2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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木村新司氏(以下、木村):(事業ごとで投資したい人が出てくる流れがある)その話でいくと、そう考えていくと、VALUの話が浮かんでくるんですけど。会社にどういうふうな、個人と同じように、会社にそういうプロジェクト単位で値打ちがついたり、会社単位で価値がついたり、今後個人だけではなくて、ICOも絡めて会社をどうやっていくなど考えられていたりしますか?
小川晃平氏(以下、小川):もちろん考えていますし、だから遠くの設計の市場はものすごく難しいですよね。
今のICOではチケット系のやつが多いかなと思っています。ある程度までいったら、要するにトークンを買って、それを使ってなにかするところで効果がしぼんでしまう。それはどうなのかなと正直思っています。
ただ、別にそういった設計をしなくても、株などをビットコインなどで買えるようになったりする。そっちの方が可能性があるんじゃないかと思っていて、それを待ってくださっている方もいるのかなぁと思っているんですけど。
木村:それはあれですか? 例えば、ある会社の株式だけ入っているような……。そこの株式がブロックチェーンのトークンとなって、それが……。
小川:そう。そうですね。はい。
木村:そうすると、証券なんですよね。だから、証券をちゃんとセキュリティとして扱ってちゃんとやってという。
小川:そうですね。
木村:ほぼ証券会社と同じようなことを、ブロックチェーンの上でやれるよねってこと。
小川:プロジェクト単位で調達するのは、1年や2年とかで6つくらいのプロジェクトをやっているんですよね。3年で6つなので、半年に1回は潰れているわけですよ。そう考えると、半年で潰れちゃうプロジェクトに数万円や数百万など突っ込むのはどうなのかなと思ったりするのは正直あります。
「このプロジェクトはどう終わるのか」とか、そこまで考えてちゃんとトークンを使うのであればいいと思うんです。しかし、そのアイデアが僕にはまだないかなと思います。
國光宏尚氏(以下、國光):イケてるICO案件を考えていると、やっぱりビットコインやイーサリアムのサイクルの仕組みはよくできているんです。マイニングと、それに対するインセンティブ設計みたいな形が個々できれいに回っている。
だから参加者が増えれば増えるほど、全体のプロジェクトの価値が上がってくる。それがイケてるICOなのかなという感じもあるんだけど、あってる?
木村:いや、本当にその通りだと。今聞きながら、國光さんに来ていただいて本当によかったなと思っていますけど……。
(会場笑)
いや、本当にその通りだと思いますね。それがやっぱり、ちゃんと回ったのがビットコインだし、イーサリアムだと思ってます。
では、國光さんが例えばICOでなにかするとか、VR関連とか……。今、Candeeとか(投資を)やられてますけども、「ああいうところでICOしてみたい」など考えたりしますか?
國光:大きい可能性として考えているところは何個かあります。
1つは、せっかくやるんだったらICOがただの資金調達、という意味では……それはそれであるけど、おもしろくないなと思っているんです。要するに、イーサリアムにかわるような、事実的に回っていて、価値が存在することが価値になるというか。
ビットコインは存在することが価値で、参加者が増えるほど価値が広がっていく。これが跳ねるような感じで。こういった中から次のGoogleやFacebook的なプロジェクトが出てくるんだろうと思うので。そういった大きなプロジェクトを僕はいろいろ考えていきたいなと思っていますね。
あとは、単純にゲームはクラウドファンディングとすごく相性が良かったりします。僕らの投資先でもクラウドファンディングでお金を集めている会社はいっぱいあるので。それは普通にICOに変わっていくのがすごく合理的だと思います。
それと、ゲーム内で先ほどの人間コインみたいな。そういった仮想空間のようなカタチで、セカンドライフのような……土地自体を貨幣にしたりする感じ。そういったものの進化版みたいなものをブロックチェーンと連動させて、それをVR空間で使えたら面白いなぁと思うんです。だから、そのあたりは考えていきたい。
木村:そうですよね。やっぱりそのビットコインで掘るのが難しくなっていくのがすごく重要なところで。仮想空間などを國光さんが作られたとして、そこの中で、なんらか難しくなっていって、それがVALUとして上がっていくみたいな設計が必要なのかもしれないですよね。
小川:キャラクターのブロックチェーンもそれこそ考えているんですか? 例えばキャラクターを販売するもの……ゲーム内のキャラクターじゃなくて、今はガチャで出てくるもの……。あれってたぶんIDじゃないですか。
例えばあれをブロックチェーン化しちゃって、それで取引するみたいなものです。そういうのもあるのかなと思っているんです。そういうプロジェクトなんかでてきているので、それがどう育っていくのかな、っていうのは僕はけっこう注目しています。
國光:おもしろそうですね。
木村:おもしろそうですよね。でも、それ自体が日本からは出てこないんじゃないですか。「キャラクタービジネスで日本を救おう」っていうね。日本でなんでこんなあまりでてこないんですかね。
佐藤航陽氏(以下、佐藤):私ですか?
(会場笑)
木村:はい。韓国でやられています。
佐藤:やっぱり、日本人の習慣的なものじゃないかと思っていて。「枠組みの外のことはやっちゃいけない」っていう共通認識みたいなものが日本人にけっこうあるような気がするんですよね。
中国人やアメリカ人って「とりあえずやってみよう」「やりながら仕組みを作っていこう」と、つまり効率は後追いで対応しなきゃいけないものだという認識がある。そこが日本人とはちょっと違うんじゃないかと。
木村:ああ、でもそういう意味で言うと、佐藤さん韓国でやられてるので。
(会場笑)
國光:僕は仮想通貨を見ていておもしろいなぁと思うのが、GoogleやFacebook、Amazonなどの今年のシリコンバレー列強のカンファレンスで語られていたのは3つしかなかったんです。VRとARとAIの3つ。彼らが仮想通貨やブロックチェーンを語ることがないから。そういった意味でなんとなくこう、いろいろ考えたわけですよ。
木村:はい。なんでやらないのか?
國光:なぜ彼らは仮想通貨やブロックチェーンをやらないのかを考えた時、僕が気づいたこととして2つありました。
1つは、テクノロジーをハックするということ。AIやARとかって完全なテクノロジーの進化という感じですよね。ですが、ブロックチェーンは仕組みのハックという感じが大きいだろうと思っているんです。
例えば、世界中でFinTechはいまいちパッとしないですよね。大きいところとしてはペーパーレスなどもありますが、やはりGoogleやAppleなどと比べると10分の1以下ですよね。
木村:そうですよね。
國光:なぜFinTechが大きくならないかを考えると、課題をそれぞれ持っていると思うんですよね。しかし、その課題はテクノロジーでは解決できない。ほとんどが規制や既得権みたいな感じが大きいです。
木村:そうですよね。
國光:記者の人がよく「最近では日本はキャッシュを使いまくっていて、一方で中国はキャッシュレスになっている」「日本は遅れている」と書いていますよね。これは馬鹿馬鹿しい!
(会場笑)
あれはそんなんじゃなくて。中国ではもともとクレジットカードの仕組みがなかったからWeChatなどが銀行とつなげるようになった。そこから個人間送金やデビットなどができた。しかも手数料0.6パーセントで。
でも日本やアメリカは、なんだかんだクレジットカードのルートを使うことになる。だから手数料も3〜4パーセントくらいかかることになる。すでに一般的になっているから、どちらかというと先進国のほうが既存の既得権や仕組み、ルールが明確にあります。そういう仕組がない国のほうがイノベーションをやりやすい。
なので、おそらく中国よりも国家的に言うとインド。そしてインドよりおそらくアフリカのほうがイノベーションが起こりやすいと思っています。仮想通貨に関してはルールや既得権が、なにもない! なので一からすべて構築していける。
木村:そうですね。bitFlyerの方がものすごい速さで伸びたんだと……。
國光:ですよね。なので、そういった意味ではテクノロジーより、既存のルールや既得権のところをどうクリアするかという感じなので。だから向こうの技術者とかに響かなかったんだろうなと思っているんです。
國光:あともう1つわかったのは、GoogleやFacebookは既存の広告業界やテレビ業界、小売業界をテクノロジーでディスラプトしてきたんですよね。既存の強いところと。
木村:そうですよね。
國光:ただ、シリコンバレーの大手は資本市場の頂点に君臨しています。だから、彼らにとって今の金融はわざわざディスラプトする対象じゃないんだよね。
佐藤:メリットがないんですもんね。
國光:そう。自分たちがすでにそこで君臨しているから。なのでシリコンバレーの大手がこの領域にそこまで注目していない原因だと思います。あと、技術的にもまだまだ未成熟なプロトコルフェーズというのもあると思います。そして中国は最終的に非中央集権の国家がコントロールしない通貨を認めるとは思えません。
そういう意味で言うと、日本は技術的にもいい線いってるし、金融的にもいい線いってるので、アメリカや中国を差し置いて、仮想通貨、ブロックチェーンの世界をリードできる可能性が大いにあるというのは、かなりワクワクしますね。
木村:そうですよね。
佐藤:私は國光さんの考えとは少し違うところがあります。「GoogleやFacebookみたいな企業がこのエリアにいないよね」っていう話があったと思うんですけど、ビットコインそのものがもはや別です。
なので、企業と企業の時価総額を競うこと自体がもう過去のものだと思うんです。あのシステムそのものの設計者が、いわゆる次のGoogleと近いものを作ったということなのかなと思いましたね。
もしかしたら、ああいう人たちが、あの企業ではないにしても、システム設計者そのものが次のものなのかもしれないですね。
木村:時間もなくなってきたんで、最後に1つ、うかがっておきたいんですけど。まさに日本です。日本が仮想通貨の中心地になりつつあると僕は思っているんですけども、じゃあ我々は仮想通貨の世界で、どういうふうにふるまうのか。なにをやっていけばこのまま突き進んでいけるのかというのをうかがいたいんですが。佐藤さん、どうお考えですか?
佐藤:私はかなり楽観的に見ていて、大丈夫じゃないかなと思っています。なぜかというと、これ以外に勝てそうなものがもうないように思うということを、ほぼ全員が理解してる。クラウドやビッグデータなど、もう完全にアメリカですから。
「ということは、これ以外の策はもう無理だよね」ということをある程度、省庁含めて理解しているんじゃないかと思ってます。だからけっこう楽観的です。
木村:小川さん、どうですか?
小川:僕は、だいたい200〜300年前の歴史を読んでいるんですけれど。金銀交換比率で、黄金の国ジパングだったのにそれがなくなっちゃうみたいなところがあり、そういった歴史からなにかを学んで新しい仮想通貨や金融市場を作っていけばいいんじゃないかと思っています。
國光:一番重要なのは、空気づくりなんだろうと思っています。まったく新しい産業なので、なにが正しい・正しくないかもわからない。そしてこれからどんな問題が出てくるかもわからない。ワイルド・ワイルド・ウエストの中に突っ込んで、新しい挑戦をみんながやりまくっている。
その中で当然、失敗する人も出るし、問題になる人も出る。そういったところから次世代のGoogleみたいなイノベーションが生まれてくると感じたんです。なので「1つ問題が起こればこれはダメだ」「こういうリスクあるからなんだ」というのはやめるべき。佐藤さんが言ったみたいに普通のテクノロジー産業としてアメリカや中国と戦っていくのはそんなに簡単じゃない。
木村:まあ、もう無理ですよね。
國光:そう! ただ仮想通貨界だと、日本は限りなく有利な立場にいる感じです。それこそ佐藤さんが言っていたみたいに「ここしかない」という感じで、メディアの人や政治家系の人、官僚系の人など全員で一丸になって「ここのところでイノベーションを起こすんだ!」「そこから世界を変えていくんだ」が重要じゃないかと思います。
木村:そうですよね。まさに「黄金の国ジパングをもう一度」という感じかなと思うんですけど。
ちょうど時間になりましたので、我々のセッションを終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
(会場拍手)
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