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「リーガル以上に、"正義"であること」 楽天・三木谷氏が語る、グローバルで勝つ方法

新経済連盟の理事を務めるなど、いち経営者の枠を超えてITビジネスの第一人者として活躍する楽天・三木谷氏。ビジネスにおいて国際競争に勝つため、さまざまな法制度の整備についても提案を行なっている氏だが、現状では、既得権益や偏った制度づくりによって、ビジネスの成長が阻害されるケースも考えられるという。その中で、グローバルに勝っていくための方法について、持論を述べた。

司会(以下、司):楽天株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史様にお越しいただきました。よろしくお願いします。

三木谷(以下、三):よろしくお願いします。

:日頃、様々な若手のベンチャー経営者とも接する機会がおありだと思うんですけれども、あえて「ここがちょっと足りないんじゃないか」とか「もっとこういう意識を持たないといけないんじゃないか」とか、感じられる事はありますか?

:そうですね。特に日本という事で言いますと、日本のマーケットがそれなりに大きいという事もあって、どうしても内向きというかドメスティックになっちゃうので、例えば韓国のベンチャーとかっていうと、最初からグローバルを見てるし、アメリカのベンチャーは当然英語っていう事もあり、最初から世界戦略っていう事がベースにあると思うんで、やっぱり日本のベンチャーも自分達の反省もふまえて、最初の段階からある程度世界っていう、少なくともアジアっていうものをメジャーにしながらやるべきだなと思ってます。

:実際その延長線上で、今日このUstreamをご覧になられている若手の経営者であるとか、あるいはこれから起業したいなと思っている学生さんに向けて、何かメッセージというかアドバイスを頂ければ。

:そうですね。今環境がね、クラウドベースになったり、スマートフォン、スマートデバイスが色々出てくる中、アジリティというかね、修正をしながら改善をしていくという事がより重要な時代っていうか環境になりつつあるなと思っています。そういう意味では、今までの既存の考え方に捉われずに、ビジネスモデルそのものもそうですし、それからビジネスの進め方もね、独創的でいいんだと思うんですよ。

新しいものをどんどん生み出していく、そういう気概を持って欲しいなという事と。それから最近は結構僕はすごいと思ってるんですけれども、小さなベンチャーでも最初からある程度、スマホのアップスの世界、やはりグローバルっていう事を考えながらやってるっていう企業が増えてきたんで、これは非常にいいんじゃないかなと思ってるんで、それをどんどん進めて欲しいと思ってます。

:そういった中で起業分野として、インターネットの分野で起業するという事を意識する重要性というのは、これから起業される方に向けてやっぱりありますか?

:いや、別にインターネットじゃなくてもいいんですよ。サービス産業でもいいと思いますし、高度な医療、先進的な色んな取り組みっていうものをビジネスとしてやっていくっていう、そういうのは是非やるべきだと思うんですよ。ただやはり今の環境の中ではほとんど全て、全部じゃないかもしれないけど、ほとんど全てのビジネスっていうのは情報、ネットワーク、それからインターネットっていうものが絡んで来るんだと思うんですよね。やっぱりイノベーションっていうのは基本的に新しいものと新しいものを結び付けていくっていう事だと思うんで、その一つの軸っていうのがやっぱりこの情報っていうものになりやすいっていう事ですね。

例えば車のベンチャーにせよ、ファッションに関しても、当然インターネットを使ったプロモーションっていうのも考えなくちゃいけないし、インターネットを使った販売っていうものも考えなくちゃいけない。マーケティングみたいな話にしても、あるいは教育にしても、医療にしても、全てがある意味インターネットに関わってくる。非常にインターネットの占めるポーションがでかくなってくるんで、やはりインターネットは情報っていうものをどうやってうまく有効活用していくかっていう事が、成功の大きな要因のひとつだと思います。

:そういった中で、先日、代表理事を務めておられる新経済連盟で「新経済サミット」というのを、イノベーションを生み出す重要性であるとか、規制緩和の重要性というテーマで開催されたと思うんですけれども、三木谷様自身、今、国の法制度も変わっていく必要があるという風にお考えなんでしょうか。

:そうですね。やっぱり残念ながら日本の色々な仕組みっていうのが、基本的には現状どういう風にしていくか、あるいは既存の業界というものをどうやって守っていくかという形なのかなという風に思ってまして。規制改革もそうですし、それから新しい事にチャレンジする人をもっとどんどん応援していくような文化を作っていくという事もそうですし、日本のいろんな枠組みとか流れというのを変えないと、短期的なマクロ政策的にはいいと思うんですけど、中長期的に本当に継続的に成長して行こうと思うんであれば、それは必須だと思います。

:最後の質問になるんですが、今言われたように既得権益や周囲の目、そういうものがあって、結構「出る杭を打つ社会だ」という事がよく言われると思うんですね。そこに実際苦しんでいる起業家であったり、起業しようと思っている人間がいる。

そういった中で、もし三木谷様がご自身の中で、こういう既得権益とぶつかった中でどのように考えて、どのように行動する事が重要だという学びを得られたのか。これから枠にとらわれないベンチャーがどんどん出てくる中で、必ず摩擦というのが出て来ると思うんです。

:そうですね。僕らの中では、「大義名分」と「品性高潔」って言うんですけれどね。やはり何がリーガルで何がリーガルでないかという事も重要なんですけれども、それ以上に、やっている事に大きな社会的な意味があるのかどうか、それに正義があるかどうかっていうのが、重要だと思うんですよね。

今もうインターネット、今度TPPもそうですけれど、グローバルなマーケットプレイスになっていく中で、国によって法律制度が違ってくる、ギャップも出てくるっていう中で、大変重要なのは倫理観っていう事だと思いますし。

最近言われてますけど、企業のサービス自身にやっぱりこの社会的な意味をつけていくという事も含めてね、そういうものがあるとね、多少のハレーションを起こそうが、自分側に正義があればですね、そういうものは突破できていくんではないかと思ってるんで、そういうものがますます重要な時代になっているんではないかなと思っています。

:ありがとうございました。

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