2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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小:ありがとうございます。今日は「挑戦する人生」という事で、御三方色んな挑戦の果てに、今ここにいらっしゃると思うんですけども、ちょうど先程、佐藤さんからも「経営者になるなんて思ってなかった」という話があったと思うんですけれども、それぞれ熊谷さんだとか田中さんって、経営者になろうと思ってなったのか、どんなきっかけで経営者になったのかって、そのあたりのきっかけについてお話をいただければなと思うんですけれども。じゃあ、熊谷さん。
熊:はい。経営者になったきっかけなんですが、実はうちの父親が事業をやっておりまして、小さい頃から僕は跡を継ぐものだとずっと思ってました。ところが物心ついて二十歳を過ぎた頃に、自分に兄弟がいるという事がわかりまして。
小:それまでは知らなかった兄弟が、という事ですか?
熊:まぁうっすらと気づいてたんだけど(笑)。そうなんですよ。しかも男の子がですね、兄と弟がおりまして。ある日父親に「正寿、毛利元就って知ってるか?」と。「三本の矢だ」と。「なんすかそれ?」って言ったら「矢は1本だと折れやすいけど、3本だと折れ辛いだろう」と。「3人で頑張って経営してくれ」と言われて。
小:それまでは1人だと思ってた。
熊:まぁそうですね。僕は跡取りだと思ってたんですけど、跡取りじゃなかったという事がわかって、それがきっかけで「こりゃいかん」と。子供の頃からの夢を実現するためには自分で経営せにゃいかんのだということで、私は独立をしてですね、自分の会社をやる事にいたしました。これが経営者になるきっかけでございます。
小:まさかのホットな(笑)。ありがとうございます。田中さんは? 色んなきっかけがあると思うんですが。
田:そうですね。元々は今のGREEっていうサービスを一人で家で休みの日に作ってたんですけども、それがきっかけで会社をつくったという事で。よく「社長になりたい」とかそういう講演に呼ばれるんですけども、よく言うのはですね「私は社長になりたかったわけでもないですし、起業したかったわけでもないんで、そういう所に呼ばれてもいい話できないと思うんですけどいいですか?」と断って行くんですけど。そういう意味では本当に行きがかり上社長になったって言うとすごい申し訳ないんですけど、っていうタイプかなっていう風には思ってます。
ただ僕は学生の頃から、経営というテクニカルな勉強については興味があって、色んな本読んだりとか、たぶん世の中には「できるMBA」みたいな本がいっぱい売ってますけど、ああいう本を大学の頃に全読してわかった風になるっていうのは好きだったんですけど、実際に会社やろうと思ったのは、結構GREEを一人で作っていて、やっぱりサービスを持続的に続ける為にはビジネスとして作らなきゃいけないし、その為には会社という存在が必要であるという事で会社を作ったという所で、本当に他の人に比べると始まりがしょうがない所なんですけど、行きかがり上で作ったという所ではありますね。
小:佐藤さんはさっきチラッとだけ出てましたけど、元々バンドやってて……。
佐:そうですね。元々16歳の時に音楽を始めて、それからバンドとか曲作ったりアレンジしたり演奏したり、どちらかと言うとパフォーマンスする方が楽しくてですね、当然のように就職活動はしてなかったですね。たまたま当時中央線沿線に住んでて、新宿のレコード屋さんに行く用事があったんですね。「今日このレコード買いたいな」と思って、新宿の「ディスクユニオン」という所に、中古レコードを買いに行ったと。
その日、新宿行く用事があったんですけど、たまたま家に、当時はリクナビとかありませんでしたから、紙のダイレクトメールで「就職の説明会」みたいな案内があったんですね。それをぺろっと見たら「交通費1000円支給」って書いてあったんですよ。ちょうど新宿行く用事あるし、交通出るしいいなと思って、これは昼飯代浮くなと思ってですね、ふと参加してみた。全く就職する気もなくですね。
ただまぁ何か生活をしていかなきゃいけないなというのはあったんで、ちょっと顔出したらなんとなく面白そうだったというので、ちょっとなんか自由そうな会社だなと思って、自分がミュージシャンとしての活動をしながらでも、なんかいてもいいんじゃないか……こんな気がして、偶然今の会社に出会って入社したっていうのがきっかけでした。
それから2年間は平日は仕事して、土日は音楽してっていう生活を続けていて、入社3年目の24の時にそれまでの色んなきっかけもあって、新しい事業を起こした方がこれは楽しそうだなと。音楽よりももっと楽しいものを見つけたと。こういう事でそれ以降スパッと今までのミュージシャンとしての生活は辞めて、100%事業家とか経営者として生きる事をそれから決めたというか、24歳の時に割とこう自分の中では大きな転機というかきっかけがあったという事です。
小:何がきっかけになるかわからないですね。それで言うと、たまたまの繋がりで……。
佐:偶然だと思います。
小:はい。熊谷さんは、たまたま兄弟が2人現れたっていうきっかけがあったかもしれませんけども、それだけで、でもいきなり起業というわけにはいかない……いけないと思うんですよね。他にも色んなきっかけがあって、チャレンジがあってだと思うんですけども、そのあたりもう少しお話いただけたら。
熊:本質的なきっかけっていうのは今申し上げた内容なんですけども、あとですね、消去法的に僕は就職できるようなキャリアじゃないので、就職っていい大学出ていい会社行くっていう感じがあるじゃないですか。私は高校を中退して、その後放送大学っていう所で独学でやって、そういうようなキャリアなもんですから、これは通常の就職っていう感じじゃないんですよね。
だから消去法的に僕は小さい頃から社長をやるんだって思っていて、会社を経営するんだっていう風に思っていて、キャリア的に自分でどっか就職できるようなキャリアじゃないんで、もう消去法的にもやらざるを得ないって。やりたかったし、やらざるを得なかったっていう環境だったと思いますね。
でも自分で、二十歳だから皆さんと同じぐらいの時に夢を持って、将来自分のイメージをすごく作って、将来の自分のイメージっていうのは、やっぱり自分で自分の人生切り開いてって、結果としてその夢を実現させようっていう、そういう思考が若い頃からあったもんですから、僕の場合には本当にそれ以外の選択肢、独立して自分で会社をやって、多くの方々と一緒に道を切り開いていくっていう選択肢以外なかったっていう感じですかね。自分でどっかに勤めるっていう事を考えたことないですね、人生的に。そんな感じです。
小:田中さんは楽天に入った経緯もあるわけですよね。自分で色んな事をやりながらでしたけれども、その中でGREE自分自身で作ってですけども、そのきっかけもあったと思うんですよ。会社作るまでのとか。楽天入る時、6名の時行くまでのなにかきっかけもあったと思うんですけど、そのあたりなにかストーリーありますか?
田:そうですね。学生の皆さんにシンパシーを感じてもらえる話としてはですね、まったく僕根拠はないんですけど、10代の後半に「男子たるもの二十歳までに夢がない奴はダメだ」っていう全く根拠のない事に苛まれてまして、「なんで俺はこんなダメなんだろう」という事をよく10代の頃に全く良くわからず悩んでたんですけども。
一番びっくりしたのはあれですね、僕はコンビニで立ち読みするのが好きで、毎週コンビニに行って、ヤンマガとかそういう漫画をずっといっぱい読んでたんですけど、たまたまその漫画の横にある雑誌を手にとったんですよね。
なんかその時「大学に行こう」みたいな本があって、僕大学生だったんですけど、パッと見たら、忘れもしないんですけど、ある東大の女の子がいて、僕の何個か年上なんですけど、在学中に司法試験に受かったという人がいて、その人が特集ページに載ってたんですよ。
その人が「夢はなんですか?」と聞かれてたら「私の夢は法律がない国に行って、アフリカとかに行って、法律を作ることです」と。「日本で弁護士資格を取ったんだけど、夢は弁護士になることじゃなくて、私は法律を作りたいんです」と。「だから私はアフリカに行くんです」と書いてあって「これから行きます」なんてこと書いてあったんですよ。
っていう人を見てですね、このコンビニで漫画を読んでる俺と、この女の子の落差はなんなんだ(笑)っていう事に苛まれまして、夢がねぇなと思って毎日悩んでる俺に衝撃的な記事が出てまして。なんかその男尊女卑じゃないんですけど「こんな女に負けてる場合じゃない」っていう、まったく良くわからない事に苛まれて。
その当時考えたのがですね、やっぱりまぁ二十歳ぐらいだったんで「25までになんかの業界で一角の人間になって、30ぐらいにはある業界においてトップレベルの人間になりたいな」という漠然とした目標を立てたんですけど、その時にたまたまインターネットのビジネスというものを知って、これはちょうどいいと。じゃぁまずはインターネットの業界ですごい目立つんだという事を思ってですね。
当時、僕はある人にそういう話を延々と相談したら、ある社会人の人が言ってたんですけども「田中君ね、靴磨きでも10年やったら超プロになれるから、とにかく10年続けた方がいいよ」っていう風に言われて、「なんで靴磨き10年やるんだよ、このおっさん」という風にすごい当時思ったんですけど、ただ「なるほどな」と僕は思ったんですね。確かに靴磨きを10年間真剣に延々とやってる人なんか誰もいないと思うんですよ。それやったら本当に超一流の靴磨きになると思うんですよね。
で、たぶんそれはニーズがどっかにあると思うんですよ。やっぱり10年間突き詰めてやり続けられるっていうのは、それはすごい事だから、何でもいいんだけどそういう風にやった方がいいよって言われて、僕はすぐ納得して、さっきの話と合体してくんですね。
だからまずは、二十歳ぐらいだから10年ぐらいやろうと。10年やってダメだったら30ぐらいだから、そん時また考えりゃいいんじゃないかと。まずは10年間これでやるぞと思ったのが二十歳ぐらいの時という事で、その後色々あって楽天入って、会社作るというのはありますね。
小:すごいですね。ありがとうございます。なんかありますか? 佐藤さんそういうストーリー。
佐:今日ね、こうやって学生の皆さんとコミュニケーションする機会で、じゃあ自分が今皆さんいるような割とこう人格形成の真っ只中、もうかなり成熟されてる方もいらっしゃるかもしれないですけども、まだ迷ったり悩んだり、どうしていこうかな俺みたいなっていう人も多いと思います。じゃあ自分もどういう風にしてキャラクターができあがってきたのかなっていうのを、今日移動中に考えてたんですよね。
いくつか節目があったんですけど、まず1つは、小学校高学年ぐらいから中学生ぐらいの時に、すごくコンプレックスがあったんです。コンプレックスって何かっていうと、周りと合わせなきゃいけないっていうのがとても辛かった。これがコンプレックスで、難しく言うと同調圧力みたいな。要は勉強とかもある程度同じルーティンで、何週間目はどこまで勉強するとか決まってるわけですよ。
これがすごく辛くて、どういう子供だったかって言うと、もらった教科書っていうのをとにかく際限なくずっと読み込んじゃうんですよね。そうすると、大体その学期の初めぐらいにほとんど終わってるんですよ。そうすると授業に物すごく興味がなくなってしまって、自分がどこかで見たような事を、聞いたような事をずっと喋ってる。
「あぁこの授業に合わせていくのは辛いな」と思って、小学校から中学校ぐらいの時は、すごくコンプレックスだったんですよね。「あぁ俺はちょっと周りと合わせられない、コミュニティに対して不適合なんじゃないかな」と。そんな難しい言葉は知らなかったですけど、コンプレックスだったんです。
中学校ぐらいの時に、ちょっとブレイクスルーというか開放される出来事があって、それは何かって言うと、当時すごく少なかった友人のうちの一人がたまたま「塾来ないか?」と。「そんなに自分のペースでしたいんだったら、そういう場所あるから一緒にやんない?」って言われて、小さな教室の塾に誘ってくれたんですね。
そこで好きなだけしていいっていう、自分の中のエネルギーを全部開放していいみたいなそんな場が与えられて、すごく楽しくなっちゃって、結果的にそこに30人ぐらい呼び込んでですね。せっかくここでお世話になって、ほぼタダみたいな値段で場所を貸していただいてたので、オーナーの方にちょっと貢献しなきゃいけないなって思って、同級生30人ぐらいアフィリエイトに連れて来て「いい所あるから来ない?」って。
アフィリエイト報酬は、当時近くにあったすごくおいしいステーキ屋さんだったんですね。そのステーキ食べたいがばっかりに、そのオーナーの方に「今度こういう人がいるから」ってどんどんどんどん連れて来て、僕が卒業する頃には一大塾になっててですね、個人経営の塾が支店を出すような大きな塾になっていて(笑)。
それはたまたま自分の中のコンプレックスが引き金になって、自分の中の抑圧されたものを解放したいみたいな事があったんですよね。でも、その時から、今自分38ですけど、20何年たった後でも、基本的にしている事とか全く変わらなくて、自分にとっての人格形成の骨格っていうのはやっぱり小学校高学年から中学校低学年あたりの時の経験に凝縮されてたんだなと。その時にすごくいい出会いがあった。
もう1つだけ。一方で高校の時っていうのは、逆にすごくいい先生に出会って、自分のペースでしていいよと。ある先生に出会って、それまではどちらかというと「このパッケージの通りにしなきゃだめだ」と「決められたルールの通りにそのまま勉強しなさい。過ごしなさい」っていう指導が割と周りは多かったけども、高校の時に「あなたのペースでいいんだ」と認めてもらった事が一回だけあったんですよね。それがすごく嬉しくて「あ、世の中っていうのはすごく自由なんだな」とこういう風に思ったんですね。
世の中、僕は自由じゃないと思ってたんです、元々。自由ではないという解釈が、ある人との出会いをきっかけに自由だっていう風に定義が変わったんですよね。それ以降、割と世の中に対して前向きに向かっていこうみたいな、人生自由だから割と自分がデザインした通りに、自分が生きたいような人生を生きて、大きなインパクトを世の中に与えるんだみたいな事が漠然とその時に形成されたような気がしていて、その2回の節目っていうのが自分にとってはすごく大事だった。
なので今日こういう場も含めて、どこにきっかけがあるかわからないので、そういう人の行動とか変化のきっかけが作れる機会っていうのは、積極的に貢献したいなっていうのは、やっぱり自分が何かそこでいい気づきとか、出会いを頂いたって、それはもう自分が努力して得たっていうよりは、どちらかっていうと与えていただいたっていう、重要な出来事がやっぱあったんですよね。みたいな事を今日移動中に思い出しながら、日吉にやってまいりました。長くなりました。
小:非常にいい話ですね。本当にたぶん皆さん聞いてたら感じると思うんですが、色んなきっかけをですね、うまく味方につけてというか、自分のものにしてると思うんですね。おそらく今日ここに来てる方、もちろんUSTREAM見てくれてる方も含めて、非常にいいきっかけを自ら選択しに来ていると思っていて、ひょっとしたら今日、昨日も含めて、自分の人生を変える、さっきの佐藤さんだとかの話みたいに、劇的に変えるきっかけになってるかもしれないと思うんですね。
小:僕ちょっと質問なのは、そんなきっかけって結構実はたくさんあるかもしれなくて、それに対して何かしらチャレンジ、今日の「挑戦」っていう一つのキーワードですけど、何かしら小っちゃいながら、もしくは自分にとって大きなチャレンジがあるから、そのきっかけをものにしてる、だからそれをうまく自分のものに取り込めてる、そういった過去はあるんじゃないかなと思います。
田:そうですね。私もよく話してる話ではあるんですけど、僕が学生生活を送ってた頃っていうのは、ちょうどインターネットが普及し始めたころで、まだメールアドレスを持ってる友達もほぼいないみたいな。そういう携帯電話さえもあんまりないという時代ですから、iモードとかもない時代なんですけど、インターネットのビジネスに興味を持ったと。
今日も皆さんベンチャーやりたいとか、ベンチャー企業に就職したいというお話ありましたけども、結構みんなが別に特に賛同してくれるわけではないとか、どうやってやったらいいかわからないとか、そういった事はいっぱいあると思うんですけども、僕もインターネットで働きたいなと思ったんですけども、どうやって働いたらいいかわからない。
なぜならば周りの人が誰もパソコンっていうかインターネットを使ってないわけだから、インターネットの会社で働きたいって言っても、誰も使ってないような所に会社もないし、就職先もないんですよね。けど働きたいなって思った僕は、当時学生の頃に何したかっていうと、検索エンジンで本当に「インターネット」って検索して、出てきたホームページを作ってるやつに上からメールして会いに行くっていうのをずっとやってたんですよ。
しかも「僕インターネットに興味があるんですけど、どうしたらいいですかね」っていうのを聞きに行くっていう、相当にヤバイ学生の生活なんですけど、当時でも「Jobweb」とかがあって、今でもありますけど、それで就職のサイトがあって「これすげぇな」と思って、会社に行って、「僕Jobwebすごいと思うんですけど! 終わり。」みたいな(笑)。
何しに来たんですか! 仰るとおり! みたいな。結構僕何社か行って、その話したら怒られたんですよね。「忙しいんだよ」って言われて、いや仰る通りって思って。けど本当にわからないから、どうしようもないからもうやるしかないじゃないですか。
だから変な話、皆さんでわからないけど、魚売る事に興味があるけど、友達が誰も魚に興味がなかったら、とりあえず築地行って1枚1枚紙配るぞみたいのだとか、道端で築地で働いてる人の周りで全部誘うとか、そういった一見すると完全に訳わからないんですけど、それが踏み込んでいって今があるとは思っているんで、それぐらいなんか挑戦するといいなぁと思ってますね。
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