
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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岩瀬大輔氏(以下、岩瀬):今コンサルを褒めるタイムだったはずなんですけど、僕のコンサルに限界を感じた話していいですか? 若手で2年目だったので、本当に先輩たちからすれば「お前、なにも知らないだろう」って感じなんですけど。
いつも違和感あったのが、プロジェクトの終わりが例えば3ヵ月とか4ヵ月とか半年で、最後社長にプレゼンするんですよ。
そのために最後の日徹夜して、すごいカッコいい資料を作って。最後、先輩も一緒にプレゼンして。それでワ~って終わって。そのあとに打ち上げディナーに行くんですよ。プレゼンが終わったのがプロジェクトの終了というのに違和感がありました。
それから投資ファンドに移ったんですけど。投資ファンドに移ると、買収完了して銀行からローンを借りてお金が動いて、株券をドチャってもらって、会社のオーナーになったというのですごい「なにかが動いた」感があったんですね。
それに比べると、コンサルは社長の前でプレゼンして、みんなで「いい仕事したな」って打ち上げをして終わるのが、なんかすごくふわっとした感じだなと思ったんです。BCGは大好きな会社なんですけど。
そこから(プレゼンの後から)、難しくないですか?
福島広造氏(以下、福島):そうですね。時間軸を切った最大化って事業経営としては明確で、例えば「来月の売上、最大にしろ」ってなったらすごいシンプルな話ですね。
だけど、「今月の売上も来月の売上も3年後も10年後もサステイナブルに事業を成長させていくために、いま何しなきゃいかないか?」という論点ってすごく難しくて。
こういう時間軸での全部を背負いきるという経験というのは、コンサルではやれなかったなというのはあって。移ってみて初めて気づきますね。
岩瀬:出てみて、ということですね。
福島:そんな感じですね。
岩瀬:なんかいろいろネガティブに言ってるんですけど。でも、そういうことじゃなくて。役割の違いかなと思っています。
少し前に元BCGの人がやってるコンサルにミニプロジェクトを頼んだんですよ。
なにが言いたいかというと、やっぱり頼みたくなるときってあるんですよね。それで、助けてもらえるときってあるので、コンサルを全否定してるわけじゃなくて。いま我々経営に携わっている人間として、経営という立場から「どういう仕事をしてるのか」というのを炙り出そうとしてるのであって。
コンサルにいるときは「俺たちが経営に相当インパクト与えてるぜ」って思うんですけど。いざ経営者側になってみると、知らないことが多いですよね。
福島:コンサルに行く方で「ジェネラルにいろんなこと学びたいから」って意見もあるんですけど、それは違和感がある。数年は勉強になると思うが、その先は専門家にならないと価値がないと思います。逆に、事業家はより時間軸の幅と専門性の幅を持たないと運営できないと感じてます。コンサルで本当に自分の人生を築くんだったら、むしろ専門を持ちきるというところに、コンサルでのキャリアをドライブ していったらいいかなと個人的には思います。
岩瀬:あんまりモデレーターが話しすぎるセッションってよくないんですけど、今のを加味してもう1つだけいいですか。
僕がコンサルから投資ファンドに行ったときに思ったことがあって。投資ファンドから、買収した企業の経営に携わって思ったことがあって、やっぱりコンサルって経営全体の一部を担ってるなって思ったんですね。
なんとなく経営全部見てる感じがしたんですけど。これむしろ井口さんみたいにファンドから行った立場で共感していただけるかもしれないんですけど。
コンサルのときは、一生懸命分析してプランを作ってたんですよ。カッコいい戦略作ってたんですけど。行ってみたら、銀行からお金借りなきゃいけないわ、工場で土壌汚染の問題があって、それをどうにかしなきゃいけない。あと人のストックオプションの契約書を作らなきゃいけないとか。
なんか、そういういろんな問題があって、経営者の頭のなかにあるものの、コンサルが触ってる部分ってほんの一部なんだなと思ったんですけど。井口さんどうですか?
井口善文氏(以下、井口):そうですね。いま岩瀬さんに言っていただいたとおり。コンサルもたぶんいろいろあると思うんですけれども、私がやっていたプロジェクトでいうと、先ほど「クライアントに常駐して会社のなかに入りました」と言ったんですけど、結局現場だけでは、「部分」なので、そこだけがよくなっても意味がないということは感じていました。
結局、会社が本当によくなるためにどうしたらいいのかというのを徹底的に考えて、これってやっぱり経営層を動かさなきゃいけないよねってなったら、あらゆる手を尽くして経営層を動かしにいく、というような動き方で、成果に徹底的にこだわってやってたという部分があったので、そういう意味では、ちょっと特殊なコンサルではあるとは思うんですけれども、意外と全体をやっていたなという感覚はあります。
岩瀬:やっぱりコンサルというかファンドっぽい感じだったんですよね。企業価値を高めるために入って、お金も入れてコミットしてやってるからというところありますよね。
井口:そうですね。お金を入れない案件についても、基本的に同じスタイルでやってます。それが染み付いてるというのはあると思います。
岩瀬:なるほど。ありがとうございます。今の議論とか、これまでのみなさんの経験もふまえて、ベンチャーで働く喜びとか、ベンチャーで働くメリットみたいのをお話しいただければなと思います。
たぶん、コンサルが大事業だという括りだけじゃないし、さっきも中島さん言われたように、ベンチャーといっても、ライフネットもベンチャーのつもりでいますけれど、けっこう長くやってますし、上場もしてます。
リブセンスもみなさんから見ればベンチャーだと思うかもしれないんですけれど、できたばっかりの会社に比べれば、ずいぶんうらやましいような安定してる会社になるわけですよね。ラクスルもまだ上場はしてないけど、かなりお金を集めて盤石な感じでやっていらっしゃるので。
なので、ベンチャーの自分の中の定義も明らかにしながら、そういう小さい組織とか新しい組織とか、自分たちみたいな組織で働くことのメリットとデメリットまで言いましょうかね。いいところだけ言ってもしょうがないので。じゃあ、中島さんからどうぞ。
中島真氏(以下、中島):僕自身の中からという話になるんですけど、ベンチャーの醍醐味って言っても、福島さんから「インパクト」という言葉がたびたび出ているんですけれども、そこに近い、少なくとも近い感覚は覚えやすい場所かなと思っていて。
それは、例えばそもそも創業した人間の思いであるとかが伝わりやすいとか、そういう側面が強いのかなと思うんですけど。
僕自身、経験として、コンサルやっていて、通信系の大企業がクライアントのときに、ベンチャー側を買収しに行くプロジェクトで、いろんなベンチャーと接するときがあって。けっこう動いているプロトコルが違うなと思っていて。
クライアント側は来期の利益としてどんだけ活かせるかという話なんですけど、ベンチャー側からすると当然ながら関係なくて。「いま我々はこれがやりたいんだ。こういう世の中にしたいんだ」っていうことに対してストレートな人たちという、わかりやすく言うと、こういう構図かなと思っています。
そういう思いで集ってるメンバーの純度がものすごい高い状況というのが、僕の中ではベンチャーだと思ってます。
僕の醍醐味は、単純にそっち側にふれるのが心地よい、そっち側にふれてるのが刺激的であるという満足感というのは大きいかなと思っていて。それは働くうえで自分が何を大事にするかというところによるかなとは思うんですけど。
じゃあ、片やデメリットは何なのかというと、「安定してる」とかそういう話があったんですけど、それでもリソースがないですよね、なかなか(笑)。
なので、「これやりたい」と気持ち高ぶるといっても、そんなに高ぶるとおりには動けないというのが、当然ながらおもしろみでもあるんですけども、けっこう忸怩たる思いの瞬間はたくさんあって。それはデメリットというとちょっと違うんですけど、それなりに悔しいシーンなんですね。
岩瀬:リソースが大企業に比べて、お金、人、いろんなものの制約のなかでやるということですよね。
今の中島さんの話聞いてて「そうだよな」って思ったのが、やっぱり「こういう世の中にしたい」とか「変えたい」とか「新しいものを生み出したい」という思い、その定義によりベンチャーってそういうものじゃないですか。今まで既にあるものをやってるだけなら別に何も価値がないので。
そういう思いの人たちが集まってるし。程度の差こそあれ、そういったことを実現できる場がベンチャー企業じゃないかなと思っていて。それが手触りとして、自分が個人が手触りとか手応えを持ってできるのがベンチャー企業じゃないのかなと思っています。
じゃあ、大企業に行ってそういうのができないのかというと、理屈でいえば、大企業でも新商品とか新サービス出したりとかして、大きいリソース動かしてできるはずなんですけど。どうなんですか、井口さん?
井口:リクルートをイメージされてたんですか?
岩瀬:いや、ソニーです。
井口:個人的な見解ですが、ソニーは難しいかもしれないですね(笑)。
岩瀬:リクルートはできますね。
井口:はい、リクルートはできますね。たぶん、みなさんイメージしてるように。
岩瀬:リクルートが大企業というかベンチャー的なものも持ってるからですよね。
井口:そうですね。リクルートについては今でも、どうして大企業でありながら、そういうベンチャー的なものを持ち続けていられるのか明確に説明できない、ほかに類を見ない会社だと思っています。ちょっと特殊かもしれないですね。
岩瀬:なので、ベンチャーで働くというのは本質的にはうまくいかないリスクもあるし、思い通りにいかなくて会社もなくなっちゃうリスクも、小さい会社ならあるかもしれないんですけど。やっぱりそういう思いを持って世界を変えていくチャレンジをするという生き方なのかなと思ってます。どうですか?
福島:そうですね。
ラクスルに来て、「自分がやりたい」とか「ラクスルでこれを実現したい」という、自分のなかのアスピレーションとかやりたいことが自分をすごくドライブしていくという。
そこは一番違ったかなと思いますし、やっぱりそれは自分で、会社で世界を変えていける、新しいことに取り組んでいけるというところが働く一番の楽しみなのかなと思います。
一方で難しさは、目の前は混沌と何もないというところに向き合わなきゃいけないので。ここに向き合った時に、それが混乱だけ、変えられないと思う人にとってはすごく大変な環境だろうなと思います。
なので、自分で「変えれる」とか、自分がそこに対してなにかできると思う人にとっては、すごく変える余地が大きい、チャンスがいっぱいある会社だと思います。そこはそういう困難なり、複雑性に対しての向き合い方ですね。
岩瀬:複雑性もあるし、やっぱり不確実性ですよね。
福島:そうですね。
岩瀬:つまり、僕らの会社みんなそうだと思うんですけど。じゃあ、みなさん22歳で入って、30歳の時に会社の中でどんな存在になっていて、どんなことやってるかというのが、例えば大企業であれば、なんとなく年次で「この年で係長で、この年で課長で」とか「お給料これぐらい、こうでこうで」というのが見えると思うんですけど。その予測可能性みたいのがすごい低いですよね。
福島:そう思いますね。なので、コンサルでも3年後には昇進するとか、一定読めるんですが、スタートアップの場合は「どうなるの?」って私が例えばメンバーに聞かれても「わかりません。君次第です」っていう話なので。
そのメンバー自身が「こうなりたい」「こうしたい」という思いがあれば、すごく確実性のあるチャンスなんですけど。それ自体はセットされていないので、それはすごく不確実ですよね。
岩瀬:たぶん、これは完全に性格で、それを心地よいと感じるか、不安で心地悪いと感じるかだと思うんですね。僕なんかは逆にレール敷かれていて、「こうなってる、こうなってる、こうなってる」って決まってるのが気持ち悪くてしょうがないんですよ。むしろどうなるかわからないぐらいのほうがやっぱり楽しいし。
たぶんここにいるみんなはそういうのが好きだから、選んでると思うんですけど。それが居心地悪いなという人は、むしろある程度安定感がある会社のほうがいいのかもしれないなと思います。
じゃあ、井口さん、ベンチャーの醍醐味と限界について。
井口:今日来ていただいているみなさんって新卒か第二新卒だと思うので、そういう人たちにとってのメリット・デメリットというところでいうと、私見としては、20代前半については「正しくがむしゃらに頑張る」というのがとにかく大事だなと思っています。
そのうち「がむしゃらに頑張る」というところについては、ベンチャーは非常にメリットがあるのかなと。先ほど「混沌としている。不確実性がある」というところがあったと思うんですけれども、がむしゃらに頑張るって、ただ長時間働き続けるという意味ではなくて。
いろんな変化のなかで、いろんなチャレンジをして、いろんな失敗をして、そこから経験を得るというところでいうと、ベンチャーはなにも決まってないので、そこでたくさんの失敗をすることもできるし。逆にいうと、失敗しないベンチャーってほぼないので、そういう意味ではベンチャーは非常にメリットがあるなと。
デメリットでいうと、「正しくがむしゃらに」って言ったんですけど、本当に「正しく」失敗を犯していかないと、変な方向に行っちゃうんですよね。
大企業とか、とくにコンサルについては、大きな会社、日本のトップ企業の経営者と渡り合ってきたような人たちがたくさんいるので、やっぱり自分のロールモデル、師匠になるような人がたくさんいます。
ただ、ベンチャーにそれがいるかというと、いないことってけっこうあるんですよね。最近はだいぶ元コンサルの人がベンチャーに行ってるとかあると思うんですけど。そういう人がいない、ロールモデルがいないところでは、とにかく「気合で頑張れ」「よくわからないけど失敗しました」となってしまう。
そこから得られる反省ってあまり「正しい反省」じゃないので、その点はベンチャーとしてのデメリットになってしまうかなと。
岩瀬:ありがとうございます。
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