2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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YCは過去9年間、多くの人にスタートアップの始め方を実践的にお教えしてきました。ほとんどのアドバイスは各スタートアップに特化したものでしたが、一般的にどんなスタートアップにも共通することが全体の30%ありました。このクラスでは、その30%についてお教えしたいと思います。スタートアップを始めるのに必要なことの30%に過ぎませんが、少しでも皆さんの役に立てばと思います。
YCで同じ内容の講義をよく開催していましたが、それについて特に記録が残っているわけではありません。今回の授業は、初めての公式な授業です。何人かゲストスピーカーをお招きして、YCで講演していただいた同じ内容でこのクラスでもお話していただきます。
私達は現在725の会社へ投資しているという実績がありますので、このクラスでお話することも皆さんの役に立つことと思います。今は全てのスタートアップに投資することはできませんが、皆さんへ有益な情報を広くお伝えできればと思います。
このクラスは急速に成長し、最終的には大きなビジネスに成長するようなビジネスを始めたいと考える人に向けて構成されています。それ以外のケースにはあまり当てはまらないアドバイスが大半です。
最初に警告します。ここでお話するアドバイスを大企業やスタートアップ以外のビジネスで適用しようとしても大抵の場合上手くいきません。しかし、スタートアップ以外の機会を狙っている人でも興味を持っていただける内容です。スタートアップは未来のビジネスを担うので、どんな方もスタートアップについて理解しておくことは必要だと思います。
しかし、スタートアップとスタートアップではない会社とは大きく違います。今日、そして次回にわけて私がスタートアップで成功する為に必要な、大きく分けて4つのことについて簡単にお話します。このコースが回を重ねるにつれ、ゲストスピーカーの講師がそれらをより具体的に展開して話をしてくれる予定です。
たとえこれらのポイントを押さえても失敗する場合もあるでしょう。結果とは、アイデア×プロダクト×実行力×チーム×運、のように表すことが出来ます。そしてこの式の中の「運」となる数字はゼロから10万まで未知数です。
文字通り、それくらい誰にもわからないことです。しかし、皆さんがコントロールできる「運」以外の4つのポイントをしっかり突き詰めれば、成功する確率が上がります。
スタートアップが面白いのは、成功するチャンスが誰にでも平等であるという点でしょう。若く経験が少ない人でも、年を重ねて経験豊富な人でも、皆に平等なチャンスがあります。特に面白いスタートアップのポイントは、お金がない、コネがないという一般的には不利な状況が、実はスタートアップを始める際には有利に働くところです。
なぜなら、ただスタートアップをやりたいというだけで始めるべきではないからです。スタートアップよりも楽にお金持ちになる方法は他にもあります。スタートアップを始めた人は皆、口をそろえてこう言います、「こんなに辛いことだなんて思ってもみなかった。」。
これ以外に自分のやりたいことをやる術がない、これがやりたいことをやるためのベストな方法だ、という場合にのみスタートアップを始めるべきです。
絶対に成し遂げたいこと、何かに情熱を持つことが大前提です。スタートアップを始めることについて考えるのはその次です。実際、YCで開講するクラスもこれを前提としています。
今日の講義の後半でFacebookのダスティン・モスコヴィッツから、「なぜスタートアップを始めるのか」について詳しくお話があります。今回のこのコース開講に、多くの方が注目してくれた事実を嬉しく思うと同時に、それならばしっかりと「なぜスタートアップを始めるのか」について皆さんにお話せねばならないと考えている次第です。
なんでも壁に投げつけてみて、どんなものがそこに定着するのか試してみる、上手くいくか、やる価値があるのかについて考えないでとにかく始めてみるという考え方が主流のようです。
ピボットは素晴らしい、ピボットがあればあるほど良いものだとよく言われています。これが完全に間違っているわけではありません。思いがけないきっかけが成長のチャンスに繋がることももちろんあります。
そして、プロダクトが実際にユーザーの手に渡るまでわからないこともあります。素晴らしい実行力をもって結果に繋げることは、素晴らしいアイデアを出すことに比べて少なくとも10倍重要で、100倍難しいです。
しかし、それが過剰に評価されているのも事実です。悪いアイデアが悪いことに変わりはなく、ピボットをもてはやす今日の社会は準最適だと感じます。素晴らしい実行力があったとしても、アイデアが最悪であれば成功することはできません。
もちろん例外もあります。しかし、成功している素晴らしい企業の多くはピボットではなく、素晴らしいアイデアから始めています。
成功しているピボットは、安易な方向転換ではなく創設者がやりたいことに焦点を絞ってやっています。Airbnbは当時ブライアン・チェスキーが家賃を払えなかったけれども、他人に提供できるスペースがあったからこそ始まりました。
しかし、一般的にはピボットは大きく成長しません。私も昔はアイデアは二の次だと思っていた口ですが、今はその考え方が大きな間違いであることをよく理解しています。
あるアイデアを考慮するということは、プロダクトについてだけのみならず、これらすべての側面から考えなくてはならないということです。上手く行けば10年以上もこのアイデアと付き合っていくわけですから、そのビジネスの価値や続けていく為の方法について、始める前に多くの時間を使って熟考する価値は大いにあります。
たとえ将来計画通りにいかずに練った計画を遂行することはなくても、計画を練り、先のことを考えるという行動自体に意味があるのですが、これを現在の多くのスタートアップがやっていません。
どんな分野でも長期的に物事を考えることは稀有なことなのですが、特にスタートアップはその傾向が強いです。長期的に物事を捉えれば、それは皆さんにとても有利に働きます。物事を進めていくうちにアイデアの幅は広がり、更に挑戦的になっていきます。ビジネスを大きくする為にすべてを先読みし、計画を練る必要はないですが、アイデアのコアとなる部分は最初に確立しておく必要があるでしょう。将来的に面白い方向に成長できるようなアイデアを最初に持っておくことが望ましいです。
とても大切なのでもう一度言います。まず初めにするべきはアイデアを練ること。スタートアップを始めるのはその次です。どこまでも追求したいと皆さんが情熱的に取り組むことが出来るアイデアが出てからスタートアップを始めましょう。
これは浮かんでくる複数のアイデアを比べるプロセスでもあります。いくつかのアイデアがある場合、1番長い間それについてついつい考えてしまうアイデアを発展させましょう。「最高にわくわくするアイデアが生まれてからスタートアップを始めればよかった」と多くの創立者が言うのをよく聞きます。
これを別の側面から説明すると、成功している会社の多くが明確な目的を持って進んでいます。組織に明確なミッションがなければ、多くの人を束ねて一緒に成功に向かっていくことは難しいです。
そして素晴らしいアイデアが基礎として存在しなければ、明確なミッションを掲げることはできません。目的意識があるアイデアに沿って動くことで、皆さん自身が自分の目的を達成する為に一生懸命取り組むことが出来ることでしょう。
スタートアップを成功させるには大抵10年はかかります。もしも自分がやろうとしていることに自信がなければ、成し遂げようとすることが大好きなことでなければ、きっと途中であきらめることになるでしょう。目的意識の大切さを理解せずに、スタートアップを成功させる為の長く辛い道のりを乗り越えることは出来ません。
多くの創設者、そして特に学生は、まずはスタートアップを2年、3年で立ち上げてから情熱を持って取り組めることをやればいいと考えています。そして、それはほとんどの場合上手くいきません。スタートアップが上手く軌道に乗るまでに、大抵10年はかかりますので。
これは反直観的なもので、理解できるまでに時間がかかることです。目的意識によって動くビジネスであることの重要さを誇張するのは難しいので、最後にもう一度言います。既に存在するものをほとんどそのまま真似て、ブームに派生して生まれるような会社は人を喜ばすことができません。そしてそのような会社では、チームに成功する為のやる気が生まれません。
来週ポール・グレアムがスタートアップのアイデアの練り方について詳しく話をしてくれます。アイデアを練ることは多くの創立者が頭を抱えるポイントですが、これは経験を重ねる度に上手くできるようになることであり、上手くアイデアを練る方法を学ぶ価値は多いにあります。
アイデアを出していく上で最も難しいこと、それは最も優れたアイデアが考えついた時には最もくだらないアイデアに思えることです。ウェブ・ポータル機能なしの13番目のサーチエンジン? 多くの人はそんなことをするのは無駄だと考えました。
サーチエンジンはすでに存在するし、そもそもそれの何がいいのか。ポータルに価値があったのですから。お金がない大学生のためだけにつくる10番目のSNS? ひどいアイデアです。マイスペースがすでに成功していたし、誰が大学生だけを相手にビジネスをしたいと思うでしょうか? または、全く知らない他人の家に転がり込んで一泊できるようにするシステムなんて。まったくバカげていますよね。
これらはすべてくだらないアイデアにみえますが、すべてのアイデアが成功しました。もし思いついたアイデアが素晴らしく良いアイデアだと思えたら、もうすでに多くの人が同じアイデアを抱いて行動に移しているものと考えてください。
これが成功するスタートアップのアイデアが始めはとてもくだらない考えに見える理由です。こんな風に言えればそのアイデアは素晴らしいです、「今プロダクトを使ってくれるのはこの限られた人々だけでも、今後は世界の皆が使ってくれるようになる!」
ポイントは、皆さんは他人に何を言われようとも自分のアイデアを信じることが大切だということです。これは言うのは簡単な聞こえの良い言い回しです。これには的を得ている側面と頭がおかしい、バカげているクレイジーな側面があります。
覚えておいていただきたいのは、多くの人がバカげていると思うアイデアは素晴らしいアイデアであるということです。他人にアイデアを否定されたらそれを喜ぶべきです。彼らが皆さんと似たアイデアをめぐる競合になることはない、という意味なのですから。
つまり、他人にアイデアを話すことを恐れる必要はないということです。真の意味で素晴らしいアイデアは、他人が聞いてもバカげていてそのアイデアを盗んで自分のものにしようとは思わないからです。
「バカげていると思われることはわかっている。でも、こういう理由でこのアイデアは素晴らしいんだ」と言えるようなアイデアを練ることです。バカげているように見えるアイデアであっても、それが本当に素晴らしいものでなければならない。
ただの無鉄砲なアイデアではいけない。つまり他人がやっていないことをやるのです。そしてそのアイデアは、最初から大きな野望に満ち溢れたものである必要はありません。
<h2>将来の市場規模を見極める
多くの創設者、特にスタートアップを始めることが初めての人々に共通する間違いは、初めて出すプロダクトやアイデアが、外から見てものすごく素晴らしい、立派なものでなければならないと思い込むことです。
しかし、その必要はありません。まずは小さな市場で成功し、そこから発展させることです。多くの成功する会社がそのように始めています。あまり認知度はないけれども、素晴らしいプロダクトを持っている。これが皆さんの狙うべき立ち位置です。
人にはバカげている、クレイジーでバカげていると言われるけれども実は素晴らしいアイデアである、ここを目指しましょう。
そして、どのように市場が発展するかについても考える時間を設けましょう。10年後には巨大に成長する見込みの市場を狙います。多くの投資家が現在の市場サイズを気にしてやまないですが、彼らは今後市場がどのように発展するかについてはまったく考えません。
更に言えば、これが投資家が犯す最大のミスです。彼らはスタートアップ自体の成長については気にしますが、そのスタートアップが狙う市場の成長については考えないのです。私は現在の市場サイズより、今後の市場の成長を気にかけます。
そしてその市場の成長が天井を打つ要因があるかどうかにも気をつけて判断します。皆さんも市場の成長率についてよく考えてください。私は投資するなら既に確立されている、巨大で成長速度が遅い市場を狙う会社より、今は小さくても急速に成長する見込みがある市場を狙う会社に投資することを好みます。
そしてふたつめは、学生は多くの場合理解していない、または理解するのに時間がかかることなのですが、存在しない市場をつくりだすことは不可能であるという点です。スタートアップの中で物事を変えていくことは可能ですが、市場を変えることはできません。
つまり、皆さんが確認しなければならないこと、または可能な限り確信に近い信頼を持てるようにすべきことは、狙う市場が確実に成長するか、そして需要が確実に存在するか、というポイントです。
正しい市場のあり方についてはいくつか違った例えがあります。例えば、他の人がすでに乗っている波に乗る、上に上がるエレベーターに乗り込む、またはムーブメントの一部になる。言い方は違えども、これらはすべて同じメッセージを意味します。つまり急速に成長する市場を狙え、ということです。今は小さく見える市場でも、他人には理解できない成長価値を皆さんは狙っていくのです。
面白いのは、今が最もスタートアップに追い風が吹いている時であるということです。マーク・アンドリーセンが言うように、世界はソフトウェアで、素晴らしいアイデアで溢れています。皆さんはその中から自分が最も関心があるものをひとつ選べばよいのです。
「なぜ今か? なぜそのアイデアを実行するのに今が完璧なタイミングなのか、なぜ今その会社を始めるのに今が完璧なタイミングなのか。なぜ2年前ではダメだったのか、そしてなぜ2年後では遅すぎるのか?」
私達が関わってきた最も成功したスタートアップのいくつかは素晴らしいアイデアを持っており、この疑問の答えも知っていました。もし皆さんがこの疑問に対する答えを見つけられないのであれば、そのアイデアについて少し懐疑的な視点を持つべきです。
一般に、皆さんが欲しいと思うものをつくることがベストです。顧客の声を聞いてプロトタイプをつくりあげるよりも、その方がつくろうとするものを理解することが容易でしょう。
もしも、つくるプロダクトをご自身が必要としていないのであれば、皆さんは他の誰か、それを必要とする人の為につくるのです。これは皆さんにとって不利に働きます。その場合は顧客と密に付き合うことです。可能であれば彼らのオフィスで仕事をしてみる。不可であれば彼らと1日に数回は話をすることです。
もうひとつ半直観的なことなのですが、優れたアイデアは簡単に説明することが出来、且つ簡単に理解することが出来ます。もしもどんなことをやっているのかを説明するのに一文以上を要する場合、それはほとんどの場合アイデアが複雑すぎるという意味です。
より少ない単語数で、より明確に説明できる方法があるはずです。そして最高のアイデアは大抵の場合、既に存在するどのビジネスとも何か重要なところで違うはずです。Googleがとても優れたサーチエンジンであること、そしてポータルがないこと。またはSpaceXのようにまったく新しいビジネス分野を開発すること。既に存在するものと同じようなものをつくっても、大抵失敗に終わります。
先ほども触れましたが、学生であることが有利に働くポイントは、学生ゆえに新しいテクノロジーに精通しているということです。優れたアイデアを練るには時間がかかります。今から早速始めてください。「学生の頃にもっと色々考えておけばよかった……」とよく聞きますので。
学生であることが有利に働くもうひとつのポイントは、将来の共同創設者と出会える可能性があることです。皆さんが想像する以上に、将来共にビジネスを始める仲間に出会う環境が整っています。
私達はいつも大学生に、「特定のスタートアップについての知識を蓄えるよりも将来共に会社を立ち上げる可能性のある仲間と知り合うことのほうが大切だ」と言っています。
このセクションは50セントの引用を紹介して終わりにしたいと思います。
(会場笑)
これは彼が「Vitamin Water」について聞かれた際の言葉です。
まずは顧客が何を望んでいるのか、そして市場の中の需要について考えることの重要性を説いています。多くの人がこれをしません。学生は特にです。もし皆さんがまず初めに市場、需要、顧客について考えるクセをつければ、それがスタートアップを始める時に有利に働くはずです。
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