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若手ホープ経営者らが語る『一年前の自分に次ぐ。これだけはやっておけ!』(全5記事)

創業者だけでは「社内の閉塞感」に勝てない ベンチャーが最初の資金調達時にすべきことは?

2017年6月7日に行われた「IVS 2017 Spring」でセッション「I若手ホープ経営者らが語る『一年前の自分に次ぐ。これだけはやっておけ!』」が行われ、若手ベンチャー経営者4名が登壇しました。「あの時、こうしていれば」という経験や失敗談を元に、次なる起業家たちへ成長のヒントを贈りました。モデレーターはSkyland Ventures木下慶彦氏。本パートでは、ヤプリ・庵原保文氏によるトークがスタート。「創業メンバーだけでは閉塞感に勝てない」と語る庵原氏が最初の資金調達時にやればよかったと思うことは?

アプリの裾野が広がり、一般化しつつあるからこそ

木下慶彦氏(以下、木下):オープンな組織を作っているSmartHRの続きは、IVS初参戦のヤプリの庵原さんにお願いしたいと思います。

庵原保文氏(以下、庵原):はい。アプリをすごく簡単に作れる「Yappli(ヤプリ)」というサービスをやっている、代表の庵原です。よろしくお願いします。

会社概要はこんな感じで、4年前に創業して、累計3.6億円ですね。株主は今日4人中3人が来ています。

今年でiPhoneが10年ですけど、「この10年でアプリが世の中を変えましたよね」っていうのがあります。次の10年はアプリの裾野がさらに広がって、一般のビジネスのプラットフォームになってきています。

これまでゲームとかSNSとかコンシューマービジネスが牽引してきた市場ですが、さらに裾野が広がり企業がいろんな用途でアプリを持ち始める時代が次の10年だと思っています。そこにベットしている会社です。

一般企業にはアプリエンジニアがいないので、僕らのYappliを使うと、ものすごく素早くアプリが作れちゃう。

僕らはミッションとして、アプリのテクノロジーを、あらゆる人々が使えるようにするプラットフォームにしたいと思っています。アプリの運営プラットフォームということでやっています。

サービスの特徴は3つあって、プログラミングが不要で、すごく早くアプリが作れるのが1つですね。速攻で作れるのが1つ目。クラウドサービスなので、自動で機能がどんどん新しく追加されます。なので、エンジニアがいなくても新しい機能がどんどんできちゃうよ、っていうのが2つ目。

3つ目。管理画面があるのは当たり前ですけど、使いやすい直感的UIの管理画面がありまして。企業にいる普通の人が、PDCAでゴリゴリABテストとか回せるっていうのが、テクノロジーの特徴で、好評をいただいております。

ドヤ顔度を地道に重ねていった結果、大手クライアントとの契約へ

現状は導入社数220社で、大手企業に刺さるようになってきています。退会率は1パーセント未満で非常に低いです。累計のダウンロード数は1,000万以上あって、ゲームとかだったら大したことない数字だと思うんですけど、一般企業のビジネス用途でのアプリが1,000万以上になって、どんどん伸びている状況です。

ありがたいことに、ザ・ノース・フェイスやニューバランス、そのほか銀行さんとか、本当にすばらしいトップブランドに利用されています。

木下:このクライアントって、どうやってとったんですか?

庵原:これはですね、1社たまたま、とあるファッションブランドさんから受注できたんです。そうすると、2社目からだんだんでかい顔ができるようになってくるんですよね。最初のとっかかりで、どこか1社を意地でも人から……僕は先輩からとってきた感じですね。

具体的に言うと、1社目はニコアンドというファッションブランドに採用されています。その次も同じようにブランド側の中の人から入っていきました。3つくらい採用されると、もう「ファッションアプリのヤプリです」みたいなことを、ドヤ顔で言えるようになってくる。ドヤ顔度をどんどん地道に重ねていって、今や新生銀行さんにも使っていただけるまでになっています。

各社の自社アプリを、それぞれのビジネスの用途で作って、その裏側をYappliが動かしています。

売り上げの推移なんですけど、4年間で最初の2年は苦しんでました。ただここ1〜2年でシリーズAが終わってから、がーっと右肩上がりに伸び始めて、「どこまでいくんだこれ」っていうくらい伸びています(笑)。

MRRのグロースレートって絶対額が大きくなると落ちてきますが、なんと伸びています。6.5%、9.4%、そして今年はなんと11.5%と、マンスリーのグロースレートが伸びてます。シリーズBをやろうと思っていますので、一生懸命アピールしておきたいと思います(笑)。

社名を変える

お題の3つですけど、ローンチパッドはすごくおもしろくて。見させていただいて、今回の場で訴えかけるメインのオーディエンスはローンチパッドに出た人たちかなと思っていました。すばらしいサービスなんですけど、現実としては5割はいなくなっちゃう世界じゃないですか。下手したら、成功するのは2割くらいな話だと思うので。

幸い、ここにいるのはなんとかマネタイズに成功したという4人なので、生き残った組だと思うので。生き残るための3つをお話いたします。

1つ目。僕は先々月に社名を変えたんですけど、これをもっと早くにやっておけばよかったと思っています。「社名を変える」です。

ローンチパッドの人も、けっこう社名とサービス名が別々でした。

なにが起こるのか。(スライドを指して)これは社名を変えようと思った決定的瞬間なんですけど。一番上にある「ファストメディア」が前の社名なんですが、これでイベントにガンガン出ていたんですね。でも、イベントの仕様上「社名のロゴしかダメ」って言われたんですよね。

「ファストメディアではなにもわからない、プロダクトの宣伝がなにもできてないじゃない」っていう話になって。苦肉の策で急遽その日に「Yappli」っていう看板を紙で作って貼るみたいな。ぐちゃぐちゃな。

「ファストメディア Yappli」みたいになってですね。この写真が送られてきた瞬間、「もう変えよう」と思ったんです。

木下:これ、最近のやつですか?

庵原:最近のやつですね。株主から1年くらい社名を変えるようプレッシャーを受けてたんですけどね。でも、ヤプリだと社名に「プ」が付くから恥ずかしいみたいなのが、ちょっとあって。

(会場笑)

木下:起業家って、社名を変えれないですよね。

庵原:そうですね。最初のこだわりなんですよ。意外と抵抗しちゃう。

木下:投資先のSCOUTERも、変えた方が良いと半年くらい言ってたことを思い出します。

庵原:変えたら、なにもかも気持ち良くなって。電話も楽だし、営業も楽だし、こんなバカなことも起こらないしっていうことで、これはやったほうがいい。っていうのが1つ目ですね。とくに今回のローンチパッドの人たちに伝えたい。

創業者だけでは閉塞感に勝てない

2つ目は、「根拠もなく大物ぶる」が、一番いいって思っています。

これはどういうことかというと、僕らは今イベントをやりまくっていて、ネット企業なのにオフラインマーケティングをしてるんですよ。イベントをグロースハックしまくってるんですよね。

最初はよくわからなくて、(スライドの)下の青いほうが1年前、イベントをやり始めた時です。最初にイベントで展示会を出した時。ちょっとダサいじゃないですか。中途半端なんですよね。

今や、4月にやったイベントは上みたいな覚醒した感じです。超大物っぽい感じで「まるでオラクルか!」みたいな物を常にドーンと出す。だいたい1,000万円くらいかけます。

木下:外資系っぽいですよね、これ。

庵原:そうですそうです。これくらいやり切ると、いいお客さんが来るんですよね。これができるのって、資金調達してるスタートアップしかできないじゃないですか。

実際の会社に行ったら超小物で人数も少ないのに、展示会場に行ったらこんなになってる。まさに資金調達できるスタートアップの攻め方だと思うので、とにかく初っ端から大物ぶるっていうのは、みなさんやったほうがいいと思ってますね。

3つ目は、僕らは創業4年中2年は苦しんでて、創業者3人だけでずっとやってたんですね。プロダクトマーケットフィットを得られなくて、3人でずっとやってました。創業者だけでは本当にダメですね。

閉塞感に勝てないので、最初の資金調達で誰かしら中和になる優しいキャラとか、創業者だけではないメンバーを入れておけばよかったと思ってます。実際に3人だった頃、2年くらい前にTHE BRIDGEの平野(武士)さんに取材をいただいた時、みんな目が死んでるんですよね。顔が真っ白。

(会場笑)

記事に載るのがうれしいのに誰も笑ってない。目が死んだ魚みたいになってるのが、マンションの一室に3人ですね。

木下:この時どうしてたときですか?

庵原:これは、シリーズAのちょっと前ですね。その取材の時に受けてもらって、こんな死ぬ直前みたいな3人になってて、今は45人。

「楽しい仲間に囲まれて最高」みたいな感じで、ニコニコの僕ですね。本当に楽しくなる。創業者同士だと一対一の関係になりすぎちゃって、「お前、プロダクト開発してんのか」「お前、ちゃんと売ってんのか」みたいに直接的になりすぎちゃって「もう話したくないわ」ってなっちゃってましたね。

ほとんどスタートアップが潰れるのって、創業者同士の確執から生まれるじゃないですか。その中和剤で誰かを入れて、直接的にコミュニケーションをとりすぎない。今の方が創業者同士の関係性も良くなってますね。

以上3つ、庵原でございました。

木下:ありがとうございました。拍手をお願いします。

(会場拍手)

サイト上での心境の変化に合わせて解析を行う

木下:続いて、KARTEの倉橋さんにいきたいんですけど、倉橋さんは一番創業ストーリー的にはトントン拍子で進み成功してて、天才……プリンス倉橋と呼びたいなと思って、今日登壇してるんですけど。倉橋さん、よろしくお願いします。

倉橋健太氏(以下、倉橋):よろしくお願いします。ちょっとやばいっすね、入りが(笑)。登壇してる4社の中で、唯一社名とサービス名が違う、プレイドという会社でございます。しかも「プ」が入ってるんで。

(一同笑)

庵原:恥ずかしいですね(笑)。

倉橋:ハナから入ってるので、ちょっと恥ずかしいですね。

平田祐介氏(以下、平田):次、「リ」「プ」ロ」なんですけどね(笑)。

(会場笑)

庵原:「ペロリ」はめちゃくちゃ恥ずかしい、って中の人から聞いたことありますが。電話口で「株式会社ペロリです」って(笑)。

倉橋:僕らは2014年の冬に、ローンチパッドに出していただいて、そこから「KARTE」というプロダクトをやっています。リアルタイムの、人軸のカスタマーアナリティクス×アクションみたいなところで、Web接客という言葉で事業をやっている会社ですね。

当時は、こういう問いかけをしたんですね。「あなたのサービスに今誰が来ていて、どうしているか知っていますか?」。要は、人を見ずにデジタルでビジネスをしていたのが、これまでかなと思っていて。それを大きくパラダイムシフトさせたいねっていうのが、我々のやっていることです。

見えているだけだと意味がないので、「その方たちに適切な働きかけをしよう」っていうのが、プロダクトで実現していきたいことになっています。

実際にこんな感じの画面が、タグを貼るだけでみなさまの管理画面として提供できるわけですが、人がサービスに来た時に、新規も既存も関係なく一人ひとりトラックしていると、サイト上を見にいって欲しい物がどんどん変わっていく経験があると思います。

例えば洋服屋さんに行った時に、本来欲しかった物と違う物を買っちゃって、3,000円オーバーした。みたいな話はあると思うんですけど。そういう心境変化みたいなものも、リアルタイムの解析を用いれば、サイト上にいる間の心境変化も使いながら営業できるよね。っていうのが、思いとしてあるということです。

人軸にこだわり続けた開発

倉橋:「人軸」というところにずっとこだわって開発してきていて、お客様からもらった言葉の中で一番うれしかったのが、「ペルソナじゃないね」「人が見えてるから、お客様のことを考えながら、すべての営業プロセスが変わってきている」と、お言葉としていただいています。

イメージしにくいプロダクトなので、どういうことができるかを5〜6個くらい持ってきたので、見てほしいんですけど。

Web接客って「チャットなのか」とか「ポップアップなのか」って言われるんですが、こういう動的なコンテンツも簡単に生成して、提供できます。

これも動的なものですね。お客様の情報で知らないことがあるなら、聞いちゃえと。聞いた瞬間、サイトがパーソナライズかけていくことができる、みたいな使い方です。

他にも、単純に埋め込んで、チャットを常に出しておくんじゃなくて、必要な時だけ出そうねみたいな話とか。これはもはや接客かって言われるとわからないんですけど、ナビゲーションをKARTEで作った例になります。

今、マウスで示しているところが、KARTEで出してるんですね。スクロールしても固定で出てきたりとか。一定以上スクロールした時に、次のコンテンツのナビゲーションが出てくるところも、すべてKARTEで実装している。なので、サイトの開発が一切いらなくなってきたり。

他にも、マウスが画面の外にふわーっと出て行った時に、ポップアップでお知らせを出すとか、僕ら自身もけっこう使ってるんですが、NPSみたいなものもお客様にアンケートで取らせていただいています。ここでイマイチな数字をつけていただいた時は、速攻で電話するオペレーションも簡単に組めるということです。

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