2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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木村新司氏(以下、木村):ちょっと話題を変えまして。これまでは「ビットコインとはなんなのか」みたいな話をビットコインの第一人者である加納さんからうかがいたかったので聞いてみましたが。今度はビットコインではなくて、ビットコインを扱うbitFlyerの取引所としてのことを聞いてみたいと思います。
bitFlyerですけれど、この2年間くらいものすごく成長をしてきたなと思っているんです。ちょうど8月に取引量がこの前Facebookに出ていましたけど、1. ……。
加納裕三氏(以下、加納):1.5兆円くらい。
木村:1.5兆円くらい。2年前はどのくらいでしたか? 1ヶ月。
加納:その前は……。2015年ですよね? すぐにはわからないですけど、何十億とかじゃないですかね。
木村:そうですよね。何十億? 1ヶ月。
加納:そうですね。1ヶ月に何十億。正確には覚えてないですけど。
木村:でもものすごい早さで成長してきていると思うんですけども。今後は取引所としてどういうポジションを取っていきたいとか、日本の中でどういうことを取引所としてやっていきたいかとか、教えていただいてもいいですか?
加納:まず取引所だけではなくて、多岐に渡るサービスを提供する「ユニバーサル」というカテゴリーがあるんですけど。ユニバーサルサービスみたいな感じになりたいな、と思っています。それは取引所というのがメインエンジンではあります。これに流動性を確保したい。
それにはいろいろな方法があると思っていて、そこに付随する……例えば決済サービスがあり、ポイントの交換がある。もしかしたら資金を移動できるかもしれないし、取引所をエンジンとした、いろんなことをやっていきたい。
加納:ポジションとしてはやっぱりグローバルカンパニーになりたい、という非常に僕の強い夢です。ほぼ設立当初からのすごく小さくて、6人くらいしかいない時から言っていますね。
木村:マンションの一室ですね。
加納:その時からすでに子会社も(笑)。
木村:そうですね。
加納:なんかこう、すごく前のめりだったんです。売上もほぼゼロで、ユーザーもいなくて誰も注目していないのに、ひたすら子会社をアメリカでなんとかして(笑)。
木村:そうですね。誰も聞いてなかったと思いますけど(笑)。
加納:今ようやく、アメリカも来月くらいにはパブリックローンチみたいな感じでやっています。
やっぱり横展開しやすいと思うんです。横展開しないとバリューが出ないと思っていて、今までの証券や銀行は国ごとに縦割りになっていて、当然、規制産業ですので、その規制に守られていいる。その中で本人確認も実は70号という法律ですけど、日本の法律って外国の顧客を本人確認することをあまり想定していないです。
なぜかというと、金融情勢は必ずその国の中だけで行われることが大前提だった。一方で仮想通貨、世界共通のコインなどを売っていますから、誰がやったって一緒なんです。うちがやろうがよそさまがやろうが、扱っている物は一緒で手数料競争になるのは目に見えている。
それをちゃんと横展開して、そこに新たなサービスを乗せてちゃんと成り立つということをしていかないといけない。グローバルにいうと、ポジションを狙っています。
木村:そうですね。海外のところもすごく伸びている。ビットコインでいうとbitFlyerは世界の45パーセントくらいですかね。
加納:シェアでいうと?
木村:はい。
加納:そんなことないです。ビットコインに限定すると35パーセントくらいですかね
木村:世界で一番大きくなっていますと。海外で見てみるとbittrexとかpoloniexとか、韓国が中心だと思います。いろんなところが出てきている中で、今はビットコイン中心かもしれないですけど、どういう海外や国内それぞれでどういう攻め方をしていこうと思われていますか?
加納:まずビットコインはやるんでしょうね。アルトコインをどうするかというのは国によって違うと思っていて。海外でビットコインほどの違いはそんなにないので、増やせるだけ増やすというのも1つの考えだし。
一方で、日本のホワイトリストがすごくゆるい。
木村:そうですね(笑)。あれはいろいろ入ってますよね。
加納:すごくいろいろな議論がありますけど、PEPECASH(仮想通貨の1つ)。
木村:そうですね。
加納:PEPECASHってご存知の方は手を挙げて。
(会場挙手)
すごいですね。ここですごいですね。
木村:そうですね。20パーセントくらいの人がPEPECASHを知っているんですね。
加納:バナナボーイみたいな感じですね。ちょっとPEPECASHのことをいじるとpepeの人が怒るんでね。
木村:そうですね。
加納:すごいなと思っています。ホワイトリストが広い範囲で……広いというかぽつぽつととられているのはおもしろいなと思って、このあたりがゆるいといろんなものができるんじゃないか。一方でトークンなどやっているものも入っているんですけど、それがどうくるかというところは注目しています。
くり返しになりますけど、国によって規制が違うので、結局その国に合せたものしか提供できないといったところです。
木村:そうですね。アルトコインがだいぶ出てきて、さらにどんどん伸びてきている中で、どういう攻め方をするかすごい興味があって。ビットコイン分野で攻めて、その中でとにかく一番大きいものを世界中でやるのかな……など、いろんな攻め方があるので。加納さんの出方、すごく興味深く見てるんです。
木村:今後、取引の規模をどんどん拡大されていく中で、取引だけではなくて、例えば法廷通貨の世界でいうと、銀行があって、証券があって、いろんな金融の機能があるわけじゃないですか。仮想通貨の世界にはまだ取引所くらいしかありませんが、そのほかもまだまだこれからできてくると思います。
加納さん、今どちらかというと法定通貨と仮想通貨の真ん中にいるというか、繋ぎ役のところにいると思うんです。そこで仮想通貨の世界でなにか作り上げていこうとか、仮想通貨の金融機能のなにかを作り上げていこうとか、どう考えていらっしゃいますか?
加納:仮想通貨でしかできないというか、仮想通貨でやったほうがやりやすいことがたぶんあると思っています。ICOとかそうですよね。
今まで資金調達って、いろんな人が絡んでいました。ミドルとか。
そうとするならば、一般的にはベンチャーキャピタルから調達して、個人投資家とかもありますし、証券会社がいて、後ろ側に証券があって投資家のルールがあるなど、関与している人がいっぱいいるんですよね。関与する人がいろんなところで、監査法人が必要だったりしてコストがかかります。
一方でICOはすごく安くできる。関与する人は少ないし、さっき斉藤(創)先生もお話ししていましたが、投資家は非常に危ないですし、かなりリスキーです。そうすると新しい投資手段を与えてるという意味では非常におもしろい。
なので、これによって正しい情報発信をして、ICOを非常にあやしいんですけど、ちゃんと説明して、ちゃんとルールやって、ちゃんと法的処理などを全部やるのであれば、発行体、会社にとっては新しい資金調達になります。
投資家にとっては、今までベンチャー投資できなかったと思うんです。木村さんみたいなお金持ちにしか声をかけられない。投資したいと言ってもアメリカの有力ベンチャーとか絶対投資させてくれないと思います。
それが身軽に、気軽に簡単にできるというのはおもしろいです。だから証券システムはある程度disrupt(ディスラプト)という話ではなくて、なにかおもしろいことができるだろうなと思ってます。銀行だったら送金とかローンとか。保険も保険でシステムとしてブロックチェーンを使うことはできる。
木村:そうですね。
加納:そうじゃなくて、ブロックチェーンじゃなければできないような仕組みというものは、たぶん今後出てくると思っています。まあ、なにかできると思うんです(笑)。
木村:なにか考えられているんですよね?
加納:ここでは言えないですけど。単にブロックチェーンをデータベースに使うだけでけっこうおもしろくて、いろんなことができる。ブロックチェーンでしかできないようなこと、最後のエンドのユーザーにダイレクトになにかをアクセスしてお金をそのまま直接取ってくれる。そして契約をまけるような仕組みがおもしろいと思っています。ここには注目しています。
木村:例えば法定通貨の世界でいうと銀行の送金、先ほどおっしゃったように全銀ネットがあって、コンピューターコストがあって、送金手数料があって、そのスプレッドが利益になっているところですけど。仮想通貨の世界ではマイニングじゃないですか。マイ二ングを介して加納さんは事業をやろうとか考えたりしないんですか?
加納:マイニングね、実は内緒でやっているんです。
木村:(笑)。
加納:マイニングはテストしているんです。ずっとテストしていて、どこかでマイニングを売りたいなと。ちょっとその辺をいじっているのでどこかで出せるといいなと思いますけど。
木村:国内じゃなくて?
加納:そうですね。
木村:それは楽しみにしています。
ということで時間になってきたんですけれども。最初にビットコインの話があり、これまでシステムでどういうふうに加納さんが考えているかというのと、取引上に関して加納さんの戦略。あとですね、私の知らなかった「マイニングやってます」という話が聞けたところで、本セッションの締めくくりとさせていただきます。
ありがとうございました。
加納:ありがとうございました。
(会場拍手)
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