2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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岩瀬大輔氏(以下、岩瀬):来年2018年5月18日にライフネット生命は開業10周年を迎えます。ご支援いただいているみなさま、ありがとうございます。この10年間は本当にいろいろなことがありまして、うまくいったこともたくさんありますが、歯がゆい思いをしたこともありました
375兆円、これは国内の生命保険会社の総資産です。これだけ大きな大きな業界で我々は挑戦してきたんだなということを改めて感じています。
生命保険の特徴ですが、まず免許業ということで、銀行と保険は内閣総理大臣の認可がなければ営業ができません。かつ商品を出すにも一つひとつ認可が必要になっていて、これが大きな壁になっております。
ちなみに、我々の前に認可を取った独立系の生命保険会社が最後に出たのが1934年でした。それ以降は外資や損保系の生命会社しかなかった。74年ぶりの独立系の生命保険会社として始まったのがライフネット生命です。
(スライドを指して)これは2006年の一番最初に仕事を始めた当時の我々の写真です。当時僕は30歳で出口は58歳。出口は自分の父親と同い年だったのですが、本当になにもないところから始まりました。
このときに出口の頭の中にあった1つの構想、ほとんど妄想に近いと思うんですけど。なんにもない、ライフネットの「ラ」の字もない。社名も決まっていないところから2人でその大きな構想を形にしていったのがライフネット生命の歩みでした。
この17年の株主総会をもって出口は取締役を退任して、先月、大分県にあるAPU(立命館アジア太平洋大学)の学長になるということも発表されています。
今日はこの10年間を振り返ってみて、この5つをやっておいてよかったなと思うことをお話しさせていただこうと思います。
最初にブレない軸を作ったということ。我々が最初に会社を作ったときに出口と2人で「こんな保険会社にしたい」ということをしたためたのですが、それをライフネット生命の生命保険マニフェストとしました。
よくビジョンとして「インターネットで世界を変える!」といったものを掲げている会社があると思うんですが、それよりも一段ブレイクダウンして実際に社員がいろいろな場面で行動指針となるものをしたためたものです。
これは本当にやっておいてよかったなと思うのですが、今でも社内で議論する際に「でもマニフェストはこうだから、こうすべきじゃないか」という揺るぎのない指針になっていること、それからこのマニフェストをよく読んでみて、これがいいから気に入ってライフネット生命に入社したという社員がけっこういるんですね。
最初に自分たちの行動指針、なりたい姿を言語化してシェアして、社内だけではなくて社内外に大きくオープンにしたのがライフネット生命にとってすごくよかったなと思っています。
これは一番最初の頃のホームページです。
いろいろな内容があって、24項目あるんですけど、出口が多めに書いたんですが私も書いて。
一番好きな一節は、「私たちは、自分たちの友人や家族に自信を持ってすすめられる商品しか作らない、売らない」。当たり前じゃないかと思うかもしれないのですが、金融業界ではそうではないことが意外と多い。人に売ってるものと自分が買ってるものが違うということはよくあるんですね。
でも我々ライフネット生命は本当に自分たちの身近な家族や友人に自信を持ってすすめられる商品を作っていこうと。そのコンセプトに賛同して集まった仲間と集まったお客様に支えられてきたと思っています。これが1つ目です。
2つ目は、長期戦に備えるということです。生命保険は非常に息の長いビジネスです。加入していただいたら20年30年、もっと長い契約もあるので、非常にじっくり戦っていく必要があります。
我々の場合、兵糧を蓄えるということでたくさんの資金を集めることができたのがすごくよかったなと思っています。開業時に132億円、いろいろな株主から出していただいたんですが、その際に非常にシンプルなストーリーを語りました。
3つのポイントとして、①生命保険業界は保険料が40兆円を超える大きな市場で、②そこに誰かしらが矛盾や非効率、不便さを感じていて、③それを解消する技術革新、規制緩和などの変化があると。この3つを一生懸命パッションを持って説いて回ったことで最初に132億円の資金を集めることができました。
それから4年後に上場して、ここでまた77億円を調達しています。さらに2年前にKDDIさんの第三者割当増資があり、ライフネット生命は今まで累計240億の資金を調達しています。とにかく生命保険は資本がたくさん必要で、それによって長期戦に備えられるということからです。
これだけの資本があったのでなんとかやってこれましたし、テレビCMなども打って一定数の国民のみなさんに知っていただけるようなブランドを作ることができたんじゃないかと思っています。
3つ目は、多様な経営チームを作ったということ。出口が58歳で僕が30歳だったという時点ですでにかなりダイバーシティだったと思うんですが。年齢だけではなくて、保険に詳しい人間と保険のことをまったく知らない人間、いろんなバックグラウンドの人たちが混ざってできたということがライフネット生命の強みだと思っています。
「ネット生保」というビジネスが元来矛盾する要素を持っています。ネットという迅速でどんどん変わっていくものと、生命保険という非常に長期でほとんど変わらない、じっくりやっていくもの。その両者の融合みたいなものが我々2人のコンビの象徴だったと思います。我々だけではなく本当にいろいろなバックグラウンドのメンバーが集まってくれたこともよかったことです。
4つ目は、やはりゼロからBtoCのブランドを作っていくのは非常に難しいことだと思っていましたので、創業当初から大手とのアライアンスというものを非常に工夫しながらやってきたことです。
最近ではau、KDDIさんとのアライアンスによって「auの生命ほけん」、これはライフネット生命が運営しているんですがこのように大きな会社の力も借りながら大きなものに挑戦していくといったことをやってきました。
大きなことをやろうとすると、反響がある一方でいろいろなハードルは出てくるものですがやはり大きなパートナーと組んでギリギリまで挑戦していくことが大切かなと思っています。
5つ目は、「愛されるブランド」を作る努力をしたということです。我々はBtoCのビジネスですが、後ろ盾になる会社がいませんでした。いろいろな会社から資本を集めましたが、最終的にはどれだけたくさんの人に応援していただけるかということに尽きると思っています。
ブランドというとみなさんいろんなイメージがあると思うんですが、ブランドというとなんとなく企業イメージではなくて、すべてのお客様とその会社の接点を通じた顧客体験の総和ではないかと思っています。
どういうことかと言うと、テレビCMのイメージだけではなくて、実際に資料請求した際に届いたパンフレットの手触りだとかコールセンターとのやりとり、あるいは実際にWebサイトを使ってみたり、我々がどんな採用をやっているかとか、支払いのときどうだったかとか。いろいろな企業活動すべての総和、体験の総和がブランドではないかと思っています。
ライフネット生命は、できたときから「こういう会社でありたい」というものを意識してやってきました。シンプルで正直で合理的で、でもチャレンジャーであり、どこかスタイリッシュで遊び心があって手作り感がある。そういったブランドがたくさんの人に共感してもらえるのではないかと思ってやってきました。
おそらく大切なのはこういったものに一貫性があるということ。すべてがコンシステントであるということが大切だと思っています。理念と戦略、マーケティング、企業の行動、社員の言動行動、すべてにコンシスタンシーがある、客観性があるということが非常に大切ではないかと思っています。
当社のマーケティングオフィサーをやっていた中田という人間がこんな本を書いていますので、よかったら見てやってください。
というわけで、ブレない軸を作る、長期戦に備える、多様な経営チームで臨む、大手とのアライアンスでレバレッジをはかる、そして、愛されるブランドを作る。こういったことでライフネット生命はやってきました。みなさまもぜひ世界を変える大きな事業に挑戦してください!
以上です。ありがとうございました。
(会場拍手)
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