2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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林信行氏(以下、林):北川さん、ありがとうございました。伊勢丹もメディアとしての話がありましたけど、それのライバルになるのかというところも含めて、金山さんよろしくお願いします。
金山裕樹氏(以下、金山):このセッションにお越しいただき、ありがとうございます。当社のやっている事業のご説明をさせていただきたいと思います。
森田さんのところがモノづくり、北川さんのところがモノを売るというのであれば、その間を埋めるようなメディアですね。
モノが欲しくなる瞬間とか、そのモノを知るところをスマホのアプリを使って、ファッションの領域でサービスを提供しているのが当社になります。
当社が運営しているのは「iQON(アイコン)」というファッションアプリです。iQONはといいますと、簡単に言うと、スマホでコーディネートができて、そこからトレンドが見つかり、欲しいアイテムが買えるというようなものです。
どうやって作るかというと、スマホ上のECサイトで販売されている商品をテンプレートに組み合わせたり、あとは自由にユーザーさんが組み合わせをして、1枚のファッション誌のような画像を作っていくサービスになります。
テンプレートを選ぶと、どこに何を置きなさいみたいな指示がされているので選んでいきます。(画面上の)カーディガンをタップすると、提携してるECサイトが100ぐらいありまして、そこから、そこの新商品を常時、当社のテクノロジーによってタイムラグなく掲載しています。
ユーザーさんは、ここに載っているファッションアイテムから、自分のセンスを表現するように、着せ替えというか、コラージュをしていく感じです。そして公開するときに、何かしらテーマを入れて公開ボタンを押すと、サイトに公開がされます。
そして、これを友達にシェアしたり、あとは自分で保存しておいたりして楽しむようなサービスです。そのような画像が1日多いときで5,000枚ぐらいアップされています。そして、ほとんどのユーザーがプロではなく、普通の女性ユーザーです。
すべての服の画像はECサイト様よりご提供されてるものなので、ほぼ全部が掲載されている商品への購入リンクがついています。例えば、BEAMSさんのGジャンを欲しいと思えば、その場で販売サイトにリンクして購入することができると。
ここで購入にいたった場合、当社は売上の数パーセントを手数料としていただき、それを収益源としてビジネスをやっているわけです。このようなユーザーの投稿からトレンドが見つかり、欲しいアイテムが買えるというような世界を実現しています。
最近は2つ大きなトピックスがありまして、1つは2015年のGoogleのベストアプリを2年連続で受賞させていただくことができました。
もう1つはApp Annieが出されていたレポートで、日本の小売アプリでダウンロード数トップ10、ちょうど10番目に入ることができました。
林:みなさんリテールで買うよりも、どんどんiQONで商品を買うような感じになってきてるんですか?
金山:そう思ったんですけれども、僕らiQONのユーザー2,000人ぐらいにアンケート調査をしたんです。実際は、そのうちの80パーセントのユーザーがオンラインでモノを買わないと言っています。
つまりiQONを見て得た情報を、それこそ伊勢丹さんとか店舗に行って購入しているというデータが出ているので、EC化が叫ばれていますが、そんなに……。例えばECが50パーセント、80パーセントみたいな未来になるというのは、まだイメージできていない感じですね。
ただ一方で、実店舗で買ってるユーザーが80パーセント。裏を返せばECで買ってるユーザーは20パーセントなんですが、この20パーセントというのは、業界で言うと数字は高いかなと思います。
林:eコマースじゃなくて実店舗で買うというのは、サイズとか質感とか、そこら辺なんですかね。伊勢丹もeコマースにチャレンジすると言ってるけど、どんな実感を持ってらっしゃいます?
北川竜也氏(以下、北川):そうなんです、当社の一番大きな課題の1つがこのeコマースの強化です。
金山さんにおっしゃっていただいたように、当社のお店に来ていただいてるお客様は、機能としての服を買いに来ていらっしゃるお客様ももちろんいらっしゃいますが、実はショッピングそのものがエンターテインメントだったり、お店で過ごす時間が豊かだとか。
例えばよくある話なんですけども、「こういうコートを買いたい」と言って来たら、帰りに傘買って帰ったみたいな、思わぬ出会いをしてしまうとか。実は時間を豊かに使うということに関してお店が機能しているという部分もある。
我々がやらなきゃいけないのは、機能として買っていただくという部分と、ショッピングしてワクワクしたとか、それを持って帰るときにルンルンして、電車のなかで開けたくなるという、この気持ちをどれだけeコマースの世界でも具現化できるかなと。
もちろん完璧に置き換えることはできないので、それぞれが補完し合うようなかたちで、リアル店舗とECにその機能を持たせられないかなというのが、我々が今思ってることですね。
林:そういう意味で言うと、リテールとECを両方持ってるところが本当に強くなってくるみたいな。
北川:そうですね。本当によくある話ですけども、オンラインで見たものを店頭でピックアップできるというのも、その体験の1つなんでしょうけれども、僕はもうすこし深い話があるのかなと思っています。
金山さんのサービスが本当にすばらしいなと思うのは、(スマホ上で)ピッピッと指で洋服を移動してる時点で楽しいわけですよね。
オンラインのなかでも、ワクワクとかウキウキは具現化できるんだろうなと。それが届くまでの時間が楽しかったり。
早く届くことが重要なんじゃなくて、待つ時間すらも楽しくなると。待つ期間にお金を払いたくなるようなことも、できるんじゃないかなと夢を見ています。
林:1つeコマースで買うときに躊躇(ちゅうちょ)してしまう理由が、「サイズが合わなかったらどうしよう」というのがあると思うんですけれども。
森田さんのISO TC133が始まると、やっぱりショッピング体験は変わって、みなさん安心してECで買えるようになるんですかね。出会いとか。
森田修史氏(以下、森田):そうですね、自分の体型に合わないと……。衝動買いがけっこう多いと思うんですよね。衝動買いも「これいいよ」と言っても、最後自分に合わなかったら買わないという話になりますので。
順番というと、先ほどおっしゃったウキウキ感とかワクワク感。ファッションという本流のところに行くと思うんですけど、最後はやっぱり体型。
もっと言うと、体型がわかっていて、それに合うものを今度はウキウキやワクワクで選べば、それに越したことないと思います。
林:なるほど。会場にFarfetch (ファーフェッチ)さんと、あとLaFabric(ラファブリック)さんもいらっしゃいます?
いらっしゃいますか。お二方はどちらかというとECがメインなんですけど、どんなふうにご覧になってるか、意見をいただければと思います。どちらでも。
参加者1:LaFabricの森と申します。我々はカスタムオーダーの、メンズが主になるんですけれども、洋服を1着1着作るという、そういったサービスなんですけれども。
おっしゃられたとおり、我々もITとリアルのシナジーを非常に感じている会社でして、最初はECサイトから始まったサービスです。
ただ最近、リアルなショップ展開、ポップアップストアが中心なんですけども、始めまして、オンラインで買う方の客単価の2.5倍ぐらいがリアルの場で出てるというものがあって。
リアルの場だと安心して購入していただけてるので、その分、客単価が上がっているのかなというのを実感値としてあったり。あとは、オンラインを持っている強みというのは、リピート率です。
我々、既製服ではなくて、その人のサイズのデータ、全身15か所取り、そこにサイズを合わせに行っている。そういったモノづくりをやっている会社ですので、リピート率というのは既製品に比べて高いというか、逆に2回目以降は逆に安心して買えるみたいな、そういったことが起こっているので、リアル×ITはすごくシナジーを感じているという感想です。
林:Farfetchさん、すごいハイブランドというか質の高いものをeコマースで売るというのは、すごい難しいチャレンジのような気がするんですけど、いかがですか?
参加者2:Farfetchの場合は、おっしゃるとおりサイト映えがすごく大事なので、質というよりはエンターテインメント性をどういうふうに出すのかというのがすごく重要なポイントです。
そもそものビジネスモデルが、リアル店舗の在庫がそのままサイトに載ってるという意味でも、恐らくお客様の多くは実際に店舗に行って、サイズを確かめたりということをしつつ。
ここが日本のマーケットがいいなと思っている点なんですが、そのブランドの経験をある程度持ったユーザーさんだというところはポイントとして大きいと思ってます。
ある程度の安心感がすでにあるものを買っているケースは多いんじゃないかなと思います。
林:ありがとうございます。
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