2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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夏野剛氏(以下、夏野):それをharvard.eduで始め、アイビー・リーグに広げ、スタンフォードに広げ……。そんな順番にやっていったことで、ある一定の信頼レベルのあるコミュニティを作れたというのがあると思うんです。
でも、最初からそこまで意識できるほどすごくはないと思うので。そういう意味では、たまたまなっちゃったのかもしれません。(福島に向かって) 付け足したいことがあればどうぞ。
福島良典氏(以下、福島):いや、そうですね。グローバルっていうよりはジェネラルなものを作りたいな、っていうのはずっと思っていて。
夏野:はい。
福島:僕らのニュースアプリのアルゴリズムも、ニュースを見た時のユーザーの行動を統計的・確率的に見て、「こういうアルゴリズムがいいんだよ」みたいな思想で作ってるんですよね。
なので、今インドネシアで展開はしているんですけど、アプリの成長を示す数字は上がっているんです。なので、アルゴリズム自体は普遍性があるかな、と。
一方で、今の世界の状況を見てみると、昔よりもグローバル企業が出にくくなっているなと思っていて。というのも、例えばUberって、すごく革新的なサービスだと思うんですよ。でも、Uberはぜんぜんグローバルで取れていなくて。というのも、情報が伝達する速度が早くなっていて、ライバルにパクられちゃうんですよね。
「真似しにくい、ものすごいテクノロジー」とか、あと最近の傾向だとコミュニケーション、いわゆるネットワーク外部性が働くようなサービスがグローバルを取っているなと思っていて。
やっぱり本気でグローバルを狙うなら、指数関数的に伸びるような、サービスじゃないとグローバルをそもそもとるっていうことができないんじゃないかなと思っています。
夏野:その「グローバルな会社」に勤めている、鵜飼さん?
鵜飼佑氏(以下、鵜飼):そう思った時に、日本でビジネスを始める有利な点は、なにかありますか? 例えばFacebookとかだと、たぶん違う国に展開していこうと彼らが思っていなくても、ハーバードの大学生って世界中に友達がいたりとかすると思うんです。
日本でそういうものを始める時には、どうしても日本人って。まあ、島国っていう感じですけども、言語の問題もあって、やっぱり日本で固まる傾向があるかなと思うんです。なにか日本でビジネスを始めるにあたって、すごく苦労した点、「こうだったらいかったな」とか、なにかありますか?
福島:そうですね。日本でやるメリットは、正直、競争がゆるいことだと思います。
鵜飼:(笑)。
福島:そんなに優秀な人はベンチャーに来ていないし、ベンチャーの数自体が正直、経済規模に対して、シリコンバレーとか中国の競争環境に比べると「めちゃくちゃゆるい」という事実はあると思います。
デメリットは明確に人口ですね。日本語を使う日本語圏の人口は、もう1.4億人くらいしかいないんです。でも、中国語圏だったら14億人います、英語だったらもっといますっていうところで。いきなり英語でサービスを始められる、いきなり中国語でサービスを始められるっていうところが、中国とかアメリカからグローバル企業が出てくる一番の理由だと思います。
米澤香子氏(以下、米澤):私が「なりたいですか?」とうかがったことと関係するんですが。日本人って、AppleやGoogle、シリコンバレーに対して強い憧れを持ってる人が多くて。それを、あまりいいことだと捉えていないんです。
夏野:なるほど。
米澤:憧れる対象を持つこと自体はぜんぜんいいんですが、きちんと足元をみて、自分が正しいと思ったことや、自分が毎日使いたいと思ったサービスを愚直に作っていれば、いずれ自然とそうなるものだと信じているので。
いきなり世界中の人が使ってくれるものを作りたいと考えるのはおこがましいと思うんです。自分が毎日使いたいもの、毎日持ち歩きたいものをきちんと定義する。目の前のことがちゃんとできて始めて、世界の人に届ける方法を考えるのが正しい順番だと思いますね。
夏野:すみません、このアジェンダ設定、僕がしました。
米澤:あっ、すいません、言っちゃいました(笑)。
(会場笑)
夏野:なんで僕がこのAppleかGoogleかっていうと、僕自身はビジネスがAppleがもうぜんぜんダメダメな企業……時価総額が1,000億下回るか、1,000億、2,000億の頃から上がってくるのとを見ていたんで。Googleも同期なんですよ。
僕は、AppleとかGoogleの社内もよく知っている。まさに今おっしゃったように、別に最初から世界をとる意志があったと言うよりは、けっこうサービスに対する戦略的な考え方と情熱があって、AppleとGoogleがここまで来たと思うんです。
僕が未踏のPMをやっていて思うのは、情熱力とか技術力とかは日本はまったく劣ってないんですよ、みなさん6人。まったく劣ってないんだけど、なにが違うのだろう。それを今みんなに聞きたいなと思って、こういうアジェンダ設定しました。(一同に向けて)心当たりのある方は?
(一同笑)
夏野:本多さん、どうぞ。
本多達也氏(以下、本多):はい、よろしくお願いします(笑)。
(一同笑)
確かに、みんな一緒に就職したりとか、みんな「大企業に入ったら勝ち組だ」と言って、勉強しなくなってるっていう同期がすごく多かったです……(笑)。
(会場笑)
本多さんは大企業に戻ったんですよね。
本多:はい。でも、僕は大企業で自分のやりたいことっていうのをちゃんと共感をしてもらって、プロジェクトを進めさせていただいているので。本当に情熱を持ったまま、プロジェクトを進めさせていただいております。ありがとうございます!
(会場笑)
夏野:あんまり、おもしろくないですね(笑)。
(会場笑)
(米辻氏を指して)はい。
米辻泰山氏(以下、米辻):僕がちょっと思ってるのは、日本って数十年前まですごく勝ってたと思うんですよ。任天堂とか、プレイステーションとか出してましたし。それこそ車とかも、かなり品質のいいものを出していました。すごくいい状態だったと思うんですけども。
ここ20年、やっぱりパソコンとかスマートフォンが出てきた頃に、あまり勝ててなかったっていうのはある、と思っています。そこで、まあ、OSとかプログラミングができない云々は、もうずっと言われてると思うんで、もういいんですけど。
ものづくりっていう点に関しても、今けっこう日本ヤバいなと思っているんです。ドイツのインダストリー4.0だったり、けっこう先進的な取り組みをやってるところはありますし。
僕、もともと、1回ファナックっていう工作機械メーカー、ロボットメーカーに入ってるんで、日本の工業の状態とかも多少は勉強したんです。かなりすごく数十年前の職人さんとか工場とか古い状態でがんばっていて、なんとか戦っているっていう状態なんですけど。
今、中国とか、どんどん新しい機械を入れたりしていて。やっぱり日本でものを作ってる人、実際にどんどん減ってるんですよね。
だから、今なにか新しいものを作ろうと思ったとしても、例えば、電動車いすのWHILLさんとかでも、日本じゃなくて台湾に工場を見つけて作っている。そういう状況があるので、ものづくりも情報もそうなんですけど、応援しないとどんどん衰えていく。そこらへん、みなさんちゃんと応援してほしいな、ってずっと思っています。
あ、すいません。ぜんぜん質問じゃないんですけど。
夏野:いや、ありがとうございます。
米辻:だから、お2人のところも、どんどんおもしろいものとか作っていいんじゃないかなと思ったりもしてますけど。それはぜんぜん本業と関係ない気もするんですけど。
鈴木:(笑)。
夏野:じゃあ、Preferred Networksから転職してみましょう。スマートニュースが仲間を募集してるから。
米辻:なるほど。いや、でも、僕、かなりいろいろ自由にやらせていただいてるので、けっこう今は楽しいです……。
(会場笑)
夏野:予算をもっとあげましょう。
鈴木:いや、なんかあの……先ほどの答えと一緒に、もう少し夏野さんの質問にストレートに答えると。アメリカでオフィスを構えて、人を採用して、事業をやっているんですけども。有利不利の話で言うと、やっぱり圧倒的に日本は不利だなと思ってることが1つあります。
それはなにかっていうと、エコシステムなんですよね。まさに未踏自体がエコシステムを作ろうとしてると思うんですけども、とくにどこのエコシステムかっていうと、お金とかね、いろいろあるんですよ。市場とか。実はネックになっているのは人材っていうか、人なんですよね。
今、スマートニュースは日米で七十数人でやってるんですね。Gunosyさんところも100人ぐらいですよね、確か。中国のニュースアプリの会社とかが、だいたい2,700人ぐらいなんですよ。アメリカもそんな感じで、創業時期はだいたい同じなんですけども。
ベンチャーで、アメリカでもやっぱり数百人とか1,000人とかっていうのが、まあ、1年とか2年の間で採用できるんですよね。しかも優秀な人が。そういうプールがある。
僕らもですね、採用をサボってるわけではないです。先ほどのプレゼンを見ていただくと、いかに我々が一生懸命に採用活動を行っているか、非常によくわかっていただけると思うんですが。
(会場笑)
これでもですね、本当に優秀な人に来てもらうっていうのが、やっぱり難しい。お金はあるんですよ。だって、90億円も集めましたからね。まあ、給料はけっこう高いんですよ、実は。いろいろアピールしてるんですけど。
(会場笑)
そういう中でも、実は日本にいるっていうだけで、優秀な人材がベンチャーに来なくなるんですよ。ベンチャーで起業している人たちが少ないっていうだけではなくて。
大事なことは、ある程度突き抜けたベンチャーに人がガーッと集まっていって、2番目、3番目でもいいけれども、どんどんそこに集約されていくっていう仕組みがないんですよ。ずっと小さいベンチャーでやりすぎちゃう。
アメリカだと、もうパッと1年くらいで辞めて。それで別のベンチャーに入ったりするわけですよ。こういうの(人材流動のサイクルが)がすごく早くて、圧倒的なスピードと。
アメリカで今採用をやっていますけど、ビックリするぐらい優秀な人たちが、1ヶ月とか2ヶ月でブワーッと何十人も応募してくれるんですよ。これはもう本当に衝撃的で、「なんだ? これは」「なんで日本ではこんなに苦労してるんだ?」って思うことがあるくらいなんですね。
この状況を変えないとどうしようもないかな、と。そのために、1つは未踏の人材が、お近く同士で入るっていうこともあるんだけど。
福島:わかりやすいですね(笑)。
(会場笑)
夏野:ということで、今、鈴木さんにまとめていただきましたが。日本が一番不利なのは、人間とお金なんですよね。逆に言うと、言語の壁とかなんとかなる、テクノロジーでなんとかするっていう話です。
そういう意味では、やっぱり「そこのところ人材とお金に関して、我々大人がいかに解決していくか」を問われてるのかなという。結局、僕自身に返ってくる言葉で、このコーナーは次のコーナーに移っていきたいと思います。
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