2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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琴坂将広氏(以下、琴坂):今、みなさんが大学生だと仮定したときに、グローバルで活躍する起業家になるとしたら、何をします?
たぶんまだ経営者としての実績は残していないですよね。今ここにいる大学生の多くは、圧倒されてしまって、ある種の距離感を感じてしまったかとも思うんですけれども。
いま大学生の彼らが、今から10年……5年以内。そのぐらいのタイムスパンで、アメリカ市場に進出して、中国でプロダクトをローンチして、インド市場で成功するために、という設定で、登壇しているみなさんがすごく意識の高い学生という仮定です。
赤坂優氏(以下、赤坂):グローバルで活躍する起業家になるには、まず最初は日本でいいので、とにかく起業すべき。僕はグローバルかどうかは後づけだと思っています。例えば、起業して2年間やってみて、またもう1回会社をやるタイミングで、グローバルを視野に入れるとか。
そもそもビジネスをする、商売をするということをやらないと、土俵にも立てないと思うんですよね。日本でビジネスできない人は、勝手が違うグローバルで成功する確率は低い。
金儲けの根本は世界共通なので、一番やりやすい母国のマーケットで「練習」したほうがいいとずっと思ってますが、いかがでしょう?
千葉功太郎氏(以下、千葉):これはちょっと宣伝になりますけど、コロプラネクストという、学生が起業してCEOをしている会社だけに特化して、投資とインキュベートするということをやっています。今ベンチャーキャピタルはいっぱいあるんですけれども、学生に特化してるのがうちだけなんですね。なぜかというと、手間がかかるし儲からないからなんですね(笑)。
なんでやってるかといったら、みなさん学生は、赤坂さんが言ったとおり、いま起業できるならしたほうがいいんですよ。「プロダクトを作って、出して」という経験を積んだほうがいいんですよ。だって、20歳からやれば2年もすると、22歳までにけっこうな分量の経験が積めるので。そこから23歳でもう1回切り直しても。
小泉文明氏(以下、小泉):オリンピック選手は3歳からやってますもんね。
赤坂:たしかに。
千葉:時間ほど価値の高いものはない。学生だけのチームで会社を作っても、ベンチャーキャピタルから投資して、現実的にはけっこう難しかったりするんですけど。だからこそ、うちは学生だけに特化して、リスクも(受ける)。そういう意味では、会社としてリスクをとってやっています。
できれば、18歳とか19歳の1年生や2年生の頃からチームを作って。チームも別に学内の友達じゃなくて。関西だったら関西の一番いいやつを自分なりに集めてきてチームを作って、「こういうのを作りたいんだ」というのを応援して。それが本当に1回転2回転しても、まだみなさんは22〜23歳なので余裕です。
赤坂:余裕ですよ。
千葉:僕がコロプラを始めたのが35歳なので。もう、みなさんの年齢がすごくうらやましいですよ。みなさんの最大の武器はそこなんですよね。赤坂さんがさんざん言ってるとおり、やってみないことにはぜんぜん経験値が積めないので、戦う土俵には立てないんです。
小泉:付け加えると、2つあると思っています。1つは、インターネットサービスがけっこう文化というか、生活スタイルに影響されていくときに、今のアメリカの大学生やみなさんよりもう少し下の高校生と、日本の高校生はほとんど同じ行動をしてるんですよ。小学校高学年ぐらいからインターネットとか、中学校時代からスマートフォンをさわってると……。
今アメリカの若い子たちが何をやるかというと、あんまりテキストを打たなくなってきてるんですよね。たぶんみなさんもそうだと思うんですよ。写真とかスタンプとか絵文字とか。絵文字はぜんぜん通じますからね。
赤坂:あと声ね。
小泉:結局、テキストはけっこう手間がかかるわりに情報量が少ないんですよね。感情も伝わらないので。結局ノンバーバルなものというか、もっと直感的なものにいって、どんどん軽いほうに寄っていってるんですよね。
これは、僕らは年を取ってくるとなかなかわからない、サービスが感性みたいなところにガンガンいっちゃうんですよ。「Snapchat」とか、彼ら24歳とかでしょう? ああいう新しいのはみなさんの強みだから。
赤坂:(創業者のエヴァン・スピーゲルは)ミランダ・カーの彼氏ですよね。
小泉:ミランダ・カーの彼氏。それ超重要(笑)。
赤坂:これ、超重要なんです(笑)。
小泉:日本も、赤坂さんが今から女子アナと結婚したら……だいぶね。
赤坂:仮に僕がミランダ・カーと付き合ったら、もう起業家は絶対増える。
小泉:絶対増える(笑)。例えば、みなさんが(起業に)したときに、学生の感性で勝てるところって、コミュニケーションという分野が一番合っていると思っています。
赤坂:間違いないです。
小泉:僕が大学生だったら、絶対やるね。
千葉:ちなみに僕、最近学生と日々会ってるんですけど、みなさんは「MixChannel」使ってます?
小泉:もうちょっと下じゃないかな。
赤坂:高校生ですね。
千葉:知ってる人?
(会場挙手)
千葉:知ってる人ももはや少ない。使ってる人もいない。「ゴールスタート」知ってる人います?
(会場挙手)
赤坂:1人。
千葉:「MixChannel」は、今高校生に爆発的に使われている。もう「チュッチュ、うふふ、あはは系」の写真と短い動画がジャンジャンきて、見てるだけで「うお~!」みたいな。
赤坂:大ブレイク中ですよね。
千葉:大ブレイク中なんですよね。「ゴールスタート」は、今中学生を中心として爆発的に伸びています。みなさんはたぶん、TwitterとかInstagramを使っている世代だと思うんですけど。もはやみなさんの感覚ですら古くなりつつある(笑)。
琴坂:もう年を取ってると。
千葉:僕は明確にお伝えしなくちゃいけない。あと5年もすると、今「ミクチャ」使ったりだとか「ゴールスタート」とか、本当に……。
赤坂:だから、本当にこんなくそジジイたちがものすごい努力をして。
千葉:努力してるんです!
赤坂:「2ちゃんねる」とかを勉強してますから(笑)。
千葉:見てるんですよ(笑)。
小泉:「その裏にある感情ってなんだろう?」という(笑)。
赤坂:結局人への興味なんだよね、ずっと。
小泉:それはアメリカも日本もフランスも一緒だし、どこでも一緒。若い子たちが持ってるデバイスとか。例えば、若い子はだいたいグローバル企業の製品で育ってきてるので、感覚が全部一緒になってきている。良くも悪くもローカル性がなくなってきてるんですよね。
千葉:じゃあ、チャンスですよね。
小泉:チャンスだし、逆にすごい戦いになっている。ワクワクするけど、本当におじさんたちは必死ですよ。
千葉:でも、少なくともこの壇上のおじさんたちが中・高で流行ってるのを完全に把握して見ていて、みなさんが知らないのはヤバいと思いません? みなさん「若い」が武器なのに、実は武器が生かせてない。
小泉:だから、おじさんたちのFacebookは見なくていいから(笑)。Twitterも追わなくていい。(自分より年齢が)下、下。こっち(上)ではイノベーションが起きないから(笑)。
赤坂:ふだん学校にいる、キャンパスにいる人たちが見るべきですよね。だって、僕らは意識していかないと行けない場所に日々いるわけですから。
それと、僕が本当に思うのが、ただその光景を毎日見ているだけだと、それが当たり前になっちゃっていて、「ただ目に映ってるだけ」になる。
そうじゃなくて俯瞰して見るというか、この光景、流行の背景を分析するクセをつけていったほうがいいかなと思っています。
例えば、こういうおじさんとかとちょっと話して「おじさん、こんなサービス知らないんだ」と、こっち側がむしろ思ってほしいわけなので。「学校でこんなの流行ってるのに、千葉さん知らないんですか?」の側に。
千葉:「まだFacebook使ってんですか?」みたいに。
赤坂:「ということは、おじさんたちが知らないから、絶対これいけるな」となるべきだと思います。
小泉:僕らがやっているeコマースみたいな、パワープレーのところは、学生はあんまりやらないほうが本当はよくて。そういうコミュニケーション文化からいけるやつがいいと思います。
赤坂:「ミクチャ」なんて文化の塊ですよ、あれ。
小泉:もう1つ、グローバルでけっこう上のほう、みなさんみたいな高学歴とか、ある程度教育を受けている人たちは、すごく思考が一緒になっていってるんです。どんどん先進的なことも吸収したり。
ただ一方で、日本でいうと所得層として標準以下の、いわゆる大衆ゾーンですね。ここはまったくグローバルを意識してなくて、またぜんぜん違う文化なんですよね。
ここはまったく違うので、そのギャップがすごい生まれてきているんですよ。ここの大衆は、逆にいうと大学も通ってなかったりして暇なんですよね。何かその暇つぶしを探していて……という、この(大衆)ゾーンはぜんぜん国ごと(の違い)があるんですけど、上(のゾーン)はまったく国考えなくて一緒みたいな背景があるので。
赤坂:小泉さんはファイナンスもやるんですけど、実はメルカリのCMを作ってるのも小泉さんなんですよ。
1発目にやったメルカリのCMと、今回から流れ始めてるメルカリのCMを見れば、どの層を取りにいっているかの違いが明確にわかるというか。普通の「メルカリというサービスだよ」という『テラスハウス』をテーマにやってるやつと。もう1個、今回出したのはひどいですもんね、あのCMね。
小泉:なにそれ?(笑)
(会場笑)
赤坂:「呼んだ? メルカリちゃんだよ」という。
小泉:だいぶ大衆層を。
赤坂:大衆向けのチラシみたいなやつをあえて作るという。
小泉:1発目のCMは、若いトレンドセッターと呼ばれる20代の女性だけを取りたくて、CMでバーンと。むしろターゲットにフォーカスしたみたいな。一般的なCMとは逆の考え方で。
赤坂:それでいうと、千葉さんもめちゃくちゃCMやってますけれども。
千葉:むちゃくちゃやってますよ。
赤坂:この業界のCMの成功例といったら、もうここしかない。
小泉:僕ら、コロプラに勉強しにいきましたもん(笑)。
赤坂:うちもコロプラさんからいろいろ聞いて、CM作りましたからね。
琴坂:そうすると、これ、例えば2つオプションあるとして。グローバルなんだから、グローバルにやりたいときに、世界中を見てそういう文化を理解して、グローバルで戦うための土台を作ってからビジネスをするという道が1つあるかと思います。
もう1つの道として、「まず事業化だろう」という道。日本で実際に事業を作って、日本でで実績を出してからグローバルに挑戦する。この2つがあるとしたら、どちらがいいのでしょうか?
千葉:誰にとってですか? みんなにとって?
琴坂:ここにいる聴衆のみなさんにとって、どっちがいいんですかね?
千葉:まず、日本向けにしっかりやればいいんじゃないですかね。正確に言うと、とりあえず作って出してみましょうよ。なんでもいいから。「作って出す」から、全部がスタートすると思っているので。
ただ、いきなりインド市場にアプリ出しても、たぶんみなさん勝ちゼロなんで。日本市場で練習したほうが、絶対いいですよね。日本市場もそこそこ大変なので。
赤坂:もう練習だと思って、日本でやればいいんじゃないんですかね。グローバルに行く前提でもいいんですけどね。
千葉:しかも、みんなリスクないんですよ。学校にいたまま、事業も適宜単位取りながらやれる時代なので。別に休学しなくてもできるし。
赤坂:もうお金は(千葉氏を指して)この辺の人たちが出してくれるし。
千葉:出してくれるし。だから、今の時代がすごいうらやましいですよね。
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