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スタートアップのはじめ方(全7記事)

女性向けファッションアプリ「iQON」誕生のきっかけは? VASILY代表が語るロックな起業家人生

2015年12月10日、IVS SEEDS 2015 Winterが開催されました。Session4「スタートアップのはじめ方」には、モデレーターを務める小野裕史氏、VASILY・金山裕樹氏、akippa・金谷元気氏、スペースマーケット・重松大輔氏、freee・佐々木大輔の5名が登壇。本パートでは、金山氏がVASILYの事業内容と30歳で起業するまでのストーリーを紹介しました。

VASILYの女性向けファッションアプリ「iQON」

金山裕樹氏(以下、金山):最初に、僕らの会社の事業の紹介と、あと君らぐらいの年だったときの自分と、今の会社について紹介します。

VASILY(ヴァシリー)という会社で「iQON」という女性向けのファッションサービスをやっています。iQONというアプリは、スマホでコーディネートしてトレンドが見つかり、ほしいアイテムが買えるファッションアプリです。

使っていただくと一番わかりやすいので、みなさんスマホ絶対もってると思うので、「iQON」で検索してインストールして、レビューで「★5」をつけてください(笑)。

(会場笑)

iQONをやってる人? うわっ、誰もやってない(笑)。素直さは大事だよ。あとで全員チェックするからね(笑)。

最近のトピックスは、2015年のGoogle(Play)のベストアプリを2年連続で受賞しました。

小野裕史氏(以下、小野):おめでとうございます。

金山:ありがとうございます。2012年には実はiOSでもベストアプリを取っていて、2014年にはGoogleのベストアプリも取っていて。たぶん、ファッション系アプリではこれだけベストアプリを取っているのは、世界中でもほかになく。僕らだけかなと思っています。ファッションアプリが少ないですからね。

あと「App Annie」さんのレポートでは、日本のこういうアプリで、ダウンロード数が軒並み強豪のなか、トップ10に入っていると。なので、「まあまあ、使われ始めているかな」という感じです。

小野:補足ですが、App Annieというサービス聞いたことがある方いますか? たぶん、ほとんどいないと思うんですが。

みなさんの使ってるアプリが今どのくらい人気があるのかという。日々のランキングは、みなさんのiPhoneのiOSとかGoogleで見られると思うんですが、過去も含めてこういったデータを基本的に無料で見ることができるのが、App Annieというサービスです。

「そもそもどんなものが流行ってるんだろう?」と調べたいときには、けっこう便利なサービスで。ぜひ、使ってみていただければ。宣伝するのは、僕らの投資先だからということではありません。

金山:App Annieは使ったほうがいいですね。実質同じことができるサービスはないので。これは、僕らマストで使ってます。

バンド活動にのめり込んだ大学時代

小野:次行っちゃっていいですか?

金山:(スクリーンを見て)これは学生時代ですね。

小野:かっこいいですね。

金山:左側で緑のベースをもってるのが自分です。21歳、大学3回生のとき。僕は立命館大学の政策科学部でした。

これは、今はなき(京都)ウーピーズというライブハウスがありまして。ウーピーズを知ってる人いる? いないか。つぶれちゃったもんな。祇園のラブホの下にあったという(笑)。

八坂神社の近くにあったライブハウスで、ライブをしていました。当時は本当にバンドしかやってなかった感じでしたね。だいたい年間50〜60本ライブを。

小野:毎週ですよね?

金山:ほぼ毎週ですね。

小野:金山さんはプロとしてやっていたんですか?

金山:インディーズでした。メジャーじゃなかったんですけれども、ライブに出演してお金をもらっていました。自分たちでレコードをすって、お店に置いてもらって、お金を回収するというのをやっていました。ちょうど21歳のとき。

小野:ある種スタートアップみたいなものですよね。起業家というか。

金山:そうですね。本当に近いですね。お金稼いでたので。それで、このあといろいろ……本当にバンドが売れなくて。一応フジロック(フェスティバル)とか出て。わりとテレビ出たり、雑誌出たり、ラジオ出たりして、いけるかなと思ったんだけどいけなかった。(それが)24歳ぐらい。

そのあとヤフーに入って、モニョモニョやって、30歳のときに起業しているんですが。(スクリーンを指して)そのときの写真がこれです。今とほとんど変わらないですね。7年前ですが。

左側の男性が、共同創業者のCTO。彼は同志社大学(出身)ですね。京都系の大学2人で立ち上げるスタートアップというのは、かなりない事例です。

ちなみに、うちの取締役のCFOも同志社なので、経営陣全員、京都にゆかりがあるという。(こういう例は)ほとんどないです。

みんな、東京だとびっくりすることに、早慶・東大とかになっていますよね。たぶんそれは、(京都だと)けっこうみんなスタートアップに興味あるとしても、情報がないとか、仲間が少ないとかで、わりと環境的にはタフだと思う。

例えば、東京にインターンに行こうとなっても、交通費がかかる。だから環境としては誰よりもがんばらなきゃいけない。

もしもスタートアップで成功したければ……というのを前提にがんばっていこうと思いますね。でも、なんとかなるからね。僕らも「痴漢、強姦、立命館」ですしね。なんとかなります。

小野:(強引に話を立ち切って)金山さん、2人で始めたわけですね。

金山:2人で始めました。

佐々木大輔氏(以下、佐々木):(笑)。

重松大輔氏(以下、重松):終了(笑)。

金山:「痴漢、強姦、立命館」と言うでしょう!?

重松:よく言われてましたよ。

金山:言うよね!? 「痴漢、強姦、立命館」は。あと、今はどうなんだろう、立命館? ほら、社会運動とかやばいじゃん。「毒ガスに気をつけろ」みたいな貼り紙は、今も貼られてるの?

参加者:今はないです。

金山:ないか。俺たちの時、貼られてたの。軽音の部室の近くに。「異臭がしたら……」みたいな。まあ、いいや(笑)。

占い師に借りたオフィスで会社をスタート

(スクリーンを見ながら)これが立ち上げたときのオフィスで、このときは本当に自分たちの自己資金100万円でスタートしています。当然100万円ではなにもできないので。オフィスっぽいけど、俺たちのオフィスじゃなくて、知り合いの知り合いの知り合いの……占い師のオフィスを借りてるんです。(写真)右上よく見ると、タロットカードがあるじゃないですか?

(会場笑)

小野:ありますね。

重松:本当だ。

金山:これ月5万で光熱費とかネットもコミコミで、(占い師の方に)「この2席貸してあげるわよ」と言われて、お借りしているところからスタートして、当時はiQONもなくて。

これ、2009年の5月なんですけど、景気が悪くて。「ベンチャー投資? スタートアップ? は?」みたいな。「VCなんているの?」みたいな。そんな時代でした。

受託開発から学んだ“1円の重み”

なので、何をしたかというと、iQONを土日で作りながら、月から金まではひたすら受託仕事。クライアントに営業して、「これ作って」と言われたものをひたすら作るというのを、2人でやってましたね。それを1年ちょっとぐらいやって、iQONに集中していくというような感じなんですけど。

だから、みんな最初から「プロダクトはないですけど、バリュエーション1億円で、1,000万」みたいなものが、本当にいいことだろうかと思っていますね。これをやってるからこそ、1円の重みがわかってるつもりでいますし。

このときに得られたノウハウみたいなものが、今のプロダクト開発には活きているかなと思います。なにより、クライアントがいてお金のやり取りをするというのが、すごいいい経験になっています。

今だと、サービスを作ってGoogleのアドセンス貼っといたら儲かるみたいなものもありだと思うけど。

僕らが今やってるiQONのサービスは、売上の半分は広告事業です。広告で請求書出しても、「お前のところに広告出しても、物売れなかったから広告費なしね」とか言われる。

それをあがいて、「そんなことないですから、振り込んでください」というのをやるのは、もうデフォルトになっている。

なぜかというと、受託のときはもっとひどいことを。3回納めたのに1円ももらえないとかあったので、そういう人たちとどうつきあっていくかというのは、いい経験させていただきました。

お金のやり取りをするというのはすごく大事なので、(この会場にも)スタートアップやってるという人たちがいると思うんだけど、すばらしいと思う。

けれども、やっぱり1円でも売上を上げるような活動を早くしたほうがいいかなと思います。学生のときからやったら、超武器になると思います。

(スクリーンを指して)創業4年からのオフィス。この段階で3回引っ越ししていて、これもオフィスと言いながらも、廃業した酒屋さんの1階をリノベーションしました。

当時のオフィスに20人ぐらい。全部自分たちで、設計からインテリアのデザインまでやって、ひたすら安くしたと。もう1回引っ越したのが最近で、こんなキレイな。

小野:カッコいいですね。

金山:ちょっと後悔してますけどね。

重松:(笑)。

小野:ここは何人ぐらい入れるんですか?

金山:詰めたら120人入れます。

小野:おー、すごい。

金山:けど今、50人でやっています。

小野:先ほどの2人の写真からここにいたるまで、何年ぐらい?

金山:そこまでは8年ですね。

小野:けっこうかかってますね。

金山:僕らけっこうかかってますね。

小野:でもすばらしいですね。そんな金山さんでした。

(会場拍手)

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