2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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岸上光克氏:みなさん、こんにちは。第1部のモデレーターを務めさせていただきます、和歌山大学の岸上と申します。よろしくお願いします。
本当にいいお天気になったところで、私がこのままぐだぐだしゃべりたいところもあるんですけれど、せっかく今日は四方に来ていただいておりますので。この四方のお話をメインに進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ということで、私はこの最初のあいさつと最後しかしゃべりませんので、あとはたっぷりと4人のみなさんのお話を聞いていただければと思います。よろしくお願いします。
では、事務局からみなさんの、4名の方の素性をネット等々できちんと調べてくるようにという指示が出ていると聞いておりますが、やはりそれぞれの口から自己紹介をしていただきたいと思います。
時間がありますので、4名の方。手短に自己紹介と、あとは今日なぜここに来たのかという辺りも含めて自己紹介をしていただければと思います、よろしくお願いします。どうしましょう、伊藤さんからいきましょうか。はい、じゃあ連続でいってください。
伊藤彰浩氏(以下、伊藤):はじめまして。伊藤農園の伊藤と申します。
私は和歌山の有田市、400年以上の歴史を持つみかんの名産地の有田市から来させていただきました。そんな有田市でうちの会社の伊藤農園は、120年の歴史を持つみかんを扱う会社なんですけれども。
うちの会社は、今の社長で3代目になります。1代目と2代目はみかんを栽培する仕事、それとみかんの仲卸をする仕事、この2つをしていた会社です。柑橘だけを扱っていた会社でして、今の農協組織がまったくなかった頃からその代わりを担うような、そういう仕事をしていた会社になります。
2代目、3代目と移り変わる中で、少子高齢化の影響でみかんの生産量も激減し、生のみかんを食べようという人がどんどん減ってきて。あと、高齢化の影響でみかん畑を手放されるような農家さんがどんどん増えてくる時期が、だいたい30年ぐらい前からすごく顕著になってきていました。
その頃に今の社長、3代目の伊藤修が生の柑橘から脱却して。本来、農家さんは生のみかんを生のまま食べていただきたいんですけれども、みかんってしっかり育てても、2割から多いときは4割ぐらい、規格外品というのがどうしても出てしまうんですね。傷がついていたりとか、ちょっと大き過ぎたりとか小さ過ぎたりとか。
中身は本当においしい有田みかんなのに、市場で高値でちゃんと取り引きされない。そういうみかんをしっかりとみかんの味そのままで、形をしっかりつけて売っていくことができれば、農家さんの収入の下支えになるんじゃないか。そういう思いから、加工品を作り始めた会社になります。
農協はそういう規格外品も全量買い取りというかたちがありますから、買い取ってはくれるんですけども、実際のところキロ当たり、30年ぐらい前だと2円から5円ぐらいなんですね。
その値段って、農家さんにとってはしっかり1年間丹精込めて作ったのに、行き帰りのガソリン代で赤が出てしまう。農協というのは、それぐらいの価格でしか引き取れないんです。
それをうちは10円から、今では40円ぐらいまでの価格で引き取らせていただくことで、有田の地場産業、農業、みかん農業を支えていこうというかたちで始まった会社です。
今ではジュースであったりとか、マーマレード、シャーベット、ゼリーとか。いろんな柑橘に関する製品を作って、生の柑橘からどんどん会社の意味合いが変わっていって、8割ぐらい加工品が売り上げを占めるというような会社に変わっていった、そういう会社です。
今回ここに来させていただいたのは、お誘いいただいたというのもあるんですけれども、地方創生会議ということで、うちの会社がしていることだけではなくて、もっとみなさんの事例であったり、そういったものを勉強させていただければと思って来させていただきました。今日はよろしくお願いします。
(会場拍手)
山本典正氏:みなさん、こんにちは。和歌山県の海南というところで酒造りをしております、平和酒造の山本と申します。
今日、こういう……後ろには弘法大師、空海さまがいらっしゃって。さらにみなさんみたいな輝く人たちを目の前にして、板挟みでちょっと緊張しています。こういう機会に来ていただいて、ちょっと私の自己紹介をさせていただこうと思うんですけども。
私は実家の酒蔵に戻る前は、京都大学の経済学部を出たあと、東京のベンチャー企業で2年働いておりました。人材系のベンチャー企業から実家の酒蔵というところに戻って、ある意味で真逆の業界に戻った者なんですね。
東京から和歌山、それからベンチャーから伝統産業。真逆の業界に戻った、そういう者になるのかなと思っています。そういう意味では今日の会議というのは、そういうお話もさせていただけたらいいのかなと思っています。
戻ったときの酒蔵の状況というのは、完全なパックの日本酒や梅酒を、パックで99.9パーセント売ってたようなそんな酒蔵だったんですね。この間久米さんのラジオでそんな話をしたら、父が大激怒しまして。
「99.9パーセントなんてあるか! おまえなんてことを久米さんの前で言うんや!」って。久米さんって偉い人なんで、「久米さんの前で言うんや!」って言うわけですね。「何でや?」「うちは93.2パーセントやったんや」「いや、それはまあそういうことや」みたいな(笑)、そんな話をしたんですけど。
でも、そういうパックのお酒を作ってたところから、いいお酒をつくる路線の方に少しずつ切り替えていったんですね。私が実家に戻ることでまずすぐに取り組んだのが、いい梅酒、いい柚子酒、そういうものを全国に発売していったこと。
それは和歌山という土地があって、地場で強みがある。そんなものだから出していったんです。おかげさまで大ヒットすることができたんですけど、実家の酒蔵がずっと培ってきた日本酒を、いかに再興していくかっていうところが、私の中で課題として残ったんですね。
実際、リキュールということでいうと大変なんですけど、そこまで酒造りの部分ですごく伝統技術が必要とされているものではないです。でも日本酒ということになると、そういう職人さんでやったりとか現場でいかに開発していくか、そういうことが大切だったんです。
そこにいくまでに、蔵人の組織改革。伝統を、産業をいかに現代風にしていくかというところを改革していきました。私は2冊の本を出させていただいたり、講演も月3回ぐらいさせていただいてるんですね。そういう組織改革の話も、お話しさせていただいてます。
ちなみに、日本酒という産業ってあえて言いますけれども、日本酒という産業は40年間ずっと右肩下がりの産業なんですね。1972年にピークを迎えて、今何割になっている業種だと思います?
ちょっとクイズで出させていただきたいと思うんですけども。ピークから3割、5割、7割下がったと思う方、ちょっと手を挙げていただけたら。40年で3割下がったと思う方、手を挙げていただけますか?
(会場挙手)
はい、ありがとうございます。
(続いて5割、7割の順で挙手)
ありがとうございます。正解は7割下がった業種なんですね。ピークの3割になった業種の、40年。私はたまに大学とかで講演させていただくんですけど、目の前にいる大学生に向かって言うんですね。
「これからみなさん、たぶん就職活動をしていくでしょう。そうしたときに、40年っていうとちょうど就職してから退職するまでが40年くらいじゃないか。その間に7割吹き飛んで3割になった業種、みなさんはイメージできますか?」そんな話をするんです。
でも私はそんな7割吹っ飛んだ業種でも、私自身すごく夢のある業種だと思ってるんですね。講演の場ではそんなお話をさせていただいています。
今日はこういう会議のほうに参加させていただいて、今まで真逆の、どちらかというとネガティブと言われたものがポジティブに変わっていく、価値観が変わっていくという、そういうお話をさせていただけたらと思っていますので、みなさまどうぞよろしくお願いします。
(会場拍手)
宇城哲志氏:みなさん、こんにちは。僕はここから1時間かからない、少し海のほうにいった紀美野町というところで農家をしながら、キミノーカという来店型のジェラートの専門店を(農家と)両方営んでます。
場所的にも、もともと高野山とはものすごく縁が深い土地柄で。実は紀美野町の中でも自分がいるところっていうのは、紀州藩ではなく高野山領っていう、歴史的にもすごくつながりの深いところで、営みをやらしていただいております。
簡単に自分自身の経歴等も含めて紹介させていただきますと、1974年生まれなので43歳なんですけど、もともとは紀美野町で生まれまして。そのあと大学進学から県外に出まして、一般企業に10年ほど勤めてました。
大学を出るときは紀美野町という、「和歌山なんか絶対可能性もないし、二度と戻るもんか!」と思って出ていったっていうのが実際のところでございます。
出ていったんですけども、仕事とかいろいろしてると、そうでもないなと思い始めて。Uターンでまず農家として、紀美野町というか和歌山に帰ってまいりました。
そのあと農業を5年ぐらいしまして、今やってるキミノーカっていうジェラートの専門店のほうを、今はやりの6次産業というかたちでスタートさせております。
振り返って考えると、Uターンして就農して6次産業でいろいろ取り組んでると、最近のはやりのど真ん中にはまっちゃったなみたいな感じではあるんですけど、自分的にはなんとなく自然に、その選択をしちゃったかなっていうところは感じております。
店の内容としては、基本的には材料を自分のところで栽培をしておりまして。野菜や果物など、けっこう何種類も作ってるのもあります。ちょうど和歌山っていう土地柄が、温暖さと冷たさと両方兼ねそろえてたりっていうことで、幅広い作物が同時に作れる、けっこう珍しい土地柄でありまして。
あとはここの周辺は、ここに来るときに通ってきたように山あいの土地なので、自分の畑も標高差が300メートルぐらいあって。冷たいところと暖かいところっていう園地とか、自分の持ってる園地だけでもそういうのもあったりとか。もともと多様性のあるような作物を栽培してたっていうのもあって、そういうバックボーンがありました。
まず、最初は農業で食っていこうと思ってやり始めたんですけど、やっぱり農業だけだと、栽培面だけで見ると山あいの土地っていうのはかなり栽培効率が悪くて。なにかにつけて生産して売るっていうことになると、ロスが出やすいっていうんで。
それだけでやっていくとなると、なかなかバランスがよくないなというのを、5年ぐらいずっと畑をしながら考えておりました。幸い農業って相手がしゃべらないんで、植物なんで考える時間がいっぱいあって。
作業をしながら、どうやったほうがいいのかなとか、自分の時間を持てるっていうのがけっこうありまして。それでずっと考えながら、あとはがむしゃらにやってたんで、栽培品目も多かったのもあるんですけど。
やってるときに感じていたのが、お客さんのほうでちょっと変わった野菜とか昔作ってたような野菜とか果物になると、「もう食べ方がわからない」と、そういう声を聞くことがけっこうありました。
そうすると作ってる方としては、この野菜はけっこう特徴があって苦味があっておもしろいなと思うけれど、食べ方がわからないとお客さんってなかなか買ってくれないというのがありまして。
せっかくこんなにいろいろ野菜があるのにもったいないなと、効率の悪さと同時に感じてたっていうのが現実でありまして。そういうときに、ジェラートっていうアイスクリームなんですけど、製造の紹介をしてもらうことがありまして。
それを見たときに、これは食べ方の提案もできるし、自分が作ってるものもうまく利用できるし、なおかつお客さんに山あいに来てもらうと環境がすごくいいのでいいんじゃないかなっていうことで、すごい山の中なんですけどやっちゃおうということで、ジェラートの専門店をスタートしたっていうのが経緯でございます。
やってて今思うのは、まずコンセプトが自分が作ってるものを使う、もしくは周辺で作ってるものっていうことで、すごく和歌山というか紀北のエリアに限定した食材を使ってるいうこと。
山の中という、ちょっと普通ではないような立地でやってるっていうことで、けっこう話も盛っていただきまして。多くのお客さまが、関西一円からいらっしゃってるっていう状態であります。
やっぱり、今その中でやってて一番思うのは、いろいろあるところでやるよりかは、こうやってものがないところでやったほうが、お客さんからするとこちらが伝えたいことがよくわかるんじゃないかなというのは、すごく感じてまして。
今日、今回来させていただいたのもそうなんですけど、今後も地方というか田舎っていうのはないもののほうが多いとは思うので、逆に残ってるものとかもいっぱいあるんじゃないかなっていう気もしてまして。
そういう可能性の部分を、今後もどんどん伸ばしていって営みというかたちに変えていけたらなというのもありまして、今回来させていただいたような経緯になっております。よろしくお願いします。
(会場拍手)
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