2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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藤田功博氏(以下、藤田):札幌で開催中のIVS Spring 2014、インタビュールームにゲストをお招きしてお送りいたしております。今回はLaunch Pad入賞者インタビューということで、第4位に入賞されました、ライフスタイルアクセント株式会社の山田さんをお迎えしております。おめでとうございます。
山田敏夫氏(以下、山田):ありがとうございます
藤田:まずは率直に、今の気持ちをお聞かせください。
山田:そうですね。正直、ホッとしたのと悔しい気持ちがあって、悔しい気持ちがおそらく今日夜ぐらいになったら、90%ぐらいいくのかなと思っています。
藤田:プレゼンされたサービスは、どういうサービスなのでしょうか?
山田:僕たちは「ファクトリエ」というサービスを運営しています。日本全国のアパレル工場の商品を、直接インターネットを通してお客様に届ける、すごいシンプルな通販サイトですね。
藤田:そのシャツもそうなのですか?
山田:そうです。これもファクトリエで販売しているシャツです。
藤田:なんかあの映像でも出ていましたけど、すごいこだわりというか、もう打ち合わせを重ねて重ねて……。
山田:そうですね。
藤田:一つの商品を作るのにどれぐらいの時間とか……?
山田:長いときには1年ぐらいかけますね。
藤田:1年!?
山田:はい!
藤田:シャツ1種類のために?
山田:そうですね。例えばポロシャツは30回試作をやって、もう夏の時期が過ぎちゃったりとか。
藤田:へぇ。
山田:やっぱり僕らは世界的ブランドと同じクオリティのもの、もしくはそれ以上のものを、本来の適正な価格で販売するっていう考えでやっていて、安く販売するという金額ベースの話ではなく、それだけこだわっているっていう部分を大事にしてます。ファクトリエの理念が「語れるもので日々を豊かに」というものなので……。
藤田:語れるもので日々を豊かに?
山田:「それどこが語れんの!」と「それ語れるポイント一つしかないんじゃ、だめだよ!」とならず、買ったお客様が明日会社に着て行ったときに同僚に、「ここ見てみ!」と3つぐらいあって、3つ覚えられないから一つを話すみたいな(笑)。そういう語れる場所がちゃんとしっかりあるのか、詰まっているのかは、大事にしていますね。
藤田:そういうサービスっていうか、そういう商品をつくっていこうと思われたもともとの原点というのは?
山田:そうですね。もともとメイドインジャパンっていうのは、実家が婦人服屋で老舗だったので、身近な存在ではありました。やっぱりきっかけは20歳の頃にフランスにいた時、GUCCIパリで働いて、彼らは「GUCCIもエルメスもヴィトンも、ブランドっていうのは物づくりからしか生まれない!」と。「日本ないよね? それ!」と言われた時に、ハッとしたんです。
そこで日本を見てみたら、メイドインジャパンはもう激減していて、風前の灯火だと。そこで、流通を変えたり、工場の非稼働時間を使うことで解決できるような策をとって取り組んだと。
藤田:山田さん自身のこういう思いを、やはり工場の人にも持ってもらうというか、そこの意識のすり合わせみたいなのはどういうふうに?
山田:そうですね、ケースとしては3つありました。ひとつが、もう工場を閉鎖するつもりだったから新しいことに取り組んでみたい、というのところ。二つ目は、既存流通の関係上なかなかできないけど、何かやりたい、と。もう一つは、やりたいけど、最終的にインターネットって何かわかんない、という。
僕らもパソコン持って行っても、インターネットがそもそもつながらない場所だったりするので、絵本みたいになるのですよね。ここをこう押すと、このページに行きますみたいな。Wi-Fiなんてないですし、っていう最初のスタートでしたね。
藤田:どのパターンが多いものですか? すんなりはやっぱり、なかなか難しそうなイメージなのですけど……。
山田:そうですね。ハードルとして難しいのは、全国200工場回りまして、ほとんどは現地に行ってタウンページ調べるか、現地の商工会議所でプレゼンさせてもらってとかなんですよね。なので、まず出会いが、「HP持ってないので接触さえ難しい!」っていうそこですね。出会っても、僕らは世界ブランドをやっている工場としかやらないので、申し訳ないですけど断るケースもあるんですよ、自分から行っておいて……。
藤田:そうですか。
山田:メイドインジャパンにも実はいろんなメイドインジャパンがあって、量産型のメイドインジャパンもあれば、世界のトップブランドの細かい仕事をまじめにやっている工場もあって、僕らはそのトップブランドの仕事を真面目にやる工場とだけ独占販売契約で提携していっているので、そういう意味では、そこのバランスっていうのが難しかったですね。
藤田:なるほど。
藤田:実際今日は、朝も早くからリハーサルがあったり、準備されたと思うのですが、会場入りしたときの気分っていうのはどんなものですか?
山田:そうですね……結構スタッフの皆さんが多くって、多い分緊張感が高まるというか。しっかりやらなきゃいけないし、結局昨日は一次会の後部屋に帰って、やっぱりずっと頭から離れなくて、朝会場入りすると何か会場が冷えていてちょっと寒くって、より緊張感が高まる、みたいな。独特のものがありますよね、席数数も多いですし……。
藤田:実際オープニングが始まりますと、ご自身の順番を待たれている間にほかの方もプレゼンされていくと思うのですが、ああいうのは結構耳に入るものですか?
山田:そうですね。良かったのが3番目だったので、残り11個は、余裕もって聞けました(笑)。
藤田:そうだったんですか。
山田:優勝したWHILLさんと袖口で、僕らの順番が1番・3番で一緒(の組)だったのでお互い声かけ合って、握手したりなんかしてたので、そういう意味では緊張解いてくれて、しかも彼が優勝して、嬉しいような悔しいような、みたいな(笑)。
藤田:実際プレゼンを終えた瞬間の手応えっていうのは、どんなもんだったんですか?
山田:予定では5分半くらいで終わる予定だったのでビビりました(笑)。ふと時計を見たら、5分52秒ぐらいで、あと8秒で2スライドやらなきゃいけないみたいな。予定よりも早く終わるってみんな言っていたはずなのに、予定よりも遅く進んでて、最後駆け足だったので。余裕をもって終わっていいかなと思っていたのですけど、ピピピッ! と同時に最後締めたので、焦って終わった、まだ息が荒いまま終わったみたいな(笑)。
藤田:言いたいことはもう言い切ったぞ、という感じですか?
山田:そうですね。お客様の反応もきっと悪くなかったですし、抑揚をなるべくつけるようにしたので、良かったかなと思いましたけど。その後11個余裕を持って聞いたら、皆さんすごかったので焦りだしました(笑)。
藤田:実際、表彰ですってなって、5位。順番に発表されていく、そのときはまさにどんな気分ですかね?
山田:1位で壇上に立つのを夢みていたので。
藤田:はい。
山田:夢見ていたのと、呼ばれなかったらどうしようと、ほんと微妙ですね。信じている気持ちが強いですけど、やっぱり呼ばれない可能性のほうが高いわけじゃないですか!
藤田:そうですね。
山田:9社が呼ばれないわけですけど……。
藤田:今回14チームありますしね。
山田:14チーム中5番目の発表が終わって、4番目が僕だったのですけども。だから呼ばれてくれ! と、呼ばれるな! と、なんか変な感じでしたね、ほんとに。だから最初に言ったホッとしたっていうのにつながるのでしょうけど。
藤田:ああ、なるほど。
山田:自分のが聞けてない分、不安ですよね。
藤田:なるほど。
山田:その後11社を聞いている分。
藤田:今回、実際にはかなり厳しい予選があり、それを勝ち抜いてこられたと思うのですけれども、最初の予選からフィードバックというのはあるものですか?
山田:ありました。フィードバックをそのまま鵜呑みにして、継ぎはぎでいったら、悪くなったって言われて(笑)。このままじゃダメだよみたいな(笑)。なんか結局、腹の底から自分が話せる言葉じゃないと。アドバイスを鵜呑みにするというよりは、1回消化したあとに自分のものにしないと。出たいがために、アドバイス通りにすると、良くなかったのですね、僕の場合は……。
藤田:どういうアドバイスがあったんですか? 例えば。
山田:そもそもLaunch Padなのに、サイトの説明を全くせずに、なんか「コンセプトと市場」みたいな話だけしたりとか。あと、最初はムービーもなかったんですね。言いたいことだけ、こんなメディアでましたとか、こんなお客様層ですとか、サービスの話を全くしなかったので、そもそも「サービスの話しろよ!」って言うのと、「順番おかしいから変えたら?」みたいな。
それを全部頭の中に入れて、メモっていたやつを見返したらわけわかんなくて、全部詰め込んで、言われた通りやりましたけど何か? ってどや顔していたら、いやもっと悪くなっているよって言われて(笑)。
藤田:トータルに振り返られて、このLaunch Padに出た意味とか収穫っていうのはありましたか?
山田:ありましたね。自分の事業が、何がコアなのか、人に伝える上で、すごいシンプルになりました。たぶん僕は100個ぐらい何やっているのとか、いいところ100個ぐらい言えたんですけれども、きっとその中の伝えるべきは1個で、それを認識して、研ぎ澄ます作業ができたというのはすごい良かったですね。
藤田:そういうことでいうと今、これから山田さんご自身はこの事業をどういうふうに育てていくか、という計画はあるのでしょうか?
山田:そうですね。計画としては、2020年に100億円という売り上げ目標がありまして。まだまだこの1年は、サイトができて1年なのですけど。工場回ることがメーンだったので、売り上げつかないのかなと思ったら、偶然にも年商で5,000万ぐらいの売り上げがWebで出て、非常にリピート率も高いっていうのがわかったので、ここで売り上げ立つはずじゃなかったところで、嬉しい悲鳴だったのですけど。
ここからで言うと、それこそメンズばかりの商品ですので、レディースを増やすとか、今もう売り切ればっかりなので、もうちょっとラインナップを、MDをもっと考えるかどうか、当たり前のことをきちんと積み重ねるっていうのが、今の私たちですかね。
藤田:そこからそういう在庫をどうするのかと……。
山田:おっしゃるとおりです。
藤田:いわゆる本当の物作りの難しいところと、面白いところが出てくるのでしょうね、たぶん。
山田:そうですね。リアルですけど、人生賭けるべき事業かなと。それと出会えたことはすごい幸せだと思います。
藤田:そうですね。
山田:はい。
藤田:そういう計画っていうのは、どういったタイミングに考えるものですか? 会社で考えるのですか? それとも……。
山田:そうですね……。やっぱり煮詰まるので、メンターと言われる方に聞きに行ったりしますね。2、3人いらっしゃって、それぞれ違うこと言うのですけど。でもそれは結構、的を射ていて、僕の場合実家が婦人服屋なので、山田商店になりがちなんですよ。 それはいい意味でも悪い意味でも、無い袖は振れないとか、これは自分で三役できるとか。
でも本当は仲間をもっと募って、それぞれ分業して、組織的に株式会社としてちゃんとやったほうがいい、と。この1年は工場回りと、山田商店というのが続いてきたので、いよいよきっと、売上を100億に目指して、株式会社として組織として、僕が経営者として、やってく時期なのかなとは思っていますね。
藤田:じゃあやっぱり今回のこのLaunch Padに出られて、たぶん終わられたあとにいろんな方と名刺交換されたり、あるいは今日これからもあるかなと思いますので、そういうことがつながっていくといいなってことでしょうね。
山田:はい。
藤田:実際何か反響がありました?
山田:すごいありましたね。さっきもまだ見ていないのですけどFacebookもTwitterもメッセージいろいろいただいたので。
藤田:あ、そうですか。
山田:おめでとうって言ってくれるのは嬉しいのですけど、力足らずで、もっといい賞でみんな喜ばせたかったなと思いますけどね。
藤田:わかりました。では最後に一言メッセージということで例えば、スタッフを募集していますよ! ですとか、何でも結構ですので、この番組をご覧の皆様に一言いただければと思います。
山田:ファクトリエは、おそらく世界に出ていくファッション系で唯一無二の存在になれるかなと思っています。これから組織を作っていく上で、デザイナーですとかエンジニアを募集しています。
皆さんググると「ファクトリエ 採用」っていうのが、すごい上位に出てきてしまうのですが、現在ファクトリエ、採用ページありません。ですが、実は募集していますのでぜひ応募していただければなと思います。
藤田:ありがとうございました。今回は、札幌で開催中のIVS Spring 2014インタビュールームに、Launch Pad入賞者インタビューということでライフスタイルアクセント株式会社の山田様にお越しいただきました。ありがとうございました。
山田:ありがとうございました。
藤田:おめでとうございます。
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