
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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勝屋久氏(以下、勝屋):さっき福田さんが「人間力が身についた」と。これはなんとなくわかります。私も伊藤忠の友達がいっぱいいて、本当に「このおっさんたちすげえな」みたいな人がいるんだけど。2人は商社にいて、具体的にスキルとして何を身につけました? 郭さんからお願いします。
郭翔愛氏(以下、郭):バチッと「これだ!」というカッコいいものはないんですが。たまたま当時の採用方針で、同期100人全員が管理部門にというところが、僕にとってはすごくポジティブで。
そのまま営業をやっちゃうと、たぶんもともと持ってる強みだけの勝負のできる人にしかならなかったんですけど。あえて一切興味のない経理をやれたのがまずよかったです。ですので、経営する能力というのを、会社の方針として身につけさせていただいたなと。
そこに3年もいると、100億円単位の出資をする際に、決定するための大企業のロジックと力学みたいなところに触れる場がたくさんあるんですよね。
それを知れると、商社を出たあとでも、別にそんな金額を自分で動かさなくても、世のなかの力学のポイントみたいなものを場数として知れたというのは、経験としてよかったなと思います。
勝屋:今もそれが役に立ってる?
郭:そうですね。
勝屋:奥田さん、同じ質問なんですけれども。「このスキルは身についたよ」みたいの。
奥田健太氏(以下、奥田):僕はもうちょっとプリミティブな能力というか、マインドセットになるんですけど。ひと言でいうと、できるとかできないとかはどうでもよくて。そこまでにやるか・やらないかみたいな、そこがすごい高いレベルで当たり前に行われてるみたいなところですね。
それって今だと、もう自分がオーナーシップを持ってやってるので、寝る時間を2日間全部削ってやらなくちゃいけないこともあるんですよね。でも、それが「仕事だったら、それって当たり前だよね」というカルチャーです。だから本当に、新卒で三菱商事に入ったときに、「えっ、こんな辛いこともやるの?」と思ったこともあります。
別にいつも辛いわけじゃないですけど、やっぱりできるか・できないかじゃなくて、やるか・やらないかで「ここまでやらなくちゃいけません」みたいな話を、最初に「それが当たり前だよね」と教えられています。
今はスタートアップなので、それが本当にいっぱいあるんですけど、そういうことがまったく苦にならないという、そういうアンカリングみたいなものはけっこうよかったなと。
勝屋:思考回路に刻まれた感じですかね。
奥田:そうですね。
勝屋:また違う質問しちゃってもいいですかね。さっき「おもしろいおっさんが商社にいる」と言ってたじゃないですか。でも、いろんな統計情報によると、商社からベンチャーの世界に飛び込む人って珍しいと。
私の知ってる限りでいうと、三井物産出身でSansanの社長になった寺田(親弘)さんとか。何人かいるんですけど、やっぱり少ないなと思うんですよ。
「それだけアグレッシブな人生を生きてる人が、なぜ外に飛び出さないのかな?」という。ぶっちゃけ3人はどう捉えてるかなと思って。
福田升二氏(以下、福田):さっきも少しだけ議論したんですけど、やっぱり一番大きい要素は、まずは中での仕事がすごいおもしろいというところはあると思います。
あとはたぶん、自分の実力がついてきたなと思う頃に、商社って世の中で言われてる通り、給与が高いとか、やっぱりそういうところに引きずられる部分がけっこう大きいというところが1つはあるなという感じですね。
奥田:あとは、ちょっと今思いついた話なんですけど、やっぱりセクターの話はあるかなと思っていて、スタートアップってやっぱりITが多いんですよね。
もちろんITじゃないスタートアップもあるんですけど。スタートアップにおけるセクターの割合は、ITの部分が大きいと
そのなかで、じゃあ「商社ってどういうところを強みにしてるんでしたっけ?」みたいなところをみたときに、やっぱりいわゆる重厚長大と言われる、昔からやってる、資源を中心とした資本集約的な分野。その資源関連で今大変なことになっているというのはあるんですけれども(笑)。
やっぱり資源だったり、船・造船だったり、会社によってその差はありますけれども。そういうセクターの相性があんまりよくないんじゃないかなというのはちょっと思うところではありますよね。
勝屋:郭さん、どうですか?
郭:そうですね、同感でした。でもやっぱり給与とかは本当にあるんでしょうね。
残念だなというのが、新入社員1年目のときにめちゃくちゃ輝いてても、今はもう37歳とかなので、「出たくても……」みたいな議論がやっぱり増えてくるわけですよね。「もうこの年収ベースで生活してしまってるし」みたいな。
ポジティブにいうと、やっぱりおっしゃったように、若いうちに世界でビジネスをするおもしろさを知れちゃう、というのはポジティブな部分ではある。その両方かなとやっぱり思います。
福田:我々も当然、入社するときに同期がたくさんいるんですけど。実は離職率って本当に10パーセントとか、10年とか経っても、多くても20パーセントぐらいしか出ないので。
やっぱりそういう方というのは、いろんなところに縛られて、中で残るほうが相対的には多くなってるというのは、数字としてもそういう感じかなと思います。
勝屋:福田さんって36歳じゃないですか。同期って何人ぐらいいるんですか?
福田:75人ぐらい入社して、今たぶん残ってるので60人ちょっとぐらいなので。そうですね。それで10年近く経ってるので。
勝屋:奥田さんは30歳じゃないですか。
奥田;そうですね。
勝屋:数字はわからないかもしれないですけど、だいたいの感覚で、同期が何人ぐらいいて、辞めた人というか、ベンチャーに行った人ってどれぐらいいるんですか?
奥田:180人いて、辞めたのが20〜25人ぐらいです。いわゆるスタートアップとか、そういう種類のリスクの取り方をした人は6〜7人かなという感じです。
ちょうど先週、元同期の大勢と会う機会があって。いろんな同期と会って話をしたんですけど、僕の同期にわりと有名なMISTER MINITの社長をやってる人間がいるんですけど。
彼とか、こういうふうにリスクを取って楽しくやってる僕を見て、やっぱり同期は「なんか、すごい楽しそうでいいね」というような言い方をされることもあります。
それはある種、答えの1つなのかなというのはちょっとある。ポジショントークではありますけど、ちょっと最近感じてしまったところではありましたね。
勝屋:なるほど、すごいわかる。私も同期ね、けっこう辞めてる人もいるし、いる人もいるんだけど。「楽しそうでいいね、カッチャンは」って言われるんだけど(笑)。
今日一番聞きたかった質問があって、最初に「商社の魅力」をそれぞれに聞かせていただいたし、商社のスキルもこういうことも身につけたし。今残ってる人たちも、やっぱりお金も魅力だし、いろんなことが魅力だと思うんですよ。商社は魅力でいいと思うし。
でもきっと、その魅力をはるかに超える何かがあって転職したのかなって思ってるんです。それをぜひお三方に聞きたいな思います。
郭:なにか天秤の左右において比べたという記憶もまったくなく、たまたま今の会社に先に入ったリクルートの友達が「一緒にやろうよ」というのがトリガーでした。別になにをやってる会社かもあまりよくわからなかったんですけど。
当時転職したのが28歳のときだったんですけど、やっぱり自分の名刺か、会社の看板で仕事をしてるかというのは、重要だなというのが当時もわかっていて。
要は、前日合コンで遊びまくって翌日クライアントに出した提案書と、前日死ぬ思いで魂を込めて作って翌日クライアントに出した提案書って、ぶっちゃけクライアントからの評価があまり変わらなかったんです。
それは素晴らしいことなんですよ。それは企業の看板で「この会社が出してくる提案書は、それなりのクオリティだよね」というのを先人たちが築いてきた素晴らしい資産なんですけど。
でも僕は「人は易きに流れる」と信じ込んでるので、この両方のアウトプットに評価が変わらない環境にあんまり長くいちゃいけないなというのが1つです。
もう1つは、当時から周りの同世代で大手出身でベンチャーにみたいな人たちがちらほら増え始めていて。
そういう方たちと話してると、なんか28歳にして……明らかに仕事が楽しそうなんですよね。明らかにしんどそうなのに。
労働時間とか仕事にかける思いという意味では、よっぽど重い荷物を持ってるのに、めちゃくちゃ楽しそうだなっていう人が、周りにはたくさんいたので。
その2つがポイントでした。だから、なにかを事前に比較検討したとかはぜんぜんなく、「エイヤ!」で飛び込んだ感じです。
勝屋:いいベンチャーってたくさんあるじゃないですか。なんで(今の会社に?)。
郭:そのへんもよく考えてなくて。名前は知れてるけど、中でなにやってるかはわからないとかのほうが、なにか自分でできるんじゃないかなみたいな。それも言語化はできてなかったんですけど、感覚として持ってました。
勝屋:自分の魂、心が動くという感じですかね。
郭:そうですね、はい。
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