドお願いします。次はこれはFeatherという会社になりまして、一言でいうと家具のレンタルサービスです。
これはすごく単純に家具を1点から月額で借りることもできますし、例えば4点、5点セットでパッケージ化されたものを月額いくらで借りられるという、本当に家具をレンタルするサービスです。
みなさま、たぶん家具は買って所有されていると思うんですけれども、一方で、例えば賃貸物件やカーシェアリングなど、今まで所有することが当たり前だったものがシェアリングされていますよね。そういったものがどんどん広がっていくなかで、当然、家具って、わりと買うとお金がかかって家の中でスペースも取るんですけれども、「気分によって買い替えてみたい」とか、家族構成や家庭環境が変わって、「子どもの成長に合わせて買い替えたい」というニーズって必ずあると思っています。そういったところに対してアプローチできていて、すごくおもしろいですね。
久保田:すごい人気でしたよね。たぶんセコイアとかも。
林口:そうですね。この企業、確か今日か昨日ぐらいに記事に出ていたと思うんですけれども、わりと大型の資金調達ができたようですごくおもしろいなと。
あとはBtoB、法人向けの家具レンタルもやっているようで、オフィス向けの椅子やデスクみたいなものも貸し出しているとうかがっております。
本当はこの次にもう1社挙げたかったんですけれども、オフレコ案件というのがあって、実はいろんな記事を検索しても出てこない会社さんが数社あるんです。そこはちゃんとルールを守ろうかなと思うので、割愛をさせていただきます。
木村:ありがとうございます。
林口:では、これはこのままトレンドをお話します。
大きく私のほうからは……私はアメリカに駐在しているわけではないので、アメリカ全体の話をするのはなかなか難しいんですけれども、そのなかでもわかるところのお話と、あとY Combinatorに関して2つのまとまりでお話します。
まず、アメリカのなかでやはりシリコンバレーが引き続きイノベーションの中心地であることには変わりはないと思ってるんですけれども、最近は、ほかの大都市にもエコシステムが形成されつつあるなと思っています。
例えば都市名でいうと、ニューヨークやボストン、あとシアトル、ポートランド、ユタ州といったエリアはわりと、「techhub(テックハブ)」とか呼ばれていますが、そういったエコシステムが形成されつつあるかなと。
とくにそのなかでおもしろいのが、エリアによって特色が異なっています。例えばボストンですと、有名な大学がたくさんあるのでわりと研究に近いようなサービスが多いですね。あとユタ州ですと、けっこうBtoB向けのサービスの会社が多かったりとか。エンタメ系とかVRみたいなドメインでいくと、LAはやっぱりすごく強いと思います。
あとY Combinatorに関しては、先ほどの木村さんのお話にもありましたけど、年々登壇企業が増えています。現状だいたい1回の会で120社前後参加しているんですけれども、すごくおもしろいなと思っているのが、やっぱりいろいろなビジネスモデルが見られるところ。
例えば新しいモビリティのサービスなどですね。「ニューヨークと東京を何時間で結ぶ飛行機を作ります」みたいな会社とか、いろんな新しいタイプのモビリティの会社があります。
あとはヘルスケアや医療×ITみたいな会社も実はたくさんあります。毎バッチ、がん治療をターゲットにしたスタートアップは、必ず数社登壇しているぐらい数が増えてきているなと思っています。
あとはグローバルトラックといって、今まではアメリカが中心だったんですけれども、ほかの国、とくにマイノリティの方々の国の参加を積極的に呼びかけていることがすごくおもしろいなと思っています。
一方で、私も参加し始めて2年ちょっと経つんですけれども、大きく変わったのが、もともとは登壇したときのピッチ、プレゼンの中で売上高とかどれぐらい成長しているみたいのをかなり明確に示していたんですけれども、ここ数回を見ていますと、「proof of concept」「letter of intent」と呼ばれる、いわゆる確定はしていない売上、つまりお客様の意思はあるけど特に決まったことはないというような、見込み額みたいなものをプレゼンでお話しされている起業家の方が年々増えていますね。
あとはデモ動画とかがほとんど割愛されていて、けっこう文字のスライドばかりのようなものも一方であるのかなと思います。私からはいったん以上です。
木村:わかりました。ありがとうございます。
(会場拍手)
もし質問あれば、またQ&Aでご質問いただければと思います。
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