
2025.08.01
災害大国・日本に求められる“命しか守れない防災”からの脱却 最長2週間先の気象災害予測による対応策
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麻野耕司氏(以下、麻野):塩田さん、どうですか? なぜDeNAを選んだのか?
塩田元規氏(以下、塩田):僕は20歳の学生のときに、「世界を変える偉大な会社を創る」って決めていました。決めた理由は2つです。
1つは、(坂本さんと)同じような原体験なんですけど、僕は父親が早く死んでいたので「自分の人生に限りがある」と。37歳で親父が死んだんですけど、「37歳で人生が終わるかもしれない」というのがあって。「それまでになにをするのか、なにを残せるのか?」というのが1つ目。
2つ目は、大学のときに、世の中をよくし続けて、働いてる人も世の中にいいサービスを出し続けてる会社を探して、そこの社長にインタビューしたと。「ハッピー・カンパニー・プロジェクト」というやつだったんですけど。
直接会社に電話して、「社長を出してくれ」といきなり電話して。みなさんこれやったほうが絶対いいと思いますけど、そうすると社長が3割の確率で会ってくれるんですよね。熱量の高い方だと。
そのときに、「会社とはなんなのか?」と。会社というのはお金を稼ぐためだけに存在しているわけじゃなくて、世の中に価値を出すために存在しているチームであり、1人ではできない夢を追うものであると。その結果、売上という形でお金をもらうと。
それを聞いて、僕は20歳のときは相当ピュアボーイだったので(笑)、「そのとおりだ」と思いまして。「僕も37歳までにすばらしい会社を作って、世界に価値を生み出し続けたい」という覚悟を決めたんですよ。
それで決めたあとに、僕は理系だったので経営の勉強をしようと思って、MBAのほうに行って。そのあとDeNAに入ります。
DeNAに入った理由は、そういう青臭い理想というのは、みなさんもなにかしらあると思うんですけど、その青臭い理想と実現できる「力」も両方必要だと思ったんです。
会社は大義と利益を両方同時に実現する必要があるし、個人でも、力がない理想というのはただの妄想であると。妄想がない力はただの暴力なんですけど。両方が必要であると思いました
というときに、最初の2年間でベンチャーというなかで、DeNAはたぶん一番厳しいなと思ったんですよ。同期が最高のタレント揃いで、すごく若いときから仕事を任される。そのなかで結果を求められる。かなりシビアな場所だと思いました。
その環境のなかで結果が出せれば、自分は力を持った上で理想に向かえるんじゃないかなと、真面目な話ですけど思いました。ちょっと真面目なほうでしゃべっちゃいました。すみません(笑)。
麻野:見た目に反して、真面目ですよね(笑)。
塩田:ピュアですから。
麻野:でも、めずらしいですよね。塩田さんはすごくピュアで、どちらかというと理想主義者じゃないですか。
先ほどのお話では、DeNAは現実も見据えて利益もしっかりと追求する会社だということですが。普通、就職で多くの人が、自分にタイプが合う会社に就職すると思います。
しかし、それに反して あえて少し違うタイプの会社を選ばれたということですよね。その際に迷いはなかったんですか?
塩田:DeNAに行くという選択は、当時は最高の選択だと今でも思ってますが、もちろん迷いはむちゃくちゃありました。みなさん就活で悩むと思いますけど。僕らたぶん、全員悩んでいました。
当時、僕はコンサルとか大きい会社に内定をいただいてました。DeNAの川田(尚吾)さんという、当時の副社長の方が僕のメンターについていただいていて、「僕コンサルに行こうか悩んでるんですよね」みたいな話をしたら、川田さんが「今、コンサル行くのは俺ならありえない」的なことをおっしゃったんですよ。川田さんはコンサル出身なんですが(笑)。
(会場笑)
塩田:僕のなかで、川田さんのメッセージを解釈すると、コンサルというのは、経営を俯瞰的に見たり知識を得るところではあるが、実業ではない。
しかも、僕の場合はいったんMBAで経営の勉強をすでにしてきている。それであれば、事業できるところでチャレンジするべきだと。
一番大事なことというのは、夢を成し遂げるための努力の積み重ねと、そこに対して泥臭いことをやり続けられるかという「覚悟」の問題。
その「覚悟を磨く」というのは、1社目にどういう環境でやるかということにすごく依存していて。そこで実業で厳しくも熱い会社でやるのがいいんじゃないかというメッセージだと、僕はポジティブに解釈したんですよね。
それで、DeNA大好きなんですけど、もしかすると自分が作りたい理想とはちょっと違う会社かもしれない。でも、素晴らしい環境が用意されている。
そのなかで自分が発揮できたら、試された覚悟を超えられたら、絶対に自分は自信を持って成し遂げられるというところがありますと。なので、自信をつけに行ったということだと思いますね。
麻野:なるほど。すごいストイックですね。
塩田:そうですね。意外と見た目がストイックに見られないんですけど(笑)。まあ、覚悟ですね。それは自分の人生をしっかり生きたいからということだと思います。
麻野:あえて自分にないものが得られる環境に飛び込んで、それを身につけようと。そういう覚悟のもとで行ったということですよね。では最後、安部さん。
安部泰洋氏(以下、安部):今日来ていらっしゃるみなさんはどうかわからないですけど、僕は昔から起業したかったというわけではぜんぜんなくて。
僕は地元が九州の福岡で。どちらかというと本当に治安が悪いなかで、見た目から想像できないと思うんですけど……。
坂本幸蔵氏(以下、坂本):できるから(笑)。マフィア。
安部:僕の地元は福岡のなかでも、うちの地元に来るときは、「流れ弾に気をつけろ」というぐらいのところで。そういう幼少期を過ごした僕は、「将来起業しよう」とか、そういうのは一切なかったんですね。
大学に入ってたまたまいろいろな縁があって、大学1年生のときから教育系のNPO団体に入って、いわゆる不登校とかひきこもりとか、学校に行かない子たちを学校に復帰させるという団体に入ったんですね。
それまで教育に対してとか、将来の自分の夢とか、本当になにもないちゃらんぽらんしてたやつだったんですけど。
まあ結果的にその団体で4年間活動したんですが、1年間その団体をやったときに、学生と話をすると、「僕もそう思います」って学生もけっこう多かったりするんですが、「日本の教育ってすごい腐敗してんな」と。
教育を受ける立場から、自分が学生たちを支援する立場になって、学校教育とか家庭教育がめちゃくちゃ崩れてるんだなとリアルに感じることがすごく多くて。
僕は一応、親父が経営者だったので、小さい頃から経営者の本を無理やり読まされてたんです。まあ、松下幸之助とか、ソニーの井深(大)さんとか盛田(昭夫)さんとか、本田宗一郎とか、京セラの稲盛(和夫)さんとか。
いろんな経営者が、本のなかでいろんなことを言ってるんですけど。唯一彼らが1個だけ共通して言ってたのが、日本の教育に関することだったんですよ。
彼らが言ってたのは、資源もなにも持ってない島国の日本が、なぜ戦後世界で第2位の経済大国になったのか。これは、鉄砲であったり、石油であったり、石炭、なんの資源もなかったけど、この国には人材という資源だけがあったと。これを話したら、すごいいろいろあるんですが。
彼らが言っていたのは、今後日本が20年後、30年後、50年後、まさに今の時代ですね。いわゆる世界から置いて行かれることがあるとすれば、それは教育が衰退していくと、日本というのは終わっていくんだというのを、彼らは説いてた。
小さい頃にそういう記憶があって、大学1年生のときにそういう支援に触れたときに、「このまま行ったら日本の教育って衰退して、この国って終わっていくんだな」というのを感じて、これは別にロジックでもなんでもないんですけど、なんかすごい「やだな」って思ったんですね。「なんかそれってすごくやだな」って。
自分が青春のすべてを注ぎ込んだ部活が廃部になるとか、学校が廃校になるってなんかいやじゃないですか?
そういうような思いで、自分の爺ちゃんとか婆ちゃんとか父ちゃんとか母ちゃんが築いてくれた財産を、自分たちの代で食いつぶすだけ食いつぶして、自分の子供とか孫になにも残せないって、すごくイマイチな世代になるのがいやなんです。韓国とか中国にこのまま抜かれていくのがいやだなって思って。
じゃあ、なにかやらないといけないと。「教師やろうか、政治家やろうか」と考えたときに、さっきも話しましたけど、僕が当時見つけた1つのキーワードは、どんだけ高尚なことを言ったとしても、「教育変えたいよね」とか「今の日本ってダメだよね」って言ったとしても、影響力もなにも持ってない人間がその話をするのって、金曜日の夜に居酒屋で上司の悪口を言ってるサラリーマンとなんの違いもない。
じゃあ、自分自身が本当に能動的に、例えば政治や経済、教育を変えられるような自分にならないと実現できないと思って。「影響力のある仕事はなにかな?」と考えたときに、僕は「経営者」という道を選んだ。それが大学2年の4月ぐらいです。
当時2002年ぐらいだったので、こういうスタートアップのベンチャーが集まってとかいうのはぜんぜんなかったので。
「起業するといっても、なにをやればいいんだ?」というので、当時サイバーエージェントの藤田(晋)さんのお話聞いたり、いろいろしていくなかで、営業出身の社長が多いなと思って。
じゃあ、営業ならできるかもしれないということで、大学2年の4月から、営業にフルコミッションというかたちで、「固定費0で出した売上の何パーセントをくれる」というかたちで始めました。
それで1つの会社で1番を取ったら、次の会社に行って、その会社で1番を取ったら、次の会社に行ってって感じで、道場破りみたいなことをやっていて。結果的に15社でトップの営業成績を取りました。
そのあとに、もうそのまま起業しようと思ってたので、就職するつもりなかったんですけど。さっきの質問の本筋でいうと、事業を作ったことがないので、やっぱりそういう経験とか雇われる経験もしないと、影響力を持った会社を作れないなと思って。
「1社だけ、事業を若いうちから作れるような会社に入ってみようかな」というので、14社。就職活動もターゲットを絞って、リクルートとかDeNAとかサイバーエージェントとかも全部受けました。
14社受けて13社内定もらって、一番小さかった会社が……実はリンクアンドモチベーション、じゃなくて某人材系の企業さんなんですけど。
人材系の会社に入って、そこで事業責任者を約1年間やって。そのあとヘッドハンティングにあって、リンクアンドモチベーションに入社という感じですね。
さっき坂本も言ってましたけど、学生のみんなは「いい会社に就職しよう」って思いがちですけど、「いい会社って世の中にない」って気づいたんですね。逆にいうと、悪い会社もないです。
どういうことかといったら、いい会社・悪い会社って、あくまで誰が決めるかという話なので。僕にとってのいい会社は、リンクアンドモチベーションだったという話ですね。もしかしたら、みなさんにとってのいい会社はそうじゃないかもしれない。
だから、結局現象学的な話をすると、世の中にいい会社・悪い会社があるってわけじゃなくて。世の中には会社しかなくて、その会社をいいと思う人もいれば、悪いと思う人もいるというだけの話なので。
僕は基本的に、日本の若者にベンチャー企業はあまりおすすめしないです。ヘタレが多いので。気が狂ったようなやつとか、狂喜乱舞できるようなやつが世の中を変えていくので。そういった意味でいうと、僕にとってはベンチャーの就職はよかったという話ですね。
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