2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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沼野井伸拡氏(以下、沼野井):みなさんにとって「ベンチャー」はよく聞く言葉だと思います。あとは「スタートアップ」もよく聞くと思いますが、この「ベンチャー」という言葉は和製英語なので、実際に海外で“ベンチャー”と言ってもあまり通じないのですよね。
ですから、こうした人事担当者たちの言葉も大切ですが、調べるという癖をつけて、しっかりその言葉の意味をわかって就活していくとすごくいいかなと思いますので、その辺もやっていただけると幸いです。
今日この40分の時間に登壇者4名のみなさまから本当にいい話をどんどん引き出していきたいなと思うので、次のトークテーマにいきたいと思うのですが、なんと、2と3、3と4かな? このあと続くトークテーマがけっこう近いテーマだったので……。
あとでこの人事担当のみなさんにQ&A、要は質問をしたいと思うのですよね。その時間を長く取るために、ちょっと何個かのトークを一緒にしたいなと思っているのですが。
次のトークテーマ「ベンチャー企業に所属している人ってどんな人?」、このあとに続くのが「ベンチャー企業特有の社内制度」ですので、このへんをひっくるめて、みなさんに聞いていきたいと思います。
沼野井:一発目どうですかね? そうですね、あえてここは、トリっぽいところの諸戸さんからいってもいいですか?
諸戸友氏(以下、諸戸):ありがとうございます。ベンチャー企業に所属している人というよりは、うちに所属している人というところでちょっとお話をさせていただくと、まず変化に対応できる人。逆に、変化を恐れる人は向いていないと思っています。といいますのも、うちは16年間の間に、メイン事業を7回ぐらい変えているのですよ。
沼野井:そんなに変えているのですか?
諸戸:そうなんですよ。ブログをやっていたり、広告をやっていたり。少し前はソーシャルゲーム、今は「SHOPLIST」というファッション通販じゃないですか。だから、16年間でメイン事業というでかい枠で7回も変えちゃう会社なので、日々の小さい業務の変化も、強烈にあるわけですよ。
沼野井:なるほど。
諸戸:今でもたまに言いますが、「朝令暮改は当たり前だと思え」と。
一同:(笑)。
沼野井:名言ですね。
諸戸:そうそう。もちろんあえて極端な表現を言っていますが、そんなの変わるに決まっているだろうと。なぜならば、時代やユーザーのニーズの変化、もっというとインフラの変化だって、もう日々刻々と動いているわけですよね。それに合わせて変化させていかないと、置いていかれる一方なので。
当然デカい枠での変化も多いし、ちっちゃい日々の業務の中での変化はもう当たり前のようにある会社だと思ってほしいなと思っていて。それが「いやいや、昨日言っていたことと違うじゃないですか!」とか「先月の戦略と違うじゃないですか!」(と言われても)、「そうだよ、違うよ」と僕は言いますね。なぜなら時代とユーザーのニーズも変化してるからね、と。
沼野井:なるほど。
諸戸:それについていけないとか、楽しめない人は、ちょっとうちは向いていないかもしれない。それがいいのか悪いのかはわかんないですけど、変化が多くても、当然振り回されているだけでもダメだと思うし。その中でちゃんと自分の軸も持ちながらやっていってほしいですね。難しいですけどね。
少なくともうちのスタイルはそうやって変化させていく会社なので、そこを楽しめない人にはたぶん向いていないのではないかと思います。
今後の人事制度に関しても、一応いくつか制度はありますが、それも刻々と変わっていくので、もう随時見直している。その時代に合った、それこそ今でもダイバーシティみたいなものでちょっと変化をさせようかなと思っているのですが、5年前にダイバーシティなんて誰も言っていなかったので。
沼野井:確かに。
諸戸:ということを考えると、事業も人事制度も当然いろいろと戦略立てて考えていますが、それも日々変わっていくものだというふうに思ってもらえたらいいのかなと思います。
沼野井:今の諸戸さんのトークの中で僕も「おっ」と思ったところは、トップ、要は経営陣が、変わったことに対してちゃんと言い切っているところが僕はすごいなと思っていて。けっこうごまかしちゃう責任者が多いですよね、自分が言ったことと違うことについて。「いやいや、そんなこと言ってないから」みたいな。そこを言い切る体制はすごくいいなと思うので、そこがひとつの強さなのかなと感じました。ありがとうございます。
沼野井:ここでエイベックスさん、創業から何年ぐらいになります?
加藤信介氏(以下、加藤):もう29年になりますね。
沼野井:29年。Web系の企業と比べれば、創業年数がかなり長い。ということは、それだけ変化もすごくたくさんあるのではないかと思うのですが、実際にはどうなのですか?
加藤:そうですね、いろんな事業をやっていますが、基本的にはコンテンツが中心にある会社なので、やっぱりさっき「変化」というワードが出ましたが、新しいものをキャッチアップして、それをかたちに変えていくということがすごく求められている会社だと思います。
結局29年も経つと、やっぱり先ほどお話したとおり、若干決裁が重たくなったりなどもありましたので、僕らとしては、ユーザーに近い感覚を持っている人間というものが事業だったり、コンテンツをすぐにかたちにできるように、どのような制度設計にしていけばいいかということを今すごく考えています。
それを進める中で、「ジュニアボード」という制度を発足させました。これは若手の代表を各グループ会社から集めて、プロジェクトメンバーを組んで、彼らがやりたいことを、社長直下のプロジェクトとしてかたちにさせるというものです。
会社全体として、そういう風土を意図的に起こそうとしています。
沼野井:社長直下で集める、と(おっしゃいましたが、そういうことが)大手となるとなかなか腰が重くてできない企業様というのもあると思いますが、その中でやっていっているということですよね?
加藤:はい。でもやっぱりいろいろ新しいイノベーション起こしていくための風土づくりは、基本的にはトップの意思で行っていくということがめちゃくちゃ重要だと思うのですよね。ボトムアップだけではなく。そこをかなり、今意識しています。
沼野井:なるほど、すごく大切なことだと思います。
沼野井:同じく創業という点では、この中でも長いソフトバンクさんですが、やっぱり当時と比べると、ソフトバンクの中の人たちは、けっこう変わってきているのですか?
小山亮氏(以下、小山):僕は中途で入っているので、正直いって創業当初のことを知らないのですよ。ですが、中の人はやっぱり「変わっている」とは言います。「変わってきてる」と。「昔のほうがもっとやんちゃな人が多かった」といったことは聞きますが。
沼野井:小山さんもやんちゃですよね?
小山:いえいえ、僕はだいぶおとなしい方です。
諸戸:だいぶやんちゃだと思いますけど。
(笑)。
沼野井:だいぶやんちゃですね。
小山:そうですね、ありがとうございます(笑)。ぜんぜん褒められていませんが。
一同:(笑)。
小山:えーっと、話を戻しますと(笑)。変化に対応するという意味では、すごく共通する部分があります。ただし、事業の規模であったり、ビジネスモデルが違う事業に対してどんどんどんどんチャレンジしていく会社なので、役割ごとに求められるチャレンジはやっぱり違うのですよね。
例えば通信事業という話でいくと、ネットワークの保守運用などが絶対に重要なわけですよ。通信が切れないようにしなければいけないので。
沼野井:確かに。
小山:これはすごく保守的なチャレンジに見えるのですが、外部環境が大きく変わっていて、ネットワークの負荷というか、トラフィックの量のようなものが死ぬほど高まっているわけですよ。みんなが電車の中で携帯でYouTubeを見続けていたりしていますので。
沼野井:ははは(笑)。
小山:いや、本当ですよ。世界中どこに行っても日本ぐらいしかそんな通信状況を築けているところはないので。
一方で、大きく新しいM&Aをやったり。新規事業をやっている人だけがかっこよくチャレンジしているように見えがちですが、それぞれがそれぞれの立場・役割の中で変化していく、チャレンジすることの繰り返しです。それが重要なのではないかなという気はしますね。
沼野井:なるほど、すごくいいことを言いましたよね。目に見えるチャレンジと、わかりにくいところ。やっぱり社会に与える影響という点ではすごく大きいところもあると思うので、そこに対するチャレンジというのはすごくすばらしいことだなと思いますし、学生のみなさんもやっぱり表面的な……。
今日はうちのオフィスに来てもらっていて、今見えるオフィスが表面的です。表面的なところで「いい!」と言ってくれるのですが、会社の中身を見てください、中身を。すごく大切だと思います。ありがとうございます。
沼野井:最後にトリでサイバーさんからいただきたいのですが、僕自身、サイバーエージェントはすごく制度や人も魅力的だなと感じていて、他社から見ても魅力的だな思われていると思います。
小澤政生氏(以下、小澤):ありがとうございます。
沼野井:そこをちょっと、もう本当にお話聞きたいなと思うのですが。
小澤:そうですね。ベンチャーであり続けるためにというわけではありませんが、弊社で言うと「CA8(シー・エー・エイト)」という制度があります。
普通役員になると、いい意味でも悪い意味でもそのままずっと居続けるようなところがあると思いますが、CAの場合は、8人の役員のうち、2年に1回、原則2名を交代するという制度を取っています。
今は「AbemaTV」のような動画事業に注力しており、「インターネットにマスメディアをつくる」という目標を掲げてサービス立ち上げを行っているのですが、2年に1回取締役を交代するのでどんどん一部上場企業の経営の経験者が増えていくのです。そうすると、大きな事業をどれだけやったとしても、経営視点で決裁できる人がどんどん横に増えていくので、ボールがトップダウンのところで溜まりません。
私も8年前に入社したのですが、8年前よりもスピードが上がっているなという印象があります。
沼野井:やはりそう感じます?
小澤:はい。もうめちゃくちゃ早くて、「会社作るぞ」となって、決めて2週間で気がつくともう小学生向けのプログラミング教育事業が始まっていて突然オフィスフロアで小学生を見かけるようになったり。「今日、参観日?」「なんか教育事業始まったらしいよ」といったところはありますね。
沼野井:そういった「情報」というのは、DMMでもあるのですが、僕は役員会も出ています。マネジメントメンバーの1人だとは思いますが、Facebookを通して情報が発信されてくるのですよ。「こんなサービスが出ました」みたいな(笑)。要は、役員会を通らないような事業案件がかなりあったりして。社員のほうの情報共有はどうなっているのですか?
小澤:基本的には自由に、誰か絶対にやりたいという人がいれば、「もうそんなに言うならやってよ」というのが藤田のスタンスなので、事業部内で新しいサービスが出てくるのはしょっちゅうですね。
あと、5年前ぐらいは、まだスマホの売上がほぼゼロだったのですが、スマホへの先行投資をするという経営判断のもと、全社員が集まる社員総会で、「来年スマホで1000億円の売上をつくるので、よろしく」といったことを藤田から発表され、そこで、翌日から社員がザワザワしながら「どうやってスマホで1000億円作ろうか」みたいなのをそれぞれ各所でやり始めたという感じですね。
沼野井:しびれますよね、今のね。そんなフワッとしたのが飛んでくるのですね。
小澤:だいたいフワッとしています。
沼野井:なるほど。そこはうちも一緒かもしれない。
小澤:ははは(笑)。
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