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「人生を最大限ベットすること」 新生mixi経営陣が語った、起業家のあり方

2013年5月15日、朝倉氏が社長に就任し、新経営体制となったミクシィ。その発表直後に参加したIVSにおいて、新しいミクシィが目指すコミュニティづくりの考え方と、経営陣それぞれのビジネスの原点について語った。

新生mixiが目指す「繋がりづくり」とは?

司会:株式会社ミクシィより、荻野様、朝倉様、川崎様にお越しいただきました。では早速なんですが、まず簡単に自己紹介をお願いします。

荻野:株式会社ミクシィ 取締役経営推進本部長 荻野です。よろしくお願いします。

朝倉:株式会社ミクシィの朝倉でございます。来月の株主総会で新任の代表取締役に就任する予定でおります。

川崎:株式会社ミクシィの川崎です。朝倉と同じく、来月を持って最高事業責任者を拝任いたしました。よろしくお願いいたします。

司会:ありがとうございます。先日もプレスのほうで発表されていましたが、ミクシィの新しいコンセプト等を含めて、簡単にお話いただければと思うのですが。

川崎:はい。ミクシィっていう会社のミッションに「全ての人に心地よいつながりを」というのがあるんですけれども、それをこれからどのように進めていくかという話で、繋がりというものも強めていくのか、作っていくのか、それをwebの方で作るのか、アプリの方で作るのか、みたいな大きく4象限みたいに区切ってみたんですけど。

これまでのSNSっていうのは結局繋がりを強めていくと。既存の人間関係があって、それをFacebookであればwebに持ってきましたと。LINEさんとかであれば、それをスマートフォンのアドレス帳を使ってという事でやってきました。

我々は、そこから出発したは出発したんですけども、繋がりを「作っていく」と。新しい人間関係っていうのを毎日毎日作ってる会社っていうのは、非常にユニークなポイントなんじゃないかと。それはまぁ、みなさんお使いいただいてるミクシィのコミュニティっていうのがその代表格なんですけれども、「全ての人に心地よいつながりを作っていく」と。

あともう一つ我々が考えているところで、スマートフォンのアプリの領域っていうのは、我々のユーザーさんも非常にアクティブに使っていただいてますので、ここは非常に大きい成長機会があるんではないかと考えまして、「全ての人に心地よいつながりを」というのをスマートフォンのアプリで作っていこうという事が、今年一年我々が頑張っていく仕事になります。

司会:ありがとうございます。すごく盛りだくさんで分かりやすい説明だと思います。次に、視聴者に向けてメッセージを頂きたいと思います。その際、大切にしている言葉等ありましたら、添えてメッセージを頂ければと思います。荻野さんから順番にお願いします。

荻野:そうですね。ビジネスはやっぱり山あり谷ありで、必ずしも自分の実力だけではなくて、経済環境であったり、色んな外的な環境、内的な環境によって、思い通りに行かない事って多々あると思うんですけども、是非起業家の皆さんは、そこは自分の軸っていうものを大切に持って、自分の強みを生かして、事業を貫いて邁進してもらえればなぁって思ってます。

私はそういう意味で言うと、2つ自分の座右の銘にしてる言葉があるんですけれども、そのうちの1つをご紹介すると、少し長いんですけれども、簡単に言うと柳生家の家訓ですね。江戸時代の剣術指南役だった柳生家に残っている家訓が、僕の座右の銘です。

彼らは剣、剣術の「人を斬るか斬らないか」という事のみで生きている家系において、尚彼らは「人の縁」を座右の銘にしていると。ご興味ありましたら、ぜひweb等々で調べていただければと思いますので。是非ですね、起業家の方々、色々な外的要因・内的要因で事業の振れ幅が大きい時も、人の縁であったりっていうのは大切にしながら、事業を営んでいただければと思います。

司会:ありがとうございます。

朝倉:まずじゃあ、座右の銘という所から申し上げますと、アメリカのマーク・トゥエインという作家の方が掲げている言葉があって、非常に長いフレーズなんですけれども、和訳でざっと言ってしまうと「20年経った時に、あなたは自分がやった事よりもやらなかった事に後悔する。だから思い切ってやるべきだと思った事はやってしまいなさい」と、そういう意図の事を言っているんですけれども、僕は非常にこの言葉が自分の中で大切な言葉で、それを当時アメリカのスミソニアンミュージアムか何かで見た時に、そういったパネルがどーんと入り口にあって、それをiPhoneでカシャっと撮って、今でも待ち受けにしています。

やっぱりですね、過去振り返っても、やって後悔した事って何一つないんですよね。それが成功したにせよ、失敗したにせよ。僕はそれよりも、最大の失敗っていうのはやらない事だと思っていて、そういった事での後悔っていうのはいくらでもあると。

僕はもう金輪際、このミクシィっていう会社においても、自分自身においても、そういうやらなかった事による後悔っていうのは何一つ残したくないので、全力でミクシィっていう会社の事業に関しても、フルスイングでできる勝負っていうのは全力で打っていく。絶対勝負はしなければいけないし、会社は成長しなければいけない、そういう風に考えています。

ですので是非ですね、どういう方々がご覧になっているのか分からないですけれども、一つはそういったミクシィの今後の活躍というものをじっと見守って頂ければと思いますし、ご期待頂ければと思ってます。またweb業界という中で、もしくはオフラインの業界の中においても、我々が何かお手伝いできる事、コラボレーションできる事があれば、僕達は常に100%ウェルカムの状態で接していけるという風に考えています。

司会:ありがとうございます。

川崎:そうですね。僕は事業の事でお願いしたいんですけれども、僕らは繋がりをスマホアプリで作るという事をこの一年かけてやっていくわけですけれども、その時にミクシィというものを、もっと楽しい場にしたいと。僕なんかは最近は、積極的に日記とかつぶやきとかをしてまして、そういうものをミクシィにログインしていただく一つのきっかけとしたい。

ですから、ぜひその、「川崎なんか面白いな」みたいな。要はスーツもこういう事なんですけども、IVSってスーツじゃない方がほとんどなんで、スーツでいる事によって「ミクシィ、スーツ。面白い」みたいな。そういうものも、どんどん僕はやっていきたいと思います。

あとミクシィについて、みなさん是非お使いいただきたいと思います。あと自分は、どこでもひょいひょい行くので、是非ともミクシィについて語り合う機会を頂ければと思いますので、是非連絡を、ミクシィメッセンジャー、ミクシィメッセージなどを頂ければと思いますので、ひとつよろしくお願いします。

それぞれの起業体験

司会:ありがとうございます。あの大変申し訳ない事に、僕の勘違いでまだ時間があるという事なので。一つちょっとお伺いしたいんですが、起業経験がおありだと思うんですが、まず今のお仕事に就かれる前に、起業された経緯だったりというのを順番にお話頂ければと思うんですが。

川崎:そうですね。僕はまぁ自分で会社を作って、起業というか「はてな」の時は、僕5人目で入って、辞める時100人近くになってたっていうのは、一つの体験ですし。あとはまぁ、自分が会社をやって、それがミクシィに買収されて入ってるっていうニつ目の事。

一つ言えるのが、やっぱり副社長と社長というのは全然違うなぁとは思います。どこが違うかというと、先程セッションでも申し上げたんですけれども、本当この3人でよく話すんですけれど、通帳で血を吐くような経験をしたかっていう事です。

本当にやっぱね、サービスの事を考えたらすごくテンションがあがるんですよ、誰でも。ですけど、じゃあ事業継続させるっていう事は、利益を生み出し続けるっていう事。その両方っていうのを持って邁進していくっていうのは、社長の仕事で、っていうよりは一つの側面。

もう一つは、やはり先程も申し上げましたけれども、起業家で社長っていうものは、やはり自分の世界を語って、世界をどう変えていくんだっていう事を言い続けて、共感を生んで仲間を作っていく事。結局社長はやっぱりいい仲間を、事業の理念に共感する仲間を連れてきて、発展させていくというのに尽きる。ですから僕はその二つを思っているところです。

司会:ありがとうございます。

朝倉:起業家というか、アントレプレナーシップという言葉に置き換えてお話をさせていただくと、まずもって「アントレプレナーシップって何ぞや」という話があるかと思いますけれども、僕の中で考える所でいうと、一つは自分の人生にどれだけオーナーシップを持てるのかっていう事。どれだけ自分の人生を生きるかっていう事。

あともう一つは、他の人があんまり出来ないような、考えないような、もしくは尻込みしてしまうような事にチャレンジできるかどうか。そういった事だと思っています。そういった観点から考えると、私自身のアントレプレナーシップの原点っていうのは「中学を飛び出して競馬の騎手を目指した」。こういう事だと思っていて、それは会社を作るとかっていう話とは少し違うかもしれないけれども、「俺は競馬の騎手で世界一のジョッキーになるんだ」という風に思っていました。

それは僕が馬が好きだったっていう事もあるけれども、競馬の騎手っていうのは腕があれば、日本でもオーストラリアでもアメリカでもイギリスでもドバイでも、どこでも戦えるわけですよね。「俺は自分の実力で絶対ジョッキーとして這い上がってやるんだ」っていう風に思っていて、それに一番しびれたっていう所があって、そういった道を目指しました。

結局それは残念ながら体重の問題もあって、無理でしたけども、その後自分が要所要所でしていた判断。例えば、大学行こうかだとか、その後大学でこんな会社を作っていこうかとか。そういった一つ一つの判断っていうのは、全てアントレプレナーシップっていう考えに基づいていると思ってます。

今回のミクシィの舵取りをチームで担っていくという事も、僕なりのアントレプレナーシップの発露だという風に思っています。今ミクシィという会社は、これまで通りずっと巡航速度で走っていればいい会社かっていうと、決してそんな状態ではない。僕達はまだまだ成長しなければいけない、そういう会社だと思っています。

僕は会社の内側に向かってですね、半分冗談めかして言うんですけども、「俺達は平城京じゃねぇんだ」と。「鎌倉幕府なんだ」と。どういう事かというと、「なんと綺麗な平城京」って見とれてたらダメで、「いい国作ろう」なんすよ。俺達作ってかなきゃいけない、いい会社を。

僕はそれに最大限自分の人生をベットしていきたいっていう風に思ってるし、これは一つのアントレプレナーシップの発露なのかなという風に思っています。そういう意味で、起業家っていう観点で考えると、分かりやすい「会社を作る」っていうあり方ではないかもしれないけど、こういった価値観っていうのはずっと大切にしながら、ミクシィの事業の舵取りの方にも臨んでいきたいですね。

司会:ありがとうございます。

荻野:そうですね。僕は元々、大学を卒業してから実は全く仕事をしていなくて、10年間ひたすらトレーディングだけで生きていたというバックグラウンドです。そのトレーディングをしていて、色んな会社を見て、自分もやっぱり株式が好きで、株式市場・資本・お金の流れが好き。

その流れの中で、やっぱり自分のお金に対して価値を提供できる部分と、一番お金に困っているっていう人達っていうのを感じられた時に、ベンチャーってものすごくお金困ってるんですよね。常に資金ショートするし、資金調達が必要になるし。大きい会社になってくると、今度はお金の調達じゃなくて、営業マンがいくら稼いでくるかが重要になってくると。

僕はその後ずっとCFO畑を歩んでいるという事で、当時で至上最速で東証一部まで上場した「マクロミル」という会社でCFOをして、その後ベンチャーで「ジェイマジック」という数人の会社でCFOをして、その会社がご縁があって、まさにこのIVSで2008年ですかね、優勝させていただきましたけれども。

その後ミクシィに入って来てというようなところで、やっぱりCFOとして常にベンチャーに携わらせていただいている中においては、野心を持っている起業家に、いかに兵糧を補給して、兵站を整えて、最前線で何も考えずにその刀をふるって戦える環境を提供できるのか、これに多分フルコミットできるのがベンチャーのCFOなのかなと思っています。

なので僕は火中の栗を拾うっていうのが一番大好きで、CFOっていうのは安定的な会社にいちゃいけない。逆に一番不安定な所だからこそバリューがあるし、そういう所に一番フルコミットできる人間が、CFOなんじゃないのかなと思ってるんで、今後もそういうような意識で続けたいと思ってます。

司会:新しいCFO像を聞いた気がします。今お話をお伺いしていると、資金、ちゃんと経営が回るという所にすごく頭を置かれている反面、ものすごくビジョンを大切にする、自分達は何で行動するのかというのを大切にされているという印象で、ものすごく強い経営陣だなという印象を受けたんですね。それを踏まえて、視聴者の方に「強い経営チームに必要なもの、強い経営チーム像」みたいなものをお話いただいて、最後締めていただければと思うのですが。

荻野:はい。強い経営チームっていうのは、やっぱ僕にとっては、全てが重なりがないチームかなという風に思っています。この3人が集まる、また現在、我々の取締役会5名ですけど、5名が集まった時に、1ミリもお互いに被りがない。そこに対してやはりバリューが発揮される。ベン図のように重なっていて、重なる部分が大きければ大きいほど、「1:1」は「1.1」にしかならない。「1:1」を2とか3とか4にしなければいけない経営陣としては、やはり重なってる部分はあっちゃいけないと僕は思ってます。

なのでそこはお互いに重ならない覚悟で、仲良しクラブであっちゃいけない。ただ魂の根幹では同じ。言葉で語れなければそれは経営にはなりえないので、そういう魂の形が同じかつ、バリューが全く違う人たち。これで経営を支えていってもらいたいと思います。

司会:ありがとうございます。

川崎:そうですね。僕はまぁ強い経営チームに必要な事って「相互信頼」。信頼に尽きると思います。ですからその信頼っていうものが、ある種の尊敬とか実績という所から生まれるとは思うんですけども、やはり先程荻野も申し上げましたとおり、各々がスペシャリティを持ってるっていう事は、それはもう当たり前。

そこで、じゃあそれを超えて一緒にビジョンを持って、それを一緒に作っていくんだという事を信頼して、信用していくという事が非常に重要なんじゃないかなと。例えばいくらスキルが優れていても、根本の信頼がなければ、強さというのは生まれないと僕は思っています。

司会:ありがとうございます。では最後に朝倉さんお願いします。

朝倉:同じ事を違う言葉で繰り返しているだけなのかもしれないですけど、僕はやっぱり「マインド」だと思ってますね。それは当然経営を行っていく上でのスキルセットだとか、信頼関係だとか、そういったものが当然あった上で、どれだけ強い気持ちを持って会社の成長にコミットできるか。

我々の場合、もしもミクシィの経営陣が強い経営チームだという風に思っていただけるのであれば、一番大きい部分というのは、会社を成長させるんだというその覚悟とマインドが完全に一致している、これに尽きるんじゃないかなぁという風に思っていて、僕達はそこに120%コミットしていくという事ですね。

司会:ありがとうございました。

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