2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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小林(以下、小):まず、このセッションのご説明をしたいなと思います。(会場に向けて)先ほどのセッションどうでした? 楽しかった? 勉強になった人?
(会場挙手)
ありがとうございます。プログラムを見て頂いたら分かるんですけども、起業ばかりの話をしていきますと、それ(起業)ばかりじゃないかなと思っていまして、やはり社会に出て働くとか生活するっていうテーマを、どうやって生きていくのかっていうのをこのセッションとか、次のセッションで話していきたいなと思っています。
今回はですね、働くとか、どうやって生きていくのかというテーマのセッションになります。まずは簡単にご紹介ということでプレゼン資料いきたいと思います。じゃぁ池谷さんからお願いします。
池谷(以下、池):はい。スマートエデュケーションの池谷です。僕は2年前にスマートエデュケーションという会社を起業しまして、おかげさまで事業も順調で、なんといっても社会の皆さんからも認知されてですね、何とか資本金も多くなって、5億円ぐらい資金を貯めて今がんばっているという状況です。今日は学生さん向けなので経歴を少し紹介したいなと思います。
私は2000年に明治大学の大学院を卒業して、今から考えても平凡な学生で、大手のヒューレットパッカード(HP)という会社にSEとして入社しました。HPという会社はすばらしい会社で、誠実ですし、とても楽しかったんですけども、ちょうど2000年というと、日本のベンチャー界が元気が良くなってきたところで、自分が一生懸命働いていく中で、同じ世代の藤田さんとか、皆さん起業されて成功されている姿を見て、いてもたってもいられなくなってですね。
2004年にサイバーエージェントグループの門を叩くというかたちで、サイバーエイジェントグループのシーエーモバイルという会社に平の社員で入社いたしました。その後約8年間頑張るんですけども、最終的にはやはり自分こそが本物の起業家になりたいという風に思うようになって、思うようになったのは36歳なのでだいぶ後なんですけども。2年前にそう思いまして起業に至ったということです。
あまり社長が喋るよりも、うちはコンテンツの内容を見て頂いたほうがいいので、どんなものを創っているかというと「きょうりゅうずかん」という最近出した作品のイメージムービーをごらん頂こうかなと思っております。
これ本当は音が出ているはずなんですけども、うちが創っている教材というのがですね、スマートデバイスとかタブレットならではのことを考えているので、どんどんこすって恐竜が出てきて化石がでるという。いわゆる今までの教材というのは、すばらしいもので、それを否定するということではなくて、やはり今出てきたスマートデバイスを生かした、ならではの教材を創ってそれを世界に展開するということを考えています。
なので今まで、私たちが小さいころには観たことがなかった、今はこういう教材で子供達が学べることができるんだよっていうことを子供達に伝えているようなかたちです。で、これもつい2,3ヶ月前に出してヒットしている商品で今、恐竜ブームということもあってですね、こういうかたちで子供が遊んでいると。
おかげさまで2年間、たった2年間なんですけども、ユーザーさんに認知されるようになってきて、今だいたいどれぐらいの被覆率かというと、私たちはもちろんママがお客さんなので、日本にいるですね、スマートフォンとかタブレットを持っているママの2人に1人はうちのアプリケーションが入っていると。
データをとっていますので統計学的に分かるんですけども、それぐらいの認知度になってきて、最近は嬉しいことに優秀な仲間たちがうちの門を叩くようになってくれて、一緒に子供達の生きる力を育てるために頑張りたいんだと、そういう風に言ってくれる人が集まってきています。
小:はい。では続きまして次のプレゼンに移ってください。
西村(以下、西):西村と申します。よろしくお願いいたします。2004年にこの学校を卒業して、僕中学から慶応なんですけども、2005年からソウ・エクスペリエンスという会社をやってます。起業という観点でいうと、就職した経験が一度もないので、その辺がユニークなのかなと。
あとはこれから話す内容でユニークさを感じて頂ければ、連絡なり頂ければうれしいなと思います。僕は最近のエクスペリエンスとしてフェンシングとか難民ツアー、北米ツアーとか、そういうものにすごく関心があってですね。何をやっている会社かというと、体験ギフトっていう商品の企画販売をしているんですね。
体験ギフトって何かというと、その名の通りですね、いろんな体験をギフトとして贈れるようにした商品で、例えば父の日に毎年ポロシャツを贈っているとか、母の日にカーネーション贈ってるとか、もっとプレゼントにいろんな選択肢があっていいんじゃないのかなと。実はモノじゃなくて体験というのも、さっき写真にあったフェンシングだったり。フェンシングなんてなかなかやる機会ないじゃないですか。
でも人から贈られてみたらやってみようという気になるかもしれないし、例えば両親に結婚何周年記念で東京湾クルーズを贈ってあげようとか、疲れている彼女にエステを贈ってあげようとか、そういうことが日常的に行われてもいいんじゃないのかなぁと思って。そんな商品をつくって販売しています。
それは単に体験ギフトっていう商品を広めたくてやっているのもあるんですが、一番根底にあるのは、僕らの会社のスローガンがありまして。それが「グットエクスペリエンス・グットライフ」っていうのを掲げていて、いい体験がいい人生だよねと。逆に言うといい人生はいい体験の積み重ねだよねと。他に幸せとか、幸福の軸っていっぱいあると思うんですけど、それはお金であり、仕事の成功とかかもしれないし、異性関係とかかもしれないし。
いろいろあると思うんですけど、とにかくやっぱり自分なりに楽しい、いい体験だったなと。一時的につらいことがあっても結果的にいい経験だったと思えればそれはもう最高だし。まぁ当たり前のことなんですけど。そういう当たり前のことがないがしろにされている世の中だと思うので。そういうグットエクスペリエンス・グットライフという価値観が広まればいいなと。そのためにいろんな事業をやっていこうと思っているんですけど、まずは体験ギフトというかたちで。
人間って怠惰で、昨日と同じ今日、今日と同じ明日を生きがちだと思うんですけど、そういうとこに例えば僕が小林さんから、体験ギフトをプレゼントされて、その体験にはいろんな体験が出ていて、どれか1つを選べるんですよ。選んで一緒に入っているチケットを使えば僕はお金を払わずに体験できるという、そういう仕組みなんですけど、そこにはパラグライダーとかピアノのレッスンとか、いろんなものが8種類ぐらい出ています。
昔僕が習っていたピアノをずっと再開したいと思っていたけど、なかなかそのキッカケがないという時にもらったら、じゃぁやってみようかという気になるじゃないですか。それを今、伊勢丹とか東急ハンズとかファミリーマートとか、いろんなところで売っています。言い方が悪いんですけど「良質な地雷」だと思っていて、その良質な地雷を世の中にいっぱい埋め込んでいるわけなんですけど。
それで何気なく贈り物として使ってもらえたら、どこかの誰かの新しい体験が生み出せたらうれしいなと思ってやっているので、さっきの認知度調査はだいぶ低かったので、これは負け犬の遠吠えとかじゃなくて、こういうとこで認知度が低いと、すごい嬉しくて。やっぱりまだ伸びるパイがあると思えるんですね。ここでもし認知度100%だったら、これまでかと思うしかないので。そういう意味でまだ勝負根性というか、そういうことやってる人なので、よろしくお願いします。
小:はい。よろしくお願いします。では最後にパタゴニアの辻井さんからお願いします。
辻井(以下、辻):昔から落ち着きがないと言われていて、立ってやっていいですか? 皆様よろしくお願いします。自己紹介ということで、一般的な企業というところでの経験は大学を出て3年間、デンソーという車のトヨタ系列の会社で働いていました。その後は割とその時々で自分の興味のあることをあまり後先考えずにやってきたというのが、だいたいこのスライドでおわかり頂けるかなと思います。
ちなみにパタゴニアにパートタイムで入ったのが、僕が30歳だったので、ずいぶん遠回りしてですね、今でこそフリーターという言葉があるんですけど、僕たちの時はプー太郎と言われてですね、非常に印象が悪かったので大学院に入ってみたりとか、いろいろしました。そういった経験がアウトドアの衣類を作っているパタゴニアという会社でめずらしく重宝がられて今に至っていると。
僕たちの会社のミッション、存在理由をご紹介して最初の紹介に替えさせて頂ければなと。ミッションなので今しているというわけではなくて、常に北極星のように置いておいて、それに向かって目指していくというものです。僕たちはアウトドアのフィールドでアウトドアスポーツをやられる方々が安全にそして快適に過ごせる、そういう品質をもったものを創りたい。そういう最高の製品を創りたいというのが僕たちの1つめのミッションです。
同じクオリティ、ファンクションのものが創れるのであれば、今地球上で存在している一番環境負荷の低いやり方、働いている方々に適切な関係を結びながら製品を創ろうというのが、2番目の環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑えるという部分です。
2つだけ例を挙げたいと思うんですけど、僕たちは91年に自分たちが使っている4つの繊維ですね、ポリエステル、ナイロンっていう石油製品とコットン、ウールっていうものの今でいうエコロジカルフィットプリントを徹底的に調べていました。そうすると一番ショックなことに一番ナチュラルなファイバーだと思っていたコットンが、環境だけでなく人権的な非常に大きな負荷をかけていたということが分かりました。
例えば地球上でたった1%の耕地面積しかないんですけども、殺虫剤の10%、農薬の25%が使われていて、さらに収穫の前にはですね、枯れ葉剤、これはベトナム戦争で使われていた有機リン酸エステル系の農薬ですけども、それが未だに世界中のコットンの9割以上を創るときに使われています。日本はコットンは99.99%輸入ですので、そういった目にあっている労働者はいないんですけども、アメリカやインドやトルコの中には、そういう環境の中で働いている方がたくさんいます。ですので僕たちは、96年からオーガニックコットンに切り替えました。
もうひとつは最終製品が手にされる場所から遠いところで作られていることが多い世の中です。そこまでにどんな人たちがどんな風に関わってどんな環境インパクトを出したかっていうのが非常に分かりづらい、分厚いカーテンで遮られている世の中ですので、そこを明らかにしていきたいと思っています。
この写真は4月中旬にバングラディッシュで起きた大きな事故の写真なんですが。これは僕は事件だと思っているんですが、この8階建ての建物は4000人の強制労働者が働く工場です。当時3000人の方がミシンを動かして、違法に設置されたそれらのミシンの発電機が振動を起こしてビルが根こそぎ崩壊して、1晩で1200人が亡くなりました。
この製品を創っていた、発注していた企業はイギリスのファストファッションでプライマートという会社ですけど、ジーンズが750円です。ジーンズが750円で作れるということは、どこかで誰かが、もしくはどんな形かで環境に対してインパクトが出ていると僕たちは考えています。ですのでこういったことをきちんとやっていこうというのが2つめです。
最後が少し矛盾するようですが、ビジネスを使って環境問題を解決する。確かに環境インパクトを出すんですけど、僕たちはそれをポジティブな変化を生み出すツールとして使えるというふうに考えています。例えばこういったバングラディッシュでの事故をなくすために、どのようなことができるか。オーガニックコットンを広げるためにどのようなことができるか。簡単にいうと、こういった手間がかかる事をやってビジネスとして継続していく成功例を示していくということ自体が、他者に何らかの影響与えていると考えています。
僕はお二人と違って起業家でも何でもなくて、そういう意味では何かを積極的にスタートする気概がない人間で、その分、今日はもしかしたら自分ではない誰かが作った組織で自己実現をするっていうことに関しては、何らかのお役に立てることがあるかもしれないなと思っています。
小:どうもありがとうございます。では早速パネルディスカッションに移りたいと思います。まずパタゴニアの辻井さんから素晴らしいお話を頂いたんですけれども、三者三様というかですね、社会的な意味があるというか、まぁ体験ギフトにしても体験を差し上げる、プレゼントするというか。非常にいいなあと僕思いまして今回パネルに人選させて頂いているんですけども。
やっぱそういういい事しながらビジネスとして両立されている。皆さん結構、いろんなことをやろうと思って、金儲けすりゃいいじゃんと思う人はいるかもしれませんけども、やるんだったら世の中変えたい、世の中良くしたいと思いながらビジネスをやりたいと思っているような方が大半じゃないかと思います。
そういった観点からなぜ創業しようと思ったのか。で、その次にビジネスとしてどのように、成り立たせるというかやるべきかというようなお話を伺いたいと思っています。池谷さんと西村さんは創業なんですけど、辻井さんは働きながらどういうふうに思っているかで行こう伺いたいなと思っています。じゃぁ池谷さんから。
池:実をいうと、何度かお話ししているんですけれども、教育をやろうと思ったのは起業しようと思った後なので後天的なんですよね。最初は起業したいと思っていて、結構そういうのはよこしまな部分もあってですね、率直にサイバーエージェントグループで役員とかやっていて、業績が悪くなってくるとなんだかんだサイドが、うるせぇなということになってくるんですよね。
でもそういう悪口を言っているのってやっぱりよくなくって、創業した方が自分のためになるとすごく思ったし、なので自分の中では創業しないと自分的な自由が得られないというか、今はそんなことを言うと白い目で見られるかもしれないですけど、出発点はそういうところにあって、なんとなく動物として起業しないといけないと漠然と思ったいうのがスタートでしたね。
最初は子供3人もいたので、食わなきゃいけないって事があったんでてっとり早くソーシャルゲームみたいなのを作ろうかと思うことが3日ぐらいあったんですけど、いやいや待てよ、て仲間と話すことがあって。当時僕らが起業した頃って震災があったころで、義援金を送ったりとかしたんですけども、例えば孫さん、日本で成功された方でスケールが違う援助ができたりするわけですよ。
いわゆる社会的なインパクトが、給料とかそういうことではなく社会を動かすことができるんだっていう、だからそういう社会的な起業家になるべきだなって思ったのがきっかけです。教育を選んだのは、ネットにも書いてあるんですけど僕は息子のおかげで、家で浪人生活を送っている時に当時、年長の息子が、今は3年生になりますけれども、僕のiPhone 3GSでひたすらパズルをやったりとか、それこそ算数の計算をやったりとか、勉強しているのを見ていて、なんだこれ! みたいな。
子供がこういうデバイスで、ゲーム以外のことをやっているのを初めて見たっていうのがあって、自分はもともとHPでコンピューター学んでいたっていうのがあって、こういうことで社会貢献をできるんじゃないかと思って、じゃあこれをテーマにしないかって言った感じですね。
小:なるほど。ビジネスの話は後で伺いたいと思います。では西村さんどうですか。そもそも大学生の時から某大手の会社に選ばれたっていう感じですよね。
西:そうですね。パナソニックの。今ビジネスプランコンテストって一般化しましたけども、僕が大学3年生の時に、優勝したら三千万出すぞっていう太っ腹なコンテストがあって。
小:三千万!?
西:僕はその頃から会社をやりたいなって強く思っていたので、エントリーして最後に中国人と韓国人が残って三つ巴の戦いだったんですけども、打ち負かして。まぁ今でも仲いいんですけど。それで三千万出してもらえる権利はいただいたんですけど、その後いろいろ会社を立ち上げる準備をしている中で、ぼくがワガママを言い過ぎたっていうのが原因だと思うんですけど結局その話はなくなって、今の会社は卒業して1年ぐらいの頃に創って、今は7・8年っていうところですね。
小:それってコンテストで受かった事業プランと、今やっている事業プランというのは……。
西:全く別ですね。その時は意識せず、がむしゃらにやってるだけなんですけど振り返ってみると深いところがあって。当時やろうとしたのは、レーシングカートってたぶん分からないと思うんですけど、マリオカートってみんな知ってますよね? マリオカートの本物版ができる場所っていうのがあるんですよ。やるとすごい楽しいんですよね。
その場所が東京とか近郊とかにいくつもあって、僕自身もちょこちょこやってたし、友達とかつれて行くと、みんな発狂するほど楽しむんですね。でもその施設はあまり繁盛していなくて、儲かってないんですよね。これは自分の才能があれば盛り上がるはずだと短絡的に考えて、そういう提案を何故かパナソニックにしていて、そうしたらパナソニックの事業とは全く関係ないんですけど、こいつなんか面白そうということで、選んでもらったんですよね。
そういう意味ではレーシングカートというふうに捉えれば今やってる事とは全く違うんですけど、ただレーシングカートといういわゆるキワモノのスポーツ、experienceをいろんな人に知ってもらいたいしやってもらいたいというのは、やっぱり奥底にあったんじゃないかと思いますね。
小:ソウ・エクスペリエンスは体験ギフトが今のカタチになるまでは、どういう試行錯誤を?
西:体験ギフトっていうのは僕がもともとゼロから考えたわけではなくて、そのものは昔からイギリスにあったサービスで、20年位前からあったんですけど、それを2005年位の時期、僕がパナソニックのサポートを得られないということがわかった時に、たまたまやっているプレイヤーが全くいなかったので、しかも元々やろうとしていたカートを広げられることになるかもしれないし、それ以外にスポーツでも何でもいいですけどやりたいことをできてない人っていっぱいいるじゃないかなと元々思っていたので。
しかも一方で贈り物のネタに困っている人もいっぱいいるし、3年、4年と恋人と付き合っているとプレゼントするネタが減ってくるんですよね。なので単純に困っているんだろうなあと。そこで新しい選択肢があれば喜ばれるんじゃないかと思って始めました。
小:ありがとうございます。じゃぁ最後に辻井さん。なぜパタゴニアに入ったのか、そして今も働き続けている理由を。
辻:30歳で無職だと、そろそろどうやって食べていくかっていうのを真面目にやらないとですね。当時確か年収が100万円ぐらいで。
小:パタゴニアに入るまではそもそも何をやっていたんですか?
辻:パタゴニアに入る直前はスキー場で住み込みで働いて、夏はシーカヤックっていうのを使ったガイドの手伝いを。春と秋が仕事がなくなっちゃうんですよね。その時にお金がへっちゃうので、何かないかなぁと思っている時にパタゴニアで、パートタイムで入れてもらったんですけど。
働いてみたら、仲間がすごく楽しくてですね。僕は創業者のこともミッションのことも何にも知らなくて、アウトドアスポーツを一生懸命やっている仲間が居る会社だなと。で、社員になったら月給がもらえるのかと。これはアパート借りられるし、1カ所に定住出来るなと。本当にそういう理由で。仲間と、休みが取りやすいっていうことと、安定して生きていけるっていうことが最初は理由でした。
小:今はそれで日本の支社長っていうんですか? にあたるポジションにいらっしゃるんですけども、そこに至るまでっていうのは?
辻:僕東京生まれ東京育ちのすごいにもやしっ子で、初めてキャンプしたのが27歳とかで、コンプレックスだったんですよ。田舎でないことが。異常な。
小:27でキャンプやって、30で住み込みとかやってるわけですよね。
辻:はい。無人島に夏場、テントを張ってみたいな。なので異常に憧れというのがあったんですよね。だから自然と関われるっていうのがすごい嬉しくて。でもそういう中で、ただ単に自然が壊れているっていう単純な自然保護ではなくて、さっきも話したみたいな、自分達を幸せにするために作られているものの陰で、こんなことが起きているんだっていう事実をだんだん知って。
現地に行くっていうことをを選ばずに、そこのあり方をちゃんとしようとしていることが分かって、それは創業者と話していても、輪切りでどこを切っても、みんな全く嘘がない。こういうことは自分自身の昔からの性格にもあっていたりとか。それも自分自身の生活も楽しみながら、豊かにしながらできるっていうのが、素晴らしいと、だんだん思うようになったのがきっかけですかね。
小:今もそう思っていると?
辻:今は順調ですね。だから朝起きて会社に行きたくないと思ったことはこの4年か5年ぐらいないですし。ありがたいですよね。仕事がいっぱいあるっていうことは。
小:ありがとうございます。大体皆さんスピーカパーソナリティーとかがわかってきたんで質問したいっていう時期じゃないかと思います。何か質問したい人っていらっしゃいますかね? はい。じゃあそこの眼鏡の方。
質問者:池谷さんにお伺いしたいんですけども、スマートフォンアプリをビジネスにしてるって事なんですけど、ビジネススキームの枠組みとして課金システムというか収益の入れ方というか。どんな風に収益を上げているのかを聞きたいです。
小:スペシフィックにきましたねー。ビジネスライクな質問は個別聞いていただければということで、却下(笑)。
(会場笑い)
質問者:辻井さんにお聞きしたいんですけど、最初デンソーで働かれて、自由にやられて、いま代表をやられているということで変化があったと思うんですけど、ご自分の中で変化をどう捉えられているのかなと。
小:素晴らしい質問ですね。
辻:僕、あまり3年先の自分っていうのを想像できないタイプだったんですよ。なので自分自身を客観的に観るのがすごい苦手で。自分自身が変化しているって言われて、ああそうかもしれないって思って。自分自身では目の前にすごく価値を持っていることとか、楽しいっていうこととか、興味があることに吸い寄せられて、あと色んなご縁があって、その世界に入っていくことの連続ですかね。
まぁデンソーも元々僕、慶応じゃないんですよ、僕早稲田でサッカーをやってたんですよ。それで2流の選手でレギュラーではなかったんですけど、当時日本リーグっていうJリーグがない時代で、2部の下の方のチームでやってみないかと言われて、僕サッカーを始めたのが高校2年だったので、すごく嬉しかったですよね。それだけの理由で。
だからデンソーっていう会社の入社式に行くまで電気の会社だと思っていたんですよ。そしたら車の会社だったっていうぐらい会社には興味がなかったんですよね。サッカーのことしか。怒られました結構。入社した後。
西:その後3年間給料もらっていたんですか?
辻:いただいていたんですよね。しかもサッカー手当っていうのまで出てですね。
小:凄いじゃないですか。それいくらぐらい貰えるんですか? 当時でいくと。
辻:基本給の何割みたいな。
小:すごい。何割もいくんですか。
辻:午前中仕事して昼から練習して。日曜日に試合して、月曜日は休みをもらえなくて1日中働くんですよ。そういう生活を3年弱して。でもこれは通用しない、やっぱり後から始めたからもう無理だと思って。だからもうやめますということを。
会社に入るときに、サッカーを辞めたら退職しますということは僕を誘って頂いた先輩には伝えていたんですよ。でもその方は言ってなかったみたいですね。リクルーターとしては、いい奴がいたと。将来も働いてくれそうだということで、結構辞める時は、揉めはしなかったですけど止めて頂きましたね。考え直せって。
池:初めて伺ったんですけども、生き方がうらやましい位自然ですよね。27歳で初キャンプとかパタゴニアの社長には言って欲しくない事じゃないですか。
(一同笑)
30歳でプーで、社長もう別にやりたそうじゃないですよね。
辻:そうなんですよね。本当に不思議な会社ですよね。僕2回、1ヶ月半の休みをもらって、僕どうしてもグリーンランド見たかったんですよ。そしてしばらく山登って滑って帰ってきたら、卸売の社長をやらないかって言われたんですよね。でも僕営業経験もないから。それに卸売り部門の方も何人かいて。断ったんですけど、まあやってみろって言われて。
創業者のイヴォンシュイナードって人が、日本のビジネスは日本人がやるべきだということで、もう10何年もアメリカ人とイギリス人の支社長が続いていたので、とにかくもう、誰かっていう。そういうタイミングだったんだと思うんですよね。
ちょうど1ヶ月半パタゴニア地方というところに行っていて……行きたかったんですよ、どうしても。イヴォンシュイナードっていう人が社名につけた地名なので、何を思ってパタゴニアにしたのかっていうのを僕は行っておきたいってすごく思って。で、帰ってきたらそういう話を頂いたという。
小:質問の回答になってますか? 追加で聞きたいことありますか?
質問者:パタゴニアに行ってみて実際分かりました? 何でそういう地名をつけたのかというのは。
辻:いい質問ですね。行く前はそういう理由を付けていったのに、45日間そういうことは考えなかったんですけど、ところが1週間だけですね、考えした。僕、ダーウィン山脈っていうあのダーウィンの名前がついている2000メートル級の氷河の山に7人で言ったんですよ。
6人はバリバリのクライマーなんですよ。100m位の壁があって、そこを60キロぐらいのスノーブーツを付けて登るって言いだして、そこで僕は無理だなって思って氷河の末端まで降りると。で、1週間だけ僕1人でいたんですよ。でもテントが7人で2張りしかなかったんで、ずっと野宿してたんですよ。ほんとに誰もいないところで。
ほぼ雨降っているので、穴掘って。カヤックの間にビニール袋貼ってひたすら、これぐらいのところに雨がボタボタ降っているっていう。そのときに、すごいいろんなことを考えて、パタゴニアってこういうところなんだと。手がみえないぐらい暗くなるんですよ。夜。皮膚と空気の境目がみえなかったり。氷河の崩落の音がすごかったり。
あとピューマっていうアメリカライオンとかがいて、結構危ないんですよね。あれ。で、すごい自分のことがよく分かったし、こういう所にイヴォンシュイナードは憧れたんだなっていう。あんまり会社の中でも話したことない話だったんで。まずいですよねこれ。USTREAMしてるんですよね。
小:いえ。大丈夫です。全部書き起こされますんで、どんどん言って頂いて。
辻:そんなことを思いましたね。その1週間のときだけ。
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