2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
リンクをコピー
記事をブックマーク
丹下大氏(以下、丹下):こんにちは。……目の前に知り合いがいると非常にしゃべりにくいんですけれども。僕の原体験をみなさんに共有しながら、なにかを感じ取ってもらえればと思います。
まず、会社の説明から。SHIFTという会社は、ソフトウェアの品質保証という仕事をしていまして、実は2010年から今の仕事をやっています。お客さまは800社ほど。この会場にいらっしゃるお客さまも非常に多いです。今は、2,013製品ぐらいの品質保証を手がけさせていただいております。
知らない方もいると思うんですけれども、基本的にエンタープライズ領域での基幹系システムが多いです。銀行さんとか証券さんとか。そういうものを多く手がけさせていただいております。
ソフトウェアの品質保証事業を始めてから4年後の、2014年にIPOさせていただきました。その頃はまだ、売上がだいたい20億円ぐらいですかね。それで今年、売上が約4倍になりまして、従業員が約1,500人ほどの会社になります。
マーケットが大きいので、とにかく「敵がいない」と豪語しながらやらせていただいているんですけれど。まだまだ道半ばなので、これからも会社を大きくしていかないとな、と思っております。
そんな僕が、なぜ起業しようと思ったのか。もしくは、どういう理念を持って会社を経営しているのか。ちょっと真面目な話を共有させていただければと思っています。
僕は広島県の片田舎で……人口が3,000人ぐらいの小さな町で、次男坊として生まれました。両親ともに公務員ですから、商売をしている人は家族には誰もいませんでした。
ある日突然、転機が訪れたんです。小学校4年生の時に、公務員の母親から「あんた、将来どうやって飯食っていくの?」と、いきなり晩ご飯の時に言われまして。いきなり言われたものですから、「もしかして、これからは母がご飯を作ってくれないのかな?」っていう強迫観念に打ちのめされました。
その時は広島だったので、とっさに「カープ。プロ野球選手になる!」と母親に言いました。それで、ただプロ野球選手を目指して野球をやっていたんですけれども、小学校6年生の時に市の大会で負けまして。
「1億2,000万人もいて、プロ野球選手って100人ぐらいしかいないから、100人のうちの1人に、僕はなれないな」と思って。母との約束を守ろうとは思ったんですけれども、ここでいわゆる……かっこいい言い方をするとピボットして、キャリアチェンジをさせていただきました。
その時に、母親が一番喜んでくれる職業はなんだろう? と思った時に「社長」が、たまたま頭に浮かびました。その小6の時の母親との約束を守ろうと思い、そこから僕は「社長になる」ということ以外の選択肢は、ありませんでした。
それで、もう1つの僕の中の原体験です。兄が本当に、僕の10倍……20倍ぐらい頭が良かったんです。(兄は)地元の中学校に行っていて、そこは広島県の中でも有数の学校でした。弟なので、僕も「当然受けますよね?」と言われて受けたんですが、中学校受験に失敗します。
「兄弟なのに、こんなに才能に差があるんだな」って、その時、非常に感じました。そこで「自分はどうやって生きていくんだろうな」と、小6の時に深く考えました。「この家を救う」「母親を幸せにしてあげられるのは自分しかいないな」と思いました。
そこから、今でも父性本能というものが芽生えて。今従業員がいっぱいいるんですが、ほとんどが僕の子どもに見える感じです。従業員の子どもは僕の孫かなっていうぐらい、そんな気持ちが芽生えてしまいました。
それで紆余曲折あったんですけれど、サラリーマンを経て30歳の時に会社を作りました。
SHIFTっていう会社がなにをやるかは、当時決めていなかったんです。
ビジネスソリューション……今みたいな、こういうLaunch Padのようなものも含めて、(当時は)なかったんですが。「いっぱい出よう!」ということで、いっぱいやってきました。
(スライドを指して)こんな恥ずかしいサービスだったんですけれど、今はぜんぜん違っています。「アイドルがどこにいるかわかる追っかけツール」みたいな、そういうサービスを2005年~2006年ぐらいに作りました。その2週間後にモバゲーが出まして。「あ、これ撃沈したな」ということで、半年でやめました。
そこから会社が転落していくんですけれど。その後、狂ってポルシェのレンタカー屋をやりました。そこは単純に、僕がポルシェ好きだったからなんですけれど。本当に恥ずかしいサービスをいろいろやってきました。
あとは、パーソナルスタイルのビフォーアフター……テレビでやるようなものをやったり。会社の福利厚生サービスをやったり。あとはとち狂って、「もうよくわからないから起業家を応援しよう!」と。おもしろい起業家に「仮想通貨で投げ銭してあげよう!」というサービスを作って。それも一瞬で消え去りました。
その時に初めて「自分ってなんなんだろうな?」というのを感じて。「こんなにB to Cのサービスを外している人、世の中にいるのかな?」と思って。改めて自分の人生を振り返った時に、たまたまやっていた仕事がソフトウェアテストだったんですね。
ある有名なECサイトのソフトウェアテストをやっていました。その時に、自分がやっている仕事をすごく喜んでもらえました。「このサービスで生きていこう。このサービスで生きていけないんだったら、もう会社は畳もう。自分の小学校6年生の時の夢は畳もう」と思いました。
サービスの正当価格って、わかりづらいじゃないですか。だから、最も安い価格……1,480円でテストをする。アルバイトのような値段なんですけれど。技術者ですから、今は当然これの4倍ぐらいはかかっています。
「この金額で仕事がないんだったら、もうやめてしまおう」と思って、そこから1,000枚だけチラシを刷って、日本中にダイレクトメールを送りました。そうしたら1社だけ、すごく奇特な会社が発注してくれて。
その会社があったおかげでSHIFTという会社は、針路を変えてやっと大きくなっていきました。その頃はたった10人だった会社も、今は1,500人ぐらいの会社になりました。
今日みなさんにお伝えしたかったのは、自分が今、例えば資金調達しやすいとか、もしくはスタートアップだから、ロックスターみたいでかっこいいとか。けっこう、みんな……今、若い優秀な人たちが、スタートアップをやるっていうのは、すごくいいことだと思うんですけれど。「とにかくおもしろいことをやろう」という感じでやられると思うんですね。
でもその事業って、本当にあなたがやらないといけないことですか? 僕はBtoCには向いていませんでした。
僕は理系なんですが、そういう理系の人たち、地味で……マニアックな人たちに、いかに陽の光を浴びさせるか。僕みたいな人たちがこういう暗い世界にいるから、世の中から注目される。でもマーケット規模はとても大きいので、こんなにいいことはないな、って。そういうものを求められる人っていうのを自分の中で発見できた時は、すごく大きかったですね。
あとは、いろんなサービスを作っているので……これだけは、自分でも癖だと思うんですけれど、新しいものをどんどん作りたい。人にWowって思ってもらいたい。どうせ生きるんだったら、人生をevolutionして前進させたいっていう思いが強かったですね。
自分が本当にやりたいことってなんなのか? 金儲けじゃない。
とくに局所的な話ですけど、コンバーチブルノートという、資金調達の仕方があります。コンバーチブルノートで資金調達するぐらいだったら自分で手銭で稼いで、100パーセントやってシード期を超えてからするべきだと思うんです。
だからそういうふうに、自分のミッションとかキャリアとか、自分が持ってる原体験に素直に向き合っていかないと、会社は自然には大きくならない。とくに最近、おかげさまで上場させていただいて業績はいいんですけれども。
上場した会社って3ヶ月に1度、四半期報告というのがありまして、すごく利益を気にするんですね。それがいいか悪いかはもとより、先日利益を気にせずに50パーセントぐらい下方修正したら、もうドーンと株価が下がったりする。「うわあ!」って。
機関投資家説明会の、マザーズの一番下のテナントに入っているのがSHIFTだって言われているんですけれど、ものすごく冷たい視線を浴びて、「もうこの会社の社長はだめだな」と思われたんです。
でも、そこでもずっとビジョンを語っていました。「このマーケットでこういう人たちがいるから、僕がいるんですよ」「僕にしかできない仕事がこれなんです」と。ちゃんとお伝えしたら、1週間で株価が戻りました。
僕は、会社というのは社会の要請で大きくなるものだと思っているんです。人は幸せになりたいから、そのためにどういうサービス、もしくはどういう社会構造が必要だからと世の中に求められて、会社は自然と伸びると思うんです。
「本当の自分のミッションを考えて会社を作る」というのが非常に重要かなと。こちらにいらっしゃる、とても活躍されている同年代の方々になにかお伝えできればと思って、今日はここに立ちました。どうもありがとうございました!
平社員が経営陣に一言「全員辞表を出してください」朝倉祐介氏がミクシィ復活劇の舞台裏を振り返る
けんすう氏が語る“遊びが仕事になる”時代の事業の作り方
その事業、本当にやらなきゃダメですか? 失敗続きだった起業家が辿り着いた“自分のミッション”
26歳で社長就任、その2週間後にバブル崩壊… 窮地から起死回生した男が若い起業家らに贈ったエール
「“運”は偶然の産物ではない」上場請負人・杉山全功氏が語る、経営者にとって最も大切な資質
「科学技術は投資対象ではなかった」研究者である男を起業家に変えた“博士号を取っても働けない”現実
創業以来10年連続で増収増益を達成 じげん・平尾氏が引き続けた“成功への補助線”とは?
2024.12.12
会議で発言しやすくなる「心理的安全性」を高めるには ファシリテーションがうまい人の3つの条件
2024.12.19
12万通りの「資格の組み合わせ」の中で厳選された60の項目 532の資格を持つ林雄次氏の新刊『資格のかけ算』の見所
2024.12.16
32歳で成績最下位から1年でトップ営業になれた理由 売るテクニックよりも大事な「あり方」
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.12.10
メールのラリー回数でわかる「評価されない人」の特徴 職場での評価を下げる行動5選
2024.12.13
ファシリテーターは「しゃべらないほうがいい」理由 入山章栄氏が語る、心理的安全性の高い場を作るポイント
PR | 2024.12.20
モンスター化したExcelが、ある日突然崩壊 昭和のガス工事会社を生まれ変わらせた、起死回生のノーコード活用術
2024.12.18
「社長以外みんな儲かる給与設計」にした理由 経営者たちが語る、優秀な人材集め・会社を発展させるためのヒント
2024.12.12
今までとこれからで、エンジニアに求められる「スキル」の違い AI時代のエンジニアの未来と生存戦略のカギとは
PR | 2024.11.26
なぜ電話営業はなくならない?その要因は「属人化」 通話内容をデータ化するZoomのクラウドサービス活用術
Climbers Startup JAPAN EXPO 2024 - 秋 -
2024.11.20 - 2024.11.21
『主体的なキャリア形成』を考える~資格のかけ算について〜
2024.12.07 - 2024.12.07
Startup CTO of the year 2024
2024.11.19 - 2024.11.19
社員の力を引き出す経営戦略〜ひとり一人が自ら成長する組織づくり〜
2024.11.20 - 2024.11.20
「確率思考」で未来を見通す 事業を成功に導く意思決定 ~エビデンス・ベースド・マーケティング思考の調査分析で事業に有効な予測手法とは~
2024.11.05 - 2024.11.05