2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
リンクをコピー
記事をブックマーク
榊原健太郎氏(以下、榊原):ありがとうございます。じゃあ今、ヨニーからでた次のフレーズにいこうと思います。
ヨニー・ゴラン氏(以下、ヨニー):それではここから英語でディスカッションをします。最初にどういう経緯で3人の方に今回、日本に来ていただいたのか、お話をしたいと思います。
先ほど最後の部分で話題になっていましたが、やはり人類を変えていくためには新しいイノベーションが必要です。また、世界を変えるためには、まず1人の人生から変えていかなければならない。そういった話をしていました。
伸生さんのお話にもありましたが、やはり1人の人生を変えてゆくこと。そしてまた伸生さんのお父様の千畝さんのされたことが将来どんな影響があるのか?
そういった観点から、世界中に大きなインパクトを与えるスタートアップはないのか? そういったかたちで探し始めました。
イスラエル企業のスタートアップでみなさまにどれだけ大きなインパクトを与えられるのかをいろいろと試していただいて、50社あったところから10社にまでしぼりました。
その中で、私たちはこの度この3社、ここがソーシャルインパクトを与えたということで勝者となったわけですが、この3社の方をこの度、お呼びしています。
今話したことが背景ですが、パネリストのみなさんに「どうしてこのようなアイデアがでてきたのか?」を聞きたいと思います。次に、それぞれのスタートアップ事業についてのバックグラウンドについても説明していただけると助かります。
ダニー・ワイスバーグ氏(以下、ダニー):私は、ダニー・ワイスバーグと申します。『ヴォイセット』というスタートアップの会社の共同のCEOです。このたびはこうして日本にお招きいただきありがとうございます。サムライインキュベートのみなさまに感謝いたします。
私たちのスタートアップの中身は、言語障害を抱えている人たちが、自然な形で話をしてコミュニケーションができる。そういったソリューションを提供できる会社です。
このソリューションは言語を認識し、マシンラーニングで一人一人の話し方を学んで、分かりやすい自然な言語に変えてゆく。そういったものになります。
そもそも、どうしてこのような事業をスタートしたか? それは個人的な理由からです。数年前、愛する祖母がある発作を起こしました。そのため、クリアに話すことができなくなってしまいました。
その経験から、普段は当たり前と思っているけれども、自然に人と人が会話できないことが、いかにフラストレーションがたまるかを意識しました。
アディ・ザミル氏(以下、アディ):みなさまこんにちは。私はアディ・ザミルと申します。エメラルドという会社のCEOをしております。エメラルド社は「DermaCompare(ダーマコンペア)」という解析ツールを持つ会社になります。
そこでは、テクノロジーのソリューションを活用し、私たちすべてが皮膚がんになる可能性があるかどうか? それを早急に検知できるシステムになります。
いまや世界中には4億2千万人ほど、皮膚がんになる可能性の人たちがいる問題があります。そして皮膚がんになる人数は毎年増えてきています。ですので、今の世の中では、何らかのソリューションで早期の検知をすることが重要です。
私たちはスマートフォンや普通のカメラ、これをつぎ足して写真を撮り、アルゴリズムを使うことによって、早期の検知をすることを可能としています。
そもそも、どうしてこのようなソリューションを考えだしたか? それはエメラルド社の創設者のお父様が、黒色腫にかかってしまったからです。その時20数枚の写真をお医者様に提出をしたのですが、黒色腫かを判断するのに3時間かかった経験があります。その経験から創業者は、「これは自動的に検知する方法がなければいけない」と考えたわけです。
ベン・フリードマン氏(以下、ベン):みなさまこんにちは。ベン・フリードマンと申します。私は、ハーゲル・フードテクノロジーという会社の共同設立者でありCOOです。私たちの事業は、今のタンパク質のソースとして、イナゴを活用することをしています。
いま世界では、3億5千万人以上の子供たちがタンパク質不足でさまざまな不調を訴えています。タンパク質不足の状況に置かれると、免疫システム、認知機能に影響が出てしまい、将来大人になったときにさまざまな疾病にかかるリスクがあります。
現在、世界でよく知られているタンパク質源はチキンやビーフなど、動物性のタンパク質になります。ですが、その牛だけで世界のCO2排出の18パーセントにまで達してしまい、その他輸送にかかるCO2 排出も加えると、かなり環境に害を与えているという状況です。
そこで世界的なソリューションとして、イナゴをはじめとする、さまざまな昆虫からタンパク質がとれないかを考えました。
ヨニー:次の質問です。それぞれのビジネスが世界にどう影響を与えると考えていらっしゃいますか?
ダニー:まず、祖母がわずらった脳卒中がきっかけで、人がどれだけハッキリと話せすことができないかを知りました。それと同時に、どれだけ祖母と同じような問題をかかえている人たちが世界にいるか? ということにも目を向けるようになりました。
すると、実に1億人超の方が、ハッキリと話すことができないことでフラストレーションをかかえているということを知ったのです。
例えば、脳性まひで生まれてきた子どもや、ダウン症の人、パーキンソン病。そういった人たちは、ハッキリと言葉をしゃべることができません。また、私たちの未来を考えても、高齢化社会の中で、やはり明確に話ができなくなってしまうということも増えてくるでしょう。そういった意味で、私たちの事業は大きな影響があると考えています。
私たちは大きなチャンスを生み出し、そして世界中で何億という言語障害で悩んでいる方々に大きなソリューションを提供することになるだろうと認識しています。
そういった考え方が私たちの仕事をやっている上で大きなモチベーションとなり、より良いソリューションができる流れになっています。
言語に関して、IT化されているソリューションなら、大企業のApple、Google、Amazon、IBMからも出されているでしょう。例えばSiriです。スマートフォンを活用したものはありますが、それは次のレベル、あくまでコンピューターとのコミュニケーションに関わるものだと思います。
また、大企業がやっていることは、確かにスピーチに関連するものです。ですが、それは明確にクリアに話しができる人がコンピューターと話すことが前提条件です。言語障害を持っている方、また、私のようにイスラエルのアクセントでSiriなどに話しかけると、機械の方ではそれほど認識できません。
私たちの会社は世界で唯一、言語障害をかかえている人たちがアクセスができる。そしてクリアにスピーチでき、スクエアに話しができる。そのツールを開発できる企業だと認識しています。
いま私たちの開発しているテクノロジーは、さまざまな大企業の開発しているテクノロジーと将来的には統合されます。クリアに話せない方の言葉をクリアにする部分を私たちが担当することで、スマートフォン、スマートカーでも活用できるものになると自負しています。
アディ:いろいろなアイデアを出すことは簡単です。けれども、それがきちんと影響力を持つまでに育てあげることは難しいです。私は今、その通りだと感じています。というのも当社ではたくさんのアイデアがありますが、それを実現するのは、なかなか困難だと認識しているからです。
私たちは現在、世界中に皮膚科医院が人員不足になっていると感じています。特に世界の中でも皮膚がんにかかりやすい国々での皮膚科医の不足が大きな問題となっています。
例えばオーストラリア。ここは皮膚がんにかかりやすい国で有名ですが、そこで医者に会うまで4ヶ月も待たされる状態です。そしてまた病院でイメージ写真を撮るだけでもかなりのコストがかかります。
それらを背景に、私たちは1人1台のペースで持っているモバイル、スマートフォンを活用することができないかを考えました。さらにスマートテクノロジーを活用することによって、自動的に、迅速に、そして低コストでやる。そういうソリューションがありました。
ベン:私たちは2つの意味で社会的インパクトを与えていると考えます。
まず1つは、先ほど簡単に触れた、環境への負荷を軽減できる点です。イナゴを育てることは、家畜を育てるよりも40パーセント効率的にできます。家畜は環境にかかる影響がでてしまいます。イナゴを育てることで環境問題にも対応できると考えます。
2つ目は、食の安全保証です。今や人口も増え、2050年には約90億人になるといわれています。それに伴い、タンパク質に対する需要も高まり、一方で農業で使える土地も減ってしまいます。そのことからも、イナゴや昆虫というのは自然界に存在するので、シンプルなソリューションでグローバルな問題を解決できる方法だと考えています。
ヨニー:それでは最後に、パネリストのみなさまから、会場のみなさまに届けたいメッセージを頂きたいと思います。私からは「やはり過去のことを忘れて新しいイノベーションはできない」ということです。
ダニー:テクノロジーはより良く活用することもできるし、悪用することもできます。例えば原子力。これは核爆弾にも活用でき、またヘルスケアでも、より良いサービスに使うことができます。なので起業家には、テクノロジーを人類にとってより良い方向に活用してゆく、そこに注力してほしいと思います。
アディ:私からのメッセージは、何か良いことができると思ったら、積極的にそのチャンスをつかみ、心配せずにどんどんと突き進んでほしいということです。世界にとって良いと思うアイデアがあれば、みなさんがやらなければ、他の人がやります。なので、みなさんが第一人者として進めてほしいと思います。
ベン:私からのメッセージは、イノベーションは、アイデアがあり、それを実行に移すことが大切ということです。そして実行に移すためには、やはりソリューションがシンプルであり、そして世界中でアクセス可能なものであると思います。それをまさに当社でやっています。
ヨニー:みなさま、ご清聴ありがとうございました。こちらのパネリストの方々に質問があれば、ブースの方にいますのでお立ち寄りください。
(会場拍手)
関連タグ:
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.21
40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.15
好きなことで起業、赤字を膨らませても引くに引けない理由 倒産リスクが一気に高まる、起業でありがちな失敗
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.21
40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.15
好きなことで起業、赤字を膨らませても引くに引けない理由 倒産リスクが一気に高まる、起業でありがちな失敗