2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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田川:そうですよね。
林:それでいうと、それがちょっと今、ハードウェアスタートアップに起きているのかなというのが。
田川:それは確実にありますよね。
青木:確実にあると思います。
林:どうやっても削れない部分のコストのところを、クラウドファンディングなんかがうまくすくったところがあるじゃないですか。
田川:ありますよ、本当に。さっきも言いましたけれども、うちで、つい先週「メーカーボット」という3Dプリンターを入れたんですけれども、本当10年くらい前って普通に1,000万円ぐらいしていましたよね。確かに失敗もするし、品質的にはちょっとまだいい加減な部分もあるんですけれども、とはいえオフィスん中で結構普通に動くみたいなのはやっぱおもしろいなと思いますよね。
家庭に1台入るかって言われると、そこはよくわかんないっすけれども、物をつくるってことを決めている人たちがハードウェアをテーマにしやすい状況ってのはやっぱり……。だからコンピューターがやっぱパーソナルコンピューターになったのと同じような感じとか、そんな雰囲気ありますよね。
青木:そうですね。まさにパーソナルファブリケーションでしたっけ。ちょっとメーカーズの本をちょっと1回復習して来たんですけれども(笑)。来る時にデスクトップ3Dプリンターみたいのがあると、昔だったらデスクトップで糸巻をして、その糸を大きい工場に売る家内製の工業ができたのが、現代ではそれが物つくりが家内製でできるようになったというのがすごい大きいなと思いますね。
林:回路をそのまま印刷できる「エイジェック」という会社あるじゃないですか。そのうち絶対、あれと「マルチマテリアル」の3Dプリンターが結びついたらすごいことになりそうな気がして。
田川:そうですね。
田川:おもしろいですよね。僕なんか機械工学科だったから、機械工学科というと、大体、物と物ってこう、部品になっていて、部品をこう締結というんですけれども、ねじでとめるという、何かそういう感じなんですよね。だから、物というのはどんどん部品にばらしていくみたいな思想なんですよ。
だから部品メーカーというのがあって、一番小っちゃいところはねじ屋さんがあって、みたいな感じなんだけれども、3Dプリンターというのは、ビジネスっぽいところでおもしろい話をすると、さっき工学的なエンジニアリングの思想みたいなところですごいおもしろいところがあって、だから分解せずに物がいきなり出てくるみたいなのは、たぶん、エンジニアリングというのは思想とか哲学から来ているところが結構あるから、物事を因数分解できて極小単位まで落としていってから、物にするんだみたいなのがあるんですよ、何かその分割主義みたいな。けれども、そういう感じじゃないつくり方がある。
青木:そうですね。
田川:だから、本当に最近、うちのオフィスにも機構設計とかを勉強せずにいきなり3Dプリンター触ったジェネレーションというのが入ってくるじゃないですか。すると、CADでやつらが書いている3Dのモデルとか見ていると、ちょっと僕は何か言いたくなるんですよ。「こんなもん、成立しないじゃないか、形状」と言いそうになる自分が。あれ?俺はもしかして旧世代かもと思って(笑)、言わないようにしている。
それで、実際にそれを出してみると意外にうまくいったりとかね。これは結構、だから設計論みたいな話で見ても、機械的にはたぶんまだまだなんですよ。けれども、もうちょっといくと新しい設計の手法みたいな、あれはあれでつくらないと取り扱えないなみたいな。
田川:「ハンディ」のね。彼らもそれをやっていましたよね。ヒンジとかも全部一体で、サポート材の中に全部埋め込まれていて、サポート材を溶かすとアセンブリーの要らない義手みたいな。
林:そうですね。
青木:すごい。
林:3Dプリンター、おもしろいなと思って。
青木:おもしろいですね。
林:今出てきたハンディというのはダイソンアワードで受賞してね。元SONYの人が最近やめて作ったんですよね。
田川:やめましたね。
青木:一昨日ぐらいですよね(笑)。
田川:そうそう、フェイスブックで宣伝していた。
林:個人的に一番応援したいハードウェアスタートアップですよ、日本で。
田川:いいですよね。彼らもね。
林:本体の家電メーカーさんのほうではそれをたぶん事業としてできなかったので、スピンアウトしてやると、何かそれは向こうの家電メーカーにも価値になるような気がすると思うしね。
田川:そうですね。
林:セッションの中で出てきたのが、日本でハードウェアスタートアップをやる価値があるのかというところでね。日本は人材が、これだけ家電メーカーがある国はないし、これだけ物つくりに精通している人が大勢いる国はなくて、これがまだあるうちは、やっぱりもうハードウェアスタートアップやらなきゃいけないってことを、岩佐さんが言われたんですけれども、そこはやっぱり共感するところですか。
青木:そうですね。ただ、この間、村田製作所さんに行く機会があったんですけれども、日本だと村田さんのパーツが欲しいと思っても売ってくれないんですよね。月数千個以上とかじゃないと。そもそもコミュニケーションすらしてくれないんですよね。
田川:なるほど、口座がありませんってね(笑)。
青木:そういう断り方もせずに、ただただ途中で返信が来なくなるという(笑)。でも、それをもっと人手をスタートアップ向けにも割いていこうというふうに、ようやく始められたみたいで。というのは、アメリカだと違うらしいんですよ。アメリカだと別に数量のロットとか関係なくスタートアップ向けに村田さんも営業部隊がいるらしいんですよね。
林:じゃあ、巨大家電メーカー向けの体制ができていたから、そこにオプティマイズされていて。
青木:そうですね、まさに。
林:家電メーカーが弱体化していけばいくほど、ハードウェアスタートアップのチャンスが訪れるんですかね。
青木:はい。
林:なるほど。
たぶん必要なのは、すごい逆説的なんですけれども、ハードウェアを頑張るためには、ネットワーク、ソフトウェア、サービスのこのレイヤーがきっちりやれる人たちのボリュームというのが日本ですごい増えて、その中のある割合の人がハードウェアに興味を持って、ハードウェアとエレクトロニクスとこちらのネットワーク、サービス、ソフトウェアの部分を結合させるみたいな。それが何回も何回も事例として出て来るようになるとすごい強いと思うんですよ。
だって僕、コンポーネントって2つだと思うんですよ。アメリカはたぶんソフトウェア開発者はわんさかいるんだけれども、ハードウェア側は台湾とかから調達してくっつけたみたいな感じがあると思うんですけれども、日本はさらに、もしその結合を日本の中でやれるとするとより密結合するというか、そういう人と人との出会いもあるし。
ジェネレーション的にはやっぱり30代から下ぐらいの世代だと、あんまりそこを自然に分けずに済むというか、わかる人たちがちょっと増えてきてというか、そういう人が現場でも経験も実績も積んで物事を動かすようになってきて、みたいなところで、このハードウェアスタートアップってのが出てきているのかなみたいな。ハードウェアスタートアップといっても、たぶんネットワークとかサービスの力も実装されたハードウェアという、だから一回りしているんだと思うんですよね。
青木:そう思いますね。
田川:この一回りが効き始めたのは、日本でもソフトウェアスタートアップでおもしろい会社っていっぱい出始めているじゃないですか。やっぱ地力が上がっているんだと思うんですよね。たぶん、だからそことの連動なんだろうなと。賛成の7割のほうは、確かにハードウェアとエレクトロニクスの人材を見つけるのに、日本は本当に楽ですよね。死ぬほどいますよね。
青木:そうですよね。
田川:(笑)、即、回路設計できる人とか、機構設計できる人とかね。量産している人とか。例えばイギリスとかで見つけようとしたら結構大変なんですよ。そこの人間って。
青木:へー、なるほど。
林:そこは、じゃあ、そういった人材のLinkedlnみたいなのつくるといいですよね。
それってすごく僕が思うのは、インターネットが出始めの頃にすごい似ていて、たぶんその日本にもインターネットじゃないITの人材はめちゃくちゃいっぱいいたはずなんですよね。巨大な銀行のシステムをつくっているとか、NTTデータみたいな会社があった。
でもそういう人たちって、まずLinuxのことをすごいばかにしていたし、こんなサポートのないOSを買うわけがないだろう、みたいなそういうスタンスだったり、たぶんそういう業界の常識とインターネットが余りにも違っていたので、なかなか移れなかったと思うんです。なので、ハードウェアでも結構すごい近いことが言えると思っていて、そのメーカーの人材がそのまま来てもやっぱりうまくいきづらいってのがありそうな気がしますよね。
林:たぶんわかってないというのは、エンジニアというか、経営者とかちょっと重役クラスの人たちのような気もしますよね。でも、それでいうとまたハンディの話に戻っちゃうけれども、あれすごいいい気がしていて、結構いろんな家電メーカーにもそっち側のカルチャーがわかっている人が増えてきていると思うんですよね。
「Arduino」とかに触れて、それがコンテストとかに出てきてとかしてうまく変わるといいかもしれないですよね。課外活動をふやしていくとね。
ということでそろそろ締めの時間になってきたんですけれども、じゃあ、お二人に一言づつ最後のメッセージをいただければと思います。じゃあ青木さんから。
青木:とっても勉強になる、おもしろい話がいっぱいあるセッションだったので、ぜひ皆さんログをチェックしていただければと思います。ありがとうございました。
林:田川さん。
林:増えていました、増えていました。
田川:何かこれは世の中の温度かななんてね。じゃ、来年やって、もうちょっと増えているかどうかみたいなのを見てみるとおもしろいかもと思って(笑)。
林:来年あたり亀山さんが最後にやって来てね、ほら出た、いつものって(笑)。増えているよ、ちゃんとってね(笑)。
田川:済みません、全然メッセージになっていないんですけれども、ただ、やっぱりインターネットが出てきたみたいな、何かが始まる予感みたいなものをすごいこの領域には感じて、おもしろくて、だめかもしれないですけれども、だめなら、だめでいいじゃないという感じもしますよね。
林:そうですね。
田川:けれども、やっぱりこういう雰囲気を持っているエリアというのはすごい少ないから、貴重だから、興味がある人はもう少し突っ込んでみてもらえるといいんじゃないかなと思います。
林:ということで、札幌で開催中の「IVS 2014 Spring」、インタビュールームにてゲストをお招きしてお送りしてきました。こちらのUstreamの放送もいいんですけれども、セッションの内容も結構おもしろかったので、ぜひ「イケハヤ書店」というブログのほうで、イケダハヤトさんが結構詳しくレポートしてくださっているので、そちらもあわせて読んでいただければと思います。ということで放送を終わります。ありがとうございました。(拍手)
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