2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:本当に初歩的なところかもしれませんが、スタートアップ起業をしようとする前の段階において、クラウドファンディングを使うメリットと「こういうときは使っちゃいけないよね」とか、そういうのがもしあれば教えてください。
とくにデメリットのところですかね。メリットはいろいろうかがえましたが、デメリットの部分、「とくにこういうときは使っちゃダメだよね」というのはありますか?
中山亮太郎氏(以下、中山):あります。
デメリットではないんですけど、VCから調達できる領域は、VCから調達したほうが絶対いいと思います。これは僕が元VCだったからというポジショントークでもないですし、そのほうがいいと思いますね。
ただ、VCができないところでいうと、先ほどプレゼンで申し上げたとおり、コンテンツが受け入れられるかどうかみたいな、コンシューマ的意見のお金は入って来づらいところではあるので、そのへんのお金の色の違いはあるかもしれない。
なので、BtoB系、B向けのビジネスみたいなものはやっぱり難しいです。あんまりアニメビジネスでB向けとか、わかりませんが、「アニメ制作をしやすくなる機材を作って、アニメ会社に売る」みたいなものがあってもそれはすごく難しいでしょうし。それからBが販路になるようなものは、気合の営業でなんとかなるので、そこはけっこう難しい領域かなと思います。
逆にアニメ関連であれば、Webでもアプリでも、コンシューマ向け。コンシューマからお金を出してもらうみたいなものであればいいかなと。
単純な「メディアを作ります」で、ファンからお金を集めてくるとかだと、相当……「本当によくやった。お前、本当に今年のスーパーヒーローだよ」ぐらい思わせた寄付金みたいなものじゃないかぎり、難しかったりして。
情報メディアだと、最終的にお金を出すのって広告主だったりすることが多いじゃないですか。
なので、コンシューマが最終的にお金を出す文脈がなんとなく文化づいているもの。ちょっと難しいかたちなんですけど、最終的にお金の出し手はターゲットのコンシューマみたいなものはクラウドファンディングを使ったほうがいいですし、そこにおけるデメリットはそんなにないと思います。向いてるか向いていないかの話で言うと、コンシューマがお金を出すものは向いていて、そうじゃないものはけっこう厳しいと考えていただくと整理がつくと思います。
司会者:安彦さん、ありますか?
安彦剛志氏(以下、安彦):私も今、アニメで新規事業をやっています。
実際にその事業をやっていくにあたり、お金を調達するときに、「お前あれだけクラウドファンディングやってきたんだから集めりゃいいじゃねえか」と。ある意味そういう解があるわけですよね。
なぜやらなかったか。集める自信はあります。たぶんお金は集められるんですけども、最大のデメリットだと思うのは、お客に対する説明責任が発生するんですよ。クラウドファンディングって、一人ひとりと向き合わなくちゃいけないんですね。これはメリットでもあり、デメリットでもあるんです。
実際に僕がやっていた「あなたの力でBD化プロジェクト」の場合は1日平均6時間ぐらいやってました。それを3ヶ月とかですよ。なので、工数で考えるとけっこうすごいんです。
あれを1人でやってたんですね。全部のプロジェクトを全部1人でやってたので、企画から、ホームページの運営から、アイデア出しまで。まあ1人で6時間なので、3人でやっていれば1人2時間で済んだのかもしれないですけど、最低でもそのぐらい拘束されました。
いわゆるベンチャーキャピタルじゃなくて、スタートアップでスタートするときって、1秒でも時間がほしいんですよ。なぜならば、その人の脳みそしかないのがスタートアップなんです。誰でもできる仕事はスタートアップじゃないんです。歯車でやりゃいいのは歯車がやりゃいいんですけど、スタートアップは一番中心になる人物の時間がすべてなので、その人の時間を毎日6時間も奪われたら、たぶんスタートアップしません。
そう思うので、スタートアップでやるときは、僕はスタートアップを全力でやるところに注力して。甘くお金が入ると思ったらけっこう大間違いで、説明責任が発生するってところが僕はけっこうデメリットかなというのが。
これは悪い言い方をすると説明責任ですけど、良い言い方をすればファンですので、ローンチしたあとはすごく味方になってくれます。だけど、するまでの間の説明責任を放棄できないことをちゃんと頭に置いておかないと、けっこう痛い目に遭うかもしれないので、気をつけたほうがいいかなと思います。
司会者:ありがとうございます。というところで、今日の今の話に紐付いてでもいいですし、その前の講義のなかで質問したいことがある方はぜひ。
質問者1:私はMakuakeさんに投資する側でもやっていて、もう50万円ぐらい出してるんですけど。
中山:マジっすか!?(笑)。
質問者1:『迷家-マヨイガ-』に、40万円ほど。
(会場笑)
中山:1発で?
質問者1:それは置いておきまして、やるにあたって、やはりユーザー数とか、ユーザーの方が平均どれぐらい出しているのか。あとアニメ関係に興味がある、巡回しているような人が何人ぐらいいるのかみたいなデータをお持ちでしたら知りたいなと。
観察していると、昔は300万集めるのも大変だったと思うんですけど、今は1,000万ぐらいすぐ集まっちゃってるイメージがあって。やっぱりそれはMakuakeさんが3年間やってきて有名になってきたというのが大きいと思うんですね。
今のMakuakeさんの実力、という言い方だとあれですけど、差し支えない範囲で教えていただければと思います。どれぐらいのお金が集まるのかで、やれることは変わってくるので。それを知っておきたいなということで、お願いします。
中山:この1年で、1つのプロジェクトに集まる金額が倍になりました。それでいうと、だいたい平均で200万円ぐらいです。大きいもので1億円規模も出てきています。
質問者1:それはプロジェクトごとの?
中山:1つのプロジェクトで。1年前だと100万円くらい。もうちょっと具体的に言うと、期間が違ったりするじゃないですか。1プロジェクト1ヶ月というところに区切っていうと、1年前は40〜50万だったんですよ。
質問者1:ひと月、40〜50万?
中山:はい。ひと月40〜50万が平均というようなものだったのが、それが倍になったという感じ。
質問者1:集める期間も延びてる?
中山:期間は延びていないです。だいたい2ヶ月から3ヶ月ぐらいが多いかな、というところですね。そこの1プロジェクトあたりは、すごく右肩上がってるという感じですね。
なにをしたかというと、作りたい人と作って欲しい人のマッチングのしやすさを高めました。
よくクラウドファンディングって、「友達からしか集まらない」という批判が多かったりするんですけれども、そこからじゃなくて、しっかりと「集める」仕組みから「集まる」仕組みにならなきゃいけないということから目を逸らさないようにしています。なので、お金の出し手の体験をどうやったら作れるのかをひたすら考えた1年でした。
また、このあといろんな開発を予定しているので、今後も増えていく見込みです。ただ、アニメに関しては、朝起きて「アニメなにかないかな?」みたいな感じで巡回というのはまだかなと。
新製品とか飲食店という領域に関してはそういう流れが生まれてるんですけど、アニメに関しては、普通のおもしろいメディアとか、スマニューのアニメのタブのほうがおもしろかったりすると思うので、そういうのに比べると。
アニメという世界観に関してはクラウドファンディングだけじゃないじゃないですか。新製品だとライバルがいないんですよ。なぜなら、まず最初に出てくるから。あとは新店舗みたいなところ。コンセプトのある新店舗みたいなのも、ほかの情報メディアよりも間違いなく優れているんですけれども、アニメに関しての情報メディアとしては、ほかのメディアにまだ優ってるところまではいっていないと思っているので、もっともっと伸ばしたいのが本音ですし、そのポテンシャルはあると思っています。
だけど、アニメといってもいろんなジャンルがあるし。BL系が好きな人もいれば、ファンタジー系が好きな人もいれば、『この世界の片隅に』みたいなああいうのもありますし、なかなか迷ってはいる感じですかね。
質問者1:最後に、例えば10万とか10万円以上出してくれるようなユーザー数というのは一応把握はしてると思うんですけど、ざっくりどれぐらいの規模ですか?
中山:10万とか40万とかは中々レアかなと思います。
(会場笑)
中山:1プロジェクトで1個入ったらいいほうかなというようなのがありますね。平均するとだいたい1万〜2万円の間。だいたいその前後が多いですが、高額なプロジェクトもあったりするので完全にひとくくりには言えないです。
質問者2:私は仕事柄、コンサルティング会社でIT系をやってるんですけど、チームでマーケティングがあって。
このクラウドファンディングのやり方って、けっこう新しいやり方で、社内でもマーケティングとか地方創生とか、そういうところでまったく思慮がなかったんですね。でも、新しいやり方としては注目を集めていると思ってはいるんですけど。
現状的にタイアップとか、最終的にはBtoCでやらなきゃいけないと思うんですが、企業間連合的に、例えばMakuakeさんと連携してマーケティング的にやってみたりとか、新しい展開の仕方としての企業からのご相談とか、そういうものはありますか? それともやはり個人でしかマーケットがないのでしょうか? どういう印象なのか、お2人に聞いてみたいです。
中山:個人というのは、お金の出し手ですか?
質問者2:出し手です。
中山:お金の出し手はやっぱり個人が多いですね。それが魅力ですし、マーケットにとってどう受け入れられるかみたいなところもすごくあるんですけど、多いという表現が正しい。企業がお金を出すみたいものは、うちは領収書を発行するので、あるんですよ。ただ、「絶対に買いますよ」みたいのはなかったりするんですね。
例えば、地域の名産品でMakuake使って誕生したものは、東急ハンズの銀座のフラッグシップ店にMakuakeショップを持っているので、そこで売ったりもしますし。あと、毎日どこにも売っていないようなものが次々と何品も出てくるサイトなので、小売業者のネタ帳になってるんですね。
小売の仕入れ担当者が、ここでヒットの可能性を試金石として見れるので、それを見て「うちでまずやらせてください」みたいなところは、すごく起きていると思います。ちょっと答えになっているかわからないですけど。
質問者2:小売とかお客さん、コンサルティングでご相談したいときにMakuakeにご相談するという選択肢が1つあるかもしれないということかなと思いました。お客様が、今までにない売り方をしたりとか。先ほど東急ハンズのことをおっしゃっていたので、「新しい売り場を作りたい」という場合、例えば、その一角を設けさせてもらったりとか。
中山:そうですね。いろんな……。小売店舗っていい場所に出店するだけじゃお客さん集められなくって。お客さんを呼ぶ商品、コンテンツが流通業界に必要になってきているということがあります。なので、そんなときに一番に声をかけていただくことが多いですね。「店舗出しませんか?」とか、あとは「展示場所を作ったので、Makuakeの商品置かせてもらえませんか? 置いてもらえませんか?」みたいな感じのことが多いです。
企業連携や地域の軸では、津々浦々の地銀や信金と連携しています。なぜ連携しているかでいうと、地銀が地元にあるヒット企業が作る新製品をブーストさせるために、Makuakeを紹介したいというのが続いているんですね。
なので、地方銀行から地元のヒット製品を作れるメーカーさんをご紹介いただいて、Makuakeに乗っけて、それをコンシューマに持っていって、申込みがたくさんあれば融資の枠をもっと広げられ、という流れができてきている。そういった連携をしています。
質問者2:それは新しいやり方だと思いました。ありがとうございます。
質問者3:お二方から、ターゲットというお話が出ました。先ほど安彦さんが出されたスライドのなかに、ポジショニングのマップがありまして、そのあたりを予測をするというのが非常に重要ということと、応援してくれるターゲットをどう定めるかが重要、というお話が出てきましたが、ターゲットをどのように予測されてあのポジショニングマップが描かれたのか教えていただければと思います。
司会者:では、安彦さんから。
安彦:う~ん、すごい難しい質問ですね。えっと、これは……「そのジャンルに詳しくなれ」としか実は言いようがなくて。私の資料に「これを描けないやつはやるな」って書いてあるんですよ。
というのは、要はネットの社会でニッチを攻めるわけじゃないですか。ニッチって、例えば2ちゃんねるってジャンルと、Facebookってジャンルって、まったくユーザー層違うわけですよ。どっち攻めるかというときに、まず2ちゃんはどういうユーザーがどのぐらいいるのか、Facebookはどういうユーザー、どういう年齢層の人がどれぐらいいるのかって知らないと、そもそもまず成り立たないじゃないですか。
そのなかで、まずポジショニングとして、コアなアニメ層なのかライトなアニメ層なのか、比較的一般寄りなのかマニアック寄りなのか、みたいな軸を……あれはポンと出してますけど、あんなの神が降りてきたわけじゃなくて、いくつか軸を描いてるんですね。描いたなかで、おそらくこういう軸が一番見やすいだろうなと思って、ああいう描き方をしました。
少なくともクラウドファンディングってITの申し子、ネットの申し子なので、ネットの国内でやっている情報を知らないでやるというのは根本的にないだろうなと、僕は勝手に思っています。「Mastodonとかなに?」とか言っちゃダメだと思うんですね(笑)。
というふうに情報をちゃんと取った上で描く。当然そういう人を捕まえてくれりゃいいと思うんですよ。「ねえ、これさ、こういうジャンルには絶対……ミクシィなら絶対流行ると思うんだけどさ」とかね。いや、一部ではまだけっこういるんですよ。アクティブなユーザーが。オワコンだとか言っちゃダメで。ちゃんといるところにいる人をちゃんと捕まえることが重要で。それこそ、そこの分野だけで流行るようなものを見つけてくることが重要です。
本当にひと言でパッと「こうやって描くんですよ」という解はなくて。いっぱい情報を集めてきて、似たようなのを描いてみてくださいとしか言いようがないです。すいません。そんな感じです。
中山:っていうのって難しいと思うので(笑)。
(会場笑)
中山:みんながやるって難しいと思うんですよ。なので、(Makuakeでは)担当をつけています(笑)。
(会場笑)
安彦:確かに(笑)。
中山:とくに地域のメーカーさんなんて、Facebookやっていない人多いですし、Twitterもやっていないですし、LINEすらままならない。ガラケーみたいな方もいらっしゃったりするので、そのへんはやっぱりお手伝いしなきゃなというのとか。
ターゲットもなかなか難しいんですよね。たぶん僕らもあそこまでロジカルにはやっていないということも多かったりします。なにかのフレームワークに合わせているというよりは、だいたい作り手さんの心の中にあるんですよ。「ここだよね」みたいに。
質問者3:そうすると、定量的ななにかデータにもとづくというよりは、どちらかというと感性とか、さっき言った熱量や思いとか。いろんな情報を分析したなかでの自分なりの解というか、仮説というか、そういうものにもとづいて、ああいうかたちでターゲットを絞るというほうが現実的。
中山:さっきの安彦さんの発表を見たり、アニメコンテンツのソーシャル分析をよくやられているムシャケイスケさんという方の話聞いていて、あのぐらいちゃんとやらなきゃダメかな、というのは僕も反省した。これログミー書かないでくださいね。
(会場笑)
安彦:でも、今のって結局やるのは自分じゃないですか。自分が売りたいものをクラウドファンディングするんですよね。やる側からすると。そうすると、「自分の熱量を一番伝えたい人は誰なの?」というところだと思うんですよ。基本的には。
そうすると、同じ熱量の人って自分と会話が合うはずなんですよ。自分の言葉が通じやすいじゃないですか。人によっちゃぜんぜん通じないってやっぱりあるわけで。まず「そこはどこなの?」というところから描くのがおすすめです。
「その人はどこにいるの?」というのをやった上で、それと真逆のものを1個考えるんです。真逆のものを考えると、ちょうど対比が作れるんですよね。対比を作った上でマッピングを作ってみると、「ああ、そうか。こういう場所にいるんだ」って自分がもう1回気づくんですね。
1回自分の頭を整理するって癖をつけると、ある時迷ったときに、もう1回そこに戻ってみると、「そうかそうか、俺こっちには絶対行かないと思ってたんだよな。だからこうしないとダメだよな」みたいに振り返れるので、絶対ああいうポジションを作っておいたほうがいい。
中山さんのところのMakuakeさんみたいに、きれいに「これとこれを狙いましょう」みたいに可視化してくれたらすげえ楽だなって聞いてて思ったので、次にやるときはMakuakeさんにお願いしようと思います。
(会場笑)
質問者3:ありがとうございました。
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