2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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西野亮廣氏(以下、西野):六本木ヒルズ33階、J-WAVEからお届けしている日曜日の夜にじっくり聞き入りたい特集型プログラム「SUNDAY SESSIONS」、わくわくしたい大人のための学校サーカス校長の西野亮廣です。さぁ増田さん、ここからはですね、2時間目ということで。
増田薫氏(以下、増田):はい、2時間目。
西野:誰も見たことのないフューチャーを生み出す次世代クリエイターのゲスト講師を迎えて一緒に授業をしていきたいと思います。アソビシステム社長、中川悠介さんです。よろしくお願いします。
中川悠介氏(以下、中川):よろしくお願いします。
西野:なんか僕、中川さんはけっこう友達を介してお名前は、お噂はかねがねうかがってるんですよ。でもまぁまぁ初めての方もいらっしゃると思うので、簡単に自己紹介をしていただいてもいいですか?
中川:簡単に、そうですね。アソビシステムという会社をやってます。基本的にはもともと原宿っていう場所が好きだったんで、原宿で起業して。
きゃりーぱみゅぱみゅだったり中田ヤスタカだったり、増田セバスチャンだったり。まぁアーティストとかサウンドプロデューサー、クリエイターとかモデルのマネージメントをやりながら、彼らと一緒にイベントを作っていって、それをメディアにしていくみたいなことでやってるんですよね。
西野:はぁ~。まぁ、今日の原宿文化の、仕掛け人ですか?
中川:そうっすね。いや、そこまで(笑)。
西野:一番偉い人ですか?
中川:一番偉くはないですけど、今の原宿ですね。
西野:今の原宿の、裏で暗躍されてる方ですね?
中川:(笑)。表でやってます。
西野:なんでまた原宿に興味を持たれたんですか?
中川:自分が高校生の頃、けっこう渋谷が活発的に動いてて。大学に入った時にみんな渋谷でイベントしながら、ギャルだったり、当時流行ってたものがいっぱいあったので、そっちは盛り上がってたんですけど。でも一方で、原宿ってすごくこう、当時から自由でおもしろい場所だなぁと思っていて。
もともと自分が藤原ヒロシさんやNIGOさんが好きだったのもあって、この場所でなにかしてみたいなってずっと思ってたんですよね。
西野:でもファッションのほうではなかったと。お洋服ではなかったんですね、つまり。
中川:自分はなにかを作るクリエイターではなかったんですけど、周りに美容師になりたいやつとか、スタイリストになりたいやつとかアパレルやりたいやつとか、そういうやつはいっぱいいた。なので、自分はそれをうまくビジネスにできるかたちを作るタイプになりたいと思ってたんですよね、当時。
西野:最初からそういうことだったんですね。プレーヤーの方に興味があったとか、そういうわけではなくて。
中川:そうですね、もともとイベントをやってたのも、イベントをやるためにプレーヤーをやってたっていう感じで。
西野:はぇ~。
中川:DJとかバンドは無理やりやってたっていう感じだったんですよね。
西野:へぇ~。増田さんはご存知でした?
増田:ええ、ちなみに僕の知ってる原宿というと、やっぱり竹の子族で止まってたんですけど。
中川:ははは(笑)。
西野:だいぶ前に止まりましたね。
増田:やっぱり原宿は今、新しいものを、日本だけじゃなくて世界にも発信してますから。それを仕掛けてらっしゃるのが中川さんですので、それはもう前から存じ上げてました。
西野:だからその「カワイイ」文化ですよね。カワイイっていうのが原宿発ですもんね。
中川:そうっすね。はい。
西野:あれは中川さんなんですか?
中川:あれはもともといろんな人が言ってはいたんですけど、なんとなくその、発信じゃなくてただ言われてるだけだったんですよ。それを発信していこうっていうので、「原宿カワイイ」っていう言葉にしてどんどん持っていったんですよね。
西野:へぇ~。なにが違うんですか? 例えば、それこそ行政の人とかがそんなことやったりするじゃないですか。「これ売り出していこう」みたいな。なんかわかんないですけど「うちの街はこれを」みたいな。
たぶん、各都道府県、各街でそういうことが行われてると思うんですけど、なんで原宿だけそんなうまくいったんですか?
中川:うまくいったというか、原宿という場所が海外では注目されていて。でも日本人って評価されていることを自分たちで外に出すのは下手くそじゃないですか。そういうのをすごく感じたので、「じゃあこっちから言葉を持っていこう」と。
それで、例えばきゃりーが番組で世界に発信したりとか、海外のイベントに出ていったりとか。そういうのやりながら、現地でもちゃんと知ってる人たちがいたんで、そこでだんだん認知してもらっていったっていう感じですね。
西野:最初はきゃりーちゃんですか? 「原宿カワイイ」の。
中川:そうです。ずっと増田セバスチャンっていうアートディレクターがすごく海外に向けて発信してたんですけど、やっぱり1つのアイコンがあるというのがすごく重要だなと思っていて。
西野:なるほど。
中川:きゃりーぱみゅぱみゅも、アイドルじゃなくてアイコンなんですよね。やっぱり発信力があって「自分たちで一緒に世界に発信していく」っていう子なので。
西野:なにがすごいんですか? きゃりーちゃんって。そう言われてみると、なにが抜きん出てるんですか?
例えば歌唱力がむっちゃあるだとか、ダンスがむっちゃすごいだとか、それこそスタイルが抜群にいいっていう人はたぶん他にもいるじゃないですか。きゃりーちゃんって、なにが抜けてるんですか?
中川:そうですね、僕らが思ってることで言うと、クリエイターをちゃんと引っ張り出してるというか。アイドルってこう、作り込むじゃないですか。大人がいろいろ作り込んでると思うんですけど、彼女の場合はそれを作り出していて。
西野:きゃりーちゃんが作り出してるんですか?
中川:きゃりーのアイデアを、じゃあスタイリストだとか、じゃあ中田ヤスタカが音楽でとか、いろんな表現は変わるけど……。
西野:きゃりーちゃんがアイデアを出すんですか?
中川:アイデアも出しますし、アイデアを受けることもあるし。一方通行じゃない感じがすごくいいんじゃないかなと思いますね。
西野:はぇ~!
中川:あとはその「クリエイター心」というか、作り出した作品として……なんていうんですかね、ただ音楽だけじゃなくて、PVがアートになってたり、いろんなことが繋がってくるということはできてるのかなって。
西野:確かに音楽だけじゃないですもんね。PV、超すごいですもんね。
中川:そうですね、そこはすごい大事にしてますね、最初から。
西野:きゃりーちゃんのPVって、もうYouTubeに無料で上がってるんでしたっけ?
中川:上がってます。はい。
西野:最後まで? フル?
中川:最後まで。それが最初のきっかけだったんですよね。当時まだYouTubeでPV上げるってあんまりなかったんですけど、でもやっぱり彼女の世界観と原宿と……。増田セバスチャンがPVのセットというか、全体の美術をやってたんですよね。
田向(潤)さんっていうCGすごい監督がいて、やっぱりその作り出したものを発信していくってすごく重要だなって思ったんで。
西野:おもしろいですね。
中川:だからPVは最初からフルで解禁して。そのPVを見てアメリカのMTVが記事にしてたりとか、ケイティ・ペリーがつぶやいてくれたりとかして広がっていったという感じですね。
西野:例えば、まぁ番組に出ても、理想の美術セットじゃないじゃないですか。ラジオで曲流されても、それはやっぱ音でしかなくて、きゃりーちゃんの場合はあのビジュアルも込みだから。
中川:そうですね、世界観込みで。
西野:だからYouTubeに無料で全部上げちゃったんですか?
中川:はい。
西野:はぁ~!
中川:だから今こそYouTuberって流行ってると思うんですけど、当時はそういう言葉なかったじゃないですか。
西野:なるほど。
中川:だからすごく、SNSっていうのは、彼女はTwitterもすごくフォロワー多いですし、発信力がもともとある子なんですよね。今の言葉で言えばInstagramerとかYouTuberとかいろいろあると思うんですけど、その本当の走りなんじゃないかなというふうに自分としては思ってます。
西野:それ、なんか圧力かからなかったですか? だって僕、こないだ絵本をですね、Web上に無料で全部公開したんですよ。もう大炎上したんですけど。
中川・増田:(笑)。
西野:本当(笑)。「そんなことすなよ!」みたいな。いや、でも僕の場合はですね、Web上の、つまりデータの絵本と紙の絵本っていうのは、価値がイコールではないと思っていて。
例えば絵本の場合だったら「読み聞かせ」っていう親子のコミュニケーションツールとして使われるから、だからスマホでこうやってお父さんがお子さんに、お母さんがお子さんにスマホでこう指で擦って読み聞かせするとは思えなくて。
中川:場面が違いますよね。
西野:場面がぜんぜん違いますので。だったらもう、Web上で無料公開しちゃって、オチまで全部出しちゃっても、要はその、売上が紙の絵本に響くことはないと思って。むしろ絵本とかは特に、お母さんとかは忙しかったり、お金にそんなに自由がきかなかったりするから……。うーん、なんだろう、「ハズせない」。
絵本を買う時はハズせないから、いろいろ聞いてったら、本屋さんで立ち読みを最後までしてから、オチも全部読み終わってから買うか買わないか決めるって言ってたから。だったらもう家で立ち読みさせてあげたほうがいいじゃん。
中川:そうですよね。
西野:という理屈でいったんですけど。そのなんか、別に思いつきで勢いでウェーってやったわけでも決してないんですけど、非常に炎上してですね、ワーってなったんです。「そんなの無料で出すなよ」「だってそこでお金取ってる人いるんだから」みたいなことを。きゃりーちゃんの場合っていうのはそれなかったんですか?
中川:当時PVは賛否両論ありましたね。
西野:やっぱりあったんすか?
中川:30秒だけとか、流さない人とかいろいろあったと思うんですよ。だから、1つのプロモーションをしようとしてやったという感覚ですね。
西野:思い切りましたよね。だってそれをすると、もうCDが完全に売れなくなっちゃうんじゃないかっていうのを考えるじゃないですか。
中川:僕もさっきの話と同じで、初めてでデビューだったので、メーカーもすごい一緒に話し合ったんですけど。やっぱり知ってもらうことがファーストステップでは重要だよねっていうのが。
西野:そうなっちゃいますよね。
中川:というのがあったので、そこはうまくやりましたね。
西野:やっぱり増田さん、そうですよ。まず、まぁ当たり前ですけど、知られないことには……みたいな。
増田:しかも今、仕事柄海外に行くこと多いんですけど、きゃりーぱみゅぱみゅさんのYouTubeって海外の子供たちもめちゃめちゃ見てますよ。
西野:いや、楽しいもん。
増田:たぶんね、あの世界観、ポンって腹に落ちるんでしょうね。ストンと。本当しょっちゅう見て踊ったりとかしてて。すごいなぁと思います。
西野:楽しいんですよ。で、「あっ、こんなことなんだ」ということで、ライブに行きたいなと思っちゃうんですよ。
ドリカムさんがなんかワンダーランドみたいな、すごい遊園地みたいなでっけーライブ、4年に1度ぐらいやってるじゃないですか。あれ、ライブが終わってから、情報番組とかで知ったんです。それをやってるっていうことを、学生時代。
あの映像を事前に知っていたら、僕、絶対ライブに行ってたんですよ。ドリカムさんがライブをした時にああいう世界観を作ってくれるんだっていう保証があったら。
要は当時YouTubeなんかなかったもんでね。ドリカムさんがミュージックステーションで歌っても、セットはああいう、みんな揃いのセットですから。ライブであんな世界観作ってくれるっていう情報を先に知っていたら、絶対ドリカムのライブに行ってて、お金落としてるんですよね。
それで、もうきゃりーちゃんはもうやっちゃったということですね。
中川:両方あると思うんですよね。きゃりーの場合は知ってもらって、それから聴きに来てもらうこともすごく情報が重要だったし。アーティストによってはこう……隠してじゃないですけど、狭めたほうがいい人もいるとは思うんですけど。
西野:はいはい。きゃりーちゃんの場合はそっちのほうが合ってたっていう。
中川:なんか、全部同じやり方じゃなくなってきてるんだろうなっていうのは思いましたよね、当時。
西野:あ~、なるほど。
きゃりーちゃんがバッていったじゃないですか。要は世界にバッて飛び出したじゃないですか。その次になにをされたんですか?
中川:まず日本で売れた時、世界に行こうっていうのを決めてたんで。同時に。
西野:どうやって世界に持ってったんですか?
中川:もう同時進行でよかったんですよね。要は日本で売れてる時に、もう情報が昔より早いじゃないですか。SNSに1枚アップすればそれで世界に伝わっていくわけなんで。
初めて紅白出た年の次の2月にもうワールドツアーを組んで、そのままワールドツアーに行ったという感じでしたね。めちゃくちゃでしたよ、最初は本当に。
西野:え~っ、むっちゃうらやましい。
中川・増田:(笑)。
西野:ちょっと待ってください、ワールドツアーって、見えてたんですか? お客さんが来ることは。見越せてたんですか?
中川:正直、最初は見えてなかったです。とりあえずやることが大事だと思ってたんで。
西野:1回やっちゃおうみたいな。
中川:そうですね、しかも早いうちにやろうっていうので、けっこう無茶しました。初めはベルギー・パリ・ロンドンって行って、その後アメリカ、ロサンゼルスとニューヨークへ行ってみたいな。
西野:僕、「情熱大陸」かなんかで見ましたよ。
中川:それです、それです。
西野:それっすか。すごく盛り上がってましたよね。
中川:そう、すごく盛り上がったんですよね。人もいっぱい入って。
西野:海外のイベントねぇ。なんで海外がうまくいったんですか?
中川:あれは本当にでも、やっぱりそのYouTubeと、あとさっきおっしゃってた、きゃりーって音楽だけじゃなくてファッション性もあったので、たまたまDAZED(ファッション&カルチャー誌「DAZED & CONFUSED」)のロンドンのほうの本誌の表紙やらせてもらったりとか、そういうのもできたんですよね。
西野:はぇ~。
中川:認知度がそれで一気に上がったっていうのがありましたね。
西野:へぇ~。おもしろ。
中川:オタクの、ジャパンエキスポに来るようなアニメとかポップカルチャー好きの人たちからファッションの人たちまで両方取れたのはすごく大きかったなと思います。
西野:はぁ~。おもしろいなぁ。
中川:それでけっこう盛り上がってきてくれたんですよね。
西野:へぇ~。おもしろ。
中川:初めはでも、自分たちでもどうなるかわかってなかったんですけどね。
西野:それはそうですよね。別に先輩が手取り足取り教えてくれるわけじゃないですもんね。前例があってっていうことじゃないですもんね。
中川:初めてライブやったベルギーとかは、もうちょっと場所が、治安が悪そうな感じで。
西野:どうしたんですか?
中川:いや(笑)。俺らは下見したことないんで、いきなり行ってみたんで……。
西野:いきなり行って、あっ、そっかそっか。
中川:はい。なんでもう……。
西野:なんかあったら……。
中川:スタッフがカメラを盗まれたりとか、道路で(笑)。
西野:へぇー!
中川:そういうのもしました。
西野:とりあえず1回やっちゃうんですね。
中川:やってみるのも大事だと思うんですよね。
西野:やっちゃってから。いや、増田さんもそうですよね。1回やっちゃうんですか?
増田:あっ、もう、やっちゃいます。
西野・中川:ははは(笑)。
増田:やったらわかりますよね?
西野:(笑)。
増田:僕も最初ボーンってメキシコに製品入れたとき、3分の1はお金を回収できませんでしたから。
西野:へぇー!
増田:「そっかー」と思って。そうすると学ぶことたくさんありますもんね。
西野:それはなんか、むっちゃ怒られるんですか? どういう責任の取り方するんですか? 3分の1回収できなかったら。
増田:「やっぱり海外ってお金取られちゃうんだねー」っつって。
西野・中川:ははは(笑)。
中川:それで笑えるのすごいですね(笑)。
増田:「しょうがない、しょうがない」「次、次ー」みたいな。
西野:でも総じてそうですよね、みなさん。要は、そういう活動をされててうまくいっている方って、まずやっちゃいますよね。
増田:そうですね、1歩踏み出さないと。
西野:そこから考えるみたいな。
増田:はい。遠いと思っていたものが、1歩踏み出してみたら「こんなもんか」ってすごく意外と近かったりとか、逆にもっと遠かったりとか、そういうのもわかるんで。「じゃあ今度はこうやってやろう」って、次の策が打ちやすくなる。
中川:その感覚すごいわかります。とりあえず行ってみるって大事ですよね、やっぱりね。
西野:はぁ~、すげぇなぁ~。なるほどね。
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