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メルカリ・エブリー・メドレーのプロダクト担当役員が語る『経営とプロダクト』(全6記事)

話題のサービスはいかにして生まれたか? メルカリ×メドレー×エブリーの役員が自社プロダクトを語る

アメリカでも成功を収めている株式会社メルカリ、ヘルスケア分野で4つの事業を展開している株式会社メドレー、料理動画メディア「DELISH KITCHEN」などを運営する株式会社エブリー。今を時めく3社のプロダクト担当役員が登壇し、それぞれのプロダクトの今について語りました。

日米合わせて5,500万ダウンロードのメルカリ

小泉文明氏(以下、小泉):みなさん、こんばんは。今日はよろしくお願いいたします。

では、まず各会社の紹介に自己紹介兼ねて、1人3~5分ぐらいでやっていただければということで。伊豫さんからいいかな? メルカリからお願いします。

伊豫健夫氏:どうも。今日はよろしくお願いします。メルカリでプロダクトマネージャーをやっております、執行役員の伊豫と申します。よろしくお願いします。

まず、簡単に私の紹介なんですけれども、経歴は(スライドに)書いているとおりで。新卒が2000年です。パナソニック、当時は松下電器産業株式会社という名前でしたけれども、ここに入って。最初の職種は人事に配属されて。

人事の仕事もおもしろかったんですけれども、もうちょっと現場仕事したいなということで、「じゃあ、いっそエンジニアになろう」と思って。職種転換をして、野村総合研究所でエンジニアを4年ほどやっておりました。その後、企画をやりたいなと思って、商品企画の仕事でリクルートに入りました。それで、去年の3月、メルカリにプロデューサーとしてジョインしています。

今、直接的に仕事しているのは、書いているとおりなんですけれども。社内では「エンゲージメントチーム」という呼び方をしていますが、いわゆる継続率とかLTVとか、そのへんを上げるためになんでもやる、プロダクト改修からマーケティングとかも含めて。そういうこともやっております。それで、先月から執行役員をやらせていただいていますという内容です。

簡単ですけれども、メルカリの紹介ということで。資料、英語なんですけれども、一応US担当しているので、英語のものを持ってきました(笑)。

(会場笑)

おかげさまでご存じの方も最近は多くいらっしゃいますが、CtoCのマーケットプレイスを展開しております。

ダウンロード数、ここ(スライド)に書いてある9月、最新数字ですけれども。

日本で3,500万ダウンロード。USでもいよいよ2,000万ダウンロードというところで、日米合わせて5,500万ダウンロードまで直近伸びてきたという状況ですね。

まあ、「(メルカリは)ナンバーワンですよ」ということを言っております。フリマアプリのシェアのなかではナンバーワンですね。

売れた商品の半分が出品後24時間以内の取引

よくメルカリを使っていただく方に「メルカリは売れるのがすごく早い」とおっしゃっていただくのですが、数字で見ると売れた商品のだいたい半分ぐらいが(出品後)24時間以内に売れていると。これは確かにスピーディだなと思います。このいいユーザー体験というのは、我々としても非常に大事にしているところでもあります。

いわゆるCtoCなので、「(ユーザー同士で)商品を売り買いします。決済はメルカリが仲介して、安心・安全を担保します」という、いわゆるエスクローのモデルをやっております。

ちょっと字が細かいんですけれども、モバイルアプリのランキングです。

全体(のランキング)が(スライド)向かって左側ですね。全体のアプリのなかで14位ぐらい。ECのなかでいいますと、Amazonに続き、今2位というところまできております。

あと、いわゆる位置づけですね。「メルカリは、どういう市場を狙っているんですか?」とか、「誰が顧客ターゲットなんですか?」というのはよく聞かれるんですけれども、(スクリーンを指して)だいたいこんな感じ。

一言でいうと、なんでも売っているのがメルカリの特徴です。なので、ターゲットとしているのはほぼ全方位です。

USでもやっぱり同じで。あんまり馴染みのない競合の名前がいろいろあるんですけども、そのなかでもわりと全方位にやる。かつ、モバイルオリエンテッドなことが特徴です。これはUS・JP共通の取り組みになっております。

という感じですね。せっかくUSの仕事やっていますので、USについてもこの後いろいろお話できたらと思っています。

あと、のっけからすみませんが、本当にこれだけ会社大きくなって、もう絶賛採用中ということで。この後、懇親会でもいろんなお話聞いていただければと思います。今日はどうぞよろしくお願いします。

(会場拍手)

医療とヘルスケアの課題をインターネットで解決

石崎洋輔氏(以下、石崎):メドレーの石崎と申します。よろしくお願いします。

先に会社紹介からさせていただきます。株式会社メドレーは2009年の創業の会社です。

医療とヘルスケアの課題をインターネットで解決していこうとしているベンチャーで、今、だいたい100人ぐらいの体制になってきています。

特徴的なのが、代表が2人いることで、(スライド)向かって右の瀧口(浩平)が、2009年に創業した代表取締役社長。向かって左の豊田(剛一郎)が、一昨年の年末に代表取締役医師として入ってきた代表になります。

もう1つ特徴的なのが、社内に医師・医療従事者がかなり多いことです。今、医師が7人。医療従事者、看護師薬剤師も、社内で仕事をしています。なかにはディレクターっぽいことをしていたり、医師なのにSEOを気にしたりというメンバーもいたりと、わりとおもしろい環境なんじゃないかなと思っています。

エンジニア、デザイナーも今増えていて、ディレクターも含めてまだまだ積極的に採用中という感じです。

事業は4つありまして、順に紹介していきます。

1つ目が、社名をそのまま冠した「MEDLEY」というオンライン病気事典を運営しています。400名を超える医師に協力していただいています。

インターネット上にある医療情報は間違っているものが多く、Wikipediaに掲載された医療情報の9割に誤りがあるという論文も出ています。

こうした課題意識をもとに正しくわかりやすい情報を提供する場を作りたいと、(協力者である医師)400人+社内のすべての医師・医療従事者がコンテンツを作成・共同編纂し提供する事業です。これは去年の2月から始めていて、今、順調に伸びてきているところです。

画期的な遠隔診療システム「CLINICS」

これは、今年の2月に始めた「CLINICS」という遠隔診療システムです。

WebブラウザとiOSアプリがあるのですが、患者側のユーザー体験の例としては、まず24時間Webでもアプリでもインターネット上でから病院の予約ができます。

保険診療の場合は、初診は対面の診察を受けに行っていただく必要がありますが、再診はインターネットで予約して、予約時間が来たらビデオ診察を行い、決済もクレジットカード登録していればUberのように自動的に引き落とされて、薬や処方箋を家まで送ってくれるという、かなり画期的なサービスになっているんじゃないかなと思っています。

これも今、導入してくれる病院がかなり増えてきています。

次は「ジョブメドレー」。これは創業期、2009年からやっている医療・介護の求人サイトです。

みなさま、あんまり馴染みがないかもしれないんですが、今40ぐらいの職種を扱っていて、今は全国で8万を超える事業者さんに登録いただいています。

最後は「介護のほんね」という、インターネットで口コミをもとに介護施設を探せるサービスになります。

もともと私は前職はグリーなんですが、グリーの子会社の時代にこのサービスを立ち上げました。それをメドレーに買収されるかたちで、去年私も一緒にジョインしたというかたちです。私が今、メインで関わっているのが「ジョブメドレー」と「介護のほんね」になるので、メインのお話はこのあたりになるかなと思っています。

最後、自己紹介です。

はてなを経て、グリーを経て、そこで(今日)横にいる大成さんの指導をいただき、そのあとメドレーに移ってきて、今に至ります。今日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

小泉:ありがとうございます。(メドレーが運営しているのは)4事業だと思うんですけど、売上のバランス、会社のなかのリソースのバランスでいったら、どんな感じなんですか?

石崎:社員でいうと、一番多いのは、創業期からやっている「ジョブメドレー」が半分以上ぐらいです。次に「CLINICS」。今、立ち上げ期なのでどんどん新しいメンバーが入社しており、そこが2~3割ぐらいです。残りが「介護のほんね」と「MEDLEY」という感じです。

小泉:なるほど。ありがとうございます。じゃあ、最後エブリー。

動画を通じて世界をもっと楽しく

吉田大成氏(以下、吉田):株式会社エブリーの吉田と申します。よろしくお願いします。

会社自体は去年の9月にできまして、ちょうど今1年経ったところです。もともと僕は新卒でヤフーという会社に入りまして、2006年にグリーに入りました。その後、ゲーム事業やプラットフォーム事業を立ち上げるということをずっとやってきておりました。それで、最後は新規事業みたいなことをやっていたんですけれども、去年の9月にこの会社を立ち上げております。

ちょうど去年の9月は立ち上げたばっかりだったので、こんな状態でオフィスのなかでやっておりました。

「動画を通じて世界をもっと楽しく、もっと充実した毎日に」ということをミッションに掲げながらやっております。

これが1年後どうなったかというと、今、このようなかたちになっています。

すごく人数が多く見えるんですけれども、社員は、今日の段階で12名います。それ以外に35名の方が、インターンの大学生の方。大学2年生と3年生がメインになっていて、日々動画のコンテンツを作ったりしています。

小泉:社長、端にいるね。

吉田:あんまり、おっさんが前に出ないほうがいいかなと思って(笑)。

小泉:わかる、わかる(笑)。

吉田:キラキラしてる感じを出さないと。

やっていることとしては、日々動画のコンテンツを自社で撮影して、編集して配信を行っております。取り扱っているジャンルとしては、今、ここ(スライド)に書いてあるように、5つのジャンルを今後も含めて立ち上げていきたいなと思っています。

創業期からやっているのが「FOOD」ジャンルと、「BEAUTY」ジャンル。今年の2月に立ち上げたのが「FAMILY」ジャンル。そして3月に「NEWS」ジャンルを立ち上げていまして、今、エンタメ系のメディアの立ち上げも行っています。

月間視聴者数1,000万人を超える「DELISH KITCHEN」

今のところ、僕らは自社のWebサービスやアプリを持たずに、FacebookとかInstagramという、各ソーシャルメディアなどに配信するというやり方をしていまして、なるべく多くの方に見ていただけるようなかたちを取っております。

直近は、スマニュー(SmartNews)さんでも、掲載が始まりました。年末までに、日本のユーザーさんが多く使われているようなアプリに対してどんどん配信していくということをやりながら、さらにその先でいくと、自社のサービスですね。アプリやWebサービスを今、持とうと思っていまして。社内ではアプリを絶賛開発中でして、時期を見定めてリリースというようなステータスとなっております。

具体的に今、どういうメディアをやっているかというと、(スクリーンを指して)この4つのメディアをやっております。

今、このすべて4つのメディアを足し合わせると、SNSとか、いろんなところのフォロワーの合算で230万人を超えていまして、月間あたりの視聴者数が、延べ3,000万人を超えているかたちとなっております。

具体的に細かい話でいくと、今、「DELISH KITCHEN」という料理動画メディアが一番ユーザー数が多いんですけれども、各プラットフォームのフォロワーが170万人を超えていまして、月間あたりの視聴者数も今1,000万人を超えています。

モバイルからのアクセスの比率が90パーセント超えている状態でして、1分間ぐらいの動画で、料理のレシピをご紹介するということをやっております。

ちょうど今、こっち側(スクリーンを指して)で出てる料理が、すごく人気です。

よく、料理動画は「見て楽しいだけじゃないか」とか「お腹空いた」と思われるんですけれども、僕らはここから先どういうことを目指していきたいかというと、実際こういった動画を見てもらって、やっぱり料理を作ってもらうということをやりたいなと思っています。それをなるべく動画で伝えられるかどうかをすごく大事にしています。

なので、実はあまり早送りも多用しない、というか使ってなくて、ちゃんと必ず手順がわかるようなやり方をしております。

その結果としてどうなるかというと、例えばInstagramとかで、「#delishkitchentv」でハッシュタグを検索してもらうと、ユーザーさんが僕らの動画を見て実際に作ってみましたという、再現レシピがたくさん上がっています。

(スクリーンを指して)これ、ちょうど先週ぐらいに上がったブログなんですけれども。

僕らがまさに理想としているユーザー像だったのでご紹介させていただくと、この方は主婦で28歳。ちょうど昨日、新聞の取材が入ったので、その時にインタビューしてもらったんですけれども、3人の子供を持たれています。すごく育児で忙しくて、最近ずっと外食ばかりになっていましたと。

ちょうどそのタイミングで、子供がケガして骨折したらしいんですね。それで、母親として「ご飯作らなきゃ」と。「でも、ご飯作るの大変だな」と思ってる時に、たまたまSNSで「DELISH KITCHEN」の動画を見て、さっき冒頭に流れた動画の料理を作ってみたら、すごく評判で、家族全員からほめられたそうです。それによって、家族に「おいしい」と言ってもらえて、この料理を作る幸せというところを思い出して。

今まで料理がおっくうだったんだけれども、これによって、もう1回料理をする楽しさを思い出しましたという話をしていただきました。この方も、たまたまFacebookやInstagramで見かけた動画のレシピで作って、料理の成功体験を得ることによって料理を楽しむようになったそうです。

企業とのコラボコンテンツ

今は、(彼女に)インタビューしてみたら、だいたい週6ぐらいでほぼ毎日自分で(動画を)見にいったりとか。おやつの時間であれば、おやつを(子供と)一緒に見たりとかしていただいて、毎日これを見ながら作っていただくというようなことをやっています。

もちろん、こういうレシピ系のサイトは、検索で探すクックパッドさんとかあると思うんですけれども、大半の方の課題というのは、実はけっこう検索キーワード(レシピ名)すら知らないということがありまして。

だから、例えば自分の母親を思い出してみても、実は料理のレシピが10品ぐらいしかなかったりするんですよね、定番で作るのは。それで、「またこれ?」「またこのカレー?」みたいに言われちゃって辛い思いをしているそうです。

そういう新しい出会いというのがないので、僕らが上げているSNSとかを通じながら、そういう料理の楽しさとか、これ作ってみたいと思えるものを届けることによって、料理好きになってもらうということをやっていきたいなと思っております。

それで、実際のビジネスとして、まず1つの収益源なんですけれども、広告ビジネスを回していまして、ふだんやっている1分間の動画に対して、企業さんとコラボレーションしながら動画コンテンツを作っています。テレビCMをやられているような会社さんと一緒にやらせていただいています。

4月から正式に始めてはいるんですけれども、すでに数十社以上の広告掲載実績がありまして、すべて合わせると今、100以上のブランドのコンテンツを作っている状態になっております。

料理以外にもけっこうありまして、ママ向けのメディア(「MAMA DAYS」)でいくと、このようなかたち。

27万人のフォロワーがいて、月間500万のリーチになっています。実際、雪印さんとミルクの商品のコラボレーション動画を作っています。

ジャンルとしては、ここ(スライド)に書いてあるような離乳食や家事、DIY、グッズ紹介、トレンドを紹介しております。

ファッション系では今、「KALOS」というものをやっております。今、20万人のフォロワーがいて、月間で500万人ぐらいに見てもらっています。

ジャンルとしては、メイク、ファッション、ヘアアレンジ、ネイル、ヘルスケア、イベントの紹介をやっています。

最後、男性向けということでニュースメディア(「Timeline」)をやっていまして。25万人のフォロワーがいて、月間で1,000万人のユーザー数というか、視聴者がいるようなかたちになっております。

ジャンルも国際・国内のニュースだったり、最近ですと、ちょうどオリンピックもあったので、そのタイミングでけっこうスポーツ系のコンテンツなども出し始めていまして。そういったかたちで、女性向けも男性向けも各種ジャンルを扱いながらやっています。

短期的には今、広告でビジネスを回しながらスケールさせていって、その後、今度自社のアプリを作っていくことで、さらに深掘りしたビジネスをやりたいなと思っております。以上になります。

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