2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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山崎元氏(以下、山崎):けっこう酒飲むんですか?
大熊将八氏(以下、大熊):お酒は大好きですね。僕、身長が192センチもありまして。めちゃくちゃ大きいわけですよね。体重も90キロぐらいあるので、いっぱい入りますね。
山崎:なにを飲むの、お酒の種類は?
大熊:まだそんなにいろいろ詳しいわけではないんですけれども。でも、ビールも好きですし、日本酒も好きですし、いろいろ好きです。
山崎:まあでも、あれだよね。就職するとおそらく徐々にある時から太り始めるよね。
大熊:そうなんですか(笑)。
山崎:だいたい私は2年に1キロずつ太っていって。ある時まずいなと思って。2年ぐらいかけて17キロ落として。
大熊:なにをされたんですか?
山崎:ハイボールでダイエットしました。
大熊:どういうことですか、それ?
山崎:糖質制限なんだけど、炭水化物を減らして。でも、やっぱりご飯を食べられないとか、パスタ食べないっていうと、なんとなく口が寂しいじゃないですか。
それで、ハイボールを飲みながら、糖質にならないものをとるというような感じで、月に上限2キロぐらいまででじわじわっと落とすような。そんな感じで落としましたけどね。
大熊:なにかスポーツとかはされなかったんですか?
山崎:しないですね。うん。
山一が潰れたあとに、ある会社に面接に行って「なにかスポーツやるんですか?」って言われて「いやいや、私は将棋部でした」って。「高校時代なにかスポーツやっていたでしょう?」って言われて、「いや、なにもやってませんよ。田舎の受験校ですし」。
「中学の時になにかやってたでしょう?」って言われてめんどうくさくなって「いや、私は散歩とセックス以外のスポーツはしません」って言ったら、銀行から来た役員が2人固まって「それはスポーツだろうか?」って言うから、「個人差があるんじゃないですか」というふうな(笑)。
なんかブラック企業の話してほしいみたいね。今のコメントでいうとね。
大熊:今、ちょっとセックスの話になっちゃいましたからね(笑)。
山崎:ブラック企業についてはなにか言いたいことはありますか?
大熊:本当に難しいなと思うのが、数字から「この企業はダメだ」とか、例えば「社員に投資してない」とか言うのは簡単ですけれども。
僕、実はこの本を書いたあとにレストランをいくつか経営されてる人に呼び出されたことがありまして。「なんだこの本は。お前ごときになにがわかる」みたいなお説教をしていただきまして。
山崎:なるほど。親切な方ですね。
大熊:すごいいろいろ教えていただけて。結局本も買っていただいて、すごくいい方だったんですけれども。
山崎:それはなにを教えてくれたんですか?
大熊:要するに、とくに小さな企業は「生き残るのにすごい必死です」と。「必死に生き残ろうとして、取引先との関係を築くし、もう1回転在庫を回転させるためにすごい頑張る」と。
ということで「従業員に無理をさせるのはある程度仕方がないし、みんな『負けたくない』と思って頑張ってるんだ」と。「それを外から叩けるのか?」っていう問いで。
僕は、「でも、それで、従業員に無理をさせているのだとしたらダメでしょう」って思ったんですけど。でも、そこ強く言い切れないなと思ったんですよね。
山崎:まあ叩くのは叩いてもいいと思うんだよね。それは事実だし、そう思ったということであれば、叩いてもいいと思うんだけども。でも、経営者も従業員も一生懸命やってるというのは確かだろうけど、やっぱり、でも……。
例えばベンチャーなんかでけっこうあるのは、従業員を絞り上げて、経営者も「おれも給料こんなに下げてやってるんだから、みんなで頑張ろう」みたいなことを言ってて。でも、そう言って、結局数字作って、IPOして、自分だけは大金持ちになります、みたいな経営者はけっこういるので。
経営者が自分がどれぐらい取るのかなという加減がすごく大事で。ここは取ってはいけないということではないんだけれども、そこの経営者の心がけというのがけっこう難しくはなってきてますよね。
大熊:僕は、何社か友人がベンチャー始めたりとかもしていて、なかの様子とかも聞いているんですけど、やっぱりほとんど創業者の数人ぐらいが、外部からの投資を入れない場合は株をほとんど握って。
あとから入ってきた社員とかには、ストックオプションで「あげるよ」って言っても、0.1パーセントとかせいぜいほんの数パーセント足らずじゃないですか。
とったリスクの圧倒的な差はありますけど、実際IPOとかした時にすごい差が出るんだろうなと。だから「一緒の条件とはなかなか言いにくいよね」というところは、まず1つあるかなと思いますよね。
山崎:資本家兼経営者というのはしょうがないと思うんですけれどもね。
この頃だんだん難しいなと思うのはサラリーマン経営者。例えば今回の三菱自動車の経営者がいくらもらってるのか調べて来なかったけれども。たぶん1億以上もらってるんじゃないかなとも思うし。
上場企業の経営者が1億、2億もらうようになってきてて。どんどん増えてるんですね。賃金が全体として下がってるなかでも、経営者の報酬というのは一貫して上がってきてて。
今、「コーポレート・ガバナンスをどうこうする」とか、「ROE(株主資本利益率)を上げろ」とか、「社外取締役を置け」というようなことをいろいろ言ってるんだけど。でも、結局あれは社外取締役を置いて、どっちかというと経営者の給料をあげるための応援団に使ってる。
「経営者の給料を上げてやる。あるいはストックオプションで儲けさせてやる。その代わり、例えば企業は会社のなかに溜まった金で自社株を買え」というような。そういう株主投資家側から経営者を買収する。どうもそういう仕組みが今成立しかけていて。
結局、ROEを上げろということは一番手っ取り早いのは、1つは分母を小さくすること、自社株を買うこと。もう1つは、利益を出せということだと、バカでもやれるのがコストカットじゃないですか。
だから、「従業員の賃上げをしてください。アベノミクスでインフレにしたいんです」という話と「ROE上げて経営効率を上げてください」という話は、ちょっと右と左に引っ張ってるような感じがあって。
じゃあ、「どっちが勝つのかな?」と思うと、でも、やっぱり経営者は自分の給料も上げたいから、これは賃金よりもROEが勝つのかなというような。ちょっとそんな感じの嫌な雰囲気にはなってますけどね。
上場企業の経営というか上場企業の社長というのはこういうものであってほしいとかっていう気持ちってあります? サラリーマン社長とオーナー社長というのはここが違うはずではないかって気分ってありますかね。
大熊:難しいですね。でも、オーナー社長のほうがすごいキャラクターが強くて、まさにある種ブラック的なところもあるのかもしれないですけど。その会社の理念というのを自分で自ら作っていって発展させる人はすごいカッコいいと思いますし、そういう人がいてほしいと思うんですけどね。
山崎:まあ現実にはそんなにカッコいいものでもないし。でも、前にベンチャーキャピタルの専門家に聞いたことがあるんだけれども。
1代で創業して株式上場に持っていくようなオーナー社長というのは、だいたいみんなわがままだし。でも、どこかこだわりというか純粋なところがあって。あとせっかち。「明日できることがなぜ今日できないんだ?」というせっかち。
大熊:永守(重信)さんとかもそうですよね。「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」みたいな。
山崎:あと、ケチ。あと、スケベ。だいたいこの5条件、わがまま、純粋、せっかち、ケチ、スケベ。みんなこれが当てはまるような人が多いので。基本的にはあんまり、一般論として率直に言うけれども、人間として付き合って楽しい感じの人ではないですよね、人格としては。
大熊:成功者はみんなサイコパスみたいなところがあるって言いますね。いい経営者もそうですし、アーティストとかスポーツ選手とかも、国会議員とかもですかね。
山崎:たぶんスケベみたいなところに通底するんだと思って。やっぱり支配欲? 自分の支配できる範囲をどんどん拡大していきたいというような欲求がすごく強いんだと思うんだよね。政治家だとかあるいは社長だとかっていう人種は、ご飯食べながら話をしてても、自分の話ばっかりしてるでしょう?
大熊:そうなんですか? 大好きなんですね。
山崎:ベンチャー企業の場合はとくに、社長のよし悪しで出来不出来がすごく決まっちゃうというところもあるし。社長との相性が悪いところに入ってしまうと、もうほとんど無理だよね。
東大の学生さんは、今はあんまりベンチャーは人気ないですか?
大熊:トータルで見ると、かなり人気は上がってきているのかなと思ってます。今度登壇させていただく、ベンチャー企業の採用をしている会社さんがありまして。スローガンという会社なんですけど。
そこの社長さんとお話すると、その人10年前に創業されたんですね。
その時に高学歴というか、いわゆる東大とかでベンチャーに行くという人は「頭おかしい」みたいに言われてたと。0.1パーセントぐらいだったらしいんですよ。「なんでトヨタとかに行かないの? 銀行に行かないの?」って感じだったらしいんですけど。
今は、多数派になったわけでは決してないけれども、10パーセントぐらい、10人に1人ぐらいの人が「そうだね、たしかに。このまま普通に商社とか銀行に行っても安泰じゃないかもしれないし、未知数だけどおもしろそうなこの会社に入ってみようか」という人が、昔は1,000人に1人ぐらいだったのが、10人に1人ぐらいになってきたっておっしゃってて。確かに周り見ててもそんな感じがしますね。
山崎:東大出たとかっていうことが、昔ほど安定的に有利ではなくなってきてるということはあると思うんですよね。
大熊:おっしゃる通りだと思いますね。
山崎:昔、ある経済学者がペンネームで書いた『東大を出ると社長になれない』というタイトルの本があって。
それはどういうことかというと、要は東大を出るとサラリーマンとして有利な機会があるので、それを放棄してまで自分で会社をやって社長になろうという人は少ない。いわゆる機会費用が大きいという。そういう意味で社長になろうとする人が少ないんだというような。種明かしはそんなようなことだった本がありますが。
大熊:それはまさにそのとおりだと思いますね。
山崎:チャレンジしなくても、そこそこのリターンが見込めるところでチャレンジしようとはなかなかならないですよね。
大熊:周り見てても、チャレンジした人は「借金がめっちゃあります」とか。ものすごい強いコンプレックスがあって、「普通のいい企業に入っても満足できません」とか、なにか突き動かされざる得ないものがある人がチャレンジする気はしますね。
山崎:大熊さんすごく背が高くていかにもモテそうな感じだけど。社長で成功した人とか、あるいは政治で成功した人とかっていうのはけっこう背が小さくて、「コンプレックスがあったのかな?」みたいな感じの人というのは多いことは多いですよね。そういう人のほうが頑張るので。
ある意味では、体格もよくて、恵まれて育ちましたみたいな人というのはちょっと油断してるところがあるから。あとで頑張り屋さんに負けないように頑張ってね(笑)。
大熊:実は僕もコンプレックスがおそらく強いほうだと思っていて。実家がそんなに裕福ではなかったんですね。中学生ぐらいからずっと母子家庭でして。ただ、たまたま親の教育方針として、子供の教育には投資を惜しまないでおこうということで、京都の洛星という学校に。
山崎:有名な学校ですよね。
大熊:私立の学校なんですけれども、いわゆるお金持ちの人が多いんですね。お医者さんの家系ですとか。あと京都なので、京都って上場企業多いじゃないですか。そこの血縁者ですとか。あと、おもしろいのは「人間国宝の関係者です」みたいな。京都ならではですよね(笑)。そういう人もいらっしゃって。
いわゆるエスタブリッシュメントです。彼らにも苦悩あると思うんですけれども、生まれながらにもう将来安泰です、みたいな人たちだったので。
その人たちに「なにくそ負けたくない」というので、中高時代は部活は水泳をやってたんですけど、それを頑張ったりとか。でも、芸術、本書いたりとかもしたいなとか思ってまして。
そういう中高の時の友達、いい人ばっかりなんですけど、彼らに負けたくないなみたいな。すごく思いますよね。
山崎:やっぱりそういう、悪く言えば、屈折ということなのかもしれないけれども。なにかそういうものがあるほうが、あとで頑張る人多いですよね。
大熊:もうちょっとその話しても大丈夫ですか?
山崎:いいですよ。
大熊:東大って平均の家計の年収が1,000万円以上の人が一番多い大学って言われてるんですけど、それでも僕の高校よりは「貧乏でも地方から来ました」みたいなやつがけっこう多くて、大学に入ってからそういうハングリー精神旺盛な友達が増えていったんですね。
彼らと「どうやったらいわゆる既得権みたいな人たちに勝てるんだ」というか、「どうしたらいいんだろうね?」みたいなことも入学してからずっと話してるんですけど(笑)。
山崎:けっこう人生戦略を学生時代から考えてたんだ。
大熊:「そういうエスタブリッシュメントな人たちに勝ちたいけど、どうしたらいいんだろうね?」って言って。
でも、最近もその友達と話したんですけれども、ピケティの本ありましたよね。『21世紀の資本』ですかね。あれで言われてることだなと思いまして。やっぱり、資本主義社会というのは、資本をすでに持っている人が圧倒的に有利なゲームですよね。
要するに、「起業して頑張ってやるんだ」というのはすごい分が悪い勝負で。でも、それをせざるを得ない。そうする以外には道がないというか。労働者はそうせざるを得ないってすごい難しい状況なんだなと。
友達が「どうしたら既得権を倒せるんだ」みたいな、その人はエンジニアなので、「いいITサービスを作ることで徐々に既得権益を破壊していくんだ」みたいに言うんですけど。
でも、もともと土地を持ってる人とか、すごい血縁が優れている方に、それで勝ったことになるのかというと、「別にそうでもないんじゃないか?」みたいな話になりまして。
山崎:まあ、勝つとか負けるとかっていう、そんなに深刻に考えなくてもいい気はするんですよね。
人生相談のネットでやった時に「金持ち父さんみたいになりたい」っていう相談が来て。要は「自分の会社も持ちたいし、お金にお金を稼がせるんだ。金を稼ぐために自分が働くんじゃなくて、金に金を稼がせるような立場に立ちたい。自分の事業も持ちたいし、資産運用もしたい。そのためにはどうしたらいいんですか?」みたいな質問が来たんだけど。
でも、そういう金持ち父さんの本も、まあ『金持ち父さん 貧乏父さん』ってよく売れてる本ですけど、じゃあ、具体的な話というのは「ただレバレッジかけて不動産買ったら、たまたま金持ちになりました」というような話がちょっと書いてあるだけで。具体的に金持ちになる話が書いてあるわけじゃないんですよね。
でも、あの本のおもしろいところというか、キャラクター的に際立ってるのは貧乏父さん。学歴は高くて、真面目に働いて、一生懸命仕事してるんだけども、しかし、あくせく家族を養う程度の収入しかないという。その貧乏父さんと金持ち父さんのコントラストがおもしろいんだけども。
だけど、よく考えてみれば貧乏父さんみたいな人によって世の中は支えられてるわけで。
大熊:そうですね、確かに。大多数の人がそうですよね。
山崎:それでも、やってることが楽しくて、食うに困らない程度には稼げていて、機嫌よく暮らしているということであれば、それでいいのかなと。
むしろ、金持ち父さんを目指すということを考えて、資本がないところからいきなりジャンプアップしようとしてあくせくして、他人と資産を比べるというよりは、機嫌のいい貧乏父さん。貧乏父さんのなかでは、自分としては「そんなにお金に心配はないぞ」というような。
そんな暮らし方というか価値観を持ったほうがいいんじゃないのかなという感じがするんですよね。
私はお金の運用の本とかを書いたり、あるいは投資の仕方を講釈したり、そういうのが一応自分の仕事だからやっぱり「みんな投資したほうがいいですよ。ピケティも言ってるでしょう? そのほうが有利なんだから、あなたも資本家の側に回りましょう。運用に工夫しましょう」というような話を商売ではするわけですけれども。
でも、あんまり気にしないでというか。あと、吸った息を吐くようにお金を使って、しかし、それで心配もしなかったし不自由もしなかったというような。そんな感じがお金に関しては理想だと思うんですけどね。
大熊:実際年収が、日本だと600万以上の場合は年収の上昇と幸福度の上昇が比例しない、相関しないというデータとかもありますね。
山崎:そうですね。いわゆる「幸福の経済学」みたいな研究が最近流行ってて。幸福度をアンケートを取って、その要素を調べるみたいなやつなんだけど。たしかに600万、800万ぐらいからあんまり増えなくなりますよね。
例えば、それを1,000万円、2,000万円に上げた時に、余暇の時間がなくなる。もう1つは人間関係がすごく悪化する。仕事のプレッシャーが非常にきつくなるとかというようなことで、精神的な満足度というのはあまり上がらない傾向にありますよね。
今後はなに をやりたいの?
大熊:自分でどんどん作品を作りたいというのがありますね。気持ちのなかで。
今、幸福の話でもあったんですけど、まあ23年しか生きてないですけど、自分の人生を考えましても、一番うれしかった時って部活の大会で優勝した時とか、本を出せた時とか、そういう時に自分のなかでこみ上げくる感動みたいなのがありまして。
そういうのをあと何回というか。より大きな感動を味わえるかどうかが、自分の人生のよさを決めるのかなと思ってるんですけど。
山崎:やっぱりそういう成功体験というのはいいもんだよね(笑)。
大熊:自分がやったことで、「おれ頑張ったな」ってポロッと泣けるぐらいのことを頑張ってやっていけたらなと思いますね。
山崎:なんとなく一番最初に本を出した時というのは「いちおうこれでなにか生きてた痕跡が少し残ったのかな」みたいな気持ちというのはありましたかね。35、36歳の時に本出したんですけど。もちろんまだ生きるつもりなんだけど、なんというのかな、「自分の痕跡を残せた」というようなものは喜びがあって。
ただ、本もどんどん紙の本から電子の本に変わっていく可能性がありますよね。ただ、思ったよりも電子ブックに変わるスピードというのは早くないですね。紙で読んでます? それとも電子で読んでます?
大熊:僕は全部紙で読んでますね。それに、本出させていただいたあとに、いろんな書店さん、たぶん100ぐらい回ったんですけど。実家が京都で、帰省した時も京都とか大阪の書店さん回らせていただいたんですけど。
やっぱり大きな書店さんとかで、すごい熱心に何冊も読み比べて本を読む方というのがものすごく多いなって。いまだにって言ったらあれですけど、すごく多いんだなとあらためて気づきましたね。
山崎:実態経済がよくわかっていないということの自己反省も含めて言うと、本って、紙で刷って、これがもし売れ残ったら在庫になって、在庫である間はそれを損金にも落とせないから。損金に落とすためには処分しなきゃいけないし。
倉庫代もかかるし、運送量もかかるし、いったん本屋に納入しても、また返品されて返ってくるとかいうような、相当めんどうくさい商品だと思うんですよね。それが電子だと、そういう在庫のリスクみたいなものがないし。
私はiPadで読むのと、紙で読むのとが半々ぐらいで。けっこう慣れると早いんですよね。むしろ紙の本よりも目の位置を変えないで済むから、iPadのほうが早く読めるようなところがあって。電子に早く切り替わるかなと。だから、紙の本を出せるうちに著者の気分を味わっておいたほうがいいかなと思って(笑)。
でも、意外に切り替わりが遅いです。CDから一時期MDという半端なのがあって。で、音楽配信がネットでされるようになって、というような。LP・CD・MD・ネットという、音楽ほどは早く切り替わらなかったですね。
でも、やっぱり紙の新聞はなくなっていくだろうし。それから、本もやっぱり紙の本から電子に切り替わっていくだろうなとは思いますね。
大熊:たぶんある程度まではなるんでしょうね。テレビが出てきて映画館に映画をわざわざ見に行くことは減ったけど、でも、映画産業というのが残ってるような感じで。「紙ならではのもの」というのだけはたぶん残るんだろうなとは思うんですけどね。
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