2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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林信行氏(以下、林):じゃあ、転は最後にとっといて、田川さん。
田川欣哉氏(以下、田川):僕らも会社をやる場所をどこにするかって結構悩んで、シリコンバレーと東京ですごく悩んだんですけど、最終的に、東京に決めたっていうところはやっぱり、ハードウェアから離れたくないなっていう部分が結構ありましたね。
今会社が、うちは30人ぐらいの規模なんですけど、仕事もどんどん増えていって、海外にどうやって移していくかなんてことを考えるときに、やっぱり中心、インテグレーションをやる場所っていうのは東京がどうもよさそうだなって感じています。
いろんな人の話を聞いたり、会社の中で話をしたり、そういう中で何かそんな形になってますね。たぶん、日本人の1つの特性だと思うんですけど。いろんな物事を擦り合わせて1つにしていくっていうことが好きですよね。
だから、自分の「ここをやって」とかって、決めてもらわないと動かないよ、みたいな感じじゃない人たちが、まだ結構日本の中にいるので、インテグレーションは東京でやるのが1番いいのかな。ハードウェアをつくれる国に日帰りで行けるということも含めて、良い部分かなと思ってますね。
田川:ただしっていうのがあって、すいません、また僕の画面を出してもらっていいですか。
これは年表なんですけど、時代の流れの中で、どこがイノベーションをつくってきた国ですとか、会社ですとかっていうことを解説した表なんですけど、上はちょっと飛ばして、現在は、ハードウェア、エレクトロニクス、ソフトウェア、ネットワーク、サービス、この5要素を組み合わせている会社とか国っていうのが、たぶん強くなってきてるんだと思う。
例えば、AmazonとかGoogleとかは第4世代の企業。上から第4世代から第5世代にシフトして降りてきている。Appleは第3世代からジャンプして第4世代にシフトしました。飛び越えてるところで、日本企業は第2世代にボリュームゾーンがあってすごく固まってるんですよ。
さっき岩佐さんがおっしゃったのって、第2世代のところにすごい人がいるじゃないですかっていう話なんだけど。付け加えていくと、それを第5世代にジャンプさせるような人たちと、この第2世代の人たちが連合したときに、初めてその競争力になるということなんです。
だから、僕は旧来型のものづくりっていうのが、いいじゃないか、いいじゃないかと言ってても、イノベーションという観点では、ちょっとあんまりそこにリアリティは無いなという感じがしていまして。
田川:ここにいらっしゃる皆さんは、この5つの要素を1つの製品にという形で仕立て上げるというところで皆さんやってらっしゃるんじゃないかと思うんですけど。だから、このような感覚をもつ人たち、つまりマインドは第5世代なんだけど、上の第2世代の人たちともちゃんと話せる総人口が、どんどん増えていって社会と連携して会社という形になる……。
これが、流れになったりすると、アメリカで起こっているシフトの仕方とはちょっと違うニュアンスのものが出てくるはずなんです。そこが、ちょっと日本が面白い方向にいく、何か空気感みたいなものなんじゃないのかなと思うんですね。
林:じゃあ、トリじゃないですけど、吉崎さんいかがですか。(ハードウェアスタートアップに)芽はあるのかというところで。
吉崎航氏(以下、吉崎):はい。この順番で転を持ってくるという、大けがの予感を感じさせて……ただ私も、やはり芽はあると非常に感じております。とはいえ私でまとめることができるかっていう。
クラタスの場合とかでも実際そうなんですけど、日本の技術っていうので、ググっても出ないものが本当に多いと私自身も思っていて、実際にできる限り自分の持っているものを発信したときに、「そこ足りてないんじゃないの」っていうメールが来ることがやっぱりあるんですよ。その時に、「そんな技術ググっても出てこないじゃん」みたいなツッコミを入れたくなることも多くて。
実際クラタスも1人で作った2人で作ったみたいな言い方をしてる割には、椅子とか硬くて座れないとか言ったら、野口装美というすごい有名なバイクの椅子をつくっているところにやってもらったりしてるんですね。
基板のところとか、P板とかに頼むんじゃ無理じゃんとか言ってたら、もっといい制御基板とかをつくってるような会社の人たちが協力してくれたりとか、そういうようなことが実際にあって、ロボット向けに使える日本の技術って本当は気付いていないだけで非常に多いんじゃないかと思ったんです。それはもう他のハードウェアでも同じじゃないかというふうに思っています。
吉崎:あとその豊かな国みたいなお話があったときに思ったのが、「豊か」というものの尺度の1つに、「ちゃんと使っている姿がイメージできるのか」というのはすごく重要じゃないかというふうに思っています。
生活そのものの豊かさ以外にも、っていうところになるかもしれないんですが、例えば、スマホとかって使う前から使ってるときのイメージが出てくる人ってすごい少ないと思っていて、最後までガラケー使っていた人がまさにそうだと思うんですよ。
ほんとに便利なのかよくわからないと、でも使ってみたら意外とこれでも大丈夫じゃん、みたいなことがあったはずなんですよ。
という時に、ロボットのいる生活っていうのに1番馴染みがあって、ロボットのいる生活って何か想像つくわ、と思い描けるのは絶対日本人だと思うんです。
世界で1番ロボットアニメを見ている民族だと思います。それがイメージできる人たちが真っ先にロボットという存在を受け入れる素養があるんじゃないかというふうに、私個人は信じていて、ただ実際にクラタスの発注がくるのが海外ばかりなんですね(笑)。
この違いっていうのは、ちょっと微妙な線ではあるんですが、実際クラタスを外に売ろうとすると、今度は止められるんですよね。国のいろんなところから、「ちょっとその国はまずい」みたいな。
あんまり強そうにしなければ、もうちょっと家庭に入れるような感じにすれば、日本から発注がたくさん来るのかなというふうに思っているので、やはり日本には芽があるんじゃないかなというような感覚ですね。
林:ロボットって僕もちょっと最近、すごいロボットを見たんですけれども。そこのロボットというのは全然動かないんですけれども、「不気味の谷」って皆さん、わかりますかね。ロボットがすごくリアルなだけに、かえって不気味っていうのがありますよね。
その「不気味の谷」をもしかしたら超えたかもしれないというロボットをですね、またちょっと会場にむちゃぶりしてもいいですか? こちらの方のいるところで見たんですけれども。
AKBの「ゆきりんロボット」って知ってます? AKBなんですよね、ゆきりんというアイドルのロボット。本当は顔だけで、下は三脚型とかだったりするんですけども、目と目が合うと結構、人間ドキッとするというのを、ずっとカメラがこっちを追ってて、目がずっと合い続けてるというのはすごい照れちゃう、あれすごいですよね、小笠原さん。
小笠原治氏(以下、小笠原):あれすごいですね、考え方が。目はカメラじゃなくて、人に意思を伝えるためのディスプレイの1つだって言い出して、目の動きをつくって何とか表情の「不気味の谷」みたいなのを超えようとしていますね。
林:実際は顔とかの、外は何でしたっけ。木かなんか。
小笠原:普通に制作でつくってはいるんですけど、やっぱり最後は人の手で、動画を見ながらそれにいかに合わしていくかということを彼はやってましたね。
林:そうですね、いきなりこう、自己紹介も何もなくむちゃぶりしちゃいましたけども、小笠原さんは、今ちょうど「ABBA Lab(アバラボ)」の運営をやられている方で、日本でもこんなにすごい3Dプリンターが並んでるところはないですね。一応、工業用の3DプリンターというとStratasys(ストラタシス)というところが、トップシェアのメーカーなんですね。
僕、そことつき合いがあって、そちらのラボとかも見に行ったんですが、メーカーのショールームよりもABBA Labのほうが全然すごい3Dプリンターが並んでるっていうのが小笠原さんのところです。ちょっと、その施設の紹介を1分ぐらいで是非……。
小笠原:いわゆる3DSystems、 Stratasys(ストラタシス)あたりの業務用の3Dプリンターとかを抱えていて、EOS(イオス)という、ドイツのメーカーでチタンとかステンとかコバルトクロムとかも取り扱えるようになってます。その1番のお客さんというと、隣にDMMの方がおられるんですけど、だいたい月にDMMさんからだけ3000から4000出力、というのが来ているので、海外に今までShapewaysとかに出力が出てた分というのが半分ぐらいは国内に戻ってきたんじゃないかなという状況です。
林:ちなみに、いつもすごく面白い人が集まってそうなんですけど、色んなファブ系のことをやってきている人を見ていて、日本のハードウェア・スタートアップは希望が持てそうですか。
小笠原:最近すごい面白いのが、大手をやめて自分でスピンアウトでやられる方が増えてきたなっていうのが実感としてはあります。
去年「Gugen」というコンテストの中で、ソニーやパナソニックの方々が作っている義手みたいなものを自分たちで作ろうということで決めて、且つ、その大きな名前があるところからのお金だけじゃなくて、自分たちでしっかり作っていくための方法を考えてる人が増えてきたなというのは、感じますね。
林:わかりました。ありがとうございます。じゃあですね……。
亀山敬司氏(以下、亀山):ちょっといいですかね。すいません。儲からん儲からんとちょっと言いすぎちゃって。DMMも8年間ぐらいずっと赤字でやってきたんですけど、そのあとに今、ぼろ儲けです(笑)。
林:それは、DMM全体としてってこと?
亀山:DMMとしては、15年ぐらい前からスタートしたんだけど、それまでは本当にDVDとかを売って、そのお金を全部まわしてインターネットをやってたんですよ。今も、基本的には、将来5年ぐらいあとに上米をはねようと思って投資してるだけで、今は儲からなくても、未来は見てます。一応それだけ言っておきたかったんです。すいません。
林:すてきなフォローもあったところでですね、時間もそろそろあと残り15分ぐらいなので、会場のほうから、もし質問があったら会場からの質問に、あるいは、パネラーの方からこんなことも話したいということがあれば、どっちでもいいんですけれども、どっちが先か。
林:なんかパネラーの方あります? なければ、田川さんあります?
田川:岩佐さんとかにちょっと逆に、質問したいんですけど。岩佐さんがちょうどセレボ作られたときに「実は最初のプロトタイプをうちでつくったんですよ」、みたいな話があって、ちょっとさっき控え室でも、みんなで話してたんですけれど、ハードウェア・スタートアップって、たぶんファイナンスのやり方で言うとプロジェクトファイナンスの方がたぶん楽ですよね。
投資家もリスクがプロジェクト単位だととりやすいけど、コーポレートファイナンスとかは、その会社のゴーイングコンサーンを考えたときとかコンサルタントが入ってきた瞬間に、投資家がなかなかリスクをとりにくいんじゃないですか。
1個のヒットをつくることはできるけど、2個目3個目は続くのか、どうすんの? みたいな質問に、なかなかそのハードウェア・スタートアップって、答えにくいですよね? その部分を多分岩佐さんは越え始めているんじゃないかなと思うんですけど。そこら辺ってどう思われます?
岩佐:3年前までそう思ってました。最初のファンリングをしたとき、今、田川さんのおっしゃったプロジェクトファイナンスに近い形で1.2ミリオンかな? シードがちょっとあった状態プラス1.2ミリオンで、完全に1個のプロダクトの「セレボカム」と言う商品にフォーカスして、「でもこれが売れなきゃ終わり、次どうするの」みたいな話にまさになったんです。
その時僕も、プロファイにした方がよかったなって。ただ、今度は逆に、プロファイみたいなのって、当時ファンディングしたのが2008年リーマンショックのときなんですけど、ハードウェアをプロジェクトファイナンスで受けてくれるっていう、VCさんをIVSとかに来させてもらって、いろんな皆さんにご相談したんですけど、「いやーそういうスキルは(ないですね)……」みたいな話で、そもそも資金投資はあんまりなかったと。
結論としては、僕はやっぱり、今ちょっとおっしゃっていただいたように、コーポレートでいいんじゃないかと最近思い始めています。2年前からトライしているグローバルニッチ戦略を、最近僕らはやり始めて、要はすごくニッチなマーケット向けの商品を多品種作って、1個のブランドをつけて、世界のいろんな国で、ちょっとずつ売るというモデルが、どうもここ2年ぐらいで、すごいうまく回り始めてですね。
岩佐:昨日も韓国、展示会行ってたんですけれども、現地でファンがいてですね、展示会場のいろんなところでうちの商品を勝手に知らない人たちが売っているみたいなんですね。「俺たちここに卸ろした覚えないんだけど、どこから仕入れたの?」みたいな。
「実はアメリカのここから仕入れている」というのができ始めるとやっと、プロファイにはないブランドの強さ、あの人たち面白いもの作るね、という強みが出てくる。
でも、それって実は、インターネット、サービス、アプリケーション、ハードウェアみたいなものとソフトウェアの全部合わさった時代の……30年前のホンダとか、ソニーみたいな、1周ぐるっと回ってきて、舞台は違うところだけれども、ソニーだったらワクワクするもの作ってくれるはずだという時代が、ありましたよね。それをもう1回つくってるような気がします。
そこに、インターネットとか、ラピッドプロトタイピングとか、小ロット生産みたいな、いろんなテクノロジーが入ってきて、それがよりやりやすくなった。だから、新しい時代の新しいフィールドの上で、30年前のことをチューニングしてやっているような、そんなイメージへぐるっと戻ってきている。ということで、プロファイよりも、コーポレートでやっていく方がいいんじゃないか派でございます。
田川:面白いですね。ちょっとあとで詳しく聞かせてください。
岩佐:キックスターターとかで、流行って立ち上がっていく人たちは、きっとプロファイに近いですよね。あれがもしかすると新しいプロジェクト、ハードのプロジェクトファイナンスかもしれません。逆に彼らは今度、そこからどうやってブランドにしていくのか、コーポレートにしていくのかっていうのを結構悩んでるふうに見えます、外から見てると。
林:ひとり家電メーカーとしてはどう……?
八木啓太氏(以下、八木):僕も今の岩佐さんがおっしゃったことにすごく共感できて、例えば、他の産業で考えたときに、音楽にしても、ファッションにしても、そのブランドとかアーティストに対して、そのブランドを応援して好きになって、そのカルチャーを体験したいから、自分もそのコミュニティの住人になりたいから買うみたいなところがありますよね。
そういうユーザー体験をちゃんと提供し続けることで、ユーザーに対して真のコミットができるかどうかっていうところが、ブランドを構築する上で非常に大事なのかなと思っています。それがハードウェアについてもきっと同じで、それができるかどうかは繰り返せるかどうかということが重要だと思っています。
林:そういうブランディングとかでいうと、V-Sidoとかは、すごいファンがいっぱいいてという感じですけど、ユカイ工学さんってこう中心が見えづらいというか、でもやっぱりロボットなんですか?
青木俊介氏(以下、青木):そうですね。ロボットと一緒に、暮らしたいっていう夢を結構みんな何となく持ってる人がいっぱいいると思っているので、そこの人たちと一緒につくっていくということになるのかなというふうに思っていますけど。
特にロボットといっても、コミュニケーションするためのロボットというのを普及させるのが僕たちの目標なので、なるべくそのかわいらしさだったり、親しみやすさというのを出していきたいなというのは、すごく思っています。
林:吉崎さん的には、ソフトウェアの方でブランディングしていく感じなんですか。
吉崎:そうですね。先程ファンが多いと言っていただいたんですが、ブランディングという意味では、女性向けのブランディングを失敗しているんじゃないかと。ファンは男性ばっかりじゃんみたいな……そういう意味では「ココナッチ」を見習わないといけないなというところでして。
コミュニケーションそのもののソフトウェアを私は全然持っていないんですが、そういうのにも使っていただけるような、プラットフォームとしてはいろいろつくっていきたいなというところもあって、これからですよね。やっぱり「ココナッチ」みたいな女性にも受け入れられるようなをロボットを作っていきたいですね。
林:そこはぜひコラボレーション。八木さんが会社をつくるときに、会社の意味を前に教えていただいたと思うんですが、社会貢献というのが入っていたじゃないですか。それがすごくいいなっていうか、なんか今すごくそういうプロダクトが求められてるなって思うんで、それを入れられたのは何でかというのをちょっとお聞きしたいんですけれど。
八木:自分自身、なぜそこに至ったのかがわからないところも多いですけれども、今までの自分の経験として、色んな企業の色んなプロダクトに影響を受けてきた中で、ある大学の先生に「真善美」という言葉を伺ったときに、自分の中で、今までに影響を受けてきた要素が因数分解した3つにピタリとはまったと感じたんですね。
美しいデザインで世の中を美しくして、優れたテクノロジーで世の中を効率化して、トータルで社会貢献したいということが、自分のミッションになってビーサイズ(Bsize)という社名にもなったんです。
Bsizeというのは、会社と言うよりは、考え方みたいに思ってまして、この考え方を通してできるプロダクト、この考え方に共感できる人がもしいたら、そういう人たちと一緒にこの考え方を育んでいこう。そのひとつにプロダクトがあるのかなというふうに思ってますね。そういうブランドをつくれたらと思ってます。
林:社会貢献とかっていうと僕はですね、自分のことばっかり言っちゃだめですけど、最近1番ハードで与えられる喜びの伸びしろが大きい部分って、ハンディーキャップを持ってらっしゃる方とか、そういうところのような気がしていてですね。
実は最近、補助具というか、義手義足、それからiPhone連携の補聴器まで、すごいたくさん出てるんですよ。そこら辺を色々ずっと取材をしていたら、今度日曜日、日本医師学会で、パネルとかやることになっちゃったんですけれども、皆さんのハードウェア・スタートアップって、すごい広いじゃないですか。
製品も広ければ、関わり方も広いですけども。これから1番注目していきたいハードウェア・スタートアップのエリアというか、製品ジャンルとか、そういったものがもしあれば、起承転結で……。
八木:なるほど、製品ジャンルですよね。難しいですね。どうですかね、皆さん。
林:パスは1回までで(笑)。
八木:でも、ちょっと逆説付になっちゃうかもしれないんですけれど、最終的に、弊社の製品もそうなんですけど、ハードウェアに全然こだわってないんですね。ハードウェアベンチャーなんですけれど、ハードウェアにはこだわってなくて、究極はもしかしたらプロダクトなんてなくてもいいかもしれない。
提供できる体験とかユーザーさんが満足できる生き方みたいなものを提供できればいいと思うので、ハードウェアを作ることは目的じゃなくて、手段に過ぎないので、ジャンルよりもむしろ方法論としての可能性がもっといっぱいあるのかなと思っています。
林:ありがとうございます。
青木:僕が、可能性がすごくあると思っているのは、離れている人同士をつなぐツールとして、今はスマートフォンがあると思うんですけれども、スマートフォンというのはあくまで個人向けのツールで、やっぱり子供とか、お年寄りというのはカバーできていない。
そういうスマートフォンがカバーできていない人たちをつなげることができたらすごく可能性があるなと思っています。自分の子供が今、家でどうしてるのかなとか、実家の犬は元気かなーとか、そういうのって実はFacebookのタイムラインよりも気になったりすることだと思うので、そういうのをつなげるというのをどんどんやっていきたいなと思っています。
林:ありがとうございます。じゃあ、吉崎さんは。
吉崎:そうですね。おっしゃっていた医療だったり、介護だったり、それから、癒しとかも近いですかね、そういう部分というのは、もうこれから絶対、避けられないし必ず広まってくるのかなっていうところで。
最近だと、パワードスーツ関係のISOとかの企画ができましたとか、臨床器具の認証を取りましたとか。そういうのは本当にこれから広まっていきますよと、皆さんが使える状態になりますよ、というところまで来ているのかなと感じます。そこの部分は広まるだけの価値があるなというふうに感じています。
一方で、私個人が持ってる答えというのは、先ほどの答えと非常に似ている部分がありまして、ロボット用のプラットフォームになるような、ある種OSに近いようなソフトウェアをつくるにあたっては、用途っていうのを狭めない方がクールじゃないかなというふうに思っております。
加えて、私自身が目標と置いてるところでは、ロボットのいる社会というのを皆さんに想像してもらいたいという部分が最終的にありまして、自分も最終的に社会に何か影響を与えたいなというふうに思っています。
そういう意味だと、ソフトウェアに限らない。その結果、ハードウェアもやっちゃったみたいなところが現状なんですね。なので、ちょっと答えとして逆に広げちゃったんですが、なかなかどの分野かというよりも、すべての分野でロボットが活躍できる下地というのをどうにかつくれないかっていうところを目指したいと思っています。
林:ありがとうございます。じゃあ、田川さん。
田川:はい。ハードウェア・スタートアップの話題が、なんで今盛り上がっているのかっていう話でいくと、結局のところはさかのぼっていくと、「Internet eats everything」のeverythingの中の1つがハードウェアだったという話なんだと思うんですよね。
結局、僕ら人間って、ふにゃふにゃした柔らかいものでできているので、いわゆるデジタルデータにならない。なので、デジタルデータになってないものというのは、わんさかあるじゃないですか。
だからひとつ、まじめな話をすると、デジタイズされきってないものをどんどんデジタルデータに記号化していくことができるようなウェアラブル機器だったり、計測系のものというのはすごい増えるだろうなと思うんですね。
そうすることで、ハードウェアとか3D世界というのがインターネットの世界に包含されていくっていう。これは巨大な流れであると思いますね。
もうひとつはどっちかっていうと、取り込むっていう話じゃない側の話で、面白いことをこの前聞いたんですけど、今ガムの売上ってすごい落ちてるらしいんですよ。最近あんまり皆さん、ガム噛んでる人見ないでしょう?
なんかそれを見ていくと、携帯電話が始まって以降らしいです。どうも心理学系をやってるマーケターの人たちの話だと、携帯をパカパカ開けたりとか、今スマートフォンだと、ロック解除ってありますね。
ロック解除って1日平均500回ぐらい、やってる人もいるぐらいで、反復行為みたいなものがガムを噛むということを置き換えちゃったっていう。本当にガム会社の人たちが分析しているらしくて、そこら辺ってすごく面白い話で、何でなの? というと、よくわかんないですね。
人間が何かこう生身だからやってしまう行為や物事に、ハードウェアが絡んでいくという辺りの話は、未知の部分も含めてすごい面白いところがいっぱいあるんですよ。そこにハードウェアっていうインターフェイスを1枚挿入することで、今まで解けなかったことが解けるとか、面白いことができるっていう話、そこら辺のふたつが面白そうだなと思っています。
林:ありがとうございます。起承転結がきれいに決まったところで、ちょうど時間も来たので、このセッションを終わろうと思います。パネリストの方に拍手をお願いします。
(会場拍手)
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